3月25日(日) 能代市総合体育館で行われた秋田ノーザンハピネッツ―埼玉ブロンコスの試合後インタビュー。秋田:中村和雄HC、菊地勇樹選手、リッキー・ウッズ選手。埼玉:ナタリー・ナカセHC、北向由樹選手。
(文・写真=宮川 紀元)
埼玉ブロンコス
ナタリー・ナカセHC
―今日の試合の総括
相対的な話になりますが、今週末は2日とも非常にいい試合ができたと満足しています。今まではなかなか思うような動きができませんでしたが、今週に関しては非常にいい試合だったと思ってます。
ちょっとスターティングラインナップをジェイミー・ミラーに変えて、ペイントエリアのプロテクトはうまくいったと思っていますが、不幸な結果なんですけど、レフリーのコールによってファウルトラブルになってしまって。それ以上アグレッシブにいけなかったのが、一つ残念な結果だと思います。
北向選手も非常に頑張ってくれました。自分の第二の故郷と言うこともあるんでしょうけど、非常にいい働きをしてくれたと思っています。
―ウッズ選手の印象について
非常にいい選手だと思います。ただし、中距離以上のシュートは打ってこないというのは分かっていたので、そこはさほど心配していなかったです。ですがペイントエリアにアグレッシブにドライブに来るので、そこには非常に苦労しました。最初はイージェイの方に注意をしていましたが、やはりリッキー・ウッズ選手もインサイドが非常に強いプレーヤーなので、そこら辺をしっかりやれなかったのが残念です。
―ハンフリー選手の出場時間を抑えてまで、ミラー選手を起用した理由を教えてください。
基本的にはインサイドプレーを多くしたかったのが主な理由です。彼はインサイドからアウトサイドにパスをさばくこともできるので、そこがうまく機能できれば、と思いました。
―秋田が小さいチームだからですか?
背の高さがどうというより、佐野選手への対策として起用しました。
―接戦を落としてしまった一番の要因は何でしょうか?
理由のひとつとしては、疲労です。それに関しては、私自身がうまく管理できなかったのは認めざるを得ません。もう少し寺下選手を新井選手や北向選手の代わりに使って、休ませてからもう一度投入できれば良かったですが、その辺がうまくできませんでした。
特に秋田はディフェンスが厳しく、足を使うわけですので。
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北向由樹選手
―去年レンタル移籍してきた時と、秋田の印象は違いましたか?
違います、全然。
個人能力とか、そういう部分ではたぶんうちの方が上だと思うんですけど、チームとしてすごくまとまってるというか、みんながやるべきことの統率がとれてるというか。一枚岩って感じを受けたんで、さすがだなと思いました。
―接戦でしたが、どこが一番の差でしたか?
個人能力に頼ってしまうという状態で最初から今まで来てしまっているので、悪いことでもあるしいいことでもあるんですけど。そういうところが最後まで出てしまったんで、もうちょっと秋田を見習ってチームとして戦えれば勝てるのかもしれないと思います。
―秋田は昨シーズンと日本人選手がほぼ変わっていませんが。
元々悪いと思ったことはないし、いいメンバーだな、と昨シーズン来て思ったので。菊地さんにしろ、水町さん庄司さん、だれでもそうなんですけど、やるべきことをしっかりやってるし。相手にしてみて、いやだな、って思ったんで。すごくいいチームだな、いいメンバーだなって思いました。
ほんと、いまのうちの状態が昨シーズンのハピネッツのようだと僕は感じてるので、残り10試合、チームとしてなんか、「こういうチームあったよね」って残せるためにも、昨シーズンのハピネッツでの経験を生かしてやっていきたいと思います。
―最下位にありながら、昨日も絶望的な状況から最後まであきらめなかったモチベーションはどこから来るんですか?
僕らよりも、こうやって遠い能代まで来てくれてるブースターがいるので、最後まであきらめてはいけないというのはもちろんです。それに僕とか新井さんに関しては秋田で、しかも能代っていうのは思うところはいっぱいありましたし。かといってすごく力んでとか、そういう感じではなく、チームとして最後まで。
能代で学んできたことって何だ、って言ったらやっぱり観客の皆さんは分かると思うので。そこを僕ら二人は見せなきゃね、って話をしていました。それを外国人選手も感じ取ってくれて、最後までそういう状態でやってくれたのかな、って僕は勝手に思ってますけど。
―最後まで諦めないのが、能代で学んだことのひとつですか?
