B.LEAGUEアーリーカップ2019東北から見えてくる各クラブの道標

開幕前の公式大会であるB.LEAGUEアーリーカップ2019東北が9月14日から16日、ゼビオアリーナ仙台で行われた。
各試合結果とヘッドコーチのインタビューから今シーズンが道すじが見てくるのかもしれない。
(取材 定山敬)

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9月14日(土曜)山形-北海道

レバンガ北海道 内海知秀ヘッドコーチ

-今日の試合を振り返って
前半の第1クオーターの出だしは良かったが、前半の第2クオーターを含めて16回あったオフェンスの中で点数をつなげていくことが出来なかった。
(16回の中で)フリースローの2点しか取ることが出来なかった。リズムが途中非常に悪かった。明日の修正していきたい。
ディフェンスの部分は相手がトランジションを頑張っていたので、何本かやられたケースがあった。これもディフェンスの課題かなと思う。
明日は課題を修正して挑みたい。

-帰化選手+外国製選手2名での戦い方と課題について
まだゲーム数をこなしていないので、上手くいくケースと上手くいかないケースがあるとは思う。3人コートに立った場合に彼らの良さをどう出していくのか。
ゲームをこなす中で何が一番良いのか出していきたい。課題等々はこれから見つけて解消していきたいと思う。

-1番ポジション(ポイントガード)を橋本竜馬、松島良豪を併用しているが、同時にコートに立たせた時の役割について
二人共にポイントガードとコンボガード(1番と2番)が出来るので、大事な場面では二人を使うケースもありうると思う。様々なケースを想定して起用していく。

-現段階の完成度
現状はまだ半分ちょっと。60%くらい。

山形ワイヴァンズ 河合竜児ヘッドコーチ

-今日の試合を振り返って
けが人が多く、先週は5対5が出来ず、今週水曜からやっとハーフコートの5対5の練習を開始した。月曜火曜は自分たちスタッフがメンバーに入って5対5を行った。
そういう練習だったが、思ったよりはやれたかなと思う。ハート選手が加入して2週間くらいで、けが人が多い中ではチームとしてやりたいことは示せたと思う。
ピックに対する守備も成功したところとトラブルになったものが明確に出てきたので、開幕までの間に時間をかけて修正していきたいと思う。
敗因としては、もう少し競り合えたかなと思うが、フリ-スローをもらうことが出来なかった(上手くファールを誘えなかった)ことが一番ゲームを左右したと思っている。

-オンボール(ボールを保持した選手)に対する守備だけではなく、オフボール(ボールを保有していない選手)の守備の連動について
(今日の試合は)両極端だった。今やるべきというところとやれている時がはっきり出ていた。中途半端というか真ん中。グレーゾーンは少なかった。
できたとできていないがはっきりしたと思う。

-伊澤実孝と赤土裕典の活躍について
トラソリーニ選手に26点取られているが、(チームとして)オフェンスリバウンドが相手に21本奪われ、シュートが落ちたところを拾われ決められる。
B2で日本人のビッグマンがそういった局面でどう頑張れるか。今日の試合ではB1のビッグマン相手には頑張れたと思う。
二人がステップアップしていくと予想している。

-トラップをかけた時のローテションはしっかり出来ていたと思うが、どう評価しているか
プレシーズン公開で2試合戦ったが、その時は(守備の)ローテーションや連動がなく、単発だった。一人が行っても次の選手が動けていないというところからすれば、今日の試合はよく動けていたと思う。
まだ(連動に)時間差があるので、もう少し詰めていきたい。相手のボールが指から離れた瞬間にローテーションと連動して、もっと突き詰めいていければチームとしてもステップアップしていくと思う。

-現状のオフェンスについて
このアーリーカップではたくさんのことは準備せず、限定した形を用意した。プレシーズンの茨城戦も開幕近くもあり伏せた形で戦った。
今日の試合は第4クオーター始まってからオフィシャルタイムアウトまでが限られた選手にしか
ボールが回らず、どのプレイをコールしていくのかポイントガードと私のこれからの課題になっていく。
全員がボールシェア出来るオフェンスを用意していく必要がある。

-トリアン・グラム選手の加入で外国籍ビッグマンが一人になることについて
グラムがいることで当然どのチームも彼のところを潰しに来るとは思うが、そこを「おとり」にしてチームバスケ、ボールがシェアできるにようにしていきたい。
過去にさかのぼってカード系の外国籍選手になぜオープンの選手がいるのにパスしないのかと聞くと、シュート入らないから自分でタフなシュートを打ったほうが入るという答えがかえってくる。
彼を獲得する段階からその話をしていて、自分でシュートに行くよりもオープンな選手がいるのであればボールをシェアする。チームプレイヤーであるべきだということも話している。
ディフェンスのサイズは下がるが、彼を獲得したことで日本人の大型フォワードの成長を促したい。
B2ではほぼ帰化選手が居ないのでどうしても外国籍選手のビッグマンを獲得すると日本人の大型選手が犠牲になる。
今シーズン勝ちたいが、あえてグラムを獲得したことで日本人選手の先を見越してステップアップさせていきたいと思う。(伊澤、赤土選手)彼らの出場時間を伸ばしてきたい。

