bjリーグ プレイオフファイナル4 新潟アルビレックスBB特集(準決勝、3位決定戦) 衛藤晃平氏によるゲーム解説及び試合後のインタビュー(抜粋)

※有明でのプレイオフに関しては、バスケットボールナビとして後日、特集記事を公開する予定となっていますが、ここでは主に新潟を中心とした2試合のレポートをお送りします。下記に掲載された試合後のインタビューはいずれも抜粋となっており、後ほど公開される特集記事では全文がアップされますので、ご期待ください。

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ゲームレポート

準決勝 浜松・東三河フェニックス vs 新潟アルビレックスBB@有明コロシアム(2011.5.21)

浜松-新潟
第1Q 21-14
第2Q 17-14
第3Q 28-21
第4Q 22-25
最終スコア88-74

【スタート】
浜松:#5友利、#5岡田、#4ニクソン、#21パーマー、#12ラーカイ
新潟:#1澤岻、#15根東、#32池田、#25アシュビー、#3リーチ

【レフリー】
#3伊藤正志、#42Gonzo、#59ジェラルド・シャーバー

【観客数】
4,549人

【主な個人スタッツ】
浜松:ニクソン25pts、FG9/19、8reb、4ast、パーマー23pts、FG7/13、10reb、4ast、大口9pts、FT4/5、5reb、岡田8pts、2pt4/6、3reb、3ast、ラーカイ8pts、10reb、4ast、友利6pts、3pt2/3、2ast、アーノルド6pts
新潟:アシュビー28pts、FG10/18、FT8/13、9reb、コナーレ10pts、FG4/6、8reb、リーチ9pts、FG1/7、2reb、澤岻8pts、2pt3/5、6ast、小松7pts、FG3/10、池田5pts、FG2/7

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第1Q 浜松-新潟 21-14

両チームいずれもマンツーマンでスタート。ダブルチームから友利の3ポイントが決まる浜松に対し、新潟はインサイドアタックが機能しない。浜松はピックアンドロールからのアタック、ゴール下のラーカイ、パーマー、ニクソンの3ポイントとその持ち味を存分に発揮する。新潟は終盤にオンザコート3体制に切り替えるが、踏ん張ったのは経験のある澤岻。ザックの強烈なダンクもあり盛り返すが、浜松はトランジションからの得点などを重ね21-14とリードして第1Qを終える。

※新潟は得意の3ポイントアテンプトがゼロ、2ptも6/14(42.9%)とシュートの決定力に欠ける。浜松はトランジションを中心に2ptが3/6(50%)、3ポイントが3/7(42.9%)、FT6/9(66.7%)と確実に得点。リバウンドでも11-10、アシストでも5-2と優位に立つ。

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-それでは、よろしくお願いします。
「ゲームを通してなんですが、客観的に見て新潟のバスケットでは無かったですね。澤岻選手がバスケットを展開して、新潟の苦しい展開を救ってましたけど、という事は今までの新潟とは違うバスケットであったことを象徴していると思います。回りを生かそうとしていたレギュラーシーズンに対し、このファイナルでは澤岻選手自身が攻めて行くというシチュエーションがありました。その意味で今までの新潟のバスケットと違うという印象があったのがひとつ、そして、ビッグプレーではないんですけど、友利のオープニングショット(3ポイント)が決まって、その後にもう1本、リングに当たらなかったんですけど3ポイントを打っています。あの2本目を打つという精神状態ですね。自分が何をせなあかん、自分が何をすると決めて(ゲームに)入っているので、あれが浜松の流れを作ったきっかけでもあり、「自分達が何をするのか」という浜松を象徴するプレーでもありました。」

-新潟に関しては、アーノルド対策を準備してきたところでそのアーノルドが体調不良ということで、ある意味肩透かしのような状態になりました。
「僕も完全に肩透かしでしたね。実際の精神状態は選手本人に聞いてみないと分かりませんが。あと新潟に関しては、リーチとアシュビーのインサイドがディフェンスでディナイを張られた時に、なかなかボールをもらえなくなってしまったんです。新潟は戦術的に45度から上でボールを持つ場面が多いんですけど、そこから中にヒットするシチュエーションがなかなか生まれませんでした。」

-プレーの重たい新潟に対し、浜松はディフェンスからのトランジションとアウトサイド、やるべき事が見えていました。
「特に最後の太田敦の2点ですね(残り7.7秒、新潟のFTから太田敦が速攻に走りブザービーターで得点を決める)。あれはまさにチームの状況を象徴してましたね。あの気持ちと集中力ですね。」

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第2Q 浜松-新潟 17-14

新潟はアシュビーが太田敦を攻めきれない。小松の3ポイントで波に乗ろうとするが、浜松はニクソンの6連続得点に続いて大口が抜かりなくフェイクからバスカンを押しこみ29-21、ここで新潟のタイムアウト(6:43)。中盤はお互いに得点が止まるが、インサイドのFTで何とか繋ぐ新潟に対し、浜松は岡田が連続でミドルシュートを沈め、またタイトなチームディフェンスで新潟を24秒OTに追い込むなど試合の主導権を渡さない。浜松が38-28とリードを広げて第2Qを終了。

※新潟は第1Qを同様、FGが4/12(33.3%)と数字が伸びない。FTもここまで前半で7/13(53.8%)、前半のターンオーバーも浜松の5に対し8とミスが目立つ。浜松は3ポイントこそ0/5と決められなかったものの、2ptは7/12(58.3%)、FTも3/4(75%)と得点を重ね、ここでもアシストで新潟を5-1とリード。

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-第2Qは浜松に太田敦が入ることでミスマッチが生まれます。
「このQは浜松がスパイラルオフェンスを意識していて、アシストの数が伸びていましたね。オンザコート2で太田敦が入って、そこの新潟の対応ですね。浜松の3ポイントが伸びてないのでチャンスはありましたけど、新潟オフェンスで拙攻が続いたのも事実です。バスケットの力の差が出たといえばそれまでですが、それを感じた時間帯でした。」

