4月23日(土)新潟アルビレックスBB vs 浜松東三河フェニックス 試合後のインタビューとゲームレポート

4月23日(土)に新潟市鳥屋野総合体育館で開催された新潟アルビレックスBB vs 浜松東三河フェニックス戦、試合後の記者会見及びゲームレポートです。

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浜松東三河フェニックス

中村和雄HC

―今日の試合の総括について
「リバウンドの数があるんですが・・・ただ消化ゲームなんで、難しいですね。やってる方がね。

ずっとそうなんですよ。ゲームやれば勝ちたいと思うんですけど。技術的にはリバウンドなんですが、気持ち的に受けてしまったというのがあると思います。(有明で対戦するのは)新潟と秋田が50%の可能性なんで、それを考えながらこの前の秋田戦も戦ったし、この新潟戦もそうだし。

ゲームをやれば勝ちたいと思うんです。ゲームが始まれば。でもそれは俺の勝手であって。これ(新潟戦)が終わってからが、本番という感じがしますね。これに関しては仕方ないですね。

(今日の試合は)気持ち的に、新潟が勝るものがあったと思います。」

―ディクソン選手がチームを離脱し、今日の試合ではアーノルド選手への負担が多くなりましたが、この展開については?
「今日は太田和利をPGで初めて使ってみたんです、練習でも使わないのに。ただアーノルドの所はどうしても(新潟の)日本人がマッチアップしているから、得点が増えるんです。どんなに頑張っても増えますよね。

彼のところでは(ディフェンスに)掴まれてたけど、いいんだ、と。多分そう(タイトに)付いてくるから、案の定そうだった。それに耐えられるだけの精神状態をアーノルドは持ってますよね。もっと負担をかけて、また活躍してほしいですね。ウチのエースだから、アーノルドは。」

―有明では新潟と対戦する可能性がありますが、このシリーズで意識することはありますか?
「無いですね、今のところは。

ただ、フロー(ラーカイ)の所はちょっとリバウンド頑張れと。ジョージ・リーチにやられたんで。(震災で)埼玉が(活動を)止めた後で、(リーグの救済制度で)リーチを獲得するかという話があったんです。俺は「いらない」と。フロー、お前がいるから任せると。だからフローはもうちょっと頑張る必要があるかな、と思います。」

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新潟アルビレックスBB

廣瀬昌也HC

―今日の試合の総括について
「強い浜松さんに関して、勝てたというのは良かったと思います。というのは、秀平にしても池田にしても、日本人がすごくアグレッシブに行ってくれまいた。そこは収穫だと思います。

ただ、(浜松は)このままで終わるチームじゃないので、明日、(浜松の)ディフェンスがどうなるか。すごくプレッシャーを掛けてくると思うので、明日どれだけ出来るのか?というのが見てみたいと思います。

あとは、イッサのコンディショニングが良くないんです。ザックも膝を怪我していて(練習を)やってなかった。そんな中で、今日はジョージがすごくオフェンスリバウンドで貢献してくれました。繋ぐというより、本当に救ってくれたというような2本のオフェンスリバウンドがあったので、それがゲームを(浜松に)持って行かれずに済んだ要因、リバウンドのところが大きかったのではないかと思います。

あと、ジュリアスをPF系に持って行こうとして、ずっと練習してトライしてきているんですけど、プレイオフまでにどれくらい変身できるか?というのはトライしていきたいと思います。

明日もう1回、日本人がミートから積極的に(攻めて)行けるかというところ。そこだと思います。

今日も、避難している方々が見に来てくださったんですが、僕が聞かれたときにいつも思うのは、僕らが勇気を与えるとか、元気を出すとか、それは分からない。ただ、やれる事を一生懸命やる、それを見てないかもしれないし、見ているかもしれない。その中で少しでも心に響いたり、響くようなゲームをするのが今我々が持っている責務なんだよ、という話はしました。我々はまた明日、ホームの最終戦なので、とにかく一生懸命勝負を戦う、1対1もオフェンスもディフェンスも戦って、被災された皆さんに少しでも届けばいいのではないかと思います。」

