12月5日(日) 富山グラウジーズ vs 新潟アルビレックスBB 試合後のインタビューとレポート

前日に引き続き、ありそドームでの富山vs新潟戦。試合は予想通り接戦となりました。試合後のインタビューの様子です。

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新潟アルビレックスBB:廣瀬昌也ヘッドコーチ

-今日の試合の総括について
「我慢我慢、本当に我慢のゲームでした。第3Qは特に我慢でした。悪いシュートを1本も打ってない。チームとしてリズムが凄くあって、チームとしてのシュートだったので、もうあそこは我慢してディフェンスを頑張るしかなかったです。そこを選手達がよくしのいでくれました。追いつかれても、我慢してくれた。

ジュリアスがターンオーバーゼロ。よく捌いてくれました。よく捌いて、なおかつ自分で18点取ってくれました。やはりあれだけボールが回ってオフェンスのリズムがいいと、それぞれがフラストレーションを溜めることなく、やるべきことに集中できたのではないかと思います。

でも、もうちょっと(攻めて)行かないとダメですね。もうちょっと行かないと点数が(伸びて)いかないし。この2試合は、100点取る気持ちで挑んだんですけど、思い切りの良さは出てきたと思います。躊躇することなく、選手ひとりひとりが判断できるようになってきました。ただ、決定力がまだまだ。

それとリバウンド。ウィークサイドからのリバウンドだよ、と言ってたんですけど、ヒットしていない。ボックスアウトしていない。飛び込まれている。相手がイチ、ニで合わせて来ている。イチ、ニで合わせて跳ばれているので、やはりそういったところを修正して、また次週、ホームになるので、ブースターの皆さんにいいゲームを見せたいなと思います。以上です。」

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#32池田雄一選手

-今日の試合を振り返って
「昨日は終始ウチのペースで出来たと思うんですけど、今日は富山さんも粘り強く戦ってきたし、自分達も粘り負けしてはダメだという気持ちでベンチとコートの5人が一丸となって戦えたのが、最後の所でちょっと(点差を)離せたという所に繋がったのかなと思います。」

-いい形で試合に入ることが出来ましたが、意識していた事は?
「先週の練習でもずっと言われてたんですけど、まずは思いっきりシュートを打つということを自分としては意識してやっていました。今まではインサイドを中心で、まずはインサイドを見るのが先だったんで、この2戦に限っては自分のシュートを出してからインサイドを見ました。順序を変えただけなんですけど、それが上手くいったかなと思います。」

-前日以上にチームはファウルトラブルに苦しみました
「吹かれてしまったら仕方がないし、切り替えてその次のプレーというのがすごく大事になってくると思います。今日は上手い具合にみんなが切り替え出来てたんじゃないかなと思います。」

-ファウルトラブルのチームで意識していたことは?
「大きい選手が抜けてリバウンドで不利になってしまうので、ガード陣も含めてみんなでリバウンドを取りに行こうというのを意識していました。第3Qは根東さんとタカトがすごくいいディフェンスをしていてエネルギーも出ていたので、僕らもベンチから声を出して、チーム一丸となって畳み掛けられるようにプレーしていました。」

-第4Qの残り2分半からコートに戻り、試合を決定づける3ポイントを決めました
「ウィリーがドライブして、チラッと目が合ったので、(パスが)来るなとは思ってました。(距離が)遠かったみたいなんですけど、決まってよかったです。ボールにミートして、自分のシュートを打とうと心がけていました。」

-ホーム2連敗の後ということで、大きなアウェイでの2連勝となりました。
「先週は本当に悔しい負け方をしているし、チームとしても下降線になりかけたんですけど、先週の練習でまたみんな盛り返して、アウェイで2連勝という結果に繋がって、ようやく5割という事なので、また同じ過ちを繰り返さないように、しっかり次の試合に向けて気持ちを切り替えていかなければいけないと思ってます。」

-第4Qはずっとベンチで、コートに戻ったのは終盤残り2分ほどの場面でした。やはり自分が試合に出て決めたいという気持ちはあったのでしょうか?
「そうですね、気持ち的にはずっと行きたかったんですけど、廣瀬さんからは「今ゾーンオフェンスが機能しているから、相手の3ポイントが入ったら行くぞ」と言われてたので。その形通り、(相手の3ポイントが)入ってしまいました。」

