NBLとNBDLの追加質問:新リーグ副本部長兼COOの山谷拓志氏に聞く

NBDLについて⇒NBLとの違い

★サラリーキャップの根拠(何故1億円なのか)
-何故上限が1億円なのか?
JBLのチームのようにJBL2を精査した訳ではありませんが、NBLが1億5千万に対して、NBDLであればそこまでの上限は必要ないであろうということで1億としています。
ただ、NBDLにはサラリーマン・エクセプション(正社員例外条項)があります。NBDLのチームの性質上、正社員で構成されるチームが多く、実態として会社の業務に関わっている選手が多いため、その人達のサラリーを100%キャップに込みこんでしまうと、上限を超えるチームが出てきてしまいます。
ですので、正社員の場合はサラリーの50%をキャップに換算していきます。

外国人選手登録数とレンタル移籍

-外国人選手登録数とレンタル移籍はNBLと同じ?
NBLと同じです。登録数は2名でオンザコート1と2の併用になります。レンタル移籍は先程説明した通りです。

-NBL、NBDL共にオンザコート2が使えるにも関わらず外国人選手の登録人数が2名までの理由は?
登録人数を3名にするかどうかの議論も勿論ありましたが、外国人選手の場合にはサラリーが高く、その選手を多く抱えることで日本人選手のサラリーの部分にしわ寄せいってしまうのではないかという危惧があって2名までとしました。1試合を2人の選手で60分(試合を通じて40分+1Pと2Pでプラス20分)の時間シェア出来るので許容範囲だと思っています。
今後外国人選手に負荷がかかり、怪我が多くなるような場合には3名にすることも考えられますが、その場合は3人目の選手に身長制限などを設けるかもしれません。今回のNBLのルール作りに置いてもこの問題は議論されましたが、今回は2名までとして、今後検討の余地を残す形になっています。

NBDLの審判員制度について

-NBLとNBDLは同じ審判員制度なのか?
NBDLは今までのJBL2と同じ形になります。NBLの審判ディレクターがNBDLの審判のクオリティを見ていくことになりますが、専属の審判を置く所までに至っていません。

昇格と降格はあるのか

-NBDLのチームがNBLに上がることが出来るのか。また逆(NBLからNBDLに下がる)もあるのか?
サッカーの世界では当たり前ですが、経営的な観点からすると非常にリスクが高い入れ替え戦を行う予定はありません。アメリカのスポーツのようなクローズした世界の中でお互いの戦力を均衡していくリーグを目指していますので、それに見合う経営的な体力のあるチームかどうか判断していく必要があります。NBLのチームの中でもこれ以上NBLで経営していくのが難しい
と判断された場合は一度、育成リーグであるNBDLに下がっていただくということも有り得ると思います。NBDLはNBLに行く為のチーム、または選手の育成を本質的な目的にしています。
NBDLはX形態、Y形態、Z形態という3つの形態に細かく分けています。

-X形態、Y形態、Z形態の詳細を?
X形態は近い将来(2,3年以内を目処)にNBLへの昇格を目指すチーム。
この形態については例えばフランチャイズ制度などのNBLに近いレギュレーションを設けています。
Y形態はきちんとホームゲームの主催が出来るチーム。
Z形態は自主興行することが難しく、NBLへの昇格も視野に入れていないチーム。
3つのカテゴリーに分類して、それぞれに適用させる義務と権利を与えています。

-Z形態は福利厚生としての部活動で、今までのJBL2と同じ状態で参加を希望しているチームなのか?
JBL2を踏襲する中でもありますし、再編という過渡期の中でそういったチームに対して一概に参加できないとは言えませんので、カテゴリー分けしています。
XとYについては権利を大幅にZよりも与えることになりますが、義務として地域名を入れて下さいとか、フランチャイズ決めて下さいとか、自主興行して下さいとかいう事になります。今後はNBLを目指そうとするのか、実連(実業団バスケ)に戻るのかを判断されるチームも出てくると思います。

-NBLでも同じことが起こるのか?
プロチームと企業チームが混在している中で、NBLを完全プロ化しますということになれば、NBDLや実連に鞍替えしますという企業チームが出てくるかもしれません。
今の実情で言いますと、元々JBA自体は検討員会を何度も立ち上げて目指す方向はプロ化だとは言ってきていますし、今回の次世代リーグ検討委員会では『プロ化』という文言はありませんが、事実上プロ化に該当する事業化や独立分社化、地域名の付与を課題にあげています。次のリーグをプロ化するという方向はこの10数年変わっていないと思います。ただ意思決定する場合には民主主義になります。チームによる合意が必要になりますので、スーパーリーグやJBL時代には反対多数で否決されたという事実があります。方向性としてプロ化を目指していることは事実ですし、私自身がこの仕事を受ける時にプロ化を目指していることを何度も確認しましたし、プロ化を目指さないのであれば、私がこの仕事を受ける意味は無いとも言いました。

-最後に話が少しそれますが、選手会について。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などでも意見が出ていたが?
説明会でもファンの方々からそういった質問を受けますが、リーグが許可するしないといったことは出来ません。以前にもプレイヤーズクラブの話があったようですが、許可するしないといったことではなく、一旦は様子見ということで終わったようです。NG(ダメ)という権利はリーグ側にはありません。

-悪役になっている印象を受けるが、説明不足が起因しているのでは?
そうですね。それはこれまでのJBAの諸問題をはじめ、過去の蓄積から来ていると思います。
そういったイメージの中で語られているので、新リーグについても色々なバイアスを受けていると思っています。過去のプレイヤーズクラブが潰されたという認識を持たれるような発言や表現の仕方があったのか、または設立を放任したことがそう受け止められたのかもしれません。そういう意味では配慮が足りなかったと思っています。
選手会については2,3人の選手で作っても仕方の無いことですので、選手の総意に基づいて設立して欲しいと思います。各チームに選手会が存在し、一定数の会員数確保された上で多数決、同意、総意か分かりませんが、リーグに提言されることは良いことだと個人的にも思います。
リーグと選手会がいがみ合ってという話ではなく、お互いが市場の拡大を目指して良きパートナーになっていければ、私個人としても選手会に提言や提案もしやすいですし、理解を得る事もスムーズに進むのではないかと思っています。
ただ、労働組合に近い性質を持つので、今の正社員やプロ契約の選手が混在する中で選手会が設立できるかどうかは分からないですね。

-全員がプロではないと難しい?
難しいと思います。正社員であれば、選手会ではなく自身の会社の労働組合に待遇改善を求めた方が良いのではないかということです。
もちろん、選手たちが自分たちの権利意識を持つことは良いことだと思っています。

-こちらからのお願いで、Twitterのハッシュタグを統一して欲しい?
実はTwitterの公式アカウントは取得済みですが、まだ運用していません。アカウント名はNBLJAPANになりますが、まだ正式発表ではありません。開始時期を含め改めてホームページ等で告知していきたいと思います。

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取材を終えて
・今回の内容がどうしても難しい専門用語だけになるところを分かり易く説明していたことが印象的。

・インタビュー時にリーグ説明会の映像を説明会が終わった時点で公式サイトやYouTubeなどにアップして欲しいという要望を出したが、前向きに検討するとのこと。

・また何かあればいつでも遠慮なく言って欲しいと気さくに話をされていたが、NBLの至上命題でもある『バスケ市場の拡大』の話題が及ぶと、「優勝したアイシン、準優勝の東芝にはそのチームの魅力をもってして、NBLでは圧倒的な観客動員数の実現が必達条件となります」と付け加えることを忘れなかった。