そうですね。最後まで走り続けること。逆に言うとハピネッツはそれを徹底してるからいまの順位にいると思うので、それは本当にいい意味で収穫と思って帰れるんじゃないかなって。これからの練習でも頑張れるんじゃないかな、って思います。
―ありがとうございました。
ありがとうございました。
(椅子から立ちながら報道陣に向かって)いやー…。ほんといいチームだったな、クソ…(笑)。
(プレスエリアの角を曲がり、次の会見の待機をしていた菊地選手に遭遇)
(菊地選手「そんなことないって!」)
いやー…(笑)。
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秋田ノーザンハピネッツ
中村和雄HC
勝利インタビュー
ありがとうございました。
能代は能代。加藤廣志(能代工業高校の元監督)は加藤廣志。ちょっとしゃべると、僕はコーチになろうと思った時に、まだ日本一になったことのなかった加藤先生の家に行って、3日間、お世話になりました。あの人、酒飲むから(笑)。それで体壊したんだけども。それで、「お互いに日本一になるぞ」って言って、僕はその足で長崎に行ったんです。それから、能代工業は数えきれないくらい勝っていった。僕も当然勝ってた。ただ、加藤先生の方が僕よりも真剣にバスケットをやってる。僕は結構いい加減なんだ。
ただ、今日はひとつ形になった。リッキー・ウッズ。動物みたいでしょ(笑)。この風貌は。「リッキー、行くぞと思ったらやめろ。やめたな、と思ったら行け。」と言った。行き出したら、半端じゃない突破力があるんですよ。リッキーがこういうバスケットやってくれると、おれらの将来はちょっと明るくなるかな。
2日間、イージェイはよく頑張ってくれた。気持ちの優しい戦士なんですよ。非常に優しい。だから何度も「逃げるな!向かえ!」って何回も言って聞かす。何回も。それを今日は、即向かってくれた。
庄司のおじさんは、ちょっと疲れてるんですよ。先週の土曜日(信州戦)頑張ったんですよ。ヨタヨタするくらい頑張った。その疲れが、取れない(笑)。はやく取れてほしいなと思うんですよ。正直僕からすると、庄司か菊地か、どっちでもいいから当たってほしい。だけど庄司のおっちゃんが2日間ちょっとダメだった。でも、庄司と長谷川は僕の支えなんですよ。本当に、僕がくしゃみしたら風邪引くくらいの関係にあるんです。非常に、チームをうまくまとめてくれてるんですよ。
これからなんですよ、これから。これから!ほんとにこれから!どういう手を使おうが、どんなに厳しくやろうが、絶対に頑張って、ひとつひとつを丁寧にやりたいと思います。どうもありがとうございます。
試合後記者会見
―今日の試合の総括
ゲーム始る前から組織、要するに(自分たちの)チームプレーと、(相手の)個人技(の勝負)かなって感じがして。昨日も今日も。怖いですよ。2番のサターフィールド、35番(ハンフリー)、41番(フラワーズ)、この3人は僕らにはない個人技を持ってるプレーヤーなんですよね。だからそれが爆発したら怖いというのはずーっとありましたね、埼玉戦は。
昨日も今日も、ゲームの途中に怖い時間があった。その時にこっちがディフェンスリバウンド取ったり、ターンオーバーしなければ何とかいけるんだけど。ターンオーバー多かったりリバウンド取れないと、一気に相手のペースになる。これがミスをなくして我慢できるようになってきたら、チームプレーをやりだしてきたら、それぞれが自分の役割をこなせれば、いいと思う。
リッキー・ウッズにはずーっとしゃべってたんだけど、「自分はスコアラーだから、パスすることにそんなに楽しみがない」と言ってたんですよ。で、そうじゃないんだと。彼はそんなに大きいわけじゃないから、中ばっかり行くとブロックが来るんだ。カイルや菊地、いい3ポイントシューター持ってるんだから、中行ったら(無理やり)中じゃなくて、中行ったら外ってずっとしゃべってた。今日のあれ(再三の好アシスト)に、喜びを感じてくれればいいかな。そうするとチームはちょっと安定するかな。
後は庄司、吉宗が、使った分だけの何かがないとダメかなって思いますね。水町も大試合、勝たなきゃいけない試合に対するプレッシャーがね。(大舞台での)キャリアがない子だから、もうちょっと度胸を決めてかかってくれればいいと思いますね。
―ウッズには、いつごろからアシストに関する指示をしているのですか?
ずっと、ずっと。マイケル・ガーデナーはそれができなかった。マイケルがいなくなってから、あいつがやりだした。だから、ずっとしゃべってる。しゃべるだけは、ずっとしゃべってる。うん、うん、って聞いたふりだけはするんだ、アメリカ人は。まあ日本人もそうだな。だからそれに騙されないようにやって、それがいい方に向かうか、フン、と思われるか。今日みたいな日(アシストで結果を出した時)にうまくしゃべると、個のほうがスマートだって感じるかもしれない。
ただ、わかりませんよ。カーッとなったらあの人は、何やりだすかわからない。でも今日のような状態になってくれればいいかな、と思いますね。
―勝利を確信したのはどの場面ですか?
