11月20日(日) 埼玉県さいたま市記念総合体育館で行われた埼玉ブロンコス対富山グラウジーズ、試合後のインタビュー。富山グラウジーズの下地一明HC。埼玉ブロンコスはナタリー・ナカセHC代行、北向由樹、寺下太基、原口真英選手。
※今回のインタビューの質問は全てバスケットボールナビ。
(文/定山 敬)
埼玉ブロンコス
ナタリー・ナカセAC
―今日の試合を振り返って
今日はチームディフェンスが非常に機能したと思います。スタッツでも17個のスティールに成功しましたので、本当にディフェンスが機能したといえます。
モチベーションと戦う気持ちを保ち、個々の選手たちが自分たちの役割をしっかり果たしてくれたので、良い結果が付いて来たと思いますし、その結果にも満足しています。
プレイオフ出場するチームには二桁得点する選手が最低限4人は必要だと思っています。そのゴールを目指していく為にも8人の選手が平均得点で二桁出来るようにしていく必要があると考えています。
もう一つ付け加えると、原口がチーム1のリバウンド(7本)を取ったことは特筆すべきですし、コートの上でどこにいるべきか何をするべきといった判断も素晴らしかったと思います。
―今日HCの代行することになった事をいつ聞きましたか?
昨日です。試合後ですね。
―その事を最初に聞いた時に何を思いましたか?
沢山の事が頭をよぎりました。興奮や緊張などですね。選手や、チームスタッツ、ブロンコスという家族がサポートしてくれたので、楽にゲームに入っていくことができたと思います。
―今日、選手に最初にかけた言葉は?
特にこれ、という言葉ではなく、選手たちはプロフェッショナルですので、試合への準備が出来ているかなどを話しました。
―あえてスモールラインアップ(センターのヒューズを外してハンフリーを起用)にした意図は?
速いチームにしたかったから。富山は非常に大型のチームですが、4メンアウト(センターのみインサイドで4人はアウトサイドでプレーする)を多用するので、スモールラインアップでも対応可能だと思いました。
―昨日はPGの水戸選手に起点を作られていましたが、今日は何か対策を立てたのか?
北向自身が一番その事を理解していると思いますけど、昨日の失敗を取り戻す努力をして、それが成功したことだと思います。
―仮説として聞いて下さい。今後も采配を振ることになった場合も今日のようなスモールラインアップにするのか?
それは言えません。もしかすると次戦の滋賀に伝えるかもしれないので言いません(笑)
マッチアップする相手次第だと思います。その中でefficiency(効果的な策)を考えていきたいと思います。
―自分たちのバスケを全面に出すのではなく、相手に合わせるバスケをやっていくということでしょうか?
全てはスカウティング次第だと思います。大切な事は強いハートをもった選手をコートに5人出場させることで、今日のような結果に繋げることが一番大切だと思います。あとは練習でどう機能させるかという問題もあります。
―試合直後に選手たちにかけて言葉は?
素晴らしい仕事(Good Job!)したと選手には声をかけました。
選手たちの働きには本当に感謝していますし、試合前のミーティングでも言いましたが、今我々が置かれている状況や順位を理解して、目指すべきゴールは何処なのかを再確認しました。
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寺下太基選手
―ヘッドコーチの出場停止もありましたが、選手間で何か話あったのか?
出場停止とかそういう事での話は特にしていません。コート外で起きたことはスタッフやフロントに任せて、我々は選手なので、選手はコートの上での事だけを考えて、明日に向けて切り替えていこう事だけを話し合いました。大敗したので明日は絶対に勝つということだけですね
―昨日は相手の城宝、水戸選手に多くの得点を許したが、修正した部分は?
昨日は出場している選手たちのフロアバランスが非常に悪く、インサイドはミスマッチになり、アウトサイドはスピードについて行くことが出来なくなっていました。インサイドで押し込まれて、今度はアウトサイドの選手がヘルプに行くと、3Pシュートを打たれ、対応が全て後手後手に回った感じです。特に第2Qは圧倒的にインサイドを制圧されたので、ゾーンディフェンスを変えようが関係なかったです。その部分を修正しようと皆で話はしました。今日は第2Q、ヒューズが頑張ってくれました。一人大きい選手がいるとその存在感だけでも助かることがありますし、流石に第1Qのスモールラインアップだけでは40分間保てないので。
―そのスモールラインアップが第1Q的中した感じもありますが?
負けた試合の多くが前半と後半の出だしでスロースタートになることが多かったので、その分をHC代行は変えたかったのではないかと思います。オフェンスもディフェンスもトランジションには全員参加して走って行こうということだったと思います。リズムを変えるという意味でも上手くいったと思います。
―スモールラインアップした分、ローポストという起点がなくなり、ガードやフォワードがドライブしてからキックアウトするプレーが今日は多かったと思いますが?