-新潟はディフェンスを3-2ゾーンに切り替えるなど動くのですが、これが機能しませんでした。
「このゲームでは新潟がゾーンをやっているんですが、それまで新潟とやっていたゾーンとは全然違ってたんです。オンザコートの選手たちに、それが見えてなかったと思います。ボールに対して(ディフェンスがひとり)出て、他の4人がボックスを組み、スウィングが発生したらボールマンがチェックに出て臨機応変に対応するのですが、そこで誰が(ボールに)出て、誰がボックスに入るのかという部分で、選手の中でかなりボケていましたね。それを強く感じたので、新潟のバスケになってないなと。」

-プレイオフでの秋田戦では3-2ゾーンが機能していましたが、この浜松戦に向けてはまた別に調整してきたはずですね。
「秋田戦では2-3をやってないと思うんですが、あの時は3-2でしっかり照準を絞ってやっていたと思います。この浜松戦では、廣瀬HCが早めに外国人3人のラインナップにした時に、2-3にせざるを得なかったと思うのですが、そのマッチアップが非常に緩かったのが現実ですね。」

-浜松は岡田選手が右0度からのミドルショットを連続で決めるのですが、同じ場所を2回連続で決められるといのはディフェンスとして完成度が低いと言わざるを得ないですね
「選手にとっては非常にフラストレーションの溜まる展開だったと思います。このゾーンは、新潟にとっては不完全燃焼でしたね。残念でした。」

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第3Q 浜松28-21新潟 

再びインサイドアタックを仕掛ける新潟。アシュビー、リーチのゴール下バスカンなどで追い上げるが、ミスマッチとなるニクソンを起点とした浜松オフェンスを止められない。コナーレを投入しディフェンス強化を図るが、ニクソンは3ポイントを含む6連続得点を記録。51-37とリードが更に広がったところで新潟のタイムアウト(6:38)。その後新潟は3-2ゾーンに切り替え、これで浜松のオフェンスが停滞するが、自らのシュートも決められない。終盤にビッグマン3人(アシュビー、リーチ、アンドリュース)のラインナップを投入し得点を重ねるが、浜松もニクソンのアウトサイド、そしてベンチスタートのアーノルドが連続でシュートを沈め、66-49で第3Qを終了。

※新潟は6アシストとパスが回り、インサイドを中心に2ポイントが7/15(46.7%)と向上したものの、3ポイントは0/4、FTも7/12(58.3%)と相変わらず精度が低い。3ポイントはここまで1/9(11.1%)と全く決まっていません。一方の浜松はFTこそ4/8(50%)とミスしたものの、3ポイントが4/11(36.4%)、2ポイントに至っては6/6と着実に得点を重ねました。チームで7アシストに対しターンオーバーが1とゲーム運びも堅実です。

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-追い上げたい新潟はインサイドアタックからスタートします。
「明らかに浜松インサイド陣のファウルが立て混んでいましたね。なので新潟は第4Qに勝負を持ち込める展開ではあったんですけど、そこで3ポイントが1本入るか入らないか。これが大きかったと思います。1本は欲しかったですね。」

-ファウルトラブルを何とかしのぎつつ、浜松は終盤にかけてニクソンの6連続得点もありました。
「あれはもう素晴らしいの一言です。かなりのタフショットでしたが沈めました。(ディフェンスは)足元まで入ってましたからね。」

-新潟は諦めてはいないのでしょうが、力強さを感じられる展開ではありませんでした。
「ジュリアスもちょっと気の抜けていた時がありましたね。アウトサイドが入らない、インサイドもディナイ(ディフェンス)で張られてとストレスのかかるシチュエーションだったので。浜松はスタッツ的にはファウルトラブルで苦しいんですけど、(新潟は)点数が伸びない、点差が縮まらないというところで、いい流れに持っていけませんでした。もちろん、浜松の能力の高さは認めるしかないんですけどね。」

-ラーカイ、太田敦が4ファウルと攻めこんではいたのですが。
「そこはチャンスだったんですけどね。ポストマンがあれだけディナイされたときに、インサイドヒット出来ないと、やはり新潟らしさが出ないです。」

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第4Q 浜松-新潟 22-25

新潟は再びオンザコート2で戦いを挑みますが、浜松のパーマー、アーノルドが中に外に得点を重ねリードは25点差まで広がる。新潟2回のタイムアウト(8:48と7:52)でも流れは変わらない。中盤にかけてアシュビーのアタックが得点に結びつくが、最大27点差まで開いたリードを盛り返すには反撃が遅すぎました。浜松はファウルトラブルの懸念があったものの、終盤は佐野らベンチメンバーで新潟の攻勢をしのぎ、88-74でファイナルの決勝進出を果たしました。

※ここに来てアシュビーが12pts、池田もやっと1本目の3ポイントを決めたものの、時既に遅し。新潟は25点を記録しましたが、浜松のオフェンスを最後まで止めることが出来ませんでした。浜松はFGが7/14と確実にシュートを決め、最後は全員出場で勝利を飾りました。

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-ここも新潟の苦しい展開が続き、時間だけが過ぎていく感じでした。
「難しいですよね、正直こういった試合というのは。これと言ったものが無いというか。淡々と時間だけが過ぎてしまう。」

-新潟は日本人選手も追い上げムードを後押ししたかったと思いますが、空回りの感がありました。
「オフェンスのコンセンサスが取れてなかったですね。池田選手の決めた3ポイントも力技でした。ひとつひとつのプレーを抽出しても、やはり今までの新潟らしさを感じるバスケットではありませんでした。アウトサイドの日本人選手からしたら、いつも入っているインサイドに(ボールが)入らないし、太田敦、佐野らがファウルになりながらもディナイを頑張っていたので、新潟は苦しかったですね。こうなると新潟はペネトレイトするしかないんですけどね。」

-澤岻選手がよく切れこんでいましたが、池田選手、小松選手らはドライブは無いですし、こういった所でヴィーズリー選手がいない事が影響していましたね。
「あとはインサイドでディナイされているので(ペネトレイトする)スペースが無いというのも事実です。ビッグマン2人がオフェンス、ディフェンスともポストにいますから、入っていけないですね。やはり普段からペネトレイトしている選手じゃないと、「今日は行かないといけないんだぞ」と言われても、上手い下手の問題ではなくて、感覚として(中に)行くのはしんどいですね。新潟がいつもやっているバスケットを止めた浜松の勝利ということですね。」

