【プレミアム限定】秋田・中村和雄、千葉・エリック・ガードーHCと選手へのインタビュー(11月5日)

11月5日(土) 秋田市立体育館で行われた秋田ノーザンハピネッツ―千葉ジェッツの試合後インタビュー。千葉、エリック・ガードーHC。秋田、中村和雄HC、マイケル・ガーデナー、菊地勇樹、庄司和広、長谷川誠選手。
(文=宮川 紀元)

千葉ジェッツ

エリック・ガードーHC
―今日の試合の総括
まず、シュートの確率がとても悪かったです。そしてこれまでの試合に比べてチームの努力が足りなかったです。しっかり秋田をスカウティングしたのですが、大事な場面のディフェンスでミスが多かったです。秋田のようないいチームに対して、今日のようなディフェンスでは絶対勝てません。シュートにいい時と悪い時があるのは当然ですが、ディフェンスがここ6試合のようにうまくできなかったのが残念でした。

―スカウティングしてきた秋田の印象に、実際と違いはありましたか?
スカウト通りでした。それに対する我々のディフェンスがよくなかったです。3ポイントをたくさん打ってくることは分かっていましたが、前半は6本も決められてしまいました。後半は2本に抑えましたが、代わりにペイントで多くの得点を許してしまいました。ヘルプのローテーションが、2人目まではいいけれども、3人目がいつも遅れていました。
試合の内容がよければ、または選手たちが一生懸命やっていれば、負けてもそんなに悪い気分にはならないのですが、今日のような試合だと不満が多いですね。

―得点力の高いハ―グロー選手が抑えられた要因は何だと思いますか?
秋田が何かやったというより、自分の選手交代にミスがあったと思います。第2Qに長い間ベンチに座らせてしまって、リズムを崩してしまったのかな、と反省しています。プレーの中でもう少しチームでボールを回したほうがよかったと思う場面はありました。でも、シュートが入っていないことへの不満が影響したのでしょう。ほかの選手たちもそれを感じていました。

―秋田の強さをどこに感じましたか?
秋田の強みは、間違いなく中村HCだと思います。彼の存在感、リーダーシップは本当に素晴らしいと思います。明日1勝できればすごくうれしいです。自分も70歳になった時もあんな風にコーチしていたいですし、本当に1勝したいです。

―秋田のディフェンスはどうでしたか?
正直、映像で振り返らないとわかりませんが、ジェッツのシュートが入らなかった印象が強いです。オフェンスリバウンドはよくとったのですが、得点につながらないのが課題です。練習で入ったシュートが入りませんでした。

明日はもう少し、千葉から来てくれているブースターにもいい試合を見せたいです。今日より絶対いい試合をします。

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秋田ノーザンハピネッツ

中村和雄HC
―今日の試合の総括
相手のアメリカ人の能力は相当警戒していました。#11とガーデナーを比べたらあっちのほうが評価が高いんですよ。それから、リーチもインサイドで実績のある選手。#44ははじめて見るんですが、あそこまで3ポイントの印象はなくて、どっちかというとドライブかな、と思っていました。リバウンドも16本とられて、これがちょっと予想外でした。で、うちのセンター陣もわけのわからないことを言っているんですよ。「ヘルプにはいかなくていいのか」とか。現に取られてるんだから、そういう言い訳してる前に行くべきだろう、と。そこらへんがまだ修正点です。うちのセンター陣はそんなに能力が高いわけではないですけど、賢いから。非常にメンタル面で安定してるんで、ああいうミスをこれから修正していきたいと思っています。

千葉はアメリカ人に能力があるだけに、明日も警戒が必要かな、と思っています。

で、全体的には「日本人が勝負を決める」というのが課題でしょうか。少し自覚が生まれてるかな、という気がします。

―(試合後のインタビューで評価していたが、)菊地選手はどのあたりががよかったですか?
見た通りです。シュートはもう少しはいるんでしょうけど、少しずつ良くなってくれればいいですよね。

