9月23日(日) 秋田市立体育館で行われたプレシーズンゲーム「東北カップ」の3位決定戦、仙台89ERS―東京サンレーヴスの試合後インタビュー。仙台:ロバート・ピアスHC、日下光選手、志村雄彦選手、高岡大輔選手、薦田拓也選手。東京:青木幹典HC。
(文・写真/宮川 紀元)
東京サンレーヴス
青木幹典HC
―東京の強みはインサイド、という計画ですか?
そうですね。ただまあインサイドに入れることによってディフェンスが縮まるので、そこからのインサイドアウトもあるので。特にインサイドにこだわっているわけではないです。バランス良く。
―インサイド陣にはゴール下のシュートの精度をもう少し上げてほしいとは思いますか?
そうですね。今日はジョナサン・ジョーンズが出ていないんですけど、彼が(インサイドの)メインになってくると思うので。逆に今日はほかの選手にバックアップのセンターとしての経験を積ませたいと思っていました。
練習で5対5ができない状況で、3対3とか4対4くらいしかできなくて。このプレで初めて5対5でやれるっていう状況でもあったので。そういったところでは、若い選手、ベンチメンバーもいい経験ができたと思います。
―欠場の選手は怪我?
怪我です。まあジョナサンは来日したばかりなので、ということですけど。
―開幕前の仕上がり具合としてはどうですか?
順調ではないですね。かなり遅れてるんですけど。開幕に100で持っていくのか。新規チームなので、100にもっていきたかったですけど、今の状況だと100というのは無理をしなくてはいけないので。そこでまた怪我人が出てしまうのも怖いので、開幕は7割程度までもっていって。そこからゲームをこなしながら、いい状態に持っていければと思います。
―1からのチーム作りということで、どんなチームを目指していきたいですか?
まあ先ほど言った通りです。僕は新規参入のチームは3チーム目なので、そういうところは慣れてるつもりでいるんですけど。あまりにも怪我とか、来日が遅れたりとか想定外のことがあったので。ただ新規チームの作り方というのは経験してきているので、開幕に向けてしっかり焦らずにやっていきたいです。
―具体的な課題は?
昨日今日と高さがあるのにリバウンドを相手に取られてしまったところ。それからまあターンオーバーですね。今日は仙台が4つ、うちが22なので。これでは勝てないですね。もう少しボールを大事にする。
サイズがあるだけに、相手の速い攻撃に対するトランジションディフェンスも課題ですね。大きく分けてその2つです。
康平や拓郎が入れば、ガード陣の単純なターンオーバーは減るかな、と思います。
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仙台89ERS
ロバート・ピアスHC
―今日の試合の総括
今日が私たちにとって最後のプレシーズンゲームになりましたが、そこを勝利で締めくくれたことは正直うれしく思っています。東北カップということで本番さながらの雰囲気の中で、両チームのブースターや秋田のブースターも含めてすごくいい雰囲気を作ってくれたので、これから2週間後のレギュラーシーズン開幕に向けていろんなことが見えてきました。自分たちの課題や今回の経験を生かして、いい開幕を迎えたいと思います。
もうひとつ付け加えたいのですが、今日の試合後のロッカールームで薦田を褒めてやりました。彼も今シーズン新しく入ってきた外国人とどうやって連携を深めて、彼自身もどうやってプレーしたらいいのかしばらく悩んでいたと思います。やっと今日の試合で、何点取れたからいいというわけではないですが、彼が1試合通してアグレッシブに得点に絡もうとできた初めての試合でした。彼には今シーズンすごく期待もしていましたので、今日のような活躍をシーズン通してやってくれたらいいと思います。さらなる期待を込めて今日は彼を褒めたんですが、彼が今日のようにやってくれれば日本人でトップクラスのプレーヤーになると信じています。
―見つけた課題と、それをどう修正していこうと思っていますか?