-すると、やはり浜松のディフェンスが大きな勝因と言えるでしょうか。
「僕はそうだと思います。ポストのディナイのところと、特にヘルプポジションへの意識、ここで新潟と浜松の差を感じました。浜松の選手は常に1枚、ヘルプポジションに立っているんですけど、簡単なペネトレイトでは(浜松ディフェンスを)破れないようにしっかり守っていました。確かに浜松のシュートは入りましたが、止に行っても浜松の選手はあれくらい入れますからね。トランジションの回数は80くらいだったと思うのですが、これは新潟としては悪くないペースなんです。浜松にしたらギアが上がってない状態ですから。その上でこれだけ点差が開くという事は、オフェンスではなくディフェンスが要因という事です。」

-逆に新潟はゾーンで守りきれないなど、ディフェンスの差が出たという事ですね。
「そこは印象に残ってますね。残念でした。ファイナルでは期待も含めて見ていたのですが、新潟らしいバスケットをして負けたのなら仕方ないですが、ゾーンディフェンスも違うし、アウトサイドも決めきれない。前半の小松選手は良かったんですけどね。

これは新潟の2試合を含めてなんですが、各コーチともメンタルを重視されていたと思うのですが、浜松と新潟の一番の差は、メンタルタフネスの部分ですね。すごく差がありました。ちなみにブースターさんが「やる気を感じる」というのは、マインドの部分です。

メンタルというのは「勝ちたい」という気持ちだけではなくて、自信、集中、冷静とか、その部分ですね。大口選手のニュートラルなボールに対する執着心とかは、「ボールを取る」という気持ちだけでは絶対に出来ないんです。普段から緊張感のある、集中力のある練習をしていないと、ルーズボールなんて物は取れないんです。」

-面白いのは、澤岻選手がプレイオフに向けて「テンション上げすぎずに冷静にやること」と話していて、そして大口選手も有明で「意識はしないで自然体でやれば」と、同じような話をしているんですね。しかし、結果はこのように大きく差がついてしまいました。
「浜松は自分達のやってきたことに自信を持ってやってますし、自分達の役割認識がしっかり出来ていました。あれだけニュートラルボールを取ったり、太田敦の速攻のような集中力だったり、メンタリティの部分ですね。「勝ちたい」という気持ちが先行することなく、つまりマインドの問題ではなく、メンタルスキルの部分ですね。メンタルトレーニングは様々な方法がありますけど、やはり普段の練習での教育の部分なんだと思います。それが、新潟が出来ていないという事ではなくて、ただ浜松さんはそのメンタリティの育成の部分を徹底していたのだと思います。それを通して選手たちが冷静さを学んだり、メンタルタフネスを身に付けているというのが大きいと思います。

エース(アーノルド)が病欠で倒れているような状態の中で、あれだけ自分達の色を崩さずに自分達のバスケットを出来るというのは、やはりスキルだけでなく、相当なメンタリティの強さを感じましたね。」

-確かに、例えば新潟で「今日はアシュビーが出ない」となったら、かなり苦しい状態になりますね。
「ひとりひとりに力が入ると思うんです。「1.2倍の活躍をしなきゃいけない」みたいになるじゃないですか。浜松の選手はそうではなくて、自分達が出来ることをしっかりやろうと。

これは結果論なんですが、ディクソンがチームを抜けて数試合やったことによって、例えエースガードがいなくても、やってきたことをやらなければいけないと、経験を積んでいたと思うんです。それもあったかもしれません。」

-中村HCは、今年はチームプレーで戦うんだとコメントしていましたが、それを実際に体現したということですね
「スタッツに見えないところでは大口選手や太田敦選手、見えるところでは岡田選手とかですね。浜松がチームの総合力で新潟の勢いを止めたという事だと思います。」

-ありがとうございました。

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3位決定戦 新潟アルビレックスBB vs 大阪エヴェッサ@有明コロシアム(2011.5.22)

新潟-大阪
第1Q 20-20
第2Q 20-22
第3Q 18-21
第4Q 17-22
最終スコア 75-85

【スタート】
新潟:#1澤岻、#15根東、#32池田、#25アシュビー、#3リーチ
大阪:#33高田、#7今野、#3ナイト、#44ワシントン、#50マーシャル

【レフリー】
#4漆間、#10上田、#42Gonzo

【観客数】
5,316人

【主な個人スタッツ】
新潟:リーチ17pts、2pt6/11、FT5/6、9reb、3stl、2blk、小松14pts、3pt4/6、根東11pts、FG5/10、2stl、澤岻8pts、FT4/4、5ast、アシュビー8pts、10reb、池田4pts、FG2/6
大阪:マーシャル27pts、FG10/16、FT7/11、17reb、2ast、2blk、今野22pts、FG7/14、FT8/10、サターフィールド10pts、9reb、6ast、2stl、ワシントン9pts、FG2/11、ナイト8pts、5reb、3ast

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第1Q 新潟20-20大阪

いずれもマンツーマンでスタート。新潟は根東の3ポイントで始まり、ジュリアスを挟んで池田のミドルも決まるなど日本人に積極性が見られる。大阪はマーシャルのパワフルなインサイドにワシントンとナイトが絡む展開。新潟は中盤から3-2ゾーンに切り替えるが、大阪はサターフィールドのFTや田村の速攻などで得点。マーシャルがベンチに下がると大阪もディフェンスをゾーンにするが、このインサイドをリーチが攻めて連続得点。すぐにマーシャルもコートに戻りゴール下のプットバックを決め、20-20の同点で第1Qを終了。

※レギュラーシーズンの新潟戦でも活躍したマーシャルが早くも存在感を見せ、6pts、6rebとポストでボールによく絡みます。一方新潟のリーチも6pts、小松、根東ら日本人の3ポイントも決まっています。リバウンドは12で同数、両チーム合わせてターンオーバーが10とバタバタした部分もありますが、お互いに流れに乗るには至っていません。