ケニー(サターフィールド)やジョン(ハンフリー)が相手のディフェンスを引っ張っていくので、その分空いたスペースで北向3Pシュート打つことが出来たり、自分もペネトレイトしやすくなったと思います。そういう意味でもリズムは良かったと思います。ヒューズだけを固定してしまうとドライブするスペースが無くなってしまうので、良い面もありますけど、(リバウンドが取れなくなるなどの)悪い面もあると思います。
―昨日は眠ることが出来なかった?
はい。今日は爆睡ですね(笑)
―昨日の話ですが、自滅ですか?それとも相手が上回っていた?
昨日の第2Qは富山の出来が素晴らしかったと思います。インサイドアウト。インサイドアウトからインサイド。こちらのディフェンスがダメになって、オフェンスもダメになってという感じで悪循環になったと思います。
―勝ち負けのアップダウンが激しいジェットコースターなバスケになっていますが、そこから脱却するために必要なことは?
良い状態の時はディフェンスが機能していて、誰かが抜かれても誰かがカバー出来るというコミニュケーションも脚力も良い循環をしているのですが、今日も最初から飛ばした時も全員の声が出ていました。そういうディフェンスが出来れば波の少ないチームになれると思います。オフェンスはある程度ケニー、ハンフリー、フラワーズがいれば相手を崩せるので、オフェンスがフリーランスでも構わないので、ディフェンスがしっかりすれば安定した展開になると思います。
―次戦(滋賀)に向けての抱負を
今日みたいな試合が出来れば負けないと思います。東で上昇するためには西のチームに勝たないと、東で星の潰し合いしても抜け出せないので、アウェイだから1勝1敗ではなく、2勝していきたいです。先ずは土曜日勝ちたいです。
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北向由樹選手
―昨日の敗戦後に選手間で何か話し合ったのか?
シーズン最初から言っているとは思いますが、良い時と悪い時のムラが激しいです。毎週こういう感じで自分たちでも良くないことは分かりきっているのですが、昨日は気負い過ぎな感じもありました。
特別な話はありませんが、いつも通りのプレーをするしかないことだけを確認しました。今日はそのいつも通りのプレーが出来たので勝利したと思います。
―コーチの出場停止について?
チームとコーチの問題なので、我々選手が何か触れるべきこともないですし、我々はコートに立ったらやるしか無いので、コーチが誰であったとしても、そのコーチに従ってプレーするだけです。やるべきことは変わらないので、(選手たちが本来やるべきこと)それだけは確認しましたね。
―昨日は城宝、水戸選手に特に第2Q活躍された感じがあったが?
そうですね。うちの悪い時は第2Qに成果が出ないので、今日はそういう意味では良かったと思います。
―スタートからスモールラインアップで行く事に驚きは無かった?
練習からこのメンバーで試しているので、サイズは小さくなりますが、その分走れるチームになったと思います。マッチアップしている選手にオフェンスリバウンドを取られないようにすることだけを注意しました。やることはシンプルになったので、やりやすいですし、余計なことを考えなくても済みました。
自分自身もあのメンバーの方が吹っ切れてプレー出来るので、やりやすかったです。
―それが自身の得点にも繋がった?
そうですね。自分自身は走ってなんぼ、という感じですから(笑)
レイアップやゴール下のシュートが一番簡単なので、それを作り出すためには走ることが一番良いことだと思っています。
―ヘルプディフェンスも今日は冴えていたと思いますが?
それも今日は確認しました。ローテーションとヘルプ。自分のマークマンにはやられないことは前提ですけど。
外国人選手に得点をとれる選手が揃っているので、彼らにディフェンスであまり負担をかけさせないようにしようと、寺下とは話をしました。
出場時間も20分くらいですが、出ているときは死ぬ気でいこう、そんな気持ちでプレーしていました。
昨日の事は皆無かったことにしたいくらいな感じで、今日の移動前の集合でも雰囲気は良く、今日が土曜日の初戦くらいな感じです。それを継続していかないといけないと思うのですけど。
―ナタリーACについて?
1人の人間としてもしっかりしていると思いますし、今までのデータやスカウティングも彼女が担当していたので、いつもプレーの事で聞く時はヘッドコーチよりも彼女の方が多かったですね。女子のバスケですけど、知識もありますし、非常に参考になることが多いです。今日の試合も迷うこともなくプレーすることが出来たと思います。いつも彼女が頑張ってくれているので、今日は彼女の為にも頑張ろうと感じになったと思います。
―今日会った時に最初にナタリーACに言われたことは?
