【プレミアム限定】秋田・中村和雄HC 仙台・ロバート・ピアスHC 秋田・ドレイトン選手、スワンストン選手、菊地選手、仙台・高橋選手インタビュー(2月12日)

2月12日(日) 秋田市立体育館で行われた秋田ノーザンハピネッツ―仙台89ERSの試合後インタビュー。秋田:中村和雄HC、イージェイ・ドレイトン選手、カイル・スワンストン選手、菊地勇樹選手。仙台:ロバート・ピアスHC、高橋憲一選手(高橋選手のインタビューはバスナビ単独)。
(文、写真=宮川 紀元)

仙台89ERS

ロバート・ピアスHC

―今日の試合の総括
今日は秋田のリッキー・ウッズ選手が出場しないと知ったときに、チームに気の緩みが出たのかな、と思いました。気の緩みが敗因の一つです。
それから菊地選手とスワンストン選手のシュートが良く入って、自分たちが対応できなかった、というところだと思います。
秋田は今日相当スリーポイントを打っていましたが、確率はそんなに良くなくて、26本落ちているので、正直秋田のファーストショットに負けたという感じはないです。ですがその後の球ぎわの強さでは秋田の方が勝っていて、セカンドチャンスのところでうまく点を取られたりとか。完全に自分たちの方が気持ちもフィジカルも下手になってしまっていました。あとは、最悪なことに3ポイントシューターにファウルしてしまったりだとか。そういうところも、雑なプレーが多かったと思います。

まだこれからシーズンは10週くらい続きますし、東は中間の順位のチームがみんな横並びですので、最終的にプレーオフに向けていい位置をキープしたいと思っています。気持ちを入れ替えて残りのシーズンを戦って、できるだけいい順位につけたいです。

―リバウンド争いで高さのアドバンテージを生かせなかった原因は何ですか?
気持ちの問題だと思います。昨日はしっかりできていたことができなかったりとか。あとはボールを掴んでも、はたかれて簡単に奪われてしまったり。気持ちが入ってないからそうなるのだと思います。そんなことで審判を仲間にしようなんてのは無理なので。昨日は闘っていましたが、今日は闘っていない。その差だと思います。

―秋田は3ポイントシューターが多いのは分かっていたと思うのですが、そこに対応できなかったということですか?
秋田は3ポイントがあるというのはもちろんわかっていましたし、自分たちのディフェンスはよくやっていたと思います。かなりの数のショットが落ちてるじゃないですか。ということはタフなショットを打たせているということなんで、今日の試合はそこで秋田が3ポイントを決めきって勝ったわけではありません。入ってた部分もありますけど落ちてた部分もたくさんあるので、そこはしっかり対応しているんですけども、その後のリバウンドがとれないとか。簡単なところでターンオーバーをしたりとか、そういうところの積み重ねだと思います。
ただ2回ほど追いついた場面もあったので、いい時もあったんですが40分常に闘っていたわけではない。良くなってから自分らでサボって、自分らでサボるからむこうに点を入れられて、という感じでした。今日のパフォーマンスは本当にひどかったので、こういう風になったらもう負けるのは当たり前というか。こんなひどい試合をして、勝てるわけがない。

―ターンオーバーを無くすにはどうしたらいいと思いますか?
ターンオーバーに関しては、起こす選手もいれば起こさない選手もいる。これは選手の問題なので、うちにはターンオーバーが多い選手が多いのは間違いないですけど、それを直そうと思っても、癖なので。なかなか直らない、というのが一つです。
気持ちで余裕を持ってプレーしていないのか、ちゃんとフロアが見えていないのか。ひとつ例を挙げれば、後半の入りのところでジョニー・デュークスにプレッシャーが来てあたふたして、他に2人くらいオープンな選手がいるのにゴール下の難しいところにパスを通そうとしてスティールされた。ああいうのが一番悪い、見えてないということなので。起こすなといっても、彼がそれを選択してしまう以上もう個人の問題だと思いますね。

―古巣の秋田で2日間プレーした感想は?
去年も一年間、秋田での試合は非常に楽しかったですし、アウェーとしてきても、お客さんがいっぱい入って素晴らしい雰囲気で、昨日も今日もそこの部分では楽しめました。仙台からも多くの方が駆け付けてくれたのにもかかわらず、昨日のように勝つことができなくて非常に情けないと思います。

