5月8日(日)新潟アルビレックスBB vs 秋田ノーザンハピネッツ プレイオフ イースタンカンファレンスセミファイナル 試合後のインタビューとゲームレポート

5月8日(日)に新潟市鳥屋野総合体育館で開催されたbjリーグプレイオフ イースタンカンファレンスセミファイナル 新潟アルビレックスBB vs 秋田ノーザンハピネッツ戦、試合後のインタビューとゲームレポートです。

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秋田ノーザンハピネッツ

ロバート・ピアスHC

-今日の試合の総括について
「今シーズンはすごく長いけれど、最後は早かったです。今は、もう1試合やりたいです。秋田は新規参入チームですが、環境であるとかブーストとか、日本一だと思います。今シーズンに本当に感謝しています。

ウチのチームは半分が元新潟の選手で、もちろん彼らは新潟の時にいろいろ勉強しました。そして今日、負けたけれど、また新潟から多くを学んだと思います。新潟のコーチ、スタッフに感謝しています。プレイオフで頑張ってください。私達も応援します。

勝負どころでのリーチ、アシュビーのインサイドが強かったです。アウトサイドも池田、小松が大切なところで3ポイントを決めました。最後のファウルゲームもプレッシャーの中、池田、アシュビーがFTを決めました。

ウチのほうでその事を勉強しなければいけません。昨日はFT10本のミス、3ポイントの確率も良くなかったです。勝つためにはそれがすごく大事です。新規参入チームが1年目でプレイオフを経験できたことは、凄く良かったと思ってますし、将来の為にたくさんの勉強ができました。

新潟はとてもバランスよくプレーしました。アシュビー、池田、リーチ、いろんな選手が得点しました。今日(の秋田)は、セック以外は凄く難しかったです。来シーズンは、もっとバランスのいいチームを作りたいと思います。

地震のあと、リーグはすごく大変でした。ウチも夜、電気の無い状態で、本当に今シーズン続けられるのか分かりませんでした。でも皆んな日本に残って、最後まで戦ってくれて嬉しいですし、感謝しています。」

-終盤のヘンリー選手の活躍については?
「ヘンリーは負けず嫌いなタイプで、絶対に諦めません。残念なのは、他の選手は(ヘンリー選手ほどの)同じ気持ちは持てないと思います。ヘンリーは最後まで諦めずに戦ってくれて感謝しています。ヘンリーは本当に素晴らしい選手で、1年目の秋田は彼のプレーを見ることができて良かったと思います。」

-今日の試合では、日本人選手の得点が新潟が40点に対し秋田は14点でした。ピアスHCが言い続けてきた日本人選手の強化については?
「今シーズンはそれが一番の問題でした。プレイオフで勝つためには外国人選手だけでなく日本人選手の得点が必要で、北向がはいって昨日は10点取ってくれたけど、最後はみんな凄いプレッシャーを感じていました。北向、庄司、まっちょは勝負どころでシュートに自信が無かったです。

1年目のチームはいつもそれがあるし、新潟は10年目のチームで、日本人もだんだん育っています。秋田は、これから信平、澤口といった選手がだんだん新潟のように成長して、勝負どころでシュート決めたりするようになると思います。1年目は全然出来ませんでしたが、これからは出来ると思います。」

-秋田から来たブースターの声援はどうでしたか?
「ゲームの前の雰囲気は、ホームのような感じでした。たくさんのピンクのジャージがブーストしてくれて、凄く嬉しいです。熱い応援メッセージをたくさんもらって、負けたけれど、本当に感謝しています。秋田の人は本当に素晴らしいと思います。」

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#22セック・ヘンリー選手

-今シーズンを振り返って
「シーズンを通してみんな戦い抜きました。思ったより短いシーズンとなってしまいましたけど、みんなは戦い抜いたと思います。」

-グレイブス選手がファウルトラブルの中でヘンリー選手の活躍がありました
「今日はちょっとファウルをコールされる場面が多かったんですけど、グレイブスが4ファウルになって、自分がもっとアグレッシブに行かなければいけなかったと思います。今日は最後に、決めなければいけないところで決められなかったのが良くなかったと思います。」

