11月27日(日) 秋田県立体育館で行われた秋田ノーザンハピネッツ―浜松・東三河フェニックスの試合後インタビュー。浜松:河合竜児HC、大口真洋選手。秋田:中村和雄HC、リッキー・ウッズ、水町亮介選手。
(文=宮川 紀元)
浜松・東三河フェニックス
河合竜児HC
―今日の試合の総括
まず正直、うれしいの一言です。十分カズさんのことを分かっているので、昨日の試合の後のカズさんの状態や、秋田の選手の今日の試合への入り方は想像がつきました。やはり、そこがうちと秋田のチームの違いで、さすがカズさんの選手だなあ、という風に思いました。
実際ファウルトラブルが起きて、今日はもうだめかなと何度も思ったんですけども、そんな中で何とか繋いで最後こういう形で終われたことはすごくうれしく思います。
―勝因はどこにあったと思いますか?
我慢できたことですかね。秋田の選手たちは相当の決意で臨んできました。(自分の選手には)秋田の覚悟は半端じゃない、という話はしました。当然去年からいる選手はカズさんのことを知っているので、どういう状態になるかはわかっていました。
ゲーム前に、「今日は我慢比べだ」と言いました。受けて立てばそのままゲームは終わる、中途半端な気持ちで臨むな、と。実際にファウルトラブルになっているということは、受け身に回っている証拠なんですよ。けど、そこで5つめを犯さなかったということは、僕の言ったことが少しでも頭にあったのだと思います。
―試合前、カズさんと話したことはありましたか?
昨シーズンまでカズさんが使っていた、冬の練習用のフェニックスのコートがあるんですよ。それを受け継いだといいますか…。「これをお前にやろうと思って。これはゲンがいいから。」ということで、譲り受けました。受け継いだという表現が一番合うと思うんですけど。
その時に、「今日も頑張ろうな」ということで、握手を交わしました。
―浜松に関して、「いいチームになった」などの感想はおっしゃっていましたか?
予想はしていたんですけど、特別そういうのはなかったです。多分、そんなところで褒めてしまえば僕らが調子に乗るでしょうし、カズさんからしたらまだまだだな、というのは僕も思いますし。
まだまだすごい先の話ですけど、やはり気持ちとしては、うちと秋田でファイナル4へ進めたら一番いいな、と思います。
―昨日の記者会見で中村HCは、「敵ながらあっぱれだ」と言っていました。
そうなんですか?
あ、ただ一つだけ試合前に、「集中すればあんなに3ポイントって入るんだな」とは言っていました。ただあれは僕がどうこうというのではなく、選手たちがカズさんが相手だから集中したと思います。昨日は、カズさんの力が逆に伝わってしまったというか。うちにとっては本当に、なんかカズさんが戻ってきたら当然また優勝できそうな雰囲気ですもんね。
でもやっぱり、怖いですね。カズさんが移ってたった数か月で本当に(秋田をこんなに強くするとは)。カズさんにつかえて10年以上ですが、改めてすごいな、と思いました。
―去年も秋田を見ていて、たった数か月でこんなに変わるとは、と思いましたか?
そうですね、変わることは分かっていましたけど。先の話をしたらあれですけど、もう絶対秋田がプレーオフに来るのは分かっていたんですね、僕らは。それはもう当たり前だと思っていたんで。ただ、シーズンを消化しながら(徐々に力をつけて)勝っていくのかな、と思っていたところが、開幕から去年のうちのような状態で入ってきたというところでは、まだまだ僕らの読みが甘いというか。カズさんの力は、全身のOSGの時からつかえてきてわかっていたつもりですけど、(秋田を)いきなり首位を走るチームに変えるとは。僕もまだまだ甘いな、と。
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大口真洋選手
―中村HCのもとでプレーして何年くらいですか?
13年ですね。
―中村HCとの対戦ということで、どういう思いで臨みました?
すごい楽しみで来ました、こっち(秋田)に。ワクワクするような気持ちで。「ダメになったなあ」とか、そういうことを言われるのを気にしてたわけじゃなく、本当に楽しみで来ました。
―実際に戦ってみて、秋田の印象はどうでしたか?
いやー、強いですね。マイケル(ガーデナー)がいないのにこういう状態なので、次戦うときはさらに気を引き締めなくてはいけないな、と思いました。
―中村HCには何か言われましたか?