―ヴィーズリー選手の離脱により得点力のある外国人ガードに対するディフェンスが課題となりますが、これに関しては日本人で守っていくという事でしょうか?
「誰も守れませんからね。ウチの外国人のビッグマンでは守れないでしょ。到底守れない、日本人で頑張るしかない。

だからさっきも言った通り、オフェンスも勝負だし、ディフェンスも勝負しなければいけない。日本人だから守れない、ではなくて、日本人で守るしかないんだから、お前たちが勝負しなさい、と。それは、相手もクセがあるから、ここだけはやられるな、と。すべからく守るというのは無理なので、やはりやられ方の問題だというのは常々言ってます。勝負しなさい、と言ってます。」

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#3ジョージ・リーチ選手

―今日の試合について
「すごく楽しいゲームでした。ここ2週間すごくハードに練習して来たので、その結果がコートで現れたことが嬉しいです。」

―今日はどんな点がよかったですか?
「ハードにプレーする部分に関して言うと、新潟に加入してから、新潟というチームにはバスケットをプレーするという事に対してすごく強いプライドがあると感じています。コート上でもコートの外でも、常にアルビレックスの看板を背負ってみんながプレーしているという事を感じています。その意味で、常にハードにプレーするチームだと感じました。」

―新潟の選手として初のホームゲームでしたが、どんな印象でしたか?
「選手としては、新潟のブースターの皆さんはゲームの最初から最後まですごく一生懸命応援してくださるので、一生懸命プレーしようというモチベーションにもなりますし、素晴らしい環境だと思います。」

―どんなプレーでチームに貢献したいですか?
「今日の試合と同じように、得点でもリバウンドでも、チームから求められる役割をとにかく一生懸命やること、そういったところで貢献していきたいと思います。」

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#13小松秀平選手

―今日の試合について
「まずは勝ててよかったです。今まで震災で試合がなくて、僕達がやってきた結果がこうやって結びついて、練習してきたことも少しですけど、このゲームの中で出てきたので、今後にも繋がるかと思います。課題もありますけど、前向きに捉えて明日のゲームをまた頑張りたいです。」

―練習で意識してきたことは何でしょうか?
「やはり日本人で点数を取っていかなければいけないので、パスをもらってからの崩しだったり、ドライブだったり、3ポイントだけじゃなくて中に切れこんでいって、自分でもシュートを打ったり、回りを生かすようなプレーを意識していました。チャンスがあれば持ち味を出せればいいなと思っていたので、今日はそれが出てくれたので良かったと思います。」

―試合を通じて接戦でしたが、どのような事を意識していましたか?
「特に意識せず、平常心を心がけていました。点数がちょっと離れたんですけど、絶対に追いつくと思ってたし、ずっと諦めない気持ちでコートに出ていました。」

―やはり3ポイントは意識している部分はありますか?
「それが無かったら僕はbjではプレーできていないので、そこは自信を持って自分の仕事をして、チームに貢献できればいいと思います。」

―プレーオフに向けて、浜松戦での勝利は大きいでしょうか?
「ひとつだけ勝ったので、また明日も試合があるのでそこで気を緩めず、2連勝してプレーオフで秋田に勝ちたいと思います。」

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#1澤岻直人選手

―今日の試合について
「(勝てて)良かったです。手応えは、前回の浜松戦と同じような感じですね。今日は最後にアーノルドがいなかったんで、そこがラッキーだったんですけど。」

―メンバーの入れ替えもありましたが、練習でやってきたことは試合で出来たでしょうか?
「チームが変わったというより、試合(の間隔)が空きすぎたというのと、何を目標に試合をやっていくのか?ということですね。やはり震災が起こってから、それぞれが優勝、勝つことを目指してやっているんですけど、気持ちの切り替えというのはやっぱり難しい。新潟は試合が無かったので、そこで調整をしていくのは難しかったし。でも今日の試合で何か、勝つこと、バスケの試合をしていくという事の意味をみんなが少し思い出したという気持ちはあります。」

―接戦を勝ち切った要因は?
「雄一がアーノルドからファウルをもらってくれたこと、根東も縦パスで走りながらファウルをもらってくれたこと。あとFT、僕は外したんですけど雄一と根