12月4日(日) JBL2 西宮市立中央体育館で行われた兵庫ストークスvs黒田電気ブリットスピリッツ戦の試合後インタビュー。試合後のインタビューは兵庫、BTテーブスHC、松崎賢人選手、谷直樹選手。会見終了後、兵庫ストークスからJBL加入審査申請の発表と質疑応答。
(文=金澤 朱志)
兵庫ストークス
BTテーブスHC
―開幕戦に負けた相手に快勝ですが、いかがですか?
開幕戦の時はいろいろあった。うちのほとんどの選手にJBL2の経験が無かったことと、チームが出来てなかった。みんな自分の役割が何か、というのが無かった。うちのチームは最初からそんなに強いチームでは無かった。うちは本当にちょっとずつ強くなったと思うんですよ。本当にこれからという感じ。
―開幕の試合で84点取られた相手に今日56点に抑えたディフェンスはかなり評価出来るのではないでしょうか?
その通りです。最初からフォースレフト(force left)のディフェンスをしようと思って、フォースレフトは使うけど、その上にいろんなトラッピングシチュエーションとか使ってます。それで5人の選手がひとつの紐にくっついてしまっているように出来るまでは結構時間がかかります。出来たというのは無いけどそろそろですね。みんな同じ事を考えていると思う。今日観てもらった通り、オフェンスにはそれはまだ無いです(笑)
―2Qは8点しか取れずに3Q早々にタイムアウト取られましたよね。あそこからゲームの流れが変わったと思うんですが、あそこの指示とコーチにとってはどういうポイントになりましたか?
いつもの状態です。あまり変わらない。22点取ったら次のクォーターでは8点しか取れない状態。みんな、この経験があります。点を取ることは勇気が必要。自分がボールをもらってジャブステップで何かをやらないといけない。うちのパターンはボールもらってジャブステップで次の人にパスをする、次の人も同じ事を繰り返す。オフェンススキルと勇気を出さないといけない。自分で何かをやらないといけない。松崎君(松崎 賢人)はそれが出来ています。彼がいないとオフェンスはちょっと大変。1クォーターと3クォーターで3つのファールですぐベンチに下がっていたから、その変わりに強司君(長尾 強司)が入ったんだけど、彼はボールを守ることは上手だけど彼の欠点は攻めること。彼は自分の欠点のことをよく知っています。練習で頑張ってます。
―井上ジョナサン選手のオフェンスリバウンドでチームにエナジーが入りましたが彼への評価は?
彼は今日は本当に良かった。今シーズン最高のパフォーマンスだったと思う。今シーズン最初から今まで私からジョニー(井上ジョナサン)へのメッセージは一緒。ディフェンスに集中してリバウンドを取りに行って、オフェンスは必要無い。何かあったらオフェンスリバウンドをプットバックしてくれて助かるけど、その必要は無い。そのディフェンスとリバウンドの役割をちゃんと出来てくれたら、もっとプレータイムが増えると思う。やっと今日そのメッセージが彼の耳に届いたみたいです。エナジープレイヤーです。
―彼の能力からするともっと出来る印象ですか?
とりあえずディフェンスとリバウンドで十分です。点を取ることはまだですね。もっとオフェンスのスキルがレベルアップしないと。彼はプロ経験あるけどプレータイム無かったから僕の考えでは彼はルーキーです。
―谷(直樹)選手が最初のほうなかなかシュートを打たないイメージがありますが?
谷君は今シーズン、今が一番大変だと思う。シュートの確率がとても低い。でも彼はうちのシューティングガード。元々の彼の精神的な問題で、僕自身も現役のプロ選手時代に同じことがありました。ひとつのゲームがダメで次のゲームもダメだと、ちょっとずつ自分の自信がなくなります。多分それが彼の今の状態です。でも最後のほう良かったから、そこから自信をもって(やってほしい)。ビリー(ウィリアム・ナイト)が入ると彼が2、3番ポジションをやる。彼と高松君(高松 英二)はベンチから(出場する)。でもスコアリングのプレッシャーは彼と高松君にはかけられないから、それはビリーの役割。そうなることでちょっと楽になるかもしれない、あの二人が。本当に今シーズンで一番大変なところはシューティングガードです。
―後半に入るにあたってオフェンス面ではどういうアドバイスをしましたか?