-このシリーズでは富山がアシュビー選手に積極的にダブルチームを仕掛けてきましたが、チームはそれに対して早いパス回しで効果的なオフェンスを展開しました。これはチームの目指すオフェンスに近いものでしょうか?
「ジュリアスのところは絶対にダブルチームが来ると分かっているし、ジュリアスの球離れが良くなるとチームのリズムも良くなるのと思います。でもジュリアスもストレス溜まると思うし、ジュリアスで勝負しなければいけない時間帯もあるので、その辺はジュリアスもしっかり分かっていてくれると思います。インサイドとアウトサイドがお互いに支えあってというか、これからもお互いに理解しながらプレーをしていければと思います。」

-この2試合いずれも、終盤残り1分を切ってからのクラッチな場面で大事なシュートを確実に決めています。アウェイという事でブーイングもありましたが、プレッシャーは感じましたか?
「あの時間帯ではどうしてもプレッシャーは感じざるを得ないんですが、プレーを左右するほどのプレッシャーではなかたので、今まで通り自分のショットを打とうと意識して打てたのが良かったと思います。

-最後の3ポイントショットの場面で意識したことは?
「自分が(コートに)出たら思いっきりシュートに行こうと思っていたし、ウィリーもいいパスをくれました。自分としても、思い切り打てたことが一番良かったと思います。あそこで躊躇してフェイクとか入れていたら、外れていたと思います。結果オーライですけど、思い切り打って、入ったので良かったです。」

-来週の東京戦に向けて
「東京戦はホームですが、(東京とは)前に一度やってますけど(練習試合)、シーズンも進んでますし、前とは違う印象を受けると思います。そこは相手がどうのよりも、今週の練習でチームとしてやるべきことを再確認して、いい練習をしてその流れで試合に入れればと思います。」

-これまで接戦を落とす試合が多かったですが、今日は競り勝つことができました
「竸った時点でどちらに勝ち星が転ぶかわからないんですけど、ようやく竸ったゲームを取れたというのは、チームとして大きいと思います。竸ったゲームをしなければ一番いいんですが、(今日の勝利は)今後の竸ったゲームの為のいい経験になったのではないかと思います。

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富山グラウジーズ:衛藤晃平ヘッドコーチ

-今日の試合の総括について
「昨日の反省を活かして、しっかり修正をできたと思うんですけど、第1Qに1回に逆転してリードするチャンスがあったんですけど、そこを物に出来なかったと思っています。試合の流れを感じ取ることのできる選手がいないのかな、という風に思ってます。それを含めて追求していって、来週から続きますウェスタンとのチームとのゲームに準備していきたいと思ってます。以上です。」

-ベンチメンバーのプレーについて
「そうですね、一生懸命に自分の出来る範囲でやってくれていたので、すごく好印象を持っています。今後が楽しみになりましたし、やはりああいったプレーを全員がやらないとですね。ベンチメンバーだけではなくて、スタートメンバーも含めてですね。昨日も言いましたが、富山はチャンピオンチームでも強いチームでもないので、一生懸命プレーすることを地道にやっていく必要があるなと再認識させられました。」

-昨日の試合後は選手達を叱咤されたそうですが、今日の試合については?
「プロとして当然だと思うんです。一生懸命プレーする、集中してゲームをする。それが出来てから(対戦相手と)ヨーイドンだと思うので、今日に関しては、勝ち負けの敗因を探れるようなゲームだったので、良かったかなとは思います・・・けれども、ひっくり返すべきゲーム、ひっくり返せたゲームだと思ってます。」

-では、ひっくり返す為に今のグラウジーズに必要なことは?
「やはり、ゲームの流れを読むということ。アシュビー選手やザック選手がファウルトラブルになった時に、そこを攻めようという共通理解もなければ、今ブレイクの時間だぞという共通理解もないのです。ウチがようやく同点に追いついた後にあっさり点を取られるとか。そこでひと踏ん張りできない。感じてはいるけれどそれをチームメイトに伝えるというレベルに来ていない。それを修正していかないとダメかなと思ってます。」

-昨日の試合から今日の試合で具体的に修正できた点は?
「単純に、集中して(試合に)入れましたね。少々のタフショットは構わないから、シュートで終われ、と。とにかくリングに向かって行きなさい、と。昨日はリングに向かわないでパスばっかり探して、それが失点に繋がっていましたので、とにかくウチの失点に繋がらない、ターンオーバーしてもウチの失点に繋がらないように、リングに向かってアタックしなさいと伝えました。」