ちょっと質問から外れますが、うちのチームはあやって秋田みたいに連続で3ポイントを決めて試合をひっくり返したりとか、リードを広げたりとかはできないです。そういう試合をしようとしても無理なんで、うちは地道に、泥臭く一歩ずつ差を詰めていかなくてはいけないですし。リードしたとしても、それを地味に守らないといけないと思っています。昨日のような試合をどれだけ増やせるかだと思います。

********************

秋田ノーザンハピネッツ

中村和雄HC
―今日の試合の総括
実際はリッキーを中心にして今週は考えていたんです。リッキーにポイントガードやらせながら、って色気出して、リッキーがいなくなって。昨日帰ってから今朝まで、一時間くらいかな、寝たのは。睡眠薬は飲んだんだけど。飲んだけどパって見たらテレビでNBAやってるんだ。これがまたじゃましたんだ、寝るのを(笑)。それ見ている間に睡眠薬の効果が全くなくなった。

マイケル(ガーデナー)がいなくなってマイカルになってから…ややこしいけど(笑)、菊地が生きてきたんだ。庄司は賢いから、今日は自分より菊地だな、と思ったら菊地に打たそうと言うのがありますよね。それからカイルがいて、庄司、田口とこう揃ってくると今日は38本打ったが、もう3本くらい入れてほしいな。38って言ったらもう40本は目の前だから。40本打てるように、ってしてれば、目標の50本に近づいてくるだろうと思います。オフェンスはああいう形でいって、もう3本くらい入ると90点になる計算なんですよ。だから、そういうバスケットをしたいな。
それからイージェイがああいう風に頑張ってくれると、あそこに一本柱ができて、小さいけどいいかな、ってなる。ディフェンスもリバウンドも、今日はイージェイはすごかったですね。得点、リバウンド、スティール、アシスト、ブロックときて、ターンオーバーゼロ。これが大きかったですね。ここのところで吉宗が第2Q出てる時に得点が落ちるんです。吉宗や水町が出ているときは得点が落ちるんです。あそこで吉宗がもうちょっといってくれると…。でも10分頑張って持ったから、イージェイが最後まで良かったと思うんですよね。こういう小さくても小気味いいバスケットをして、もう少し3ポイントの確率が上がってくれば面白いかな。こういうバスケットにしていきたいな、というのはありますね。

今日はマンツーマンでしのぐことができたけど、ディフェンスがなかなか確立しないんですよ。だから相手によってはいろんなことをしないといけないですねえ。

―選手の様子もだいぶ昨日と違いましたが、一晩で何が変わったんでしょう?
キャプテンは水町じゃないですか。でもチームには長谷川もいるわ、庄司もいるわ。小姑が2人いるんですよ。で、なかなかこの2人がうるせーんだ。で、なんか違うだろう、と。で夕べね、リッキーにはしなかったけど外国人も日本人もほとんど連絡を取った。一人ひとりに、何をしたいのか。おれはこうだ、って。おれらはどういうバスケットをしたいのか、ってのを相当遅い時間までかけて連絡取ったんですよ。
それで水町に、選手がベンチに戻ってくるときにもうちょっと飛びだしていけ、と。もっとハートで、形としてあらわしていってもいいじゃないか、と。水町に、おまえが率先して、引っ張っていけ、って。だから今日はいい感じだったんですよね。
アメリカ人にも、「ハートでバスケットやる」って感覚は分かるか、って聞くと、わかるっていうんですよ。今日はいい状態で入ったし、それがあのリバウンドにつながったかなというのはあります。
入んなくても菊地が仕掛けてくれたのが良かったな。よーいドンで、とりあえず打った。相当ディフェンスいるのに打って、1本しか入らなくて3本くらい落ちたけど、菊地、庄司が打ったことがやっぱり良かったかな。気持ちが前に出た。

―HCから見た今日のMVPはだれですか?
うーん、なかなかね、難しいところだけど、僕はマイクかな。マイクがうまくコントロールしてくれた。
でも終わってすぐ、まだカイルが見えてないとか、フリースロー2本落としたとか、ずーっとしゃべるんですよ。ずーっとしゃべって、ひとつひとつうるさく言ってる。でも今日は安心してやれたし、マイクかなと思いますね。

