【プレミアム限定】bjリーグ2011-12プレーオフ 秋田・中村和雄HC 仙台・ロバート・ピアスHC 秋田・菊地選手 仙台・シングルトン選手、志村選手 インタビュー(5月5日)

5月5日(土) 秋田市立体育館で行われたプレーオフ1stラウンド第1戦、秋田ノーザンハピネッツ―仙台89ERSの試合後インタビュー。秋田:中村和雄HC、菊地勇樹選手。仙台:ロバート・ピアスHC、ラシャード・シングルトン選手、志村雄彦選手。
(文=宮川 紀元)

仙台89ERS

ロバート・ピアスHC
―今日の試合の総括
Wow!まず試合に入る前に選手には、仙台からも多くの方が来ているし秋田の方々もものすごくプレーオフを楽しみにしているので、やっぱり最後までいい試合をしよう、途中で投げたりせずに最後まで戦おうと話しました。結果、選手たちは40分間最後の1秒になるまで集中力を切らさずに頑張ってくれた。それが今日の勝因だと思います。

今シーズンは最初からずっと通して、出てる5人が必ず攻撃に加わろうと言い続けてきました。その結果今日は日本人、特に志村、薦田が本当にアグレッシブにやってくれた。志村はショットクロックぎりぎりのところで3ポイントを決めたりとか。薦田はいろんなところからシュートして、おそらく今シーズン一番いいプレーをプレーオフ、しかもアウェーでやったというのは一番の収穫だと思います。

もちろん明日もまだ試合がありますので、しっかりと集中して臨みたいと思います。特に秋田は負けた後は非常に怖いチームなので、そのあたりはしっかりと備えなければいけないと思います。今日は会場の雰囲気がものすごくよくて、秋田がどれだけ頑張られてこれだけのファンをつくってきたかというのが非常によくわかりましたし、bjだけでなくて日本のバスケ文化のひとつとなるような試合だったと思います。

―どんなゲームプランで臨みましたか?
特に秋田のウッズ選手とスワンストン選手は要注意ということでやってきました。ディフェンスに関してはうちは自信を持ってやれているので、そう多くは要求する必要はなかったのですが、逆にここのところオフェンスがアグレッシブにできてなかったので、オフェンスをしっかりやろう、と。ディフェンスで相手を止めて満足することがないように、と話しはしました。

―秋田の3ポイントが不調だったことも勝因ですか?
実際不調だったかどうかは別として秋田は3ポイントシューターの層が厚いので、菊地選手、庄司選手、田口選手、スワンストン選手のだれもがボールをもった瞬間に3ポイントを入れられるんじゃないかと常にひやひやして、ずっと心配でした。

―もう少しインサイドを攻めてもいいかな、と思いましたが。
しっかりボールを回しながらオープンのところは打ってもいいよ、という話はしてたんで、特にそれが多いか少ないかは重要視していないです。特にインサイドは果敢にダブルチームに来られていたので、それでも無理やりいかないようにしてオープンのところで打とう、というだけの話で、別に3ポイントを多く打とうというわけではないです。ただ明日は違った試合になると思うので、そのところは今日選手とミーティングをすることにしています。
インサイド入れることはできていたので、結果スペースができて外の選手が空いたという、一連の流れです。

―オフェンスがアグレッシブでない、という面に関してはどんな対策をしたのですか?
それに関しては、52試合戦ってやっと形になってきたという説明しかできないです。特に薦田はもとからスターターだったわけでなく、がんばってきたことでシーズン途中になってスターターになった。試合に出るからにはオフェンスもディフェンスも一生懸命やらなければいけないとずっと言ってきて、結果この時期になって彼らが表現できるようになってきたというのが一番です。

―発破をかけたりはしましたか?
発破をかけたとかではなく、若い選手なので言い続けないとすぐにはできない。去年も秋田で澤口選手を指導しましたが、彼も若くて時間がかかりました。でもそれで今、しっかりと岩手で頑張ってくれています。薦田もそうですけど、若い選手にはいつも話をする、それがだんだん時間をかけてできるようになっていくのだと思います。言ってすぐできる選手がいっぱいいたらいいのかもしれないですけど、育てるというのはそういうことだと思うので。