-秋田での1stシーズンについての印象は?
「1年目のチームとしては素晴らしかったと思います。ファンの方々も新潟まで来ていただいて、特に今日の応援は素晴らしかったと思います。もしこの試合が秋田であったならば、結果は違う物になっていたと思います。新潟のホームということで、新潟が勝つという何らかの流れがあったと思うので、もし秋田であったらならば、絶対に勝てたと思います。」

-第4Qは8点差を追いかける状態で始まりましたが、どんな気持ちで挑みましたか?
「もちろん勝てると信じていました。いくつかミスコミュニケーションの場面があったので、その結果負けてしまったのですが、去年、ここで試合をした時も(開幕戦)、途中20点差で負けていて、最後に自分のシュートで勝った場面があったので、どんな点差でもいつも勝てると信じていました。」

-今日は34点というパフォーマンスでしたが、自分が行かなければという気持ちだったでしょうか?
「ある意味、答えはイエスです。グレイブスが4ファウルということで、彼の役目を引き継ぐというのもありました。もし彼がファウルトラブルでなければ、彼はいいスタートを切っていたので、ゲームの結果も変わってきていたと思います。試合中はなるべく自己中心的にならないようにプレーしていたのですが、それが過ぎたようでHCに活を入れられて、そこからは自分がもっと頑張らねばいけないと思いました。」

-試合終了後に観客席のブースターと話していましたが、どんな気持ちでしたか?
「昨日もそうだったのですが、ここまで来てくれたブースターの方々に本当に感謝の気持ちを伝えたかったのと、何人かは泣いているブースターの方もいらっしゃったので、自分自身も感動して、感極まってしまった時もありました。ブースターの方には本当に感謝しています。

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新潟アルビレックスBB

廣瀬昌也HC

-今日の試合の総括について
「ホームでのプレイオフは初めてだったので、昨日といい今日といい、すごくいい環境の中でバスケットをやらせてもらって感謝していますし、本当にその力で勝てたと思います。新潟の熱いブーストがなければ、勝つのがなかなか難しかったのではないかと思うくらい、秋田さんも素晴らしいチームだと思います。ホームコートアドバンテージを最大限に生かせたのではないかと思います。

これで終わったわけじゃないので、このリーグ戦、最後にファイナルが終わったときに、バスケットファン、bjを見てくれている人が、「面白いな」と思ってもらえたら、やり遂げたと思えると思います。しっかりと準備をして、昨年以上の感動を与えられるようなバスケをあと2週間でしっかり準備して、挑みたいと思います。」

-日本人選手の活躍については?
「外国人はリバウンド、日本人は3ポイント。秀平と池田がいい所で入れてくれて、今日は最後、日本人で勝てたと思います。(池田の)あのシュート、早く打つシュートをずっと練習してたんですよ。昨日は池田が不調だったから、早く打て、ミートして打て、1、2じゃなくて1で打てと。思い切って打ちなさいということで、今日の1発目がそうだったんですよ。池田には、「いいか、今日は最初のシュート、これに賭けろ」と。それを1でポーンと打ってくれて、入ってくれて。最後(第4Qに)送り出した時もそうです。そうやって練習してきたことが、まだまだ完璧じゃないですけど少しずつ表現できて、それが結果として出たことは凄く嬉しいです。」

-秋田の印象については?
「粘り強い、本当に素晴らしいチームだと思います。役割、攻めどころがすごくはっきりしていて、その強みをずっと押してくる感じなので、ましてや最後、長谷川が出てきたときはちょっと嫌な感じがしましたね。嫌らしい選手が出ているな、というのは凄くあったし、(チームには)ベテランもいます。何より、ここ最近はすごくターンオーバーが減ってきたんですね。凄く完成度の高いバスケットだったので、凄く怖かったですね。特に、外が当たりだしたら怖いなと思ってました。で、五分五分になったら(第3戦は)分からないので、凄く怖い印象がありました。やってみて、やはり素晴らしいチームだったという印象があります。」