―リバウンドがよかった要因は何でしょう?
昨日もそうだったけど、リバウンドルーズが多いんですよ。リバウンドに関してはやっぱりマイクかな。マイクがごちゃごちゃしたところを非常によく拾って歩いてた。ロニー(ライオネル・グリーン)ってのはもうちょっと強いんだ。だからこれからは、ロニーをどういう使い方するかが問題かな。ロニーは日本人的なんですよ。アメリカ人は「ごめんなさい」じゃなくて、「おれが、おれが」って感じだろうが。日本人みたいに気を使うんですよ。だからロニーがもうちょっと生きてくれば、おれのチームになるかな。
でもあのリバウンドはやっぱり、イージェイのを見ても、あれはハートかな。イージェイがあのくらいハートを持ってくれれば、小さくてもバスケットができるかな、という感じはしますよね。ただ、白人の大きいのには強いんでです。京都に行った時も、2試合負けたんだけどもNBAにいた213cm位のを2人相手にしながら悠々とやるんだ。黒人のちょっとドンくさい奴にダメなんだ、あいつなあ。白人のちょっと賢そうなのにはむかっていくんだよなあ。今日も庄司にバカにされてた。「おまえは白人には強ええなあ」って(笑)。イージェイと吉宗にはこれから徹底的に1対1やらせて、熱いうちに叩きこんでおいた方がいいかなと思いますね。それからマイクはポイントガードだから、最後まで練習に居させて。

―東北ダービーの初代王者となりましたが。
それは全然…。すみません、全然関心がなかった(笑)。でもまあ、いいことなんでしょう。「お金もらえるの?」って聞いたら、カップだ、ああそう、って(笑)。でも、もらえるものはいいでしょう、きっとね。
―差し支えなければウッズ選手の状態について。
3週間くらいって言ってますね。ふくらはぎの肉離れ。ただ、大変だなと思ってたけど、そんなにひどくないってことでしたね。

―ウッズが怪我して焦りみたいなものはありました?
相当。今年はもうやめ、と思った、実際。ほんとに思った、今年はもうないと思った。うわ―、今年ないないない、来年頑張ろう、って。今年の可能性はもうゼロかな、って思った。そのくらい昨日は落ち込んだ。具合が悪かった、昨日の負けは。ショックだったなあ。
でも今日、3ポイント50本って最初に掲げたのに近づいてきて、ちょっとほっとしてますよね。もう今、なんとかしのぐんじゃなくてウッズいらんかなあ、って。ウッズきたらちょっとじゃまかな、って。あいつも自分でやりたいやつだから。ウッズ来たらまたちょっとこう違うバスケット。だからいま休んでる間に、ウッズが考えを変えてくれないかな、と思ってるんですよ。このチームに自分が入ったらどうすればいいのかってのを考えてくれればいいと思うけど、たぶん思わないね、あの人は(笑)。おれが一番だと思ってるから。

―では、収穫のある1戦だったということですか?
そう。一応掲げた目標だから、シーズン前にね。今日マイクが2点狙えるところをわざわざキックして、菊地に打たせた。あれ落としたらクソみたいなもんだけどな、あれがやっぱり形かな。2点より3点がいいな。

―田口選手の活躍はどのように映りましたか?
最初の2本は効きましたよ、良かった。でも言った。アホが、って。後半のあれを入れなけりゃ、何にもならんだろうが、って。ちょっとにやけてたから、にやけんじゃねえよ、って。「自分でも、あれを入れれば…」って。バカ言ってんじゃないよ。あれを入れて、育っていくんだ。シュート本当にうまい子だから。昨日はダメだったけど。無理だった、青ざめてやってたから。今日は普通の顔。田口はいいシューターなりますよね。よく育てていきたいかな。プレーオフには間に合うかな、って、焦りたい。蹴飛ばしながら焦りたい。それは本人も覚悟してるから。こういうのは楽ですよ。蹴飛ばされるなあ、って覚悟してるやつは。こういうの育てるのおれは得意だから。
皆さんの前で紹介したのは、自覚を促すため。これでちょっと、プレッシャーも感じるでしょうから。

********************

イージェイ・ドレイトン選手
―今日のご自身のプレーはどうですか?
今日はいい感じでスタートできました。これからもこうしていきたいです。

―他のチームの大きい選手を一人で相手する負担は大きいのではないですか?
チームの身長が低くなって自分の仕事も変わってきましたが、低くても大丈夫です。リバウンドは自分が頑張る必要があると思います。

―低い分、どういうところを頑張ればいいと思いますか?
とにかく全力を尽くすこと。身長が低い分、スピードで高さに対抗する必要があると思います。

―今日、たくさんリバウンドを取れた要因は?
昨日は取れなかったので、反省点を生かして、とにかく気持ちです。
もっとアグレッシブに、自分を前面に出して向かうことを意識しました。