―最終盤のタイムアウトでは何を指示しましたか?
また同じような局面になった時に読まれてしまうので具体的には言いませんが、チーム全体には最後まで落ち着いてプレーをしよう、と。ただそこでフィッツジェラルドがフリースローを外す、っていうのは私の指示ではないですね(笑)。

―同点になる局面は想定していました?
そこも詳しくはお話しできないんですが、シーズン中に同じような局面で負けたりということもあったので、今日は負けられないという話はしました。

―秋田にはまだ連勝したことがないですが、連勝には何が必要だと思いますか?
勝つだけです。プレーオフになったら全然レギュラーシーズンのことは関係ないし、だれも意識していないです。新しいシーズンのような気持ちでやるだけです。今年は最後までどこと当たるか分からず、秋田が来ても新潟でも富山でもやるべきことは一緒です。それだけです。

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ラシャード・シングルトン選手
―試合の総括
今日は第1Qからチーム一丸となってバスケットができたと思います。そこが功を奏したと思うのですが、秋田もすごくいいチームなので最終的には並ばれる展開になってしまいました。明日のことになりますが、リードをしたらリードし続ける、どんどん広げていくようなやり方をしていかないとダメかな、とは思っています。

―前半はファウルトラブルでストレスもたまったと思いますが。
確かに前半は自分に与えられた仕事がしっかりできなくて、かなり悔しい思いをしました。おっしゃるようにそれが後半の頑張りに少しはなったと思いますが、ベンチに戻ってもチームメイトが大丈夫、落ち着いてと声をかけてくれたのであまりフラストレーションもたまらずに落ち着いて1試合できたんじゃないかな、と思います。

―最後、勝ち越しのダンクシュートを決めた時のお気持ちはいかがでしたか?
デュークスが最終的にパスを回してくれると思ってたので、その通りになりました。時間がないのもわかっていたので、パスがきたらすぐ得点という形で思い描いていましたし、チームメイトの40分間の頑張りがそこに集約されたものだと思います。普段から神様に見守ってもらいたいと思っているので、今日も神様は見放さなかったな、って思います。

―ダンクを決めて、ブースターが喜ぶ姿はどうでしたか?
僕たちはブースターだけでなく、仙台、宮城のみんなが応援してくれて成り立っていると思います。いつも熱いサポートをしてもらっていて、みんなのために戦う、勝つというのは常に思っています。今日来てくれた人もそうでない人も一緒に戦おう、と。みんなが喜んでくれたのは正直にうれしいです。スタンドの皆さんも仙台でネットで見てる皆さんもみんなチームの一員だと思ってやるようにしています。

―明日の試合に向けてお願いします。
今夜はしっかりと休養を取って、また明日頑張れるように備えたいと思います。3試合目には持ち込まれたくないのでしっかり頑張って、明日の1試合目で勝ちに行きたいと思います。

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志村雄彦選手
―入りが良かったことが勝利につながったと思いますが。
入りに関しては、意識してかなりペースを上げました。先生でパンチしないと、相手のリズムで追いかける展開ではかなり厳しいと思ったので、それは僕が意識して。今までの勝ちゲームはどちらかというとテンポをゆっくりしてコントロールして、相手を早くさせないということを意識したんですけども。今日は速くしてパスだったり、ダンの3ポイントだったり、自分もいける時はいけるようにしてたんですけども。そういった意味では、第1Qに関しては完ぺきな入りができたのかな、という風に思いました。

秋田は3ポイントがあるので、もちろんリッキー・ウッズのところのスコアに目が行きがちですけど、3ポイントを抑えたいというのをゲーム通して思ってました。そこをやられてた時間は相手のリズムだし、止めてる時はうちが付いていけているという感じのゲームだったので、明日もそこを抑えていきたいです。

―相手のディフェンスへ対応できなくて流れを失った場面もありましたが、明日への対応は?
(流れを失ったとは)あまり感じませんでしたね。総じてオフェンスに関してはアタックし続けるということと、フリースローも僕らの方が多くもらってましたし。後は相手の3ポイントが入った時にこっちも3ポイントを狙っちゃうと、どうしても撃ち合いになるので。あちらの方が確率が高いので、そこで追い付かれて離されたのかな、と思いました。

―勝ち越された後、粘りを見せましたね。
他の選手は分からないですけど、自分は落ち着けていたので、そういった意味では相手のリズムであっても問題なく戦えるかなと思いました。こういっちゃなんですけど、僕はこのチームの中で一人だけ去年最後まで戦った経験がありますし、プレーオフに勝つために仙台に戻ってきてもう一度やりたいと思いました。そういった意味では僕が最後まで落ち着いてやれていました。