-リーチ選手の加入は大きかったですか?
「大きいですよ。これも巡りあわせなんでしょう。今シーズンはフロントが勝ちたいという強い意識を持って選手補強してくれて、震災後も、まだ(リーグ戦が)あるかもしれないという中で、フロントの皆さんが(シーズン)再開した時の事を考えて動いてくれて、ジョージという選手を獲得できたというのがあります。(外国人が)5人から4人に減りましたけど、それ以上のものがあったと思いますし、逆に僕も、日本人で行くんだと割りきっていく気持ちにもなれたので、彼が軸にいることによって、日本人もすごく生かされているのではないかと思います。」

-第3Qでオンザコート3にして、第4Qでオンザコート2に戻したタイミングについては?
「今日は根東が駄目だったんです、ファウルトラブルもあって。リバウンドとトランジション、そこで勝負するというのは昨日も言っていたので。今日はちょっと早めに勝負に行こうということで、オンザコート3にしました。

最後、(オンザコート2に戻したのは)、怖かったのはザックのターンオーバー。ファウルゲームになったときのFT。それがちょっと怖かったので、あそこはセックで来るのが分かっていたので、セックでやられる分、インサイドでしっかりと返して、その分のアウトサイドが必要になってくるので、最後は池田だなと思ってました。

池田はキャプテンになって、彼がどう1年間やってきたか分からないですけど、もう5年目かな。彼をキャプテンにして託して、ファウルゲームもずっと彼で行ってやってきたので、最後日本人で勝負したいなというのは有りましたし、インサイドでジョージとジュリアスがいたので、外が来たときに日本人で行きたいなという気持ちはありました。」

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#32池田雄一選手

-今日の試合について
「本当に勝ててよかったと思うし、内容よりも、この2日間、勝てたことに意味があると思います。次は有明なので、その為の準備に気持ちを切り替えていきたいと思います。」

-廣瀬HCは日本人の活躍が必要とコメントしていましたが?
「チームなので、僕は日本人、外国人というこだわりはないんですけど、日本人がある程度やればチームも楽になると思うし、日本人で勝つというのは廣瀬さんも前からずっと言っているので、後2週間、少しでも上手くなれるように日本人も外国人も一緒に練習していきたいと思います。」

-有明のファイナルではどのようなプレーをしたいですか?
「有明の舞台で試合を出来るのはすごくいいことなんですが、試合は試合なので、今までと変わらず自分の良さを出して、自分のプレーが出来ればと思っています。」

-チームとしてはどのようなプレーを?
「ディフェンスのローテーションの確認など、細かい部分でもう一度修正点があると思うのですが、しっかり休んだ後にまた集中して、2週間で準備していきたいと思います。」

-有明では浜松との対戦となりますが?
「去年のチャンピオンでもありますし、自分達は本当にチャレンジャーの気持ちでしっかり戦って、いい結果を出せるように頑張りたいと思います。」

-去年も多くのブースターが有明に足を運びましたが、やはりブースターの声援がチームには必要でしょうか?
「どんな試合でもブースターの皆さんの声援は僕らにとってすごく力になるので、有明の舞台でも、もちろん選手たちは声援を必要としているので、たくさんの方が来てくれると思いますし、その人達の前でいいプレーが出来るように頑張っていきたいと思います。」

-今日の試合について、自身のプレーで良かった点は?
「昨日の試合で少し回りを見すぎてしまったので、今日はアグレッシブにシュートを打っていこうと決めていたし、それは廣瀬さんにも言われていました。積極的にリングを狙った結果、いいところでシュートが決まって良かったと思います。」

-チームに関してはいかがですか?
「秋田さんも今日、負ければ終わりということで、思い切って来るだろうというのはみんな覚悟していました。それを受けていかないで、自分達のプレーが出来れば自ずと結果は付いてくると信じて、みんながプレーしていました。」

-秋田には元新潟の選手が多いですが、どんな気持ちでプレーしていましたか?
「懐かしいと思いたいんですが、自分達の良さも知っている人たちが多いし、やるには正直、やりにくかったというのはあります。勝ったからかもしれないですが、楽しかったです。」