うーん、そんなになかったですよ。あのね、確信はしないですよ、終わるまで。まずしないな。確信すれば、もっとゲームに出てない連中を使ってますよ。ベンチを使った時が確信かな。だから、最後まで使わなかったということは、最後までしなかったってことですよね。
―今日はターンオーバーが少なかったですが、評価できますか?
うん。そうですね。昨日は9の中で、マイカルが2、ウッズが4だからね。あれがなくなれば、(全体的な数字も)なくなるってことだよね。日本人は比較的、気をつけながらバスケットやれるようになってきたから。これは大切なことかなと思いますよね。
―庄司選手と菊地選手のどちらかが当たればいいと再三おっしゃっていますが、今日は満足いくような…
ないですねー。庄司は特にまだ。ほんとにね、どこで疲れが取れるかわからないんですよ。ちょっと控えさせておいても練習はするんですよ。休んだ方がいいな、って思っても練習はするんですよ、庄司ってのは。だから、できたら休んでくれたら…。なるべく使わないように、使わないようにする。知らんふりして(ゲームから)外したりするんだけども、練習するんですよねー。それで持ってきた子なんでしょうけど。庄司がもうちょっと自分の体を大切にしてくれれば、良いかなと思うんですよね。
だから逆にいえば、菊地がその分もうちょっと頑張ってくれればいいかなと思うんですよね。菊地にかかる比重が相当大きくなってるんですよね。ぜひ菊地は頑張ってほしいですね。しっかり酒やめてね。だって、見えるとこで飲まないけど、隠れたところで飲んでるって言うから(笑)。これをチクって来るのがいるんだ、おれに。「菊地!」っていうと、Noとは言わないから、やっぱり飲んでんだな。それをやめるようになると、いいかなって。しっかり菊地からお酒がなくなれば。まあつらいでしょうけどね、30で。けど、いってるんだ。「酒をやめるか、シュートを入れるか」って。菊地、どっちだよ、って。だってそうでしょ?普通の人は(バスケットを)やめる。菊地にはたくさんのファンがいるわけですよ。菊地のシュートには。人をこれくらい喜ばすことができる立場にいるんなら、酒ぐらい我慢したらどうだ、って毎日しゃべってる。毎日しゃべってる。「菊地っ!酒をやめろ、シュートを入れろ」って(笑)。ずーっとしゃべってる(笑)。これはね、根気強さですよ。絶対負けない。何回もしゃべってやるんだ。そしておれが勝ちたい。酒やめさして、シュートを入れるようにしたい。そう思ってます。
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菊地勇樹選手
―昨日の試合から修正した点はありますか?
3ポイントであったり1対1のディフェンスってところを。それでもやられたので、これからの課題になっていくと思います。
―勝負を決めた3ポイントは、入る確信はありましたか?
覚えてないです(笑)。
―菊地選手に打たせる作戦だったのですか?
あー、覚えてないです(笑)。
―改めて、能代で2試合戦っての想いを聞かせてもらっていいでしょうか?
昨日今日と加藤廣志先生(能代工業高校の元監督、菊地選手が能代工業在学中の校長)も見に来られてたので、そういった中で2連勝という形で勝つことができました。その中で自分のプレーはまだまだですけども、少しでも見せられたのは良かったかな、と思います。
―庄司選手が不調な中、気負ったりはしますか?
そういうのはないですね。前半戦庄司さんが良くて、自分がベンチにいる時間は今より長かったので、持ちつ持たれつといいますか。
―残りのシーズンに向けて弾みがつく結果でしたか?
チームの雰囲気が本当によくなってきてると思うので、1試合1試合勝ちにこだわってこのままの雰囲気でいけば良い結果はついてくると思うので。引き続き頑張ります。
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リッキー・ウッズ選手
―今日はアシストが多かったことを評価されました。
シーズンを通してずっと同じこと(アシストの重要性について)は言われてきたんですけども、自分がすごくアテンションをゲットできる選手だと言われてきてるので、そういった状況でチームメイトを使うというのを覚えろと言われてきました。で、使った結果がこういう風になったと思います。
―自分の中で、プレーの幅が広がった感覚はありますか?
自分としても、大きな責任を感じています。オフェンスでは、本当に自分でスコアを決めなくてはいけない場面が出てくるので、それを確実に決めるという責任を負っていると信じています。
―HCはアシストの楽しさを覚えてほしいとおっしゃっていますが、楽しさは感じますか?
チームメイトがうまくプレーできると自分はうれしいです。なので、自分はアシストをして、味方がシュートを決めてくれると自分もハッピーになります。ひとりではチャンピオンシップは戦えないので、そういったプレーも必要になってくると思うし、こういった形でチームをアシストしていってプレーオフに進みたいと考えています。