Bリーグが始まってからインテンシティ(Intensity)という言葉がコーチ、選手にとどまらずファン(ブースター)にも広く浸透している。特にこの1,2年で強くそう感じる。
秋田ノーザンハピネッツは今シーズンのスローガンとしてIn10sity for AKITA!(インテンシティと創立10周年を併せてもの)を掲げているが、秋田のインテンシティとは何か探ってみる。
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10月5日開幕戦で白濱僚祐選手にインテンシティについて聞くと、開口一番「難しい」を笑顔で答えた。
少し考えてから「今シーズンは一番激しいディフェンスを目指しているので、疲れて1歩引いてしまうところでももう1歩足を前に出すなどの細かいところ。相手が嫌がるところとキツイところをやり続けるのがインテンシティだ」とも述べた。
細谷将司選手も同様に「ボールマンに対するプレッシャー。全員の圧力。自分の中ではそうイメージ」と守備の部分を強調する。
果たしてインテンシティはディフェンスだけに使う言葉なのだろうか。
今シーズンから秋田のアシスタントコーチに就任した前田健滋朗は「用語としてはどうしても守備になると思う。オフェンスだとエクセキューション(execution=実行力)といった別の用語になるのではないか」と指摘する。
彼はインテンシティを「強度」と定義した上で、「フィジカルでのコンタクトや出すべき時に出すスピード」と付け加えた。
古川孝敏選手はディフェンスの激しさやプレッシャーだけがインテンシティだとは考えていないようだ。「インテンシティというとただ激しいととらえがちで、ガチャガチャやるだけになってしまう」と危惧し、「激しさの中にも賢くなければならない」とスマートさも強調する。
実際、10月6日の大阪戦ではファールトラブルから自分たちを見失い本来の守備ができなくなっていたことは確かだ。
アーリーカップで前田顕蔵ヘッドコーチ(以下、前田HC)は自分たちのスタイルについて「インテンシティを保ちたいのでニカ(ウィリアムス)と外国籍選手2名(ジャスティン・キーナン、カディーム・コ-ルビー選手)を同時にコートに出す考えない」と述べている。
秋田のみならずB1のいくつかのチームが帰化選手を保有している。帰化選手と外国籍選手二人を一度にコートに立たせないことがなぜインテンシティつながるのか。
「帰化選手を抱えるチームのスタッツを見ると、帰化選手、外国籍選手の出場時間が長い」と前田HCは現状を分析している。
「我々も(帰化枠や外国籍選手のプレイタイムに)頼っているが、リーグ全体がまだ依存しなければいけない中で、その前にあるバスケットとしての激しさをどう求めていくかのか。もちろん勝つことも重要だが、スタイルを求めた時に35分や38分という出場時間ではインテンシティを保てないのではないか」
また「日本のバスケにとって良くないことだと思う」とも付け加えた。
開幕の大阪戦後の会見でも「疲れたら交代、疲れる前に交代というスタイルを継続しないと東地区では勝てない」とディフェンスから流れを生み出す秋田にとっては出場時間を共有(シェア)する重要性を説明する。
ディフェンスから流れを作り出すバスケのスタイルとスローガンが一致し秋田のインテンシティが生み出されるのだ。
(文 定山敬)