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-新潟的には、前日に比べればかなりイメージに近いバスケットが出来ていたと思います。
「欲を言えばもっとリバウンドを取りたかったですね。ニュートラルのところでチームリバウンドで持って行かれています。ルーズボールの反応は良くなかったですね。」

-大阪的にもマーシャルを中心に、外国人が中心となってバスケットを展開していました。
「そうですね、まだお互い可もなく不可もなくという状態でしたね。」

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第2Q 新潟20-22大阪

新潟は引き続き3-2ゾーンで、大阪はマンツーでスタート。新潟が小松の3ポイントにアンドリュースが速攻から派手なダンク、アシュビーのゴール下と得点を重ねれば、大阪もマーシャルのゴール下に今野のミドルが決まる。ファウルの多い新潟に対し大阪は今野が1and1のFTをしっかり決めて、新潟の30-29でオフィシャルタイムアウト(4:43)。その後大阪はサターフィールドの3ポイントやマーシャルのゴール下などでリードを広げ始める。澤岻の積極的な攻めや池田の3ポイントが決まる新潟に対し、大阪は引き続きサターフィールド、今野、マーシャルが得点に絡み、大阪が42-40と僅差でリードしてハーフタイムへ。

※新潟はFGの数字が伸びないだけでなく(9/11:42.9%)、大阪にリバウンドで10-17と圧倒され、オフェンスリバウンドを9も許してしまう。ファウルの多かった新潟(10-1)は大阪に16本ものFTを与えてしまい、このQでは積極的に攻めた今野が10pts(FT6/8)と活躍。サターフィールドも7ptsで続いています。

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-点差は開きませんでしたが、徐々に大阪のペースになったQでした。
「そうですね、大阪は徐々にやろうとしている事が絞られてきました。特に今野選手が良かったです。気持ちを出してましたね。彼のプレーのセレクションがいいのか悪いのかと言えば、正直悪いのが目立ったんですが、彼が(攻めて)行ったことによってファウルが発生したのは事実です。それを見抜いた今野選手はさすがですし、新潟からすれば、ビッグマンが中にいるんですから、冷静に対応出来ればよかったと思います。」

-新潟はリバウンドを奪われるようになり、ゾーンに切り替えたりといろいろ策を練るのですが、インサイドは大阪が圧倒的に有利でした。
「マンツーマンでも勝負は出来たと思うんですけど、結局はマーシャル選手のダックインですね。あれを守るにはゾーンしかないというのが廣瀬HCの判断ですね。ただ、リバウンドでやられてしまったというのは、どうしようもない部分もあったと思います。マーシャル選手にはハイポストからのペネトレイトでもやられていました。」

-新潟はレギュラーシーズンの大阪戦でもマーシャル選手に苦労して、その時はアシュビー選手だけだったんですが、今回リーチ選手が加わってもマーシャル選手を止めることが出来ませんでした。
「浜松戦もそうでしたが、やはり新潟はインサイドの得点が伸びないと苦しいですね。浜松戦ではインサイドのディナイでしんどかったんですが、大阪戦ではマーシャル選手のマッチアップが苦しかったですね。

あとは新潟のゾーンに対してサターフィールド選手が上手くプレーするんですね。マーシャル選手を止めるためにゾーンディフェンスにする、それは分かりますが、するとサターフィールド選手が上手くボールを入れるんです。ディフェンスとしては、サターフィールド選手、マーシャル選手がコートにいるというのは難しいですね。」

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第3Q 新潟18-21大阪

両者マンツーマンで後半スタート。大阪はマーシャルがゴール下を攻めつづけて5連続得点。新潟は2-3ゾーンに切り替えてインサイドを守る。新潟では根東、大阪では高田のシュートが決まるが、中盤に大阪が2-3ゾーンにすると徐々に大阪のリードが広がる。今野、ワシントン、マーシャルとバランスよく攻める大阪、速攻からナイトのシュートが決まり61-52、ここで新潟のタイムアウト(2:37)。新潟は終盤にアンドリュース、リーチらのインサイドアタックで追い上げ、58-63の5点ダウンとして第3Qを終了。

※インサイドのマーシャル(8pts)、アウトサイドの今野(6pts)、この2人を軸に得点した大阪に対し、新潟は根東が6ptsと気を吐くものの、池田、アシュビー、リーチで4ptsと得点が伸びない。リバウンドではここまで大阪が40-30とリードし、FTアテンプトは新潟の9に対し大阪が25と圧倒しています。

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-大阪はインサイドのマーシャルを軸にオフェンスが機能してきました。
「やることとしては、前半から新しいことはやってないですからね。」

-逆に新潟は根東が攻守に活躍するものの、チームとして勢いに乗れません。
「ボールシェアが出来ていなかったというのも事実ですね。ゲームメイクも苦しい状態でした。このQは5点差で収まったのですが、集中力の切れるシチュエーションがぽつぽつと目立ちました。相手のフェイクに簡単に飛んでしまったり、レフリーのジャッジメントにフラストレーションを表現してみたり。自分達がしなければいけないことが分かっていても、それが出来ない。

短期決戦ならではですけど、そんな時こそ、どうアジャストするかだと思うんです。短期決戦だからこそレギュラーシーズンと違うことをやってくるのは当然なので。そこで大阪は前半にきっかけを掴んでいました。大阪の日本人選手が得点することで盛り上がったでしょうし。」

-逆に新潟は、日本人選手がやらなければといのうがプレッシャーになっているようでした。
「新潟の選手ですごく気になったのは、シュートを決めることが活躍であると、インプットされてしまっているように感じられたことです。活躍ってのは点数だけじゃないと思うんです。ルーズボールであるとか、インサイドのディフェンスでヘルプに行くとか。どうも新潟は、リングにアタックすることが頑張っていることである、というような気がするんです。この2試合を見ていて、ちょっと気になりました。」

-確かに新潟では、リングにアタックすることが全てのような雰囲気がありますね。
「それが決まらないと自分にストレスかけて、やらなければ、やらなければと。そんな気がしましたね。確かに新潟の選手は頑張っているんですけど、その方向性ですね。そこから派生する話ではないですが、確かに今年の新潟はメンバーが揃っていると言われますが、献身的なプレイヤー、人の為に犠牲になれる選手はどうかという事ですね。たぶん澤岻選手は、それを感じ取ってていたかもしれません。」