-最後残り1分での、サイドからのパスミス(バックパス)も集中力の欠如でしょうか?
「そうでしょうね、集中力とコミュニケーション。恐らくアイコンタクトが出来ていなかったんでしょうね。」

-第4Qを迎える時点で新潟のビックマン2人(アシュビーとアンドリュース)が4ファウルで、この1人でも欠ければ富山は有利にゲームを運べたはずですが、これに対してどのような指示をしたのでしょうか?
「当然の事ながらインサイドヒットを求めましたし、選手達にも言いました。しかし、昨日と同じですが新潟さんのゾーンですね、これにどういう風にインサイドに(ボールを)持っていくかという所で、オーバーロードを起こしてコーナーから入れろと言っているんですけども、結局ガードからの指示がないので、どちらサイドでオーバーロードすればいいの?という拙攻になってしまいました。」

※ゾーンオフェンスの基本のひとつに、局所でオーバーロード(オーバーナンバー)、つまり数的優位を作ってそこを攻めるというのがあります。こちらの動画を参考にどうぞ(youtube)。

-前日に比べると明らかにチームオフェンスを組み立てようというスタンスが見えたのですが、その中でハーパー選手のアグレッシブさが印象的でした。しかしそのハーパー選手がベンチの時、前日はジョンソン選手が活躍してくれましたが、今日は結果が出ませんでした。
「そうですね、今日も正直(ジョンソン選手を)引っ張りすぎたなといのがあります(※第4Q、オフィシャルタイムアウト時にハーパー選手に替えてジョンソン選手をコートインした場面)。最初のレイアップと、2発目のレイアップに行ったときに、(ハーパー選手に)替えようかな、と悩んだんですね。その時にまだハーパー選手の血が止まってなくて。怪我で替えたんですよ。本音はやっぱり(ハーパー選手で)行きたかったんですけども、ジョンソン選手には、今出来る最低限の事は伝えて送り出したんです。でも、いつもですが行き過ぎた集中力と言いますか、そうなってしまいました。」

-今日の試合では昨日以上に日本人ガードを多用し、特に第4Qのプレッシャーのかかる場面でもベンチの選手達で我慢する時間帯がありました。彼らにとっての課題は、前述の通りフロアバランスの把握からという事でしょうか?
「そうですね、バスケットを教えるという所からです。PGがボールを持って(他のチームメイトに)支持をするという場面が全く無いのです。間合いが作れない。それを求めているのですが、まだ彼らは怖いんでしょうね。ひと呼吸つきたいところでつけないんです。」

-チームの現状として、平均得点、平均失点ともリーグの下位に位置しています。これを同時にアップさせるのは困難ですが、HCとして課題と感じるのはオフェンス、ディフェンスのどちらでしょうか?
「ディフェンスですね。オフェンスに関しては、失点に繋がるターンオーバーをしない。ターンオーバーするなと言ってもしてしまう現状なので。あとは高野が戻ってきた時に、軌道に乗るかな?と思ってます。」

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以下はゲームレポートとなります。

12月5日(日) 富山グラウジーズ vs 新潟アルビレックスBB@ありそドーム

【富山-新潟】
第1Q 18-26
第2Q 19-16
第3Q 13-12
第4Q 22-22
最終スコア 72-76

【スタート】
富山:#9水戸、#14加藤、#3デービス、#21ハーパー、#36スミス
新潟:#1澤岻、#30ヴィーズリー、#30池田、#21アンドリュース、#25アシュビー
※富山はセンターを#13カイルから#36スミスに替えてスタート

【レフリー】
#3伊藤、#30長谷川、#55久保田

【観客者数】
1,543名

【主な個人スタッツ】
富山:ハーパー21pts、2pt8/15、13reb、2blk、カイル12pts、FG5/7、5reb、スミス12pts、FT8/10、11reb、デービス9pts、3pt2/5、3ast、水戸6pts、4reb、3ast
新潟:アシュビー18pts、FG7/13、6reb、0TO、コナーレ15pts、2pt5/8、7reb、池田14pts、3pt4/6、アンドリュース10pts、FG5/6、12reb、ヴィーズリー10pts、FG3/14、5reb、3ast、澤岻4ast