わたしはいつも同じです。いろんなオフェンスをやってみようとしてるけど、うちのオフェンスは無いです。今日はこのオフェンス効いたから、これを使おうとか。でもあと少し松崎君にはボールを触って欲しかった。もっと最初から。全部彼のペネトレーションから良いことが出てくるでしょ?
―松崎選手にもっとボールを触って欲しいということは本人は言ったんですか?
ハイボールスクリーンをしなさいと言ったんですよ。そこからいろんなチャンスが生まれた。彼にはオフェンスの勇気があるし、彼は絶対攻めるんですよ。攻めたい気持ちと自信が十分ある。
―ディフェンスに関して相手はペネトレイトしてキックアウトからシュートが多かったですが、それに関しては?
開幕戦に比べると3Pの確率が今日はそんなに高くなかった。開幕戦は外からやられた。ハーフコートディフェンスは何かを許さないといけない、全部は止められないから。だから今日はミドルシュートを打たせた。
―ある程度打たせても良いという考えですか?
そうです。3Pの確率が高いのは黒田電気の強いところ。多分リーグでも1、2を争うぐらい。最近向こうはスランプがあるんですね。でもそういうシューティングスランプは急に消えるんです(笑)
―次の試合からナイト選手が入りそうですが、どういうふうにチームを組み直していきますか?
ビリーは先週一緒に練習してくれた。彼がスターティングファイブに入ってくれるとすごい安定する感じ。これからプレータイムが欲しい選手は練習で何か良いとこを見せないと。これがプロバスケットボール。これはクラブバスケットじゃないから。特別にビリーのためのオフェンス・ディフェンスをするつもりは無い。ビリーはプロフェッショナルだし彼は自分の道を見つけると思う。
―ナイト選手が入ることによって彼の経験が若い選手たちに伝わると良いと思いますがどうですか?
何も言わなくても練習で見えます。もちろん選手全員、うちのチームに新しい外国人選手が入ってくることは嬉しい。けれど僕が選手だったらあまり嬉しいことは無いですね。自分はプレータイムが欲しいから。「ビリーは僕のライバルだ」という考え方が一番良いと思う。仲良いけどみんなライバルですよ。うちのチームはそのことについてはまだプロじゃない。みんな友達。
―そういう意味では良い刺激になりそうですね。
そうですね。一人か二人はそれをわかってるみたいだけど、他の選手はなかなかわからない。やっぱりJBL2の選手ですよ。僕の選手時代は毎回どんな相手がいても、みんなライバル。チームメイトもライバル。そういうふうにプレーした。それが一番楽だと思うんですよ(笑)
―逆にストークスにとって一番欠けているのはチーム内でのアグレッシブなところだと思いますがどうですか?
そうです。あとはやられた時にすぐに落ち込まないように。バスケットの流れの中であることだからしょうがないんだと。今まではやられてしまうと何もできない状態だったけど、今日とその前の試合で少し変わったと思う。精神的にちょっと強くなったと思うんですよ。
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(写真:会場にはウィリアム・ナイト選手の姿も)
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松崎賢人選手
第1Qは調子が良くて点も取れてたんですけど、第2Qは自分たちのオフェンスが崩れてしまった。ディフェンスはそんなに悪くなかったんですけど。こうした2Qに点が取れない場面が結構多いのでここは直していかないと来週から苦しいと思います。
―崩れてしまったというのは具体的にはどういったところですか?