-澤岻選手は、「みんながシュートを打ちたい」と言ってました。
「それは、「みんなが点を取りたいと」思っていたのか、それとも「取らなければいけない」と思っていたのか。そこまでは僕には分からないです。その点大阪は、いい外国人選手が揃ってますんで、日本人が安心してシュートを打てると。」

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第4Q 新潟17-22大阪

引き続き2-3ゾーンの新潟に対し、大阪はマンツーマン。序盤はお互いに得点が動かないが、新潟が澤岻のFTとシュートで徐々に追い上げ、小松の3ポイントでついに65-65の同点に追いつく。しかし直後にワシントンが3ポイントで返すなど、一進一退の攻防が続く。残り3分、均衡を破ったのはマーシャルのゴール下。ポストからFTをもらって決めると、サターフィールドのアシストでダンクを決める。新潟ディフェンスの意識がマーシャルに行ったところで、今野が絶妙のカットインでゴール下で合わせ77-73。更にマーシャルがオフェンスリバウンドからのバスカンでダメ押しを決め、大阪が85-75で新潟を下しました。

※終盤まで接戦となりながら、最後はマーシャルがゴール下で新潟を圧倒。マーシャルはこのQだけで8pts(FG3/4)、6rebと、アシュビー、リーチ、アンドリュースの3人でわずか5ptsに終わった新潟のフロントラインを制圧。チームとしてもリバウンドで18-8と大きくリードし、試合では63-39と勝負になりませんでした。新潟は頼みの3ポイントが5/15(33.3%)に終わり、小松(14pts)と根東(11pts)が奮闘したものの勝利には及びませんでした。大阪はワシントンが9tpsながら(FG2/11)、今野の22pts(FG7/14、FT8/10)がチームに大きく貢献しました。

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-なんとか5点差で終わった第3Qから、展開的にはなんとか新潟が追い上げる流れになります。中盤までは新潟の2-3ゾーンを大阪が攻められませんでした。
「大阪は攻めあぐねていたし、新潟も徐々に集中していました。」

-新潟は小松の3ポイントでついに追いつくのですが、直後に3ポイントで返したのがワシントンでした。
「これはもう彼の素晴らしさですね。あっさりと、(小松の決めた)数秒後でしたからね。普通はタイムアウトというシチュエーションですけど、彼がしっかり決めてくるところが大阪の強さであり、このゲームを象徴する場面でしたね。新潟の勢いを止める大きなプレーでした。」

-新潟は追いつきはするものの、そこからあと一歩が足りませんでした。
「(大阪は)最後は頼みの綱の(マーシャルの)ダックインがありますからね。新潟も苦しくなったらジュリアス、リーチというのはあったと思いますが、ここまでと同様、大阪のインサイドで行かれてしまいました。」

-中盤までは大阪のインサイドを守っていた新潟の2-3ゾーンも、最後までは機能し切れませんでした。
「(大阪が)ゾーンに慣れてきたといのもあるでしょうし、大阪自体がゾーン主体でやってきたのもあると思います。苦しくなったら最後はダックインという認識はあったと思うので、組み立て易いですね。」

-中盤にサターフィールドがコートに戻ってから、パスが回るようになったのもありますね。
「大きいですね、起点は彼です。彼がボールを持つことで、ディフェンスラインが彼に寄りますからね。また短期接戦では、どれだけシンプルに得点できるかというところが鍵になると思うので、その意味ではサターフィールドの1on1とか、マーシャルのインサイドヒット、それを持っていることは、終盤への強みになるのは当然の事ですからね。」

-結局、得点的には終盤まで竸ったものの、最後は力の差が出た内容となりました。
「良くも悪くも大阪は大阪らしかったと思いますよ。スタッツ的にこれだけ優位になりながら新潟にお付き合いしてしまったというのは大阪らしいと思います。」

-逆に、新潟らしい負け方とも言えますね。
「残念ではありますね。もっとジュリアス達がインサイドでやれると思ってましたからね。途中からハイポストに逃げましたからね。あれをしちゃうと、アウトサイドの選手も大変なんです。あれがチームルールとして成り立っていたのならいいのですが、正直、成り立ってないと思います。ジュリアスがハイポストからシュート打った時なんて、誰もリバウンドにいないですから。

澤岻選手がなんとか引っ張っている印象はありましたけど。だからこそ、もったい無かったかもしれないですけどね。」

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-有明での新潟の2試合を振り返ると如何だったでしょうか?
「イメージしていた新潟とは違いましたね。力を出せなかったと思います。決して彼らにやる気が無かった訳ではなくて、ゲームを諦めている訳でもなくて、マインドはしっかりしてコートに入ったと思います。

もちろんメンタリティとフィジカルとスキル、この3つが合わさってのチームの強さですので。ただ、今までやれていた事が出来なかったという所で、もっとアジャストして欲しかったですね。

やはり選手ひとりひとりが、HCに何を求められているのか、これが細分化されていなかったのかもしれません。例えば池田と小松、この2人に点を取れと同じことを求めたわけではないと思うのですが、そこで彼らがきちんと認識を持てていたのか。ジュリアスとリーチにしてもそうですけど、嫌かもしれないけど、ディナイに対して体を張らなければダメだぞと。ディフェンスにしても、例えばマーシャルをディナイしなさいと指示していたと思うんですけど、もしかしたら、彼らに取ってはウェイトが重たくなかったのかもしれません。

ただ同じなんですけどね。ディフェンスでマーシャルをディナイして、裏にパスを通されたら仕方がない。太田敦のようなディフェンスを外国人に求めるのも酷ですけど、ディナイという言葉をキーワードにするなら、アシュビーもリーチもディナイされるのが苦手ですし、ディナイするのも苦手ですし。そういったベーシックな部分で、残念ではありました。

この2試合に関しては、アシュビーはフェイドアウェイが目立ちましたね。フェイドアウェイしちゃうと、オフェンスリバウンドに行けないので。あそこで強く行って欲しかったというのが、新潟のブースターの気持ちではないでしょうか。オフェンスチャージを取られてもいいから、やってきた通りに行って欲しいというのはあったと思います。これもジュリアスに聞けば「違う」と言うんでしょうけど、そこのコミュニケーションですね。HCがジュリアスに要求すること、リーチに要求することが細分化されていなかったのかな、というのは残念ですね。」