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第1Q 富山18-26新潟

両チームマンツーマンでスタート。まずは富山、ハーパーのドライブからのダンクでスタート。新潟もアンドリュースのゴール下フックが決まる。ドロップステップは彼の得意なムーブのひとつ。

前日から引き続き鍵となるのがヴィーズリーのマッチアップ。彼は富山のデービス若しくはジョンソンと、いずれもサイズも運動能力もある選手とマッチアップする必要があり、特にインサイドではミスマッチになりかねない。しかしそのキャリアを通じて5ポジション守れるディフェンシブストッパーとしての評価のあるヴィーズリー、ここではポストのデービスをねばり強く守りミスを誘う。

新潟のオフェンスでは、澤岻がジャンプショットを沈める。新潟のゲーム最初のショットは池田でしたが、この日は新潟のアウトサイドの思い切りがいい。

富山は加藤が果敢にシュートを狙うが決まらない。前日無得点の加藤が、新潟での村松シリーズ同様に積極的にリングを狙ってきます。その富山は、水戸からのピックアンドロールでスミスがゴール下のファウルをもらう。やはり、前日よりはチームオフェンスへの意識が見られます(前日が悪すぎたのだけれど)。

しかし流れは新潟。池田の3ポイント、そして速攻からアンドリュースがコートを駆け抜けリバースレイアップ。そしてアシュビーもミドルレンジのシュートで続いて11-4とリードする。

新潟はディフェンスでも頑張ります。ディフェンスでマークマンをスイッチした澤岻が、ハーパーのオフェンスファウルを誘う。

その後富山は連続で速攻に走るものの、いずれもミスで得点には繋がらず。11-4と新潟がリードしたまま富山のタイムアウト(5:59)。

その後、アシュビーがゴール下でシュートを押し込む。マッチアップするスミスも一度はブロックショットを決めるも、2回目までは止められなかった。難しい左フックでのバンクショットでした。

富山ではいつも通りハーパーがオフェンスを引っ張ります。ドライブからのシュートは決まらないものの、最後はスミスがダンクを決める。また、ハーパーからの裏パスがゴール下のスミスに通る。

しかしバランスは新潟がベター。ヴィーズリーのシュートミスはアンドリュースが跳びついてリバウンドを奪い、これが池田2本目の3ポイントに繋がる。更にヴィーズリーがディフェンスを引きつけて澤岻の3ポイントをアシスト。そしてコナーレの1on1からのシュートが決まるなどアウトサイドタッチが好調。コナーレのシュートはアーチも高く綺麗に決まります。アーチの低い池田とは対照的なタイプのショットと言えます。

富山もアウトサイドで反撃。ハーパーの3ポイントに水戸の3ポイントと続きます。ハーパーはその身長以上に手が長く、その手を上に伸ばしてショットを打つのでブロックするのはまず不可能。守るコナーレはいつもシュートチェックでハーパーの顔の前まで手を伸ばしてプレッシャーをかけるのですが、それでもハーパーは決めてきます。

また、水戸の3ポイントはポストのカイルからのパスですが、やはりカイルがコートにいると富山はチームとしてベターなバスケを展開できるようです。彼については衛藤HCのコメントもあったのですが、能力的には限られていても、カイルがポストにいるとチームが落ち着くとのこと。爆発力は無いけれど、確実に計算は出来る。でも、アシュビーのような存在感あるポストマンと1試合通じてマッチアップ出来るほどの実力は無いので、時にはスミスのようなフィジカルな存在も必要でしょう。こういった部分はHCの悩みどころです。

試合は第1Qの終盤へ。新潟はヴィーズリーのドライブからのFT、アンドリュースのハイポストからの1on1、そして齊藤のジャンプシュートが決まるなどして加点。

富山もカイルがゴール下でアンドリュース相手に見事なロールターンから得点。このプレー、前日もアンドリュースは全く同じプレーを決められているのですが、またウィークサイドを抜かれてしまいました。カイルの頭脳勝ち?でしょうか。また水戸との2メンゲームでカイルへのパスが通りFT。これも2本とも決めます。

第1Qを終わって26-18と新潟のリードです。

※前日の新潟はそれほど良くなかったけれど、富山が余りに悪すぎました。しかしこの日の富山は悪くない。第1Qで既に5astなどチームオフェンスの形が見えてきています。スタートに抜擢されたスミスの6pts(FG2/2)、3rebの頑張りに引き続き、カイルも4pts。ビッグマン2人で10pts、アウトサイドでは3ptが2本(ハーパー、水戸)決まり、バランスもいい。

