【プレミアム限定】秋田・中村和雄HC 仙台・ロバート・ピアスHC 秋田・水町選手インタビュー(2月11日)

2月11日(土) 秋田市立体育館で行われた秋田ノーザンハピネッツ―仙台89ERSの試合後インタビュー。秋田:中村和雄HC、水町亮介選手。仙台:ロバート・ピアスHC。
(文,写真=宮川 紀元)

仙台89ERS

ロバート・ピアスHC

まず、総括の前に一言。今日、本当にたくさんの方々が会場に来てくださってものすごく盛り上げてくださったので、去年までの「仲間のブースター」から変わって今日は対戦相手としてきましたが、秋田のブースターの皆さんに感謝したいと思いす。それから、マッチョ(水町)、ショウジ、キクチ、ハセガワら去年一緒だった選手たちにも感謝したいです。

あと、昨日チーム全員でタカハシの実家のレストランで食事をして、その中に入っていたきりたんぽやハタハタなどの秋田の料理が選手たちのエネルギーになったのは間違いないです(笑)。
―今日の試合の総括
今日の勝因として挙げるならば、ガードの志村を中心としたボールコントロールが非常に良かったことです。実はこの試合だけでなくここ3試合連続で、うまくボールをコントロールしながらも非常にいいディフェンスができて、いいオフェンスにつながるというパターンが1試合通して出るようになってきたので、そこが一番の勝因だと思っています。個人的には志村、デュークスが良く頑張ってくれたと思っていますし、チームとしても後半戦のポイントを形にできて、成長している証だと思います。
ベンチからの選手たちも、最近の試合では非常に貢献するようになってきました。今日の試合でいえば、日下とトンチニッチがベンチから非常に大きな貢献をしてくれたと思いました。

―秋田の印象はどうですか?
軸となる日本人選手は菊地、庄司というのは今シーズンの流れを見てわかっていたのですが、外国人選手は直近に入ってきた選手もいて、完全に全部スカウティングできるという状況ではありませんでした。どういう選手だか分らなかったので、今日は特に菊地、庄司にやられないようにと徹底して、作戦を立てました。

―秋田の身長が低いことで、やりやすかったですか?
サイズで優っているのでインサイドではアドバンテージがあると思って臨みましたが、(秋田は)機動力と攻撃力が非常に高いので、そのあたりで互角というか、逆にむこうにもアドバンテージがあると感じました。実はリバウンドではもっともっと勝ちたかったのですが2本差でした。むこうの選手たちはサイズがなくてもリバウンドに絡む身体能力とスピードを兼ね備えているので、明日はもうちょっと違う展開になると思いますし、引き締めていかないと非常に怖い部分はありますね。

―今日の試合ではどの部分成長が感じられましたか?
たとえば今日の第3Qは後半の入りからオフェンスが機能しなくて、選手たちもフラストレーションがたまっていたと思います。今までの試合ですとそれをきっかけにディフェンスも甘くなって、どんどん点差を広げられたりだとか、そういうことで負けることもありました。今日はどんなにうまくできなくてもしっかり気持ちを切り替えて頑張ってほとんど得点差が動かないで乗り切ったので、そういうところはすごく成長できた部分だと思っています。

もうひとつ成長した部分と言えば、今日は9人の選手が得点をしているんですけれど、それはみんなでボールをシェアした証でもあるかな、と思います。

―今日の勝利で東北ダービーの優勝を阻みましたが、明日負けると秋田の優勝が決まることは変わりません。明日に向けてどうしていきますか?
負けるということを前提として試合はしていないのでその質問に応えるのは非常に難しいです。まず一喜一憂しないで、1試合1試合臨むしかないと思います。あとは、たとえ秋田が東北ダービーに優勝するとしても、それは明日ではない。また後日、となるようにしたいと思います。

―ホーム開幕戦の連敗の雪辱を果たしましたが。
もちろんその意味はあると思います。キャプテンの志村は本当に負けん気が強く、どこでも負けたくないという性格です。ただ今週は感情的になるのではなくて、しっかりとチームメイトをまとめながらこの試合に集中する、というところでは、キャプテンとして非常によくまとめてくれたと思っています。
前回の対戦は自分たちにとってはホーム開幕の試合だったので、当然その時に負けたことはどの選手も忘れてはいません。非常に悔しい思いをしましたので。ただしそこでも感情的になりすぎると集中できなくなってしまいます。今はしっかり集中して、1試合1試合やっていこうと思っています。

