過去の蓄積から未来を予見する-千葉ジェッツ ビデオアナリスト 木村和希-

数字が全てではない

アナリストは数字に強いだけではなく技術も知る必要がある。どのように勉強したのかという問いに対して木村は「九州の大学だったので、戦術やスキルに関しては関東には絶対に勝てない。それ以外の部分で勝たなくてはと思い大学院に進む際にスポーツ統計学を専攻した。その分野であれば勝てると。あとから戦術やスキルは学べるというキャリアプランを立てた」

「大学院は学ぶというより自ら研究する場所なので、NBAで使われているスタッツであったり、そのNBAのスタッツは日本国内のスタッツにも合うのかであったり、その他の世界のリーグや世界選手権でも合うのかを検証していた」

研究の具体的な例としては「フォーファクター(Four Factors※)が全世界で通用するのかを統計学を用いて検証する。その検証の仕方が今は役に立っている。答えがひとつではないところとか。数字があればずべて理解できると言われるが、それは間違いで方法や分析の仕方で答えは変わることが学べた」

統計や分析する仕事を思い起こすと数字が絶対である意味で原理主義のような考え方に陥りやすいが、木村は決してそうではないという。
「アナリストこそ数字の限界を知るべきだ。他のスタッフでも同じだと思う。トレーナーがケアすれば絶対怪我しないのかというとそのようなことも無いし不可能だ。その限界を突き止めるのがトレーナーやアナリストの仕事だと思う。限界を分かるからこそ、その限界を突き詰める。プロになってから余計に痛感している」

「研究していてきれいな相関図ができた時に、あてはまらない選手が居る。スーパースターは例外になる。。平均値にいる選手がスーパースターになることはない。偏りやハズレ値(ち)があるからこそスーパースターなのだと思うし、そこに向き合うのがアナリストの仕事だと思う」

Four Factorsとは以下の4つのスタッツを加味したもの

eFG%(実質野投成功率)
TO%(ターンオーバー率)
OR%(オフェンスリババウンド率)
FTR(フリースロー獲得率)