実は、ちょっと脅したんだ。庄司がかなり良くなってきたでしょ。最初(秋田に)来たときは、庄司と長谷川は老人クラブかと思ったんだけど。長谷川も最近頑張ろうとしてきた。だから朝、菊地に「もしかしたら長谷川にプレータイムを取られるぞ、そうなったら辞めなきゃならないぞ」と言ったんです。そして今日は菊地のために長谷川を序盤から起用して、意地悪してみた。でも菊地は活躍したからよかった。

―長谷川選手について
もうちょっとシュートに徹するといいんですよ。昔は速かったから、そのイメージでドライブするんですけど、やめろ、と言ってる。シュートに徹してくれれば、あとはズルさも持ってるから。一味唐辛子のように、味はいっぱいなくてもいいんだ、シュートだけでいいんだ。僕は七味は嫌いだから。そうしてくれれば楽になる。

―今日のガーデナーはいかがでしたか?
ガーデナーね(笑)。もういちいち僕の目を気にするんだ。ワンプレーごとに、「どうだった?」って風にね、ほんとにあのガキは(笑)。
この間目を見ないで怒られてから、目を見るようになったんですよ。でもあいつ、3年前はおれの目を見てて催眠術にかかったからね。フラフラッとしはじめて。で、今度は何を思ったか昨日くらいから頷くようになったんですよ。あいつがそういうことをするのはおかしい、だからまだ信用はしていない。他の人が頷いていれば「ああ、よかったな」と思うけれど。だれか聞いてみてほしいな、理解して頷いてるのか、とりあえず機嫌とってるのか。
まあ、怒りながらも仲良くやっていきたいと思います。

―今日のディフェンスについては?
微妙なんですよ。(秋田のディフェンスのシステムは)難しいんですよ。一番理解しているのは庄司。ポジション取りがよくて、いつも(千葉の)#11のコースに入って(困惑させて)いる。おれと庄司だけはわかる。

―庄司選手について、試合前は相手に警戒されるのではないかと言っていましたが、終わってみれば3ポイント3/3でしたね。
「庄司が警戒されるだろうから菊地が重要になる」と言ったら、新聞かなんかに出て、それを菊地も読むだろうと思って、しゃべってみた(笑)。
でも庄司は、ゴール下2本も落として、自分でもあり得ないと思ってると思いますよ。でも(3ポイントに関しては)あいつはいつまであんなに入るんだろうね。庄司と菊地がいるから、(相手は3ポイントを警戒するので、)ガーデナーはドライブしやすいと思いますよ。そういう意味ではいい状態。後はもうちょっとガーデナーがボールを離せばね。まあ、徐々にだな。正月明けくらいかな(良くなるのは)。

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マイケル・ガーデナー選手
―今日のゲームを振り返っていかがですか?
全体としては、オフェンスもディフェンスもチームとして機能していたと思います。ただ、いくつか修正点があるので、しっかりやっていきたいです。

―今日はインサイドを(ドライブで)積極的に攻めていきましたね?
相手の#11が友達なんです。昨日の夜も話したのですけど、彼に「マイケルはずっと3ポイントラインよりも外でプレーすることになるだろう」と言われたので、何が何でも切り込んでやろうと思っていました。

―今のチーム状態はどうですか?
とてもいいと思います。ただ、シーズンとしてはまだ序盤なので、この状態を保っていくように頑張らなければいけないです。

―先ほど中村HCが、マイケルは指示を聞いているふりをしている、と言っていましたが。
(爆笑しながら)Yes, he is true. HCには言わないでね(笑)。
ただ、自分も彼のことはよく知っているし、彼も自分のことをよく知っています。何を言いたいのかは予想がつくので、聞いているふりみたいになることもあります。

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菊地勇樹選手
―初MVPですね?
うーん…。もらえるような働きをしていないので、割に合わないというか、申し訳ない感じです。