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秋田ノーザンハピネッツ

中村和雄HC

―今日の試合の総括
皆さんが思っている通り、カイルが入らなかった。でもまあ、カイルでいくよりない。カイルと22番(フィッツジェラルド)の得点差がそのまま点差になった。でもしゃあないかな…。
でもこれからもカイルでいきます。難しいところだなあ…。菊地がちょっとディフェンスがあれ(あまり良くない)から、そのところで水町を使うんですよ。でも菊地のマンツーマンは不安だけど、どうせ(水町が)あの程度なら菊地でいいかな、って。もう全部菊地に任せてもいいかな、って。まあ田口はこれから勉強していくでしょう。今日もスターターで出したのは酷だったかな。あの状態でシュート入れて来い、ってのも無理でしょう。庄司は今日もずっと長い時間出ていたが、ディフェンスにしても何にしても考えてバスケットをしてるんで、ひっこめづらいんですよね。
まあゲームプランとしては、すべてがカイルかな。実際に見たことはないんだけど、データを見ると彼はどのリーグにいても3ポイント成功率が40%を下回ることがない。ただもしかしたら、(bjリーグの)ボールが特殊だから、慣れもあるでしょうし。フロアの慣れもあるでしょうし、バスケットの慣れもあるでしょうし。20本は打てと言ってるんだ。20本打つと、4割から5割は入る実績を持っている選手だから。これからもそれでいこうと思っています。

リッキー・ウッズは(回復までに)長いことかかりそうですね。だからきつくなるでしょうけど、まあここからかな。本当はここでカイルがバシャ、バシャといい状態で入れば乗っていくかなと想定したりもしたんだけど。今日に関しては予想外れかな。でも、いく。カイルではいきます。打てるということだから。今日は入らないから(試投数が)12本だけど、入らないからドリブル始めたけど、実際は今日の打つ感じだと20本くらいは打てるかな、って感じはします。カイルがいることによって、菊地あたりも空いてくるんだ、実際は。カイルがいないと菊地も空かない。今日見てると、菊地にはいいシュートチャンス来るんですよね。カイルにみんなが集まることで菊地にチャンスが回ってくるかな、と思っています。ああいう状態であるならば、菊地の3ポイントは生きてくる感じはしますね。ただ、あいつを(ディフェンスで)だれにつかせるか、って問題が出る。

今日は(3ポイントを)30本しか打っていないが、カイルがあと10本打ってくれたら40本になる。こういう状態で40から50本打っていけばいいかな、って思います。

―仙台の方がサイズで上回っていましたが。
最初からああいう感じだと思っていました。ああいうバスケットで、10点から7点の差でいくわけですよ。ああ、こんなもんか、って感じはありますよね。ただ、(自分たちの)シュートが入らなかった。本当はこのメンバーなら80点から90点はほしいですよね。で、それだけは打ってるんですよね。大体、フリースローが入るのが1本ずつだから。シュートが入るか入らないかだなあ、フリースローも含めてね。

―シュートさえ入れば、あの高さはそれほど脅威ではない?
ない、ない。

―時折頭を抱える仕草が見られましたが。
あまりにもシュートが入らないから。また落としたか、って感じで(笑)。何ともしょうがないなあ、打てと言っているんだから。それであの確率であれば。そうだな、シュートだなあ。
ほとんど目立たないけど、マイカルがこれで5ゲーム目くらいかな?ほとんどが15点から18点くらい必ず取るんですよ。だから、これの評価がちょっと低いんじゃないかという感じがするんですよ。今日はリバウンドはダメだったけど。でもマイカルは数字を、いつ取ったかわからない感じで残してくる選手なんで、もしかしたら彼に対する評価が低いんじゃないかって感じはしましたね。
イージェイももうちょっとこう…。今日は怒った怒った。勝って怒ると気分いいんだけど、負けて怒ると気分悪いんだ、実際は。でも怒った。何しに来たんだよ、って。もう相当怒った、アメリカ人プレイヤーに対して。それを水町あたりがどういう風に聞くかだと思うな。言わない、あのくらいになると腹立って。もう、ぶっ飛ばしたいくらいだけどね。ちょっと情けないじゃないですか。あのフリースローにしてもディフェンスにしても。ただ、日本人には触れなかった。今日の負けは全部アメリカ人のせいだということにしてきました。

リッキーがいないバスケットを、違う感じで考えなきゃダメかな。そこでまた、新しいのが逆に出てくればいいかな、って思いますね。

―日本人を怒らなかったのは、怒るにも値しないということですか?
もうちょっと時間あれば怒ってたけど。アメリカ人怒ってたら時間なくなっちゃった(笑)。

―明日は絶対に負けられない試合だと思いますが、どのあたりを修正したいですか?
いやー、わからないなあ。負けるかもしれないなあ、ゲームってのは。負けられないとは思ってないね、まだ。まだ思ってません。そりゃあ今日も勝ちたいし、明日も勝ちたいけど、気持ちの面というよりプレー面でどうするかが問題です。