-第3Qから第4Qにかけてベンチに座る時間が長くなりましたが、その時はどのように気持ちを持っていましたか?
「コートの5人がすごくいいプレーをしていたし、自分もいつでも行けるような心の準備をしていました。今日の点差からいってきっとファウルゲームになるだろうと思って待っていました。FTは落としたくないと思っていたので、そのチャンスが来て良かったです。」

-第4Q終盤の3ポイントの場面、気持ち的にも自分が決めたいというのがあったでしょうか?
「そうですね、最後は本当に打つしか無い場面だったんですけど、自分が打って決めるという強い気持ちで交代したので、それが決まってよかったです。」

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#1澤岻直人選手

-今日のゲームは楽しむことができたでしょうか?
「そうですね、今日のバスケは楽しかったです。昨日もです。」

-優勝を経験している澤岻選手としては、勝負どころというのはあったでしょうか?
「優勝しているのは僕だけではないのですし、僕がいたから勝ったということはないんですけど、こうしたほうがいい、こうしないほうがいいというのはある程度ありました。」

-具体的には?
「PGなので、どうやってゲームを作っていくか。ゲームの流れの中で、これはいい、これはよくない、そういった物はなんとなく自分の中にあるので。」

-今日は昨日より展開の早いゲームになりました。
「新潟に早い展開が合ってるというか、秋田さんのメンバー構成で、ウチがオフェンスをどうする、ディフェンスで何を使うか。そういった事を考えながら(ゲームを)組み立てている感じでした。」

-今日のゲームの内容については?
「とりあえずセック選手と北向選手の3ポイント、あの2人を乗せないようにするのと、庄司選手とトニー選手の3ポイントですね。ウチは3ポイントとトランジションをディフェンスで意識していました。4人シューターを置いたりとか、5人シューターを置くというシステムを秋田さんがやることがあったので、そこの確認とかそういった事ですね。」

-シリーズを勝った感想は?
「ここまで来たので、僕はこの2試合を今シーズンの最後だと思ってプレーしていました。まあ楽しもうと。その結果が勝ちで付いてきたので、それは良かったと思います。とりあえずあと2試合はまた試合を出来ることになったので、その2試合。その2試合というか、僕はあと1試合と思っているので、その1試合を頑張りたいと思ってます。」

-その1試合目はどのようにプレーしたいですか?
「楽しみたいですね、はい。」

-今の新潟がその1試合目を乗り越えるために、必要なことはなんでしょうか?
「自滅しないことですかね。テンションが上がりすぎて空回りしないこと、気負ってしまわないことだと思います。とりあえずファイナル4まで行けたのですが、自分達はそこでチャンピオンにもなってないし、チャレンジャーなので。浜松さんはチャンピオンチームなので、そこにどこまでリベンジが出来るかですね。」

-つまり、自分達のプレーが出来れば結果は付いてくるということでしょうか?
「浜松さんとは決して相性は悪く無いですし。浜松さんが(シーズン)6敗しているうちの2勝は僕らだし。負けた2試合、3試合は竸って、僕もFT外して負けているので。僕がFTを打たないシチュエーションでやっていけば勝てるかなと思います。

そこは勝負なので、ラッキーもあると思いますし、実力の差もあると思います。作戦があったり、その日のコンディションもあったりするので、その日の1試合なんでね。その試合に掛けて、とりあえずは浜松の試合を楽しむ。その上で勝つ。そこが僕達の目標になると思うので、ミスしたからとか、ああしなければいけない、こうしなければいけないではなくて、出来ることを一生懸命やりたいと思います。

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ゲームレポート

新潟アルビレックスBB vs 秋田ノーザンハピネッツ@新潟市鳥屋野総合体育館(2011.5.8)

新潟-秋田
第1Q 22-15
第2Q 19-22 
第3Q 15-11
第4Q 28-28
最終スコア 84-76

【スタート】
新潟:#1澤岻、#15根東、#32池田、#25アシュビー、#3リーチ
秋田:#2水町、#22ヘンリー、#8北向、#9グレイブス、#5アキングバデ
※秋田は庄司に変えて、前日10ptsと好調だった北向をスタートに起用。

