マクムード・アブドゥル=ラウーフ選手インタビューVol.3(全3回)

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――バスケットボールに関連する質問

-小柄なラウーフ選手がシュートブロックされないために工夫していることはありますか?
自分がバスケットボールをやる時はいつも年上や自分よりも大きい選手を相手にプレイしてきた。そういう中でボールを早くリリースすることと、出来るだけ相手との間にスペースを作ってシュートをすることの2つ。それを継続的に続けることに焦点をおいてやっている。

-ラウーフ選手から見て日本人選手の良いところ、また逆に足りないところは何でしょうか?
強みなら、非常に速い選手がたくさんいる。強みは間違いなく「速い」ということだと思う。弱みということになるといろんなタイプの選手がいて、それぞれについて自分が思うことあるので、日本人全体としてそれをまとめるのは少々難しい。

-モチベーションを維持する方法、体を健康に保つ方法はありますか?
自分もこの年齢になってもまだバスケットボールを続けられていると神様に感謝を表したい気持ちもあるし、普段から体と心のケアをしっかりしていつも完璧を目指してプレイするように心がけている。例えば実際のところいつも完璧にプレイするというのは無理だが、そこに到達出来なかったとしてもレベルとしては非常に良いものを残せると思うので、いつも完璧を目指している。それからどのような結果であっても必ず今の自分には満足しないで、良くなる可能性があると思って臨むようにしている。例えばある試合で50点30リバウンド20アシストという結果を残したとしても、それは結果としてはすごく嬉しいことだが、その次の日にはもっとハードルをあげて今日も同じように出来るかどうかというのをやるようにして、自分でどんどんハードルをあげてモチベーションを保つようにしている。ゲームをやる時はいつも何か自分のモチベーションをあげる要因になるものを探すようにもしているし、例えばそれが家族だったり、対戦相手だったり、飢餓で苦しんでいる誰かのためにプレイしようと思ったり、何かそういうものを見つけてプレイすることも大切なのではないかと思う。

-若い頃と今では精神的に違うところはありますか?
若い頃の自分と今を比べてもみても、例えば試合に臨む準備やワークアウトをすることはあまり変わらないかもしれないが、それに擁する時間や治療は変わってくると思う。若い頃はスポーツクラブに来ることも出来なかったし、パソコンを持っていなかったので、例えば※プライオメトリックというトレーニングが何か?とかいう考えも無かったから、自分の家の庭で腕立て伏せとかをやったりビーチに行ってジャンプのトレーニングをするだけだったが、バスケットボールをやることに対する姿勢や、上手くなるための方法を探すということ自体は何も変わっていない。若い頃バスケットボールをやっている時は、例えば対戦相手をモチベーションの材料にしていた事もあるし、ある時は世界でバスケットボールをやる全ての人の中で一番になりたいと思ってやっていた頃もある。それは42歳の今になっても、実際のところは出来ないことかもしれない。しかし今もやる限りはベストを尽くしたい、1番になりたいという気持ちを無くさないようにしてやっている。そのモチベーションの材料として、ある日それが母親であったりする日や家族の時もある。それが実際上手くいかない日もあるが、いつも何らかのモチベーションの材料を探すようにして試合の臨むようにしている。例えば音楽を聴いたりする時もゆっくりした音楽が自分のモチベーションを上げてくれる時もあるだろうし、もっと速い曲でリズムに乗ったりすることで、それがモチベーションの材料になる時もある。小さい頃はトレーニングをやりたくないと朝から思う日もあったが、そのような時もそういう気持ちに負けずにいつも自分はやらなければいけないと言い聞かせるようにしていた。それはバスケットボールをする自分だけではなく、普段会社に行く人も同じで、みんなやらなければいけない時はきちんとその理由を見つけて、自分に言い聞かせてやるだけだと思う。

インタビューを受ける時にこれだけメモを取っているなら、それを一冊の本にまとめてマクムードはこんなこと言っていたとか、いつもインタビューを受けている時は左肩を触るとか、こんなことを本にしたら面白いのでは?(笑)

