B1東地区のパワーハウス(強豪)とされる栃木ブレックス(以降、栃木)とアルバルク東京(以降、A東京)。
二つチームの強みとは一体どのようなものかを探ってみたい。
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栃木ブレックス
-インサイドの補強-
リアム・マクモロー、トレント・プレイステッド、ニコロス・ツキティシュビリ…。
何か呪文のように書き連ねているが、昨シーズン栃木が契約した(そして解除した)外国籍選手たちの名前である。
シーズン前、そしてシーズン入ってからも主力であるライアン・ロシター選手をバックアップが出来る外国籍選手が中々固定できずに悩まされた印象があったが、今シーズンはA東京からジェフ・ギブス選手を獲得。
また広島ドラゴンフライズから日本代表でもある竹内公輔選手が加入し、4人のBIGマン(ロシター、ブレントン、竹内公、ギブス選手)を擁することとなった。
開幕試合(対秋田ノーザンハピネッツ戦)の敗戦後に4人のBIGマンの使い方に苦慮しているか聞いてみたが、トーマス・ウィスマンHCは「今日はその4人の強みを活かして戦うことはできなかった。アウトサイドのディフェンスで機能しなかったのは明らかなので、その部分を修正して今後は強みにしていきたい」と、4選手の出場時間や使い方よりもディフェンスを憂慮している様子だった。
また、今シーズン序盤(開幕から3試合まで)はインサイドよりもアウトサイドシュート、特に3Pシュートの確率が上がらなかった。
10月1日、千葉ジェッツとの試合後会見でも、ウィスマンHCは「3Pシュートの確率が非常に悪く、先週2試合と今日の前半で10%を切るくらいだが、最終クォーターで3/8本決めることができた。やっと良い兆しが見えてきたと思う」とインサイドよりもアウトサイドの問題点を挙げていた。
翌日の試合でも3Pシュート確率は改善できているかという問いに対して「自分たちを信じて打ち続ければ必ず確率は上がる。それを信じて続けようと伝えた」と選手への信頼は揺らいでいない。
代表活動での疲れや新加入選手の連携など問題もあり、序盤こそ栃木らしさが余り出せていなかったが、千葉ジェッツ戦以降は4人のBIGマンを有効的に使うことで(オンザコートルールの都合からブレントン選手の出場時間は昨シーズンと比較して大幅に減少したが)オフェンスのスペーシングも良くなり、本来持っている堅い守備からの速攻やたたみかける攻撃ができている。
平均得点84点と失点64点は共にB1のトップであり、この数字からもリーグ屈指のパワーハウスであることは明白だ。
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アルバルク東京
-常に変化し続ける-
昨シーズンのNBLレギュラーシーズン勝率1位。
メンバーを入替えなくとも高い順位にいることも可能なはずだが、あえてチームは変化を求めた。
NBAでもプレイ経験もあるディアンテ・ギャレット選手をはじめ、インサイドのトロイ・ギレンウォーター、栃木から移籍のアンドリュー・ネイミック選手。
そして日本代表でもある竹内譲次選手が加わり、伊藤拓摩ヘッドコーチも「新加入が6人。そのうち4人が主力として出場している」とチームを大幅に変えてきた事を強調する。
ただ変化にはリスクも伴う。15日の仙台戦の会見でも伊藤HCは「今のところまだ息の合ったプレイができていない」と昨シーズンとの違いについて語っている。
「昨シーズンの12人は誰がどこに動いてもボールを予想できていたし、スクリーンをかければこう動くとかが分かっていた。今シーズンはまだ自分のタイミングでパスが来きたり来なかったりするので、イライラしたりファンブルしてしまう事が多い。あとは練習や試合を重ね、経験を積んでいくことが出来れば、息が合うと思うし、もっと良いプレイが出来る」とまだ進化の課程であることを説く。
毎試合二桁得点のギャレット選手は「自分でクリエイトしてチームメイトを探す。全員が動くFLOW(流れるような)なオフェンスする」と自身とチームの評している。
伊藤HCもオフェンスは「流れ」だ言う。
「サイドが変われば(サイドチェンジすれば)、うちは色々な事が出来る。いかにしてサイドを流れよく変えていくか。普通のシュートで終わるよりもBetterなシュート(より良い形でのシュート)やGreatなシュート(もっと良いシュート)を打つことを目的としているので、自然にボールが動いて、人も動けばうちの場合はそうなる」と自信をのぞかせる。
「流れ」と同様に「変化」はつねに同じところにとどまらない。変化し続けることがアルバルク東京の強さなのだ。