1Qは足が動いていたんですけど相手のディフェンスがきつくなったときに足が止まってしまったのが2Qの悪いところ。3Q、4Qでそれが立て直せたのでまだ良かったです。
―悪かった2Qを経てポイントガードとしてどういったところを意識しましたか?
前半はペネトレイトが少なかった。ハーフタイムに監督から上(高い位置)からもっと攻めろということだったので3Qからそうさせてもらった。それがチームには合ってるかなと思うんで、そういうのをどんどん増やしていきたい。
―第4Qもそういうことを意識して、まず姿勢を見せるんだというところはありましたか?
前半初めのほうは周りに頼ってしまって行かなかったので、そうなるとずるずると自分でも攻めるタイミングがわからなくなってくる。とりあえず初めに攻めてリズムを掴みたかったです。ひとりがそういうプレーをしたら周りも応えてくれて足も動いてくるので、そういうことを今回気付けた部分があるので次に生かしたいです。
―なかなか連勝が続かないですが新しくウィリアム・ナイト選手が入ってくる中で、どういうことを意識してますか?
来週洲本で試合があるんですけど、そこで外国人選手に頼ってしまうと今までと変わらないと思う。オプションのひとつとしてナイト選手を使うことを心がけていきたいです。
―10試合経過しましたがJBL2というリーグには慣れましたか?
1週目は対戦相手がこういうことをしてくるというのがあまりわからなかったですけど、1週終わってチームの特徴とか試合中の流れとか身体の当たりとかも結構慣れてきたので勝負はここからだと思います。来週からまた気を引き締めて頑張っていきたいです。
―ポイントガードというポジションでチームの全体が見えると思いますが今のチームの課題はどこですか?
外からの3Pです。1本入ると入り始めるんですけど、その1本がなかなか出ないので試合の初めの1本はもうちょっと決めていかないと厳しいと思います。
―ストークスの強みはどこですか?
流れが良い時は足が動いてディフェンス頑張って、そこからファーストブレイクという形。そういうのを増やしていきたいです。
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谷 直樹選手
―個人的に今日の出来は?
前半はエアーボールとかあって決めることが出来なくてハーフタイム中にコーチに「決めて」って言われたので、後半しんどいところで決めてチームを助けることが出来たのでそこは良かったと思います。
―3Qと4Qでシュートに差があったと思うんですが、何か意識したことはありますか?
監督に怒られて自分としても不甲斐なかったし悔しかったので、出来るというところを見せてやるという気持ちになれたから積極的にシュートが打てるようになったと思います。
―2番ポジションにビリー・ナイト選手が入りますがそれについてはどう思いますか?
やっぱり上手いですし経験もあるので一緒にプレーできるのは僕にとって良い経験になると思う。自分のプレータイムが少なくなるかもしれないですけど、そこを勝ち取っていかないと。今後の僕のキャリアを考えるとああいう選手とやっていかないといけないと思う。そういう点では楽しみというか良い練習になってます。
―4Qのファールもらいながら決めた3Pはビッグプレーでしたね。
ありがとうございます。
―かなり気持ち良いプレーじゃないですか?
やっぱり会場も多くのお客さんが入ってくれて、そこでああいうプレーが出来て沸いてくれたのですごい気持よかったです。
―そのシュートが出る前に2点差まで詰められましたが、その時にどういう役割を考えてましたか?
ディフェンスの時にリバウンドを取れてなかったのでそこに自分もしっかり絡んで相手にセカンドチャンスを与えないということと、オフェンスでは点差がどうであれ点を取るのが仕事なので打てたら打つという気持ちでやってました。
―ハーフタイム、コーチにはどういうふうに怒られたんですか?
外が入ってないから流れがしんどいと。外が無かった分、リュウさん(劉生 琢行)が活躍しててそこを潰された時に外がうまく回らなかった。リュウさんの負担がかかっていた。前半に1本でも決めていればもっとリュウさんも楽になったと思う。
―シュートを打つためにボールの貰い方を変えたりなど、どういうところを意識しましたか?