-bjリーグの日本人選手の中でマッチアップが大変だった選手はいますか?
マッチアップするのが難しかったというよりは、プレイしていてすごく上手いなと思った選手がいた。名前は思い出せないが。もちろんオフェンスも良かったけどディフェンスでも非常にアグレッシブだった。恐らく土曜日、島根のレギュラーシーズン最終のホームゲームをやった試合で自分に少しついていた選手だったと思う。自分よりちょっと背が高い選手で、どんなに自分が攻めても諦めずにディフェンスをしてくる。そのプレイスタイルが印象に残っている。記憶は少し定かではないけど、その彼がついている時にスピンをしてジャンプシュートを決めたが、その後からすごく激しいディフェンスでつかれるようになったので、もしビデオを見てその日の最初の得点がそのシュートだったら、その試合だと思う。彼のアグレッシブなディフェンスをすごく評価している。他にも試合によって調子の良し悪しはあると思うので、他にもいるかもしれない。

普段試合に出る時はだいたい2番か3番のポジションの選手を相手にディフェンスをすることが多く、ほとんどの場合日本人選手についたりつかれたりということは少ないけど、その中で上手いなと思う選手は、その日によっていろいろといる。自分は名前を憶えるのがあんまり得意ではないのでちょっと誰か分からない。今も自分で自分のミドルネームが思い出せなくて、何だったのか?と思ったけど、自分のミドルネームが無かったことを思い出したよ(笑)

-自分を除いてbjリーグの中でレベルの高い選手は誰でしょうか?
それは非常に難しい質問だと思う。実際スタッツを見てみないとわからないところもあるし、スタッツが幾ら良かったとしてもそれが全てではない。多く得点を入れる選手かもしれないが自己中心的なプレイをする選手も多いので、得点とか数字的なもの以外にも見なければいけないところもある。一番良い選手を探す一番簡単な方法は例えば勝率だったり数字を見るだけで良いと思うけど、実際それだけでは選手の良し悪しは決められないと思う。

-海外でプレイするにあたって、例えばこれから日本人選手が海外でプレイすることもあると思うんですが、気を付けておいたほうが良いポイントとかあれば聞かせてください。
バスケットボールというもの自体は世界のどこにいっても同じだと思うし、自分の力がそこで発揮出来るか出来ないかということになってくる。自分らしく自分にしっかり自信を持ってやることが出来ればどこでもそれは変わらない。それからコートに出たらどの国でプレイするとしても自分の持っているものを全て出し切るということが大切だ。少し前にも言ったと思うが、バスケットボール自体はどこの国行っても同じもので、ただそこにいる選手が違うだけで、上手い人もいれば下手な人もいるのはどこでも変わらない。あとはゲームの入り方であったり、ゲームの中身はいつも変わるのでそれに対してどういうふうに対処していくのかというところが変わるだけだと思う。

――プライベートな質問

-ゲーム後のインタビュー、いつもマクムード選手は良い香りがするんですが、お気に入りの香水のブランドは何ですか?
ブルガリのブラックとプラダのアンバーという香水。

-先ほどのお話でも出ましたが音楽を作っているとのことですが、ジャンルは何でしょうか?
ひとつのジャンルに絞るとしたらR&Bになると思うけど、曲の中にジャズっぽいものもあるし、ちょっとポップなものもある。歌詞を書いて自分で音楽に乗せて歌っている。

――10FEET

好きな数字は?
ない

嫌いな数字は?
ない

好きな言葉は?
沢山ありすぎて決められない。

嫌いな言葉は?
誰かが神様のことについて悪く言うのは好きではない。

一番影響を受けた人物は?
母親。母親以外で一番ならイスラム教の一番偉い人が一番影響をもたらしていると思う。

人生で一番嬉しかったことは?
イスラム教に改宗した時。

逆に一番腹が立ったことは?
母が亡くなった時。

バスケットボール選手じゃなかったらどんな仕事についていると思いますか?
ハハハハハ(笑) ひとつ選ぶとしたら音楽かな。曲を書くとか何らかの形で。

10年後の自分はどうなっていると思いますか?
わからない(笑) 将来のことはわからない!

世界中の人に伝えたいことはありますか?
人生というものはすごく短いもの。だから自分の信じる真実というものを探して、遅くなる前にその真実に向かって欲しい。

質問がすごく難しくて10年後に何をやりたいのかというのはあるけど、何をやっているのか聞かれるといろいろあって分からない。書き出したらキリがないぐらい、これから10年の間にやりたいことはある。例えば本を書いたり、もちろん健康であることも大切なのだが、あとは音楽を書いたりレコーディングしたり、短い話を書いたりとか、才能ある選手をトレーニングして育てたりとか、本当にやりたいことは沢山ある!

※プライオメトリックとは・・・ウエイトトレーニングや体力トレーニングで養成した筋力を爆発的瞬発力=スピードに結びつけるトレーニングのこと。引用サイトはこちら