ちょっとしかしゃべってないですけど。この後話せればいいな、と思いますけど。
アップの時に、「どんな感じだ?」と声をかけられました。
「全然大丈夫ですよ。」って感じで。ただ、「カズさんのベンチの前でシュートを決めるのが僕の夢なんです。」ってことだけは言わせていただきました。
僕は僕らしさが出せたと思うんで、満足しています。
―やりづらさはなかったですか?
ん~…。確かにそれはありますね、僕らの弱点もよく知っていますし。けれど逆に僕らも、「カズさんはこうやってくるんじゃないか」ってのを去年いたメンバーみんなで話し合ってきたので、そういう面ではどっちもどっちかなって感じはします。
ただね、カズさんは僕らが予想もつかないことをやってくるんで、次はまた作戦考えてくるんじゃないかと思います。
―そんな中で、勝てた要因はなんだと思いますか?
本当に全員がいい集中の仕方で試合に臨めました。普通の試合よりも、選手一同、スタッフも含めて、プレーオフを戦うような意気込みで臨みましたので。その辺が勝因かな、という感じはします。
―カズさんの激を、違うユニフォームで聞きながらプレーするのはどうでしたか?
思ったよりもこっちのベンチには聞こえなかったな、と(笑)。ただ、最後にEJ(ドレイトン)とか、水町がフリースローを落としてたじゃないですか。「これはやられるぞ」とかベンチで言いながら見てました。「ああ、やっぱやられてる」って(笑)。
ああいうところをしっかり引き締めてくる方なんで、よそのチームにはなりましたけど、そういうところを見習いながらやっていきたいと思います。
―河合HCが、「カズさんだから選手の集中力が高まったのではないか」とおっしゃっていましたが。
ああ、たぶんあったと思います。口に出さずとも、態度でわかるくらい気合が入っていたと思うんで。
―ありがとうございました。
ありがとうございました。
(去り際に)わあ、すごい(報道陣の数)ですね、本当に。すごいいい雰囲気ですね、秋田。びっくりしました(笑)。またよろしくお願いします。
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秋田ノーザンハピネッツ
中村和雄HC
―今日の試合の総括
結論から言うと、なんかくれてやったような(試合)。フリースローが24/44?
リッキーがいろんな事やってミスったけど、(プレーの中心は)リッキーばっかりなんですよ。運動能力を持って、暴れるのはリッキーとガーデナー。後の3人(の外国人選手)は穏やかで、バランスが取れているチームなんです。
ただね、EJ。離せるところでフリースローが入らなくて、ディフェンスをやらなくて、バスケットカウントやられて、テクニカルファウルとられて。それで一気に追いつかれて。
EJ、スタン(オシッティ)、テリーに言ってやった。「お前らはバスケットやってきたのかい?」と。今日のビデオをアメリカの友達に送ってやったらどうだ、と。「ああ、これでやれるんだったら俺も来るよ」って言うぞ、お前のお金の半分だって来るぞ、って。
多分プロとしてのハートがないんだ。ハートが強いほうが勝っていくんだ。
女々しいなあ。今、あれだけ弱い女の子はいないなあ。それくらいヤワだと思う、あのハートは。
今、自分の体育館がないのが悔しい。体育館行って、真夜中まで練習したい。あいつらをしごきたい。ないのが悔しい。
ずーっとあの3人(ドレイトン、テリー、オシッティ)を怒っていた。目いっぱい怒ってやった。おれはそういうコーチだから。
相手がすごかったという負け方ならあり。でも、てめえらで相手から給料もらってるような負け方はダメ。ダメ。おれには、あいつらは敵のまわし者にさえ見える。給料もらったらもらった分だけ働くのが、世の常だから。
こういう負け方は経験ないな。だから、どう収めていいのかちょっとわからない。それくらい腹立ってる。人が入るが入るまいが、ホームで2連敗はbjで初めての経験。だからきっと、おれとあいつらではレベルが違うんだ。
相手にはリッキー・ウッズ(と同じように活躍した選手)が3人いたんですよ。アーノルド、ディクソン、パーマー。3人をウッズが1人で相手したんですよ。だから上等なんだ。だから最後(のミス)も上等なんだ。5対1でも行けって。他の3人(ドレイトン、テリー、オシッティ)は黙って待ってなさい、って(感じ)。マイケル・ガーデナー様が戻って来るのを待ってなさい。そんなもんなんだ、きっと。
