2018-19レギュラーシーズンに信州ブレイブウォリアーズは大きな変化を遂げた。
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それは勝敗(25勝35敗から48勝12敗)やスタッツ(チーム平均得点70.4から80.0)からも明らか
だ。B2全体クラブ中で唯一平均失点を60点台(69.7点)に抑え、攻守ともに変革した。
4月27日、28日に行われた島根スサノオマジックとのプレイオフ2試合においても失点を60点、50点台におさえて2連勝した。
この2連戦は双方主力3人(信州は石川海斗、ウェイン・マーシャル、アンソニー・マクヘンリー選手。島根は相馬卓弥、ロスコ・アレン、グレゴリー・エチェニケ選手。以降はBIGスリーと表記)がどう活躍するかが鍵となった。
勝久マイケルHC(ヘッドコーチ)も初戦の会見で「(島根のように)タレントの豊富な相手だと40分間で体力と気力が削られる」と警戒していた。
島根はシューターの相馬、佐藤公威選手を活かすシステムとしてオフボール(ボールを持たないところ)からスクリーンプレーを多用し、信州は石川選手のオンボール(ボールを保持した状態)スクリーン、いわゆるピックアンドロールを多用していたことも特徴的だった。
勝久マイケルHCは「ハーフコートオフェンスの要はこのBIGスリー」だと会見後に個別でインタビューした際に応えてくれた。
(ここではオフボールとオンボールの是非は問わない)
Bリーグの強豪クラブでもピックアンドロールが盛んに行われ、勝つためには必要不可欠な戦術だが、ヘッドコーチは最初からピックアンドロール主体と考えていたわけではなく「石川選手が加入したことで今シーズンのオフェンス(ピックアンドロール)を採用した」ことを教えてくれた。
27日のプレイオフ初戦第2クォーター(以降クウォーターはQと表記)でも大きく点数が開いたのは「ウェイン(マーシャル選手)も唯一スリーポイントを決めたのが第2Q。彼が当たり出し、ピックアンドロールが機能して色々な形で得点できるとわれわれの形になる」とヘッドコーチは分析する。
攻撃の起点となる石川選手について勝久マイケルHCは「リングへのアタック、勝敗を決めるシュート、ディフェンスでのBIGプレイ。もちろん、それが時々ギャンブルになったりアグレッシブ過ぎたりもあるが、それも含めて彼の良さ」と評する。
石川選手の会見を聞いていていて感じたことは彼の言葉から溢れ出る「自信」だ。「自分自身ピックアンドロールは得意するプレイ」だと語り、ヘッドコーチも彼を「怖いもの知らず」と特徴づける。
石川選手に完成度について聞くと「コーチが求めている基準が高くB1レベル。今のまま(B1に)行っても勝てるわけではない。自分自身でも(完成度という意味では)まだまだだと思う」と満足はしていない。
それでもピックアンドロールについては「相手のディフェンスのシチュエーションによって自分と誰かではなくチームとして遂行している。チームで練習していきているのでうまくいっていると思う」と自信をのぞかせる。
信州はピックアンドロールという武器を手にし、真の「怖いもの知らず(ブレイブウォリアーズ)」へと進化していく。
(文=定山 敬)