ところが新潟がそれを上回る好調ぶりでした。アシュビーとアンドリュースのインサイド陣がFG5/9、リバウンドも10-8と勝り、アシストも6と好調。澤岻は早くも3astです。そして3ポイントは池田と澤岻で3本と、こちらも好調でした。

富山はターンオーバーの5を減らせれば、よりベターなゲーム展開を作れそうです(新潟は2)。

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第2Q 富山19-16新潟

両チームとも日本人が3人となりサイズダウンするので、アウトサイドからの展開が多くなります。新潟は根東、小松が3ポイントを狙いますが決まらない。富山も吉村の3ポイントが外れる。

富山はカイルのミドルショットが決まるが、新潟も根東のドライブから得点。根東はその役割果たし、徐々に、そして確実にチームに貢献するようになってきました。ディフェンスでも加藤のオフェンスファウルをもらうなど頑張っています。

富山も加藤の3ポイントが決まります。やはりチームとしては彼の得点が無いと苦しい。

さて新潟では根東が苦しいドライブから放り投げるようなシュートを放つ。もちろん外れるけど、これをアシュビーがティップインで決めて得点に繋げる。更に富山のシュートミスからコナーレが速攻に走り32-23、ここで富山のタイムアウト(6:58)。

ところで根東のシュート確率は、正直言ってかなり低い(12/5終了時点で12/65の18.5%!)。無理なショットだったり、ディフェンスに思い切りブロックされたり。しかし、先ほどのアシュビーのティップインのように、結果的に得点に繋がることが少なくない。ここが、例えば小松のシュートミスと違うところです。記録上は単にシュートミスであっても、それがチームにとっていいセレクトだったのか?という観点は間違いなくあります。シュートを打ちました、落ちました、リバウンドを奪われました・・・という展開が、特に新潟のセカンドユニットには多い。単発で、チームとしての繋がりや流れがない。

根東もまだまだミスが多く、怪しい判断も少なくないけれど、しかしチームに勢いを与える形が徐々に増えてきています。これは、一つには彼の経験があるのだと考えられます。JBLではほとんど出番はありませんでしたが、高校、大学ではチームの得点源としてひたすらリングを狙って攻めていました。その感覚が、今の新潟のチーム状況にフィットしつつあるようです。新潟は伝統的にPGらしいPGがおらず(澤岻もどちらかと言えば攻撃型PG)、停滞しがちなオフェンスというのはもはや新潟の文化?とも言えます。しかし、そんな時にディフェンスを切り崩すことができるのが根東なのです(あとはヴィーズリー)。その決定力、フィニッシュ力に関してはまだ疑問符を付けざるを得ませんが、チームを勢いづけるという意味では貴重な役割と言えます。ちなみに後半ですが、ゴール下でボールをもらった根東が無理をせずによく見てボールをアウトサイドに返し、そこからのシュートが決まる場面がありました。徐々にフロア全体が見えるようになってきているのかもしれません。

ところで根東と言えば、入団当初にチームスタッフから「(元新潟、現埼玉の)寺下に雰囲気が似てるかも」なんて話を聞いていたのですが(ちなみに松下電器ではどちらも#15でした)、プレースタイルという意味でも、ベンチから出てチームに勢いをもたらすというのはその寺下や、佐藤公威的なポジションになるかもしれません。

試合に戻ります。新潟は好調をまだ維持しています。アシュビーからのパスが周り、コナーレのドライブから最後に決めるのはゴール下のアシュビー。根東のルーズボールはキープできなかったもののチームを盛り上げ、そしてアシュビーからのパスが逆サイドへ飛び、コナーレが3ポイントを決めるなどオフェンスが機能しています。このコナーレのシュートにつながるパス回しは、理想的な動きでした。

しかし富山も踏ん張る。ハーパーがコナーレをドライブで抜いてバスカンを決め、そしてゴール下のルーズボールから再びハーパーが得点。そして富山ベンチが盛り上がったのは、前日に引き続いて控えガード陣の活躍、ここでは白田が0度から3ポイントを決めてきます。31-37と富山が6点差まで追い上げたところでオフィシャルタイムアウト(4:58)。