【レフリー】
#4漆間、#14地頭薗、#42GONZO

【観客者数】
2,035人

【主な個人スタッツ】
新潟:リーチ19pts、FG7/10、12eb、池田17pts、3pt3/5、FT8/9、3reb、3ast、小松1pts、3pt4/7、アシュビー13pts、7reb、アンドリュース8pts、5reb、コナーレ7reb、3ast、澤岻8ast、0TO
秋田:ヘンリー34pts、FG13/23、グレイブス17pts、3pt4/8、7reb、4TO、アキングバデ8pts、18reb、水町6pts、4reb、6ast、0TO、長谷川5ast、3pt、ビューラックFT1/5、5reb

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第1Q 新潟22-15秋田

両チームともマンツーマンでゲームスタート。新潟はそのファーストショットで池田が3ポイントを沈めるが、秋田はグレイブスがターンオーバー。両チームにかかるプレッシャーを象徴するようなゲームの立ち上がり。

秋田は前日以上にヘンリーとグレイブスでのアタックという姿勢が強調されます。基本的にはこの2人のアタックがオフェンスの起点となり、そこに水町らのアグレッシブなオフェンスリバウンドが絡み、そしてもちろんヘンリーの鋭いドライブやタフなジャンプショットなどで得点を重ねます。

新潟はこれも前日同様にリーチのポストを軸にアタック。自らシュートを押し込み、また前日よりはっきりとダブルチームを仕掛けるようになった秋田ディフェンスに対してパスを捌き、ゴール下で合わせた根東にアシスト。アシュビーも得意のポストからのターンシュートで得点。ここまではお互いに持ち味を出した展開が続きます。

バランスが崩れたのは新潟のベンチメンバーがコートインした終盤。小松のミスショットをアンドリュースが拾って押し込み、そしてその小松が3ポイントを沈める。新潟はここでディフェンスを3-2に切り替えると、アンドリュースのブロックショットで速攻に走り、小松が再び3ポイントを沈めて19-13とリードを広げ、ここで秋田のタイムアウト(1:09)。

その後、北向がゾーンのウィークサイドをついたドライブで得点、新潟もコナーレが速攻で走って22-15で第1Qを終了。

※中盤までの均衡状態を破ったのは新潟の3ポイントと、ゾーンディフェンスからの速攻でした。

秋田は19本のFGAのうち10本と約半分がヘンリーとグレイブスによるものですが、その確率は決して高くありません。ここまでアキングバデとビュートラックが3ptに対し、リーチ、アシュビー、アンドリュースの3人で7ptsとやはりインサイドは新潟が押しています。

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第2Q 新潟19-22秋田

引き続き3-2ゾーンの新潟は小松のFTに続きコナーレのブロックから根東が速攻に突っ走り、26-15として秋田のタイムアウト(8:49)。秋田はこのQも最初のオフェンスが24秒OTと締まりません。

新潟は続くオフェンスで根東がピックアンドロールからアンドリュースへのパスを通し見事なアリウープを決めて会場を大興奮に導くが、逆にテンションが上がり過ぎたのかその後はチーム全体で雑なプレーが続く。

秋田はグレイブスが落ち着いて3ポイントを沈め、この流れを嫌った新潟は即座にタイムアウト(7:16)。

新潟はこの後ディフェンスをマンツーにするが、これが秋田にチャンスを呼び込むことになる。ヘンリーのドライブに続き、アキングバデが何度もオフェンスリバウンドに飛び込んで最後はグレイブスの3ポイント、そして信平のスティールから水町の速攻とサブメンバーの活躍もあり、28-27と一気に追い上げ、ここでオフィシャルタイムアウト(4:59)。新潟はパスミスに単純なバックパス(!)とターンオーバーが相次ぎ、ここまでの流れを失いました。

新潟はここで池田、澤岻、アシュビーらをコートに戻しますが、秋田の勢いは止まらない。正確には、グレイブスの勢いが止まらない。3ポイントにドライブからのミドルと次々と得点を重ねる。