前半はリュウさんが攻めれていたというところでゴールを見るという姿勢が無かった。後半は切り替えてボールを持ったらまずリングを見るという基本的なところが出来るようになって、それがうまく回ったと思います。
―点を取れない試合があって苦しい時もあったと思うんですけども、その中での今日の試合は谷選手の中でどういうふうに?
ここ最近点取れてなかったからチームに迷惑かけてた部分が多かったのでそれは取り返せたのが良かったところと、開幕戦で黒田電気とやってその時も全然点取れなくて悔しい思いをしたので今日はその借りを返すことが出来て良かったと思います。
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HCならびに選手へのインタビュー終了後、兵庫ストークスよりJBLへ加入申請をしたとの発表があった。
田中浩一代表取締役
JBL2に参入して今年なんとかチームを立ち上げてシーズンを始めてるんですけど、来年の目標をどこに据えるのかということをずっと考えてまして、実際のところ6月の時点でJBLへの加入申請は出し終わっていたんですが、チーム事情を正直に言いますとスポンサー獲得という部分でかなり苦戦するのが6・7月と続いた。実際のところJBLの審査を受けることが出来なかった。数字も伝えることが出来ない状態で審査が止まっていた。その状況の中で、何とか開幕を迎えられるところまで来てメインスポンサーさんを初め、いろんな方が来季へ向けての支援を強く願って頂くことによって、12月1日付でJBLのほうに再度来季からのJBLへ上がることの申請を出しました。以降につきましてはJBLの審査になってくると思うんですけど、うちとしては来季JBLへ上がるという目標をしっかりと据えて、今シーズンは戦っていくことを皆様へお伝えしておきたいということになります。
以下、記者の質疑応答。
―審査を受けるにあたって条件面や準備があると思いますが審査を通るだけの準備は出来ているということですか?
運営面でも今日は1500人弱のお客さんに来て頂いて、改善点は多々あるんですけどJBLへ上がっても十分な運営をしていける自信と評価は頂いてると思います。あと数字の部分につきましても来季を乗り切っていく予算の部分でも今の皆様とスポンサー様のおかげと、あとはお客さんがしっかり集まって頂けるということで、来季の予算の粗方の方向性が見えたということになります。
―再度申請というのはどういうことなんでしょうか?審査が出来なかったかというのは一旦取り下げたということでしょうか?
取り下げたということではないんですけど一度出してJBLの審査の段階に載る手前までは行っていたんですね。じゃ、これをどう審査していくんだという時点で、「どうですか?大丈夫ですか?」という確認について、うちが嘘をつけなかったので、一旦待ってくださいと。今の数字だと来季についてやっていく数字には達していない。6月に出して7・8月に審査をする予定だったんですね。その頃に数字が出なかったので現状では審査を受けるに値しないというところで留保してもらっていた。そこを遡ってやってもらっても良いんですけど新たなステップとして12月1日に再度申請を出し直して頂いたということになります。
―リーグの側から特に再度申請をしてくださいというところではなくてですか?
無いですね。うちのほうからけじめとして12月1日付でっていうことで。そうしないと来季のある程度のことはリーグのほうで決まっていると思うんですね、スケジュールであったり。その中で出させてもらうにあたって、「前のやつ出してるから何で審査してくれないんですか?」というのも失礼な話になるので12月1日にさせてもらった。
―これからの審査などのスケジュールはどういうふうに流れていくんでしょうか?
今のところ出したところなので今後JBLの方、実行委員会であるとかそういうところで話し合って頂いた上で、こちらから出すものを出していって審査を受けて正直に伝えていくということになります。なのでスケジュールはまだ全然出ていません。(来年)3月を目処にやらないとどうしようもないので。とりあえず年内に節目は来ると思うんですけど、少なくとも3月の末の時点で来季どちらに行くのかというのを出してもらおうと思ってます。