昨日の試合を観た?と聞かれたので、悔しかったので何回も見たよと言いました。対策云々ではなく一人ひとりの気持ちだからと言われました。彼女、ああ見えても男勝りなので(笑)、君たちはやるしかないのだからと言われ、分かったと答えましたね。
ナタリーからは私が勝ちたいとかではなく、皆は勝ちたくないのかとだけ言われました。
―シンプルな感じですね?
シンプル・イズ・ベストでは無いですが、彼女がどういうバスケをやりたいのかだけなので、彼女のやりたいバスケに我々は従うと言うと、うちは走る方が合っていると答えたので、ヒューズを外してスモールラインアップにしました。
―次戦(滋賀)の抱負を
アウェイなので、先ずは一つ勝っておきたい。西のチームはどこも強豪揃いですけど、初戦に勝って波に乗っていきたいと思います。先ずは勝率を5割に戻したいと思います。
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原口真英選手
―昨日の試合後に選手間で何か話をしましたか?
細かいことは少し話しましたが、大きな部分でどうするのかは話していないです、ただ、全員の目が話をしなくても分かっている、そんな目をしていました。話をしなくても切り替えが出来れば良いのかなと思いました。
―今日の自身の活躍(7リバウンド)について
あまりスタッツ(数字)は気にしていないです。得点の部分は今日はバランスも良かったので、そこは気にせず、ディフェンスやリバウンドを頑張らないと差が開いて行かないので、それだけを意識していました。
―リバウンドも素晴らしかったが、ヘルプディフェンスも良かったですね
そうですね。(ナタリー)コーチがどんどんヘルプに行って良いよと言ってくれるので、自分のマークも捉えられるし、ヘルプにも行きやすかったです。それが出来るポジションでもあるので。行くか行かないかの判断をコーチが的確にしてくれるので、それに沿ってプレーしたという感じです。
―今までの試合よりは指示はわかりやすかった?
そですね。この時間はヘルプに行って良いとか明確になっていたので、やりやすかったです。
―得点よりもリバウンドやディフェンス面での活躍が素晴らしいと思うが、自身のプレーをどう評価しているのか?
確かに得点はパッと見に目につきやすい部分ですけど、チームにはもっと得点が取れる選手が沢山いるので自分の仕事はもっと他にあるのではないかなと思います。点数以外にも活躍出来る場所はいっぱいあるので、それを自分で選択していけば良いのかと思っています。勿論シュートにも積極的に行くべきだとは思っていますが、点数が取れている間は自分で無理に得点を取り行く必要もないのかなと。
―スモールラインアップにして速い展開に持ち込んでいましたが、やりやすいですか?
前も走るチームにいたので、自分としては走るチームの方が合っていると思います。状況にあわせてプレー出来ないといけないとは思いますが、今日は本当にやりやすかったと思います。疲れても交代できる選手がいれば、好不調の波も無くなると思いますので、今日はその部分ではしっかりローテーションで回すことが出来たかなと。
―波に乗っていくためには
気持ちの部分でのムダをなくしていくこと。動きのムダそうですが、常に同じ気持、平常心でやっていかなといけないと思っているので、もっとタフに戦っていくことが出来れば波も無くなると思います。
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富山グラウジーズ
下地一明HC
―今日の試合を振り返って
17つのターンオーバーにつきます。あとはハーパーとハキームのファールトラブル。その部分が痛かったですね。ハンフリーに簡単にシュートをさせ過ぎた。そこに尽きます。
ということはうちのディフェンスが『ざる』だったというです。
男と男の真剣勝負が見たいです。コートに立つのは10人で私もコーチですが、それを誰にも邪魔することは出来ない。彼らが必死に戦う姿を見たいと思います。
―選手層について。城宝、水戸選手の出場時間が毎試合30分以上と酷使している感じがするが?
ごもっともです。加藤、堀川、山城にしろ、他の日本人選手にもチャンスを与えていますが、結果が繋がらない。私自身は焦っているつもりはありません。水戸と城宝が試合に絡んでいる時はうちは強いです。間違いなく。
今後の課題だと思います。今日の堀川は良い仕事をしてくれたと思います。でも一番期待しているのは加藤真なんです。ただ、昨日も勝負決まってから試合に出してもリングを見ない。昨日も1本もシュートを打っていないです。そうであるなら、堀川を試合に出したほうが良いのですよ。気付いて欲しいのですが、彼が城宝が来るまでは富山を背負っていた訳だから。彼に城宝と同じ事をしないと言っているわけでもないのですが…。
それでダメならそれまでの選手だということです。台所事情が厳しいのは正直なところです。
山城にも期待しています。練習では素晴らしいのです。水戸を上回るプレーをしますし。でも試合では躊躇したり。今日も2点のシュートでいい所を3P打ってしまったり、まだまだそういった状況です。
ケニー(サターフィールド)選手は素晴らしいですね。ドリブルからのパス捌きとか。うちの選手全般的にスキル不足です。