―HCに毎試合厳しいことを言われていましたが、今日はじめてマイクの前で高評価されていかがですか?
あんまり聞いてなかったです。まだまだだと思うし、カズさん(中村HC)もそう思っていると思います。まだシーズン始ったばかりですし。

―パスをかなり評価されていましたが?
たまたまです。今まで試合の入り方が固かったので、カズさんからも「自然体でいけ」と言われたので、今日は意識して臨みました。シュートが入らなかったりするとやっぱり固くなってしまいますが。

―第2Q、流れが相手に傾きかけたところでいいシュートを決めましたね?
その場面はあんまり覚えてないですけど、とりあえず打ったら決めるという意識でやっています。

―中村HCに脅しをかけられたらしいですね?
スタートで出てて、だんだんプレータイムが少なくなったら恥ずかしいぞと言われました。

―特にどういったことで注意されますか?
走る速さとか、ディフェンスのことが多いです。

―今日の反省点はどこですか?
ディフェンスもまだまだですし、リバウンドにももっと積極的に絡まないといけないです。シュートの確率もそんなに良くないので、確率を上げていきたいです。

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庄司和広選手

写真提供:秋田SV-ハピネッツ

―今日の試合、3ポイントが3/3で100%でしたね。
まああんまり打ってないし、イージーな2点シュートを落としてしまったのが課題です。競った試合になったらああいうのが大事になってきますし、明日はもっとすべての面で集中してやっていきたいと思っています。

―チームのディフェンスはいかがでしたか?
練習の時は(千葉対策のディフェンスに)あんまり手ごたえを感じなかったんですけど、今日やってみてやっぱり効果があったと思います。中村さんは相手によっていろいろ変えていけるので、すごいと思います。

―HCは庄司選手のディフェンスを高く評価していました。
やっぱり練習からいろいろな指示を受けるので、意識してやるようにしています。

―ベテランですし、やはりチームを意識的に引っ張っていますか?
そんなに意識はしていないですけど、やっぱりこの年齢でこんなに使ってもらえるのは光栄です。プロの世界ではなかなか異例だと思いますし、幸せです。若いころは「プレータイムはもらえて当たり前」みたいなところもありましたが。今バスケットがすごく楽しいですし、長くチームに貢献していけたらと思います。

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長谷川誠プレイングマネージャー
―球団初の5連勝ですね。
我々は去年と意識がだいぶ変わっているので、まずは明日またしっかりやることです。特に意識はしていないです。

―中村HCは、長谷川選手の士気が上がってきたとおっしゃっていましたが?
というより、体調がだんだん良くなっているので。カズさんに影響される部分はすごくあります。バスケットが楽しくなってきているので、そういう風に見えたのだと思います。
長丁場ですし、(他の選手に)怪我やファウルトラブルがあった時に自分がキーになると思っていつも準備しています。最終的には有明で暴れられるように、体をケアしなければいけないと思っています。

―明日も勝って首位をキープすることへの意気込みをお願いします。
千葉は今日自分たちのバスケットができていませんでしたが、明日はしっかりやってくると思うし、それに負けない気持ちを持ってしっかり準備して臨みたいです。しっかりディフェンスをすれば結果が付いてくるのが分かっているので、それを目指して頑張りたいです。

―先ほど言っていた、「バスケットが楽しい」とは具体的にどういう意味ですか?
やっぱり、自分がもっともっとうまくなる要素が出てくるのが楽しいです。だって、40歳になって怒られることってあまりないじゃないですか。(報道陣に対して)あります、みんな?ないでしょ?怒られるということは、まだまだ成長できる部分、直すところがあるということ。怒られないということは、諦められているか、完璧かです。でも人間は完璧ということはないので。まだ怒られるということで、バスケットの勉強にもなりますし、いい人生の勉強にもなっています。いい刺激を受けながらやっているので、バスケットも面白いです。