よくおれはね、気分悪ければアメリカ人は切るっていうんだ。切らない条件じゃないんだから。ただ、会社もね、「お願いだから、もうほどほどに…。」って言うんですよ。けどルール違反じゃないから。これだけ言って奮起しないと…。
いつも練習は1時から5時まで体育館をとるんだ。日本人よりも外国人は練習から上がるのが早いんだ。日本人よりは高い金をもらってるんだ。それを、相当な勢いでしゃべってきた。今日見た人はみんな思うよ。あれで金もらってんのか、ってきっと思う、って。
水町が大口にやられたプレー(スティール)も同じですよ。要するに、勝つということがまだわからないんだ。
自分のやっていることより、おれの言うことが正しいんだということが、まだあのガキどもは分からない。人の目を見て話を聞け、って。まだその段階なんだ。これを一つ一つ、絶対に退治しなくちゃダメ。やるかやめるかなんだ。
勝ったことないくせに、従わないんだ。勝ったことないなら従えって。おれは勝てる監督なんだから。おれは監督、あいつらは選手。なんか新聞とかで、アホみたいなこと書くやつがいる。「この選手とこの監督は合わないんじゃないか」とか。バカヤロウ。立場が違うわけよ、全然。選手が何を思うとか、ないわけよ。考え方のすべては監督なわけよ。だから最終的な勝ち負けはおれだよ。何よ、合う・合わないとか。関係ない、合わせるんだよ選手が。こんなの当たり前じゃん、これをわからない人がいる。書けばいいってもんじゃないじゃん。
残り5分くらいの時に完全に流れが来たんだ。「おっ、いける」と思った。それであのフリースローじゃないですか。これだけは手が出せないじゃないですか。本人だけの問題じゃないですか。
これだけひどい、「勝ちたくない、勝ちたくない」って自分でやってるようなゲームは僕の経験では初めてですね。
次の沖縄は、僕のイメージからすればもうちょっと強い。ガーデナーが戻ってくることが、この状態では(勝利の)条件かな。はっきりわかった。
※時間的な問題で、この日は記者からの質問の時間は設けられませんでした。
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リッキー・ウッズ選手
―今日のゲームを振り返っていかがですか?
チームとして、うまく機能できなかったです。こうすればよかったのに、というところがたくさんあります。プレッシャーに押し負けてしまいました。
―ご自身のプレーはどうでしたか?
個人的には、良いも悪いもないです。強いて言えば、悪いです。チームが勝てなかったからです。結局、チームが勝つか負けるかが全てなので。
―初めてのホームゲームでしたが、この大観衆の前でのプレーはどうでした?
とてもたくさんのファンの方々が来てくださったので、驚いています。とともに、とても感謝したいです。ですが、負けてしまって悔しいですし、ファンの皆様には申し訳ないです。来週こそは同じようにファンの方々の前で、勝ちたいと思います。
―浜松と秋田の違いは何だと思いますか?
2つのチームを比べるというよりも、やはりバスケットボールというのは、より多くのミスをしたほうが確実に負けるというゲームです。今回はチームとしても個人としてもターンオーバーがたくさんあったので、それが敗因だと思います。秋田も浜松もいいチームなので、ミスが多いほうが負けます。
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水町亮介選手
―今季初の連敗ですが、どう受け止めていますか?
すごく恥ずかしいことで、悔しいです。
―何が敗因だったんですか?
フリースローとターンオーバーが…。向こうは、ほしい時にしっかり決めてくるっていう、連覇してるだけあるなって。見せつけられたっていうか。
―チャンピオンと秋田の違いは?
勝負所をしっかり押さえていました。メンタルから来てるかもしれないし、優勝してるって自信かもしれないし。僕らも連勝はしてましたけど…。なんですかね…。
―そういう気持ちの強さを身につけるために、来週も強豪とも対戦ですけど、どう臨みますか?
まずは練習を。
浜松も去年は負けたら試合の後、夜11時くらいまで練習してた、っておっしゃってたんで。メンタリティから、もう一回1からやり直しです。強い気持ちを持ってやっていきたいです。
―今日は3000人を超えるブースターの声援がありましたね。
なおさら勝ちたかったですし、悔しいです。…次また、来てほしいですね。