―HCから、昨日のゲーム後に言われたことはありますか?
3本しかリバウンドをとっていないことを指摘され、チームで一番取っていたのは庄司選手だと聞いて、やはりそれはセンターとして許されることではないと思いました。あと今日はおまえでいくぞと言われていたので、気持ちを入れていきました。

―ハートで戦え、と指示されたようですね。
カズさんはそれを何度も何度も言いました。口で言うのは簡単ですが、今日は実際に心をこめて、全力でプレーできたと思います。

********************

カイル・スワンストン選手

―ハピネッツの一員として初めて戦った感想をお聞かせください。
このチームは強くなれるチームだと確信しています。ただ自分が一緒にプレーし始めてまだ2試合目ですから、時間はかかると思いますけれどこれからもっと良くなる要素がいっぱいあります。

―昨日は納得できない表情を見せていましたが、今日は何が違ったのでしょう?
昨日は確かによくなくて、今日は昨日よりましだったと思いますけれど、自分としてはもっともっとシュートが入ると思います。今日はぺネトレーションから味方を探してパス、という形で菊地選手のスリーポイントがまるで雪崩のように入ってよかったと思います。やはり、チームプレーで勝つことが大切だと思います。

―昨日の試合後、HCに何を言われましたか?
カズさんはスコアラーとして自分のことを信用してくれています。それを裏切らないように頑張っていくだけです。

********************

菊地勇樹選手

―今日のご自身のプレーを振り返って、いかがでしょうか?
フリーのタイミングでパスが回ってきたので、非常に打ちやすいタイミングでシュートが打てていたと思います。

―昨日に比べて、リバウンドでも頑張っていましたね。
そうですね。まずカズさんからも今日は気持ちでいけ、ということで、出だしからファウルを恐れずと言いますか、体を張ってプレーしていました。

―シュートを打ってもオフェンスリバウンドがいないとちょっとつらい、というのもあると思うのですが、今日はどうでしたか?
あまりそういうのは考えず、とりあえず打てる時は打とうと考えていました。

―ピアスHCが、菊地選手は体が絞れて動きがシャープになったとおっしゃっていました。当時と体重や体脂肪率の違いはどれくらいですか?
入った時は90(kg)ちょっとくらいですね。今は80ちょっとくらいです。10kgくらい落ちました。体脂肪率は5,6%くらい(の減少)ですかね。

―そういう違いは、プレーしていて実感しますか?
最近思いますね。

―最近の好調につながっている、ということですか?
好調はたまたまです(笑)。

―22点はキャリアハイですよね。
たぶんそうです。

―高校時代など含めて、もっと取ったことはありますか?
それははい、あります。

―チームはかなりメンバーが変わってきていますが、今日の連携はどうでした?
カズさんも試合終了後話されていましたが、朝の1時間の練習でちょっとスタイルを変えると言いますか、今日はこういう風に行くぞ、ということで。1時間だけですけども練習して、完璧ではないんですけども、やろうとしたプレーができてたからああいった速い展開でシュートを打てて、うまくできてたかな、と思います。

―東北ダービーは秋田の優勝ということになりましたが。
あ、そうなんですか?まあシーズンまだ途中なので、東北ダービーを優勝するためにやっているわけではないので。まあでも、優勝ということになったのはまあ嬉しい…こと?…まあ嬉しいことですね(笑)。

―今日は高橋憲一選手とマッチアップして、去年とは全然違う姿を見せられたのではないですか?
たまたまです。プロとして憲一の方が長いので、やっぱり要所だったり駆け引きだったりすべてのプレーにおいて、そういった経験というのが見られましたし。僕はまだまだ全然ヘッポコなんで。

―今後の抱負をお聞かせいただきますか?
まだまだシーズン途中ですし、毎試合毎試合大事になってくるんで。その試合を勝てるように。チームもメンバー変わって間もないので早々に完成度を上げていって、今日もそうですけど、たまたまじゃなくなるようにプレーしていきたいと思います。

―去年の今頃と比べて、自分自身変わったことは何ですか?
年齢ですかね(笑)。
まあ気持ちはもちろん。(去年は)ベンチにいることが多かったので、やっぱり試合に出るとなると責任感も出てきますし。そこが一番大きな違いかなと思います。

―右のローポストからよく決めていたように見えたのですが、得意なポジションはありますか?
あまり意識してないです。でもまあ、コーナーは苦手ですね、どっちかというと。やっぱりトップの方が打ちやすいですね。

********************

仙台89ERS・高橋選手への単独インタビューは2ページ目へ