この前後は両チームともベンチメンバーが頑張る時間帯となります。アシュビーのシュートミスを、奪い取るようにボールを取ったのは根東。しかし逆サイドでは白田がオフェンスリバウンドを奪い、ゴール下で得点。この時の富山の盛り上がりは凄かった。もちろん、勢いに飲まれまいと新潟のタイムアウトです(3:49)。実際には、オフェンスリバウンドを取った後にシュートに行った白田の判断も微妙です。コナーレのブロックショットに跳んできましたが、なんとかかわしてシュートを決めました。が、ここで求められているのはアタックする姿勢であり、ベンチから出た白田が迷わずシュートに行ったのは、結果論ではありますが、いいプレーでした。

ガード陣に負けじとインサイドも頑張る富山。スミスがオフェンスリバウンドからFTをもらいます。この日のスミスはFTが8/10と確実でした(シーズンでは58.6%)。

しかし新潟のアンドリュースも負けていません。そのスミス相手のポストでポンプフェイクからの得点。アンドリュースはシーズン序盤より確実にポストプレーが向上しています。ここでの動きは今までのアンドリュースにはあまり見られなかった動きでした。いつもは左側へターンして右フックのパターンですが、フェイクでディフェンスを跳ばしてから左側へのシュートでした。

その後はお互いに得点が決まらない。富山は新潟のゾーンディフェンスを攻めあぐねるが、ハーパーのシュートが決まる。新潟も澤岻のスティールから池田の3本目の3ポイントが決まり、42-37と新潟がなんとかリードを保ってハーフタイムへ。

新潟としては、ハーフ直前の最後のオフェンスを決めたかったと思います。前日、富山の水戸に同じ状況で簡単にシュートを許していましたから、ここはわざわざタイムアウトを取ってセットを組んだのですが、澤岻とビッグマンを絡めたスクリーンプレーは結局決まりませんでした。

※前日同様、ベンチの頑張りがあった富山。ハーパーの7pts、そしてチームリバウンドでも12-7とリードしました。第1Qと同じターンオーバー5というのが惜しい。

新潟は勢いに乗る富山にインサイドであまりアタックできませんでしたが(FTアテンプトがゼロ)、コナーレのアウトサイドとアシュビーのゴール下、そしてアシストが5とボールがよく回っているのでなんとか踏ん張っています。

富山はアシュビーに対して積極的にダブルチームを展開しましたが、その後のローテーションが課題になりそうです。特にこの第2Qは新潟がよくフロアを見てパスを回し、富山のディフェンスを翻弄していました。

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第3Q 富山13-12

いずれもチームプレーが前日より向上している両チーム。調子がいいだけに、勝ちたいという気持ちは強いはずです。その気持ちの表れか、この第3Qはねばり強く守りあう展開となりました。

お互いにシュートが決まらず、ハーパーのタフなディフェンスで新潟が24秒オーバータイムに追い込まれたり、新潟が何度もオフェンスリバウンドに飛びつくも、得点を決められなかったり。ハーパーがドライブからオフバランスのバンクショットを決めてやっとスコアボードが動きます。

しかしそのまま得点は動かず、42-39で富山のタイムアウト。3分以上プレーして、両チームで2点しか取っていません。

ここからやっと試合が動き始めます。新潟はアンドリュースの強烈なオフェンスリバウンドが連続で出て、これがいずれも得点につながります(池田のドライブからのFT、アシュビーのポストからのバンクショット)。ブロックアウトしていてもアンドリュースはディフェンスのはるか上まで跳ぶので止められません。この連続でのオフェンスリバウンドは、リアル桜木花道といった感じでした。

富山もハーパーのティップインダンク、そしてオフェンスリバウンドからスミスのFTが決まります。ちなみにハーパーのティップは、マッチアップしていたアンドリュースがヘルプからブロックショットに跳んでいる為にハーパーがノーマークになっているからです。アンドリュースのように跳躍力のある選手はとかく跳びがちですが、例えばこの場面のように、ポストのスミスをアシュビーがしっかり守っているので、シュートを打たれたとしてもその確率は低い。実際にバランスを崩してシュートは外れるのですが、アンドリュースが届きそうもないショットにチャレンジしているので、ハーパーが簡単にシュートする事ができました。この辺の小さな判断の積み重ねが、最終的に試合の結果に影響してきます。