-廣瀬HCに迷いはないようでしたが、チームとしてまとまれなかったのでしょうか?
「廣瀬HCは間違いなく実績もありますし、しっかりとしたハーモニーを描けるビジョンがあったと思います。それに対して選手はどうだったか。ただ、それは選手の責任ではないですけどね。応えられなかったのか、ビジョンがどうだったのかという事ですね。」

-これが結果的に廣瀬HCの、新潟としての最後の試合となりました。
「残念ではありますね。ただ、こういった事を日本人選手がしていたら、日本のバスケは変わらないと思うんです。HCが言っている事に対して理解出来なかったり、いろいろあると思うんです。それを、選手だけで処理すべきことと、処理してはいけないことがあると思うんです。そこをしっかり踏み込んで、何がチームの為なのか?という事を考えられる選手が、ひとりでも多く育って欲しいと思います。もちろんHCに物を言うというのは、ものすごい覚悟と責任が発生することですけど、日本のバスケはまだそのレベルなので。疑問があるならしっかりと言うべきですし、その意味でも、選手のメンタリティを高めていって欲しいですね。」

-ありがとうございました。

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試合後の記者会見(いずれも抜粋)

いずれの試合後もHCは共同記者会見及び囲み取材、そして各選手に囲み取材が行われたのですが、その中から一部を抜粋してお伝えします。

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準決勝、浜松戦後のコメント(5/21)

新潟アルビレックスBB

廣瀬昌也HC

-今日の試合の総括について
「・・・前半、日本人が外から全然攻めてないので、それがちょっと悲しかったですね。このような大舞台の時に、強いメンタリティが必要なんだなと。臆すること無くやれるかやれないか、そこのところがまだまだ(彼らに)仕向けられなかった自分自身もまだ経験不足ですし、選手もそう持っていけなかったこと、これが経験として、こういった大舞台でこれくらい出来るといった物を、心技体すべて含めて、糧にしてくれればと思います。」

-オフェンス面の評価は?
「・・・(日本人選手には)リングにミートしなさい、ディフェンスにミートしなさいという練習をずっとやっていて、それはやはり気持ちがリングに行くという事なんですね。外の人間はそこが凄く大事です。まず気持ちがリングに行くこと。攻めながらシュートを打ったりドライブしたりパスしたりという選択をすること。

ウチの日本人達は立ち上がりからそれが無かった。思い切って行け、とにかくやってきた事を出しなさいということで言ったんですけど。根東はやったんですけどね。行くんだけど、滑ってターンオーバー2つという悪循環、いつもの悪いパターンですよね。池田は借りてきた猫状態になってしまって何も最初は出来ない。もうちょっとアグレッシブに行って欲しかったと思います。」

-日本人で勝つというのは新潟のテーマであり、この試合のために準備してきたと思いますが、結果的に浜松の日本人選手のほうが点数で上回っています(浜松26点、新潟22点)。これは新潟の選手の力不足なのか、それとも準備不足だったのでしょうか?
「それは全て私の責任だと思います。そう(選手を)仕向けられない、優しさがこういった試合に出てしまうのだと思います。自分自身がもっと勉強しなければいけないし、成長しなければいけないと思います。

タカトの事も言ってあげなければいけなないと思うんですけど、彼も、震災後よくないんですよ。ずっと良くなかった。プレイオフの秋田戦も全然良くなかった。今回はやらなきゃダメだよと一回ハッパをかけて、練習はすごく良かったんです。正直、ものすごく良かったから、ものすごく期待してたんですけど、今日もオープンで2本打って。あれを決められるか決められないか。何が原因なのか。打ってくれたことに関してはすごく良かったと思っているので、それを決めていく勇気だとか自信だとか、そういった物を、もう1回、何が必要なのかを彼自身が見つめ直してくれればと思います。

先ほど話した通り、このような大舞台で、平常心を持って普段どおりにやるというのはすごく難しい事だと思うんです。それは去年も経験できたのだから、去年と違うものを出さなければいけないと思います。ただ残念ながらそれを出し切れなかった。それは本当に僕の責任だと思ってます。」

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浜松・東三河フェニックス

#3大口真洋選手

-試合の序盤から浜松が積極的に攻めの姿勢を見せたのは、やはり十分な準備の上で、新潟戦で行けるという気持ちがあったのでしょうか?
「正直、やれるという気持ちは、微妙な感じでした。ジャメインがいなくなってウェインが不調でと、これでもかという状態になって、また試練を与えられたなという感じだったのですが、出だしはやはり健哉が引っ張ってくれて、その後も気持ちのこもったプレーをしてくれたので、あれでチームが乗っていけたのではないかと僕は思ってます。」

-浜松としては十分な準備はしていたのという事ですね?
「(新潟の)3-2(ゾーンディフェンス)は準備してました。ゾーンは2-3もあるかもしれないし、3-2もあるかもしれないという事で、しっかり準備はしていました。だから(ゾーンで)来たとしても、慌てずに出来ましたね。」

-大口選手といえば去年のファイナルのパフォーマンスが印象的ですが、やはりあれはやろうと思ってやれる物ではなく、準備してきたからこそ、結果として発揮できる力だと思います。その意味で、今年も準備が出来ていると思いますか?
「去年のことはあまり頭にいれずにやっているつもりです。あまり意識はせず、自然体で入れれば僕らしいプレーが出来ると思うので、なるべく雰囲気に飲まれず、マイペースでやれればと思います。」

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3位決定戦、大阪戦後のコメント(5/22)

新潟アルビレックスBB

廣瀬昌也HC

-今日の試合の総括について
「・・・今日は根東と小松が非常に頑張ってくれたので、それは本当に嬉しかったです。でもこの世界、結果が全てなので、日本人の頑張りという部分ではすごく納得してるんですが、負けたという結果については、自分自身の至らぬところだと思ってます。