新潟も池田の積極的なオフェンスからのFT、そしてアシュビーからのオフェンスでこの日池田自身2本目となる3ポイントを沈めるが、中盤から切り替えた3-2ゾーンが秋田を止めきれない。

秋田はアキングバデがよくリバウンドに絡み、庄司がフェイクを使った技ありのシュートを決める。また庄司の3ポイントミスをビュートラックがティップインで押し込むなど、チームのバランスが良くなっています。

新潟は終盤にかけてアシュビーが好調。速攻に走りダンクを決めると、ゴール下でビュートラック相手に格の違いを見せつけるようなバスカンを押し込む。最後にリーチがゴール下からのFTを2/2と決めて、41-37と新潟がリードを保ってハーフタイムへ。
 
※前日は秋田にリードされていたリバウンドを新潟は踏ん張り、ここまで新潟の21-22とほぼタイとなっています。ここに池田の7ptsの活躍が加わっているので、ゲームバランスも保たれています。

秋田はグレイブスの11ptsが中心となりながらも、水町、長谷川がそれぞれ3ast、チームとしても7astとボールをよくシェアし、庄司、水町らの得点で追い上げました。このQのターンオーバーは1とゲームメイクが安定しており、このペースを保てば秋田にも十分チャンスがありそうな展開です。

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第3Q 新潟15-11秋田

そして予想通り、後半の出だしから秋田の流れになります。ヘンリーのドライブで4点差に迫りますが、ここで大きなプレー。引き続きアグレッシブにリングに向かっていたグレイブスがオフェンスファウルを取られ、これで3ファウル。マンツーマンで守っていた秋田はグレイブスのファウルトラブルを避ける為にすぐにゾーンディフェンスに切り替えますが、ここは新潟のアシュビーがうわ手でした。2-3ゾーンの右下を守るグレイブス、ミドルのリーチがセンターのアキングバデを呼び込むと、アシュビーがゴール下でグレイブス相手にポジションを奪います。新潟が狙い通りのパスを通すと、これがグレイブスの4ファウルとなりベンチへ。秋田はビュートラックをコートに送り、このシリーズ初のダブルポストとします。

これまでグレイブス一辺倒だった秋田がここで崩れるかと思いきや、これはこれでディフェンスが機能。秋田のダブルポストに対して新潟のインサイドがここまでのように圧倒できなくなり、秋田は速攻に走ってビュートラックのFTやヘンリーの3ポイントが決まり、43-43の同点に追いつきました。

エースがいなくなるとチームディフェンスからのオフェンスが機能するというのが皮肉ですが、新潟もすぐに対応。前日は第4Qからだったオンザコート3をここで投入、しかもリーチ、アシュビー、アンドリュースというビッグマンを3人並べたラインナップです(前日はコナーレが入ってました)。

4番と5番が3人というかなり重たい組み合わせですが、アンドリュースをトップに置いたこの3-2ゾーンを秋田は(前日同様に)攻められない。新潟のオフェンスも決してバランスが良くないですが、アシュビーが2本のミドルショットを決めて48-43とし、ここで秋田のタイムアウト(3:18)。

その後、さすがにコナーレをコートに戻した新潟ですが、インサイドを押す展開は変わりません。澤岻からのパスでリーチのゴール下、更にオフェンスリバウンドからのFT。続いてコートに戻ったアンドリュースがオフェンスリバウンドからアクロバティックな姿勢でバスカンを押し込み、FTもしっかり決めます。

秋田もバークスの3ポイントなどで追い上げますが、新潟のディフェンスを攻めきれず48-56の秋田8点ダウンで第3Qを終了。

※グレイブスの離脱後、チームプレーが向上した時間帯もあった秋田ですが、それが長続きすることはありませんでした。

新潟はリーチ、アシュビー、アンドリュースの3人でこのQの15ptsのうち14ptsを計上。アキングバデとビュートラックの2人で3ptsの秋田を圧倒しました。新潟はこのビッグラインナップがどこまで機能するか、そして秋田はグレイブスをどこで戻すかがカギになります。