―10月の対戦から、仙台の変わった面などは感じましたか?
あのー、ないんだ。仙台がどうというより、こっちのあれかな。

また(話が)戻れば、カイルだな。あのくそたれが(笑)。だってずーっと(3ポイントが)40%、どこ行ってもあるんだから。大学出てフィンランド行った時なんか、1月まで60%以上もあった。それがなんか、腹立つな。それでなんか、寿司が好きだとかなんとか。寿司食いに来たわけじゃないだろう、って言いたいんだけど、ほんとに(笑)。もうカイルだな、カイルだと思います。いつか入るか、いつか入るかとずーっと思い続けてたけど、最後までだまされた。でもしゃーないかな、これは。

―試合前にここからがスタート、という話がありました。カイルは今日は不調でしたが、柱にしていくという確信はあるんですか?
ある。あれだけ生意気であれば。ひとつひとつ(動作が)うるせー、ってんだ。あんなことしてないでシュート入れて来い、って。カイルでいくかな。カイルでいきます。カイルでいくということは、逆に言うと菊地や庄司にチャンスがある、ってことが今日分かった。菊地と庄司はノーマークであれば入れる力がある選手だから。
ただちょっとなあ、田口はしごかないとなあ。走って帰したいな、ああいうのは。ああいう若いのは雪の中、短パンはいてな(笑)。ほんと腹立つな。もうちょっとな、いいとこ見せないとな。なんか新聞見たら、えらそうなこと言ってるじゃないですか(笑)。「努力の人」って、バカ言ってんじゃねえ、って(笑)。

でも頑張る。外国人も含めて、怒れるんだ。怒れるってことは、勝たせる義務が生じてくるんだ。だから頑張る。めげないで頑張ります。

―キアースの評価が低いというのは、だれの評価ですか?
おれおれ。おれがマイカルをもうちょっと評価してもいいかな、って。煮え切らない時もいっぱいあるんだ。自分で判断してホイッスルなる前にルーズボール追っかけなかったり、ガードとしてはボーっとしてるんだ。なんとなくピリッとこなかったんだ。けどスタッツ見るといい数字なんだ。確かに、シュートも入るようになってスピードも出てきたとは本人に言ってたけど、二十何分しか出てなくて、スタートも落としたわけだから。だから彼に対する評価が、もうちょっと高くてもいいかな、って。おれがね。なんとなくこうね、(イメージに)フィットしないんだ。

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水町亮介選手

―今日の敗因は何だと思いますか?
出だしから向こうに中外、高確率で決められたので。
…うーん、何ですかねえ。具体的にこう、思い浮かびませんけど。やってて、追い上げてた時もありましたし、自分含めてフリースローとかイージーシュートを外し過ぎて、そこを向こうは決めてきてたので。その差も出たかな、と。

―身長が圧倒的に違いましたが、やっている側としてはどうでしたか?
そこはもともと、低いのは分かってますし、スタッツを見てもリバウンドはほぼ変わらないので。でもインサイドでも出だしから決められてたので、練習してきたことがうまく生かせなかったな、と。

―仙台のピアスHCとは久々の再開でしたが、どんな印象でしたか?
(仙台に)行ったばかりではなく、シーズンも終盤に入ろうとしているので、そんなに違和感はなかったです。最初(10月)アウェイ言った時には、向こうに行ったばかりなので違和感ありましたけれど。年も明けましたし、そこは特にはありません。

―中村HCは今日は外国人だけを怒ってきたと言っていましたが、それを聞いている日本人選手はどういう気持ちでしたか?
僕らにもやっぱり責任があるというか。菊地さんだけは3ポイントを高確率で決めたと思いますが、自分も仕事できなかったな、と。決して外国人だけのせいではないと思います。

―ようやくメンバーも固まりましたが、これからブースターに対してどういう風なチームを見せていきたいですか?
それはもう最初から変わらないです。1試合1試合全力で戦って、目標の有明に向かって。しっかり子供たちのお手本になるというか、外国人が変わっても根本は変わらないので。中村さんが言う通り、小さくても勝てるようなチームを見せて生きたらいいな、と。ナショナルチームも海外に行けば小さいので、小さくても勝てるんだというお手本を見せたいです。

―新しい選手はフィットしてきていますか?
練習ではだいぶフィットしていますが、カイル選手も試合は今日が初めてなので。まあこれからというか、1試合1試合の積み重ねですね。

―東北ダービーの優勝はチームの皆さんは意識していますか?
そんなたぶん、みんな意識してないです。この試合、今日は今日、明日は明日っていう。毎試合毎試合、毎練習毎練習です。

―シュートが入らない時に、どうやっていきたいですか?
中村さんには聞かれました?…うーん、僕はコーチじゃないんでよくわからないですけど、平面の動きじゃないですかね、まずは。水ものであろうともうちょっと確率を上げて、ノーマークを作るとか。小さいなりの戦い方を。

―明日、リッキーが出られないかもしれませんが。
またインサイドの厚みがなくなりますが、元々小さいので。そこは全員でリバウンドとって、速い展開で外を決める、ハピネッツのバスケットをやりたいと思います。