過去の蓄積から未来を予見する-千葉ジェッツ ビデオアナリスト 木村和希-

リーグの武器、Synergy(シナジー)

BリーグはSynergy(シナジー 以降、Synergyと表記)という専用の分析ツールを使っている。

B1に所属するクラブで有れば利用可能だ。リーグからのリリースや紹介された記事を読んで生(ナマ)データのようでそのまま使うには大変そうだといい印象だった。

「Synergy自体の数字はわかりにくいが、ある選手のポストプレーは61%の確率で右にターンするなどを自分たちでまとめれば非常に使いやすくなると思う」

何らかの加工作業が必要という問いに対しては「絶対に必要だと思う。
Synergyのデータは非常に細かく、量も多い。その中のデータに対してコントロールできるものとできないものが混在している。
例えばどのチームでも一番多いシュートはスポットアップ(spot up ※キャッチしてシュートすること)で2番めにチームに特徴が出てくる。
一番目のスポットアップに関してはコントロールすることが難しいので、フォーカスするのではなく、二番目のチームの特徴にフォーカスすることが必要だ。
それらを深く掘り下げるためにはデータの加工が必要となってくる。
これを出すことができるのはSynergyなので、これがないと分析の質が落ちてしまう」

分析ツールをまだ使いこなせてないクラブもあるのではないか
「まだ上手く活用できていないという話をまわりから聞くことがある。
完璧ではなく誤差もあるので、最初の頃は信用しにくいといっている人もいたが今は変わってきている」

「例えば680ポゼッションの中でひとつの誤差がどれだけ影響するのかを理解すれば、Synergyのうまい使い道はあると思う。
Synergyもひとつのヒントでしかなく自分自身は今これがいちばん使いやすいから使っている」

NBAやFIBAの配信にはショットチャートといってその選手がどの位置でシュートを打ったのを視覚的に見る事が出来る。
Bリーグの配信やスタッツにはシュートエリアを調べる術がほとんど存在しない。

Synergyにはシュートエリアを集めたものが無いという噂を聞いていたが、Synergyでも調べることはできるという。
「リーグがSynergy側とどこまで状況共有しているのはかわからないが、エクストラパッケージ(別料金)としては存在する」

男子では利用可能だが女子のWリーグではSynergyを使っていない。
「だからといって、劣っているのといえば反対でアナリストのカルチャーは男子よりも構築されている」と指摘する。

「自分たちで項目を作って分析と入力をしている。それは凄いことだと思うし、男子はSynergyがあるからこそSynergyにアジャストしていかなければならない」

バスケに限らず他競技のアナリストとしてが最先端をいっているはどのスポーツなのかという問いに「日本の団体競技だけにフォーカスするとバレーボール、ラグビー。そこに早く追いつきたくて仕方ない。
あれだけのアナリストがバレーでは育っているので、Bリーグでももっと頑張らないといけない。非常に悔しい気持ち。
その分野のアナリストとはよく話をするし、聞きに行くことも多い」