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第4Q 新潟28-28秋田

新潟は引き続きアンドリュースをトップに置いた3-2ゾーン。秋田はトップで動くアンドリュースが邪魔でこのゾーンを攻めきれないのですが、ボールを奪ったアンドリュースも速攻で雑なプレーを連発してしまい得点に繋がらない。

秋田はヘンリーのドライブ、そして速攻からヘンリーのアリウープが決まり一気の追い上げムード。新潟はここでタイムアウトを取り(8:17)、秋田はここを勝負と見てグレイブスをコートに戻します。

ここからはお互いに守り合う展開になるのですが、結局、得点を動かしたのは新潟のビッグマンであるリーチでした。オフェンスリバウンドからシュートを押し込むと、2回連続でゴール下のフックを押し込みます。秋田ディフェンスもタイトなので距離のあるフックでしたが、リーチはこれを確実に押し込みます。そして、長谷川のミスから速攻のミドルを突っ走るのはコナーレ。この状況でダンク以外に選択肢のないアンドリュースと違い、コナーレはドリブルで突進しながらもコートをよく見て右ウィングの小松にパス。これが見事に3ポイントに繋がって65-58となり、ここでオフィシャルタイムアウト(4:53)。

残り5分で7点リードしていても全く安心感のないゲームをするのが新潟の伝統なのですが、この日は違いました。速攻から再び小松が3ポイントを沈め、コナーレもミドルショットで続きます。そしてリーチがポストからフェイドアウェイで難しいターンシュートを放ち、高いアーチを描いたボールは綺麗にネットを揺らします。これで72-63となり、秋田のタイムアウト(2:42)。グレイブスでなんとか粘る秋田も、さすがに苦しくなってきました。

その後はお互いに得点を決めきれない展開が続きますが、最後を締めてくれたのはコートに戻ったばかりの池田。第3Qからずっとベンチに座っていたにもかかわらず、しかもコートに戻って最初のシュートという事を意に介することなく、左45度から得意のアーチの低いシュートで3ポイントを射抜きました。これで76-69となり、試合は決しました。

秋田はタイムアウトを取り(40:3)、ここからファウルゲームを仕掛けます。

秋田にとって苦しかったのは、ここまでチームファウルが1つしかないこと。実はこれは前日も同じ状況で、終盤の追い上げたい時間帯にチームファウルが1つだけだったので、ファウルゲームを仕掛けられなかったという状況がありました。

しかしこの日負ければシーズンが終わる秋田にもはや他の選択肢はありません。次々とファウルをして、残り約30秒でやっと1and1のFTとなります。しかし新潟はアシュビーが2/2、そして池田が4/4としっかりとFTを沈め、最後は小松が速攻に走って84-76で秋田を下し、2年連続で有明でのファイナル4進出を決めました。

※廣瀬HCのコメント通り、外国人のインサイド、日本人のアウトサイド。シンプルながら効果的なチームバスケットを新潟は展開し、粘る秋田を突き放しました。

前日と同じ19ptsのリーチを筆頭にインサイドの3人で40ptsをカウントした新潟ですが、そこに日本人が40ptsを上積みしたのが秋田に対する大きなアドバンテージとなりました。特に池田は試合のオープニングショットとなる3ポイント、そして試合を決定づける3ポイントとまさにキャプテンとして、そして新潟の象徴としてホームでの最後の試合を締めてくれました。

秋田は中盤まではグレイブス、彼のファウルトラブル後はヘンリーがひたすらアタックを続けましたが、例えこの2人で41ptsをカウントし、残り時間1分で4点差まで迫りながらも、試合を通して考えるとチームとしての力強さを今一歩感じるには至りませんでした。

試合としては両チームともターンオーバーが10づつで収まり、インサイドの新潟、アウトサイドの秋田という戦前の予想通りの展開となり、それぞれの持ち味が出たゲームとなりましたが、チームの選手層の厚さ、そのメンバーを生かした戦術の巧みさと切り替えのタイミング、つまり文字通り「チームの総合力の差」がその結果となって現れたと言えます。2試合の得点差を合計しても11点ですが、その差は小さいようで大きく、これがチームの歴史の差と言えるかもしれません。