ここでアクシデント。左サイドからゴール下にドライブした澤岻、ディフェンスのカイルと交錯して両者とも倒れてしまい動けない。カイルは転倒して後頭部をフロアに打ち付けたらしく、また澤岻の左足首の上にカイルが倒れてしまいそのまま動けません。澤岻は自力では歩けず、ベンチでアイシング。カイルも交代しましたが、数分後にコートに戻りました。

澤岻はもうアウトのようなので(実際に戻りませんでした)、状況的には新潟が苦しい。残り時間すべてをスタートのPG抜きで戦わなければいけません。これがメンタル的に新潟にネガティブに働いたのか分かりませんが、富山がポジティブに考えたのは間違いありません。

実際、新潟がやることは変わりません。アシュビーがダブルチームされるので、パスを回し、シュートを狙うだけ。しかしゴール下でコナーレがイージーショットを外してしまう。そして、同じくアシュビーからのパスで齊藤のミドルショット。しかしこれが決まらない。

一方の富山はハーパーのFT、そしてスミスのFTと続きます。これがいずれもアンドリュースのファウルで、4つ目となりベンチへ。こんな時に流れが傾くのがバスケの面白さ。富山はデービスが3ポイントを決めてついに48-46と逆転しました。

澤岻のいない新潟で誰が頑張るのか?これはアシュビーしかいません。速攻の先頭を走ってゴール下で得点。更にリバウンドでのファウルで1and1のFTを決めます。澤岻が抜けたあとのオフェンスで、自分から出たパスからのシュートが決まらなかった時のアシュビーの表情は何とも言えないものがありました。だからこそ、ここではアシュビーが自ら攻めていたのですが、そのアシュビー自身も実は3ファウル。カイルがゴール下でボールを持てば、無理は出来ず守れません。そのアシュビーは注意していたはずですが、速攻でカイルと接触し4つ目のファウルを取られてしまう。

第3Qは54-50と新潟が僅差でリードしていますが、状況的には富山が圧倒的に有利になってきました。

※両チームで25点しか入らなかったこのQ、両チーム共にFGが20%台ということで決め手に欠けました。また、お互いにファウルが7個づつあり、特に新潟はアシュビーとアンドリュースというフロントラインがいずれも4ファウルと厳しい状態になりました。

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第4Q 富山22-22新潟

残り時間、点差はもはや関係なく、試合の焦点はひとつ。富山がアシュビーかアンドリュースのいずれかをファウルアウトに出来るか?ここが全てです。ここまでこの2人で新潟の26/54pts、16/33rebを記録しているのですから、そのウェイトの重さは言うまでもありません。富山はこの2人がいてもリバウンドで37-33と勝っているのですから、いずれか1人が欠けた時点でそのパワーバランスはあっと言う間に崩れるでしょう。

では新潟はどう守るか?2-3にしてチームでゴールを守るしかありません。アンドリュースよりもアシュビーが重要なので、終盤まで取っておきたい。なのでコートにはアンドリュースのみ。彼が退場できずにどこまで粘れるかが鍵になります。

そんな新潟に対し、積極的に攻める富山。水戸がいきなり3ポイントを決めて54-53と迫ります。

新潟では速攻からヴィーズリーがバスカンを押し込む。カイルにファウルされてバランスを崩しながらもよくシュートを決めました。ボーナスFTも決めます。

富山が攻めるのは新潟のインサイド。セットオフェンスからハーパーのアリウープ。そしてゴール下でカイルがダンクを決めます。

新潟は速攻から珍しくアンドリュースがミドルショットを決めます。59-57で富山のタイムアウト(7:27)。

新潟はコナーレがハーパーをゴール下で押しこんでから左手のフックシュートを決めます。しかしそのハーパーも自らのシュートミスからゴール下のショットを決めます。ボールがゴール近辺に行くと、アンドリュースは両手を上げることしかできません。

新潟はヴィーズリーのシュートが決まらず、逆サイドでデービスがゴール下シュートを決めてついに61-61の同点、ここで新潟のタイムアウト(5:43)。澤岻、そしてアシュビーが不在の新潟はやはりオフェンスが苦しい。

ここで得点を決めたのは、ヴィーズリーのドライブで、スミスの上から得点しました。富山もゴール下でスミスのFTをもらいますが、コナーレもポストからの難しいフェイドアウェイシュートを決めてリードし65-62でオフィシャルタイムアウト(4:53)。新潟としてはここまでアンドリュースがファウルしないだけでも大きいし、先程のタイムアウト後からはオフェンスに粘りが出てきました。