課題としては、今いる選手の能力から考えるともっともっと走って、もっともっと速いテンポのバスケットができると考えています。それがひとつです。
それから今日の東京のような高さのあるチームとの対戦ではリバウンドがひとつキーになると思います。また昨日の秋田のようにゾーンをやってきたりするところへのマッチアップの応用力や対応力。対戦相手や試合ごとに要所になってくるところは変わってくるので、そこに対する早い対応ができるチームにならないとダメだな、と。まだそのあたりができていないので、この2点だと思います。
―昨日の試合に比べて良かった部分
昨日の試合に比べて薦田や新井がしっかり得点に絡めているというところです。日本人には全般的に得点に絡んでほしいんですが、今日はこの2人が頑張りました。
あとは44番のコーブルが今日25点ということで、良くない時間もあったと思うんですが、その中でも25点を叩き出せる実力があるのがわかったことです。
―外国人が3人の時間帯に追い上げられている気がしますが。
外国人が3人入ったら、というより、毎クォーター出せる人数が違うので、前のクォーターをいい流れで終わっても、次に新しい人間を入れなくてはいけなくなります。その間のリズムの取り方がまだ難しいかな、と感じています。選手たちもそう感じているでしょうし、ほかのチームのコーチ陣も似たようなことを言っています。ただこれはルールなので、秋田さんや東京さんはこれまでにプレシーズンをいくつかこなしてきたのでいくらかその流れを絶やさずにという意識はあるかもしれないです。でも自分たちにとっては昨日と今日が初めての実戦だったので、開幕までにはそのあたりの流れをちゃんと掴んでおきたいと思っています。
―新外国人選手の補強ポイントと、期待することは?
ケビン・コーブルはスコアラーで、どこからでも点を取れるということで採用しました。カロン・クラークはオールラウンドな選手で、チーム全体の底上げというか、層の厚さを出すためです。サム・コールマンは昨日と今日と、まだ若い選手なので安定してないんですが、器用な選手なので早くbjリーグのリズムに慣れてくれればもっともっとらしさを発揮できると思います。サム・ウィラードは、まだ9月は暑くて手が汗で濡れてしまうのでなかなかリバウンドを取れないんですが、リバウンドがすごく強くてゴール下も強い選手なので、季節的にはこれからどんどん寒くなってそういう問題はなくなると思います。
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日下光選手
―今日の総括
相手のチームはケガ人が多くてメンバーが揃っていない状況で、僕たちの、自分たちのことを考えてバスケットをしようと思っていました。得点としては90点を目指してやっていました。ディフェンスでは70点近くとられてしまって、しかもひとりの選手に30点以上取られてしまったので、どこが相手のキープレーヤーかっていうのをもう少し考える必要があったかな、と思います。
―新チームの感触はどうですか?
まだまだのチームなので、こういう風に公式戦さながらの雰囲気でできたのはとてもいい経験でした。特に外国人選手は日本が初めて、bjも初めてだったので、この経験は必ずレギュラーシーズンに活きてくると思います。こういう環境でバスケットができたのは本当に良かったと思います。
―ご自身の収穫と課題はありましたか?
走るバスケットをやろう、と言ってきたんですけど、やはりいいリズムの時は走りながら自分たちのバスケットができていると思います。そこはひとつの収穫だと思います。
反省点はリバウンドを少し取られている部分があります。相手がシュートを落としてもリバウンドを取らなければいい速攻も出ませんし、そこがもう少し課題だと思います。
―開幕に向けて
開幕まで残り2週間くらいなんですけども、この2週間、そしてこのプレシーズンマッチをいい環境でできたことを無駄にしないように、個人としてもチームとしても準備していきたいです。
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志村雄彦選手
―プレシーズン2試合を終えて
昨日の秋田戦、今日の東京戦と2試合やって、自分たちがどういう流れの時に力を発揮できて、どういう時に良くないのかをチームとしてわかったのは、非常に大きかったと思います。
なかなか外国人選手が3人コートに立って、相手も3人というのが実践としてできなかったので、そういう意味ではいい練習の機会になりました。
―本番さながらの雰囲気の中でできたのは良かったですか?