―最後のダンクが決まった瞬間はいかがでしたか?
ラシャードにボールが入って、よく見てたな、と思いました。頑張ってきた成果ですし、最後ああいう劇的な形で勝てたのも今日秋田まで来てくださったブースターの皆さんであったり、仙台で待ってるブースターの皆さん、ブースターでなくても仙台にいる皆さんが応援してくれたから勝てたのかな、と思います。もう一つ勝って次に進めるように、必ず明日気を引き締めてやりたいです。

―追いつかれて離されるのは気持ち的に厳しいと思いますが、踏ん張れた要因は?
追いつかれた、リードされた時間は先ほど言ったようにこちらの3ポイントで追い付きたい、離したいという焦りが出て、ちょっとそれが苦しかったんですけど。インサイドをしつこくアタックし続ければ、必ず自分たちは戻って来れると信じてました。そこは僕も含めて、3ポイント簡単に打っちゃったりしたんですが、頭切り替えて。最後の2分に関しては、正直自分で決めようと思ってました。僕と拓也、日本人でどうにか決めたいと思ってましたし、去年の震災以降苦しい思いをしてたのを忘れたくなかったので。僕らで負けたら納得がいくな、と思ってましたし。それにダン、ラシャード、ジョニーもしっかり応えてくれて、チームがひとつになった勝利だったと思います。

―秋田の3ポイントに対するディフェンスについて
戦略として秋田さんは3ポイントで追い付こう、離そうということをしていると思うので、そこをしっかりと。特に日本人選手がマッチアップすることになるんですけど。
リッキー・ウッズのところを守ろうとして外が空くっていうのも他の試合を見てわかっていたので。そこを、僕らが(カバーに)行き過ぎないってことですね。外国人選手、ダンであったりジョニー、ラシャードを信頼して僕らがよりすぎないというのを心がけていました。

―明日はどんなところがポイントになると思いますか?
僕らのいいところもインサイドであったり相当研究してくると思うんで、ひとつのルーズボールであったりリバウンドであったり、そういうところを一個一個戦っていければ必ず勝利が見えてくると思います。秋田さんもやはり前回ここ(秋田市立体育館)で土曜日勝って、日曜日かなり気持ち入れてやってきたのを覚えてますけど、開幕戦で2つ負けたの忘れてませんから、その借りはここで、しっかりと返したいと思います。

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秋田ノーザンハピネッツ

中村和雄HC
―今日の試合の総括
えーとまあ、見た通り。ちょっと策を考えてスタートを切ったら、まるで選手たちが金縛りにあったような展開で失敗しましたね。それがまず第一の失敗。

そうだろう。うーん…。難しい選択なんですよね。カイルをどういう具合にして使うか。ずっと悪いんですよ。悪いけど、彼にはプライドがあるんですよ。有り余るプライドがあるんですよ。腐らせないようにゲームを作っていったら、逆にチームとしては弱くなっていったかな、という感じはするんですよね。最後の方も、明日もあるし腐らせないように投入したということが結果的に裏目になったかな。もっともダメなターンオーバーじゃないですか。バスケットというのは、入っていって、しっかり止まって、(アウトサイドに)キックする。止まって相手のリングにパスしたんじゃ、ちょっとバスケットの次元が違うかな、って感じがしましたね。

まあでも、よくぞ追いついたって言うのが事実ですね。それでその主役の一人が田口だったというのがうれしいじゃないですか。非常にうれしい。ただ逆にいえば、庄司はここで踏ん張らないと。まあでもチームとしてみた田口の頑張りが、非常に明るい材料ではありますよね。
2つ勝たないとダメだから。おかげさまでこういうルールだから。これからちょっと要点を整理して、明日頑張って何とかしてという気持ちは十分にあります。(浜松時代の)3年前も、ダントツでトップにいたんですよ。それで新潟にプレーオフ1戦目で負けたんですよ。(決定戦の方式について)こんなルールあるかよ、って思ってたけど。やべーって思って。気持ちの中ではね、明日勝ったら(第3戦は)勝った方が有利ですよ。負けたらそこで終わるけど。僕らがもし勝ったら、20分のインターバル持ってやるわけだからそれは間違いなく、有利になるだろうということを外国人には話した。僕の経験から。