有明に来て、(これで)7連敗かな。有明で全く勝てないという伝説が出来つつあるので、何とかしなければとは思うんですけど、僕自身がこういった大舞台に弱いんじゃないかな?と思いながら、(HCとして)完成していきたいと思っております。」

-第4Qについて
「・・・澤岻はすごく期待に応えて行ってくれたけど、ジュリアスのところは最後、ちょっと勿体無かった。(ジュリアスは)目が死んでた。「最後はお前だよ」と言ってたんだけど、分からないけど、何かあるんでしょう。彼に聞いてみてください。(気持ちが)乗ってない。

でもあいつで始まり、あいつ中心でずっとやってきて、日本人で頑張ろうという中であいつだけが残ってチームに帯同してくれたんで、最後、あいつで負けるなら良しかなと思ってました。仕方ないですね。」

-この2日間の池田のパフォーマンスについては?
「弱いね。メンタルでしょうね。彼に言ったんです、イチローも、毎年毎年変化を求めている。それが技術の向上、メンタルの向上、人としての向上、全てだと思うんです。(今までと)一緒のプレーをしていたらダメだよと。何か変えないとダメだよ、何か自分で変化をもたらさないとだよと。それを彼がどう感じるか。聞いてみてください。」

-チーム設立10周年というシーズンで、4位という結果に終わったことに関しては?
「・・・後は僕自身の問題なので、結果に対しては、僕自身に責任があると思ってます。優勝したいというフロントの思いも強かったし、僕自身もそうだったし。ブースターも含めて、スポンサーさん、全ての人達の思いだと思うので、それを達成出来なかったというのは、僕自身がしっかり責任を感じてなければいけないと思ってます。」

-HCとしてはやりたいことが明確になっていたようですが、それを選手達はチームとして固めきることができなかったという事でしょうか?
「言い訳になってしまうのかもしれないけれど、難しいのは、毎年選手は変わっていくから、チームとしてのフィロソフィー(哲学)を築きあげるというのは、やはり大変だと思います。僕はこの6年間で、すごくいい経験をさせてもらいました。僕自身がそれを一番感じています。生半可じゃないです。

だから(チームを)変えちゃダメだし、でもその為には予算があるし、いろんな物が必要なんです。出来る事もあれば、出来ない事もある。それが、すごく難しいと思います。

それを、出来るのであれば残していって、チームとしてのフィロソフィーを2年、3年とかけて築き上げたほうが、長い目で見た場合、(チームが)強くなるのではないかというのが、僕の体験談です。僕はそう感じています。」

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#1澤岻直人選手

-今年の新潟はどんなチームでしたか?
「みんな我が強くて、シュート打ちたいんですね。それなりにみんな仲も良くて。チームのバスケットをどうやって組み立てていくか?というところで、上手く行かなかったところもあったんですけど、メンバー的にはみんな仲が良くて、いいチーム、楽しいチームでしたね。」

-チームの完成度はどうでしたか?
「どうですかね、まだまだではないですかね。」

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#32池田雄一選手

-コンディションが悪かったのでしょうか?
「それは無いのですが、チームの流れもあるでしょうし、自分の打ちたいタイミングでポンポン打つというのは控えていたので、チームの流れを考えていました。」

-キャプテンとして、今年のチームの印象は?
「チームを引っ張るにあたって、澤岻さんや根東さん、僕の先輩がサポートしてくれたので、個人的にはキャプテンをやるにはやりやすい環境だと感じていました。みんな素直な選手が多く、普段、プレー以外でも接しやすい選手ばかりなので、すごく楽しいチームだと思います。」

-仲の良い楽しいチームという中で、勝負の為には厳しさが足りなかったと感じるところはありますか?
「たまに負け試合では、個人技に走ったりする選手もいたんですけど、そういった面で僕がひとりひとりにもうちょっと強く言えたら、チームで戦おうという事を言えたら、キャプテンとしては良かった試合も何試合かあるかなと感じています。練習ではお互い仲良しですが、激しく練習していますし、普段は仲良しですけどコートに立てばみんな性格が変わるというか、そういった面では良かったと思ってます。」

-先ほど、「チームの流れを考えて打つ」という話がありましたが、やはり新潟を代表する選手として池田選手にかかる期待は大きいですし、しかしこの2試合ではシュートを打つ回数自体が限られていました。2試合とも負けてしまったということで、もっと打つべきだったという後悔はありますか?それとも、チームプレーに徹した結果なので仕方ないと思いますか?
「終わった事なので、今何を言っても後悔になってしまうので、あまり引きずりたくはないのですが、僕のプレースタイルというかクセなんですが、どうしても試合の最初は、試合の流れや相手のディフェンス状況を見てしまう、これは大学時代からなんです。そこをどんどん行け、というのは分かっていたので行こうとは思っていて、(今日は)最初から攻めたんですけど、それをやっても正直、あまりしっくり来ないというか、自分のリズムでは無いなというのは感じていました。行ってそれが入れば結果オーライという事なんでしょうけど、その辺は、コーチの望む事と自分のやりたい事があって、非常に難しかったです。正直、シーズンを通して咬み合わない所も何回かあったと思います。」

-自分に求められる役割がハッキリ見えなかったということでしょうか?
「(シュートを)打つだけじゃなくて、(ディフェンスを)崩してから回りを生かせという指示もあって、練習でもミートからの1対1、そういった事をやってきた中で、それを出せ、出せと。シュートを第1に考えてなかった試合は、たぶん相当多いかなと思います。」

-廣瀬HCから「池田はメンタルが弱い」というコメントがあったのですが、そのメンタルを克服するのには何が必要だと思いますか?
「人に左右されないというか、自分自身をもっと強く持つという事が大事だろうし、それがまたフラストレーションになったりするのはあると思います。「結果を気にするな」と廣瀬HCはいつも言ってくれるんですけど、結果を気にしないことはどうしても出来ないので。やりにくい部分は正直ありますけど、廣瀬さんはHCですし、選手としてはそこにフィットして合わせていかなければいけないと思うし。かと言って、自分の好きにやって試合に出れるか?と言えば、そうではないと思うので。非常に難しいですね。以前はそんなこと関係なく、(3ポイントラインから)離れていようが何しようが打てるときはポンポン打つし、そんなのもあったんですけど、最近はそんな事もなくて、ちょっと考えすぎという部分もあるし、選手としてはそれも必要かなと思うし。」