そうですね。非常にそういう点ではプレシーズンをできたことは大きかったです。直接リーグ戦に入ると厳しいと思うので、外国人選手が慣れるという意味でも、または新しい日本人選手もいろんなことを学んだと思います。
―収穫と課題
ディフェンスをしっかり固めてリバウンドを取ることができれば、このチームは走ることができますので、かなり速攻ではパンチのある攻めができると思うんですけど。逆にリバウンドがとれなかったりとか、ゴール下となるとサイズがあまり大きくないのでどうしても押し込まれてしまいます。そういった意味では常にアグレッシブにアクティブなチームを目指していかないと、トランジションは見いだせないかなと思います。
あとはレギュラーシーズンに向けて、今日の段階ではセットプレーをだいぶ制限してやったので、それをもう少しバリエーションを増やしていければ。もう少しプレーの精度も上がってくると思います。
―開幕に向けて
もちろん開幕から(上位を)走りたいですけど、あくまでも目標は5月なので。まずはしっかりといい状態で臨んで、いいシーズンを過ごして最後にプレーオフを戦えるようにやっていきたいです。
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高岡大輔選手
―この2日間を終えて
僕らの連携はまだまだ取れていなくて、これからたくさん伸びしろがあると思うので、もっともっと研ぎ澄ましていきたいと思います。やっぱりこういうプレシーズンを、いいチームの成長材料、糧にして開幕に臨みたいと思います。
―過去のプレシーズンより、連携ができているような印象もありますが、まだまだですか?
そうですね。僕らの中ではだいぶ選手の特徴もつかんできたし、外国人選手も日本人選手の特徴を掴んできたと思うんですけど、まだまだです。たとえば0番のコールマンが3ポイントを打ったときに中に入る選手がいないと、ファイブアウトみたいになっておまり良くない時もあったし。リバウンドが弱い時間もありましたし。たくさん課題はありますけど、それが全部浮き彫りになったのであとはそれを修正すれば、もっともと堅いゲームになると思います。
―やはり本番さながらのこの雰囲気は良かったですか?
そうですね。このプレシーズンは大きな意味があると思います。昨シーズンは、プレシーズンを目の前にしてやっとチームが揃ったという感じだったので。今年はもうコーチも最初から決まっていて、外国人選手も4人同時に来てくれたし。プレシーズンに向けても準備ができたし、コーチもたぶん僕らに対してチームのやり方を浸透させるために明確なものがあったので、こういう感じで臨めたんじゃないかなと思います。
―高岡選手のコンディションも、良さそうだと感じました。
そうですね。コーチのバスケットも2年目なのですごく理解していますし。個人としてはもっともっとやれることがたくさんあると思いますし、僕としてはもっと「ここをこうしていればよかったな」という部分がたくさんあるので、そこを開幕までにできるだけなくせるようにしていきたいと思ってます。
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薦田拓也選手
―今日の試合を振り返って
入りはすごく良かったんですがなかなかリバウンドの取れない時間もあったので、それが結局15点、20点以上離せない原因にもなったと思います。リバウンドの部分とチームディフェンスをもっと強化していけたら、もっともっといいチームになるんじゃないかな、と思いました。
―外国人選手との連携は良かったと思いますが。
プレシーズンが昨日に続いて2試合目で、少しずつ良くなってる部分もあるので。まだまだという部分が多いですけど、これから開幕に向けてしっかり修正していきたいと思います。
―HCは、「薦田はいろいろ悩んだと思う」と言っていましたが。
外国人選手がコートに10人中6人いるという状況もありますので、その中で自分がどういうプレーをできるのかや連携をしっかり彼らに見せていかないと、彼らもやりづらい部分があると思います。そういうところを練習から意識してやってきました。
―本番さながらの環境でできたことは大きかったですか?
そうですね。昨日今日と2試合できたにはすごく良かったですね。今日は勝ちはしましたけど課題の方が多いので、それは開幕までのあと2週間でしっかり修正して、いい状態で開幕を迎えられるようにチームで頑張っていきたいと思います。