22番の選手(フィッツジェラルド)はいい選手なんだから。圧倒的にいい選手なんだから。22と9番(デュークス)に関してはこれをもうちょっと意識してほしい。
まあいろんな事情があって、メンバーとしては貧弱なんだ。非常に非力なんだ。外国人のメンバーが。ただそれにしては何とか持ちこたえているんであれば、もう一回明日持ちこたえてほしいと思いますね。22番のプレーヤーと9番の体の強さに明日どう対応できるかというのがキーになると思います。

―田口選手が主役になった要因は?
普段通りにできたことですね。やっぱりシュートを持ってる選手で。それから、センタープレーヤーだったから。バスケットカウントもらった、とかっていうのは僕初めて見たんですよ。そういうプレーヤーだったから。だからこう、いろんなバリエーションが彼には出るかな、って感じはしますよね。(元々)センターやってて、志村とか日下とかポイントガードを守ってるじゃないですか。彼にとってはそんなに気持ちいい場所じゃないんです。それをやはり守れた、というのは、相当な可能性を持っていますよね。

―出だしの秘策について詳しくお伺いしたいのですが。
言わない。

―最終盤のタイムアウトの指示について。
いやもう、ファウルに来られるでしょうから。そりゃもう、ファウルに来られて、それでも(フリースローを)入れて、(相手がフリースローを1本ミスして)2点差になって、追いついて。正直もう、リッキー・ウッズってのはそういう選手だから。マイクにしてみたら、おれの場所にリッキー行ってるじゃん、って思った瞬間に…。マイクも処理できれば良かったんだろうけど。完全にもう、同点に追いついた瞬間にリッキー・ウッズが我を忘れて目の前の選手についちゃったわけですよ、自分のマークマンじゃなくて。でマイクもおれのつくやつがいない、と思った瞬間にリッキーのついてたはずのやつがゴール下にいたわけですよね。

―マークがずれてしまったんですね。
いやいや、リッキーさんはそういう人ですね(笑)。あまり考えない。カイルとかリッキーがウイングにいて、ほとんどカカシとか電信柱とかポストみたい。でもそれらは仕事するからな。電信柱も動かないけど電気流してるからな。ポストも郵便物加えるからな。カカシも鳥を追っ払うからな(笑)。あいつらほとんど…ないなあ(笑)。しゃあねえな。そういう選手だから。

―あの場面で指さして怒っていたのはマイカル?
ノーマークができた、ってことで。そりゃそうでしょ、一応教えたんです。怒ったわけではないです。

―仙台のシュート成功率について
それは流れだから別にあれかなあ、と思いますね。

カイルが全く機能しなくなったから。ずーっとそうなんだ。難しいですね。ここにきてカイルをやめるか。ただ、調子良ければ20点持ってる選手だからね、彼は。ただ途中でリッキー、リッキーで追い付いていったから。それはそれでよかったかな、って感じしますね。

―明日に向けてブースターにメッセージを。
難しいですね。自分も整理できてないから。頑張りたい。ひとつだけ、がんばりたい。

ただ、力ないことは事実なんですよ。リッキーとカイルは両輪だと強いんですよ。片方だけという形がずっと続いているんで、これを明日どう修正するかですね。

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菊地勇樹選手
―ご自身のプレーを振り返って、いかがだったでしょうか?
もっと勝負どころでシュートを決めれたのを、決めれなかったという。

―プレーオフの雰囲気はどうでしたか?
たくさんのブースターの方が足を運んでいただいて。残念な結果でしたが…。レギュラーシーズンにはない雰囲気でした。

―あまり固くならずに、という話がありましたが、どうでしたか?
1本目のフリースローはちょっと硬かったですけれど、そのシュートを打てたということで、その後楽にシュートが打てました。

―序盤はチーム全体が固いかな、とも思いましたが。
よくわからないです。

―田口選手が頑張りましたが、同じシューターとしてどうですか?
カズさんも、試合で誰かが当たればいいと言っていたので、田口が今日いいプレーをしたのは事実ですし、負けないように自分もプレーしていきたいと思います。

―明日への意気込みを聞かせてください。
明日勝たないともうないので、気合を入れて、気持ちを込めてやりたいです。

―どこがポイントになると思いますか?
やっぱりディフェンスとリバウンドだと思います。