-キャプテンだからと意識することはありますか?
「キャプテンだからといのは無いですね。選手である以上、試合には出たいですし、HCの望むことをしなければ試合には出れないし。昔のように2本打ったら交代とか、そんな風には戻りたくないという気持ちはずっとあるので。その辺は、言われたとおりにプレーをしようというのが、逆に良くないのかな?とか最近は思います。それは、選手としての自分の力が足りないから(HCが求めるものに)合わせられないというのがあると思うし。その辺は、ちょっと難しいですね。」

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※その他、新潟戦以外で印象的だったコメント(一部抜粋、以下同)

準決勝 琉球ゴールデンキングス vs 大阪エヴェッサ戦(5/21)

琉球ゴールデンキングス

#9小菅直人選手

-選手個人としては、チームから求められている物がハッキリとしており、その部分でやりやすさはあるでしょうか?
「そうですね、まずディフェンスでは今日、ケニー選手に付かさせてもらって、相手のPGに付けさせてもらうというのは嬉しく思うし、それだけ信頼してもらっているという事なので、しっかり守るようにしていました。それだけでなく、オフェンスに関しても期待してもらっていたんですけど、今日はディフェンス中心にやろうと思っていたので、追い上げられはしましたが、結果として勝てたというのは良かったと思います。」

-主力選手としては久しぶりにこの有明でプレーしていますが、やはりこの雰囲気は楽しいですか?
「昨シーズン、新潟で来た時とまた違った感情がありましたね。役割を持ってそれをコートで出せるというのは、選手としてもちろん嬉しいことですね。」

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決勝 琉球ゴールデンキングス vs 浜松・東三河フェニックス戦(5/22)

琉球ゴールデンキングス

#8与那嶺翼選手

-浜松との差はなんだったのでしょうか?
「ブースターの力は、どこにも負けないパワーがありました。やはりオフェンスリバウンドを25取られてしまい、(浜松の)リバウンドが59、それに対してウチが40。そこの部分を見ると、ボールに対する執着心が、最後に優勝の差になったんじゃないかなと思います。」

-有明に来た多くのブースターに、キングスバスケットを見せられたでしょうか?
「いや、やはり結果が出なかったので、キングスバスケットを出していれば、結果は付いてきたと思いますし、本当に執着心の部分で、ブースターの皆さんに伝えられなかったかなという思いがいっぱいあるので。でもブースターの皆さん、沖縄からもそうですし、各地方からこれだけのブースターが集まってくれて、改めて、キングスブースターがNo.1だという思いで、コートでプレーしていました。」

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浜松・東三河フェニックス

#8太田敦也選手

-特に準決勝の新潟戦では、外国人のビッグマン相手に(ディフェンスを)頑張った印象がありました
「そうですね、終わったあと、体が痛かったです。それくらい体を当てて、守れたかなというのはあります。」

-チームが連覇を達成する中で、自分自身のプレーはステップアップできましたか?
「はい、思っています。去年は特に何かやれたという感じはしなかったのですが、今年は、多少なりとも明確に何をやれたと思うのですが。」

-それは具体的には?
「ディフェンスがほとんどですけど、自分なりにはしっかりやれたと思ってます。その部分は少し成長できたのではないかなと思います。」

-中村HCはまだまだと評価されているようですが、自身の課題については何を考えていますか?
「やはりオフェンス能力、得点を取りに行くという事が1番の課題かなと思います。前よりは(積極性が)出たと思うんですけど、もっと出して、外国人相手でも、もっと点数を取れるようになりたいと思ってます。」

-全日本代表の候補に選ばれているということで、自分のプレーで代表に貢献できる力があると思いますか?
「やはり日本人として、このようなリーグにいて、外国人とほぼ毎日練習して、日本人と練習したのを覚えてないくらいなので、少しは役に立てるのではないかと思っています。」

-日常的にリーグを代表するビッグマンと練習するというのは、大変だと思いますが、やりがいもありますね
「そうですね、やりがいは確かにあるんですけど、本当に大変なんです。」

-今後の個人的な目標はありますか?
「今回はいい所もあったんですけど、プレータイムが少なかったりとか、オフェンスの課題があるので、一気に全部変えられるなら苦労はないですけど、少しずつでも改善していきながら、また次の目標に進んでいきたいと思います。」

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琉球ゴールデンキングス

#5友利健哉選手

-古巣の沖縄との対戦ということで、最高の舞台になりました
「本当に、僕が思い描いていた通り、セミファイナルで去年いた富山とやりましたし、準決勝は澤岻選手とやりましたし、ファイナルでは沖縄だったので、チームメイトと話していた時に、そんな風になったら最高だねなんて言ってたシチュエーション通りになりましたね。メディアには意識してないと言ってたんですけど、すごく意識してました。僕はどのチームよりも沖縄と対戦したいと思ってますし、沖縄だけには一番負けたくないと思っているので。昨日、(準決勝の)試合が終わった後に、すぐ中村HCに呼ばれて、「お前は澤岻の分まで頑張らないとダメだぞ」と。その言葉は凄く響きましたね。」

-有明では2試合ともスターターでしたが、意識したことは?
「ディフェンスですね。僕がトップで守ることが多いので、その姿勢を見て、(後ろの)メンバーがディフェンスをしようと思うように持っていければいいかなと思ってました。それをすごく意識しました。」

-浜松に移籍した今シーズンは友利選手にとってステップアップの年となりましたが、この1年を振り返るとどうですか?
「・・・中村HCは、僕がフェニックスに来た初日の時に、こう言ったんです。「俺は今日もファイナルも変わらない」と。そういう気持ちでみんながチームの練習をこなしたことが、チャンピオンに繋がったのではないかと思います。」

-やはり中村HCは厳しかったでしょうか?
「HCはこう言ったんです。「練習の内容は、(他と)それほど変わらない」と。「勝つ練習をするかどうか」なんだと。本当に、その通りだと思いました。厳しいことも言いましたけど、僕のバスケット人生において、ステップアップするための指導をしてもらったと思います。」