富山はハーパーに替わってコートインしたジョンソンがゴール下から得点。これで65-64の1点差になります。

新潟にとって大きかったのは、ここでヴィーズリーの3ポイントが決まったこと。ポストのアンドリュースからのパスですが、ヴィーズリーはここまで6本の3ポイントを全て外していました(前日は4/7)。ここでシュートをリリースするのは勇気が必要だったと思いますが、よくこのシュートを決めました。

富山も加藤が思い切って3ポイントを狙うも決まらない。逆サイドではヴィーズリーがその加藤に対してドライブし、ファウルをもらう。実はこの第4Qの新潟オフェンスを引っ張っていたのはヴィーズリーで、チームのFGA15のうち約半分の7、そしてFTA7のうち3が彼なのです。PGとセンター、そしてシューターが不在の中で、相手ディフェンスに切れこむスラッシャーとしての役割を果たしたのがヴィーズリーでした。ここしばらく不調だったヴィーズリーですが、この連戦はひとつのきっかけになるかもしれません。

さて、そのFTは1本しか決められず69-64の新潟5点リードの状態。残り時間は約3分です。

富山は苦しいオフェンスからデービスが3ポイントを決めて69-64と追い上げる。しかし勝つためには得点だけでなくディフェンスでのストップが必要です。新潟はここでコートに戻ったアシュビーがオフェンスリバウンドを取ったもののボールを失ってしまう。逆サイドではジョンソンからのドライブでカイルがFTをもらう。ここで2本決めれば同点という場面で、やはり2本目を決められない。

新潟はアシュビーのダブルチームからの展開で、逆サイドからコナーレがドライブからのバンクショットを決める。沖縄シリーズでも見せた好プレーがここで出ました。しかし富山も諦めない。ジョンソンのミスショットにカイルが飛び込んでボールを奪い得点。これはカイルらしいプレーで、アシュビーのボックスアウトがルーズなのを見逃さず果敢にボールにチャレンジして得点に結びつけました。残り2分を切って新潟が71-70とわずか1点リードしています。

新潟はアシュビーからのパスがゴール下の齋藤に通り1and1のFTをもらう。しかしこのFT、富山のバイオレーションがあったにも関わらず2本ともミスしてしまい無得点。しかしそこで追いつくチャンスを得た富山も、サイドからのパスがバックパスになる凡ミスが出てみすみす相手ボールにしてしまう。

bjでは珍しくない「お互いミス続きで試合を決められない展開」が続く中、ここでビッグショットが出ます。主役は、コートに戻ったばかりの池田。ボールは右サイドのヴィーズリー、ここからリングに向かってウィークサイドにドライブを仕掛けます。ここまで新潟オフェンスを引っ張ってきたヴィーズリーのアタックだけに、富山ディフェンスは一気に引きつけられます。それを見越してトップの池田にヴィーズリーのジャンプパスが通ります。3ポイントラインから少し距離はありましたがディフェンスは遠い。池田は迷わずショットを放ち、この3ポイントが見事に決まりました。

これで試合は決し、終盤のファウルゲームもなんとか乗り切って新潟が76-72で連勝を飾りました。

※このQのスタッツを見ると、両チームともそれ程違いはありません。富山がいい部分もありました。リバウンドは17-9とリードし、アシストも5-3とボールが回ってきました。

しかし、ビッグショット直前のターンオーバー、これが富山にとってこのQ唯一のターンオーバーだったのですが、それが池田のシュートに繋がってしまった。逆に新潟はファウルトラブルで苦しい中で我慢を続け、ミスすることなく最後まで気持ちを切らさず戦いました(第4Qのターンオーバーはゼロ!)。

前日の惨敗から立ち直った富山。ターンオーバーは14まで減らし、アシストは16もありました。リバウンドはいつものように54-42と優位に立ち、特にオフェンスリバウンドが22もありました。しかし大事な場面のミスで、その勝利のチャンスを逃してしまいました。

新潟にとっては前週のホーム沖縄2連敗を帳消しには出来ませんが、チームとしてその戦い方に大きな向上が見られたシリーズとなりました。特に、ベンチメンバーの活躍は今後に繋がっていきそうです。