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9月14日(土曜)福島-青森

福島ファイヤーボンズ 森山知広ヘッドコーチ

-今日の試合を振り返って
この2シーズン、アーリーカップ1回戦で敗退していたので、何が何でも勝って3試合戦いそして優勝狙いにいくと試合前に選手たちに話した。
ディフェンスの面で少し相手に特徴をださせてしまった時間帯が勿体なかった。自分たちのやるバスケでしっかり秋田に向かっていきたい。

-自分たちのバスケとはどういう形なのか
インサイドとアウトサイドをいかにバランスよく保つか。インサイド一辺倒にもアウトサイド一辺倒にならないようにするためにもバランスと保ちながら常に優位にすすめていく。
例年以上にバスケIQ高くバスケットをやりたいと思っている。難しいことに取り組んでいるが外国籍選手を活かしつつも日本人選手がどのように得点に絡むかを特徴にしていく。
スタイルとしてのディフェンスから走るは継続している。B2の中では一番走ってきたという自負はあるので、そういった時間帯をどれくらい作ることができるかが一つだ。
ディフェンスの遂行力については今日の試合でもまだまだな部分があるので、どうブレイク(速攻)につなげていくか課題。
それがダメだった場合のハーフコートのバスケットでインサイドとアウトサイドをどうバランスよく保つか。そのようにオフェンスとディフェンスをイメージしてやっていく。
明日はB1(秋田)相手にどうまでできるのか。サイズもプレッシャーも守備の強度もB2とは変わってくるので、チャレンジしていきたい。

-ネパウエ選手のゴール下での強さが今日は目立ったがそれについて
(それが)彼のストロングポイントだ。昨シーズンはペイントの部分で不安定さがあったことは否めない。彼の加入でインサイドの安定感は増した。彼の部分でディフェンスが寄っていくので
あとはアウトサイドを日本人選手たちが決めていくか。彼がスクリーナーになることでピックアンドロールの「ずれ」も起きていく。幅もありハンドラーも使いやすいので、そこからの展開を
増やしている。今シーズンは彼の良い部分をどのように引き出すか。ただそこ(インサイド)一辺倒にならないようにバランスを保つ。彼が入ってことで相手がケアせざるを得ないので、ファールトラブルなど
常にアドバンテージがある。

-シャヒード・デイビス選手34点と活躍したことについて
彼ができることはわかっているので、もう少し球離れやトランジションに入る部分を良くしていきたい。状況判断やリズムメイクを練習してきているが、まだ(練習に参加してから)1ヶ月くらい。
彼一辺倒にもなりたくないので、そこはバランス。チームで戦うスタイルなので、フロー(動き)の中で彼が1対1やディフェンスを収縮して周りの選手にアシストいくともっと得点も取れるし、良いチームになっていく。
得点だけでみれば取っていますが、まだまだだ。彼が活躍すると勝利し、彼が活躍しないと敗戦するというチームにはしたくない。

-この試合ふたりの外国籍選手が56点で得点の割合も68%だがその部分をどう考えているのか
常に二桁得点が4人から5人。就任して4シーズンにあるが良い試合はそういう傾向が出るので、今シーズンも目指したい。
ハンドラーも今シーズンは増え、チリ(チリジ・ネパウエ)にはゴールへのダイブとダックイン(ポストに入る)。シャヒードはポップ(ピックアンドロールからのジャンプシュート)もダイブあるので
その「ずれ」を作って日本人選手のタッチ・ザ・ペイント(インサイドでのシュート)の意識をもっともってもらいたい。

-ターンオーバー(この試合18)について
もったいないターンオーバーが多かった。シャヒードのプッシュ(ボールを押し上げる)かpass ahead(ボールを前に送る アウトレットパス)の状況判断がまだ良くない。
そこはずっと言い続けている。
日本人選手たちもエクセキューション(実行)は大事だが、プレッシャーがかかる場面でそのエクセキューションを破ってでもいかないといけないシーンがある。
まだその状況判断が全員良くないし、その判断を高めていかなければならない。
アウトサイドへキック(キックアウト 中なら外へのパス)の精度が低いのでこだわっていきたい。

青森ワッツ 北谷稔行アソシエイトヘッドコーチ

-今日の試合を振り返って
ペイント内の得点50。リバウンドでも20本の差。オフェンスリバウンドも17。相手に攻撃機会を多く与えた結果が今日の得点の差だと思う。
外国籍選手のファールトラブルからリズムが崩し、相手の強みでもあるインサイドを守ることができずこのような展開になった。日本人選手がハードにディフェンスして、しっかり機能して良いリズムを作ってくれた。
こういう展開が今シーズン多いと思うので、ゾーンディフェンスなどでもう少し違う守備で仕掛けていきたい。
まだ開幕していないので、修正点がみつかりワッツにとっては良い試合だったと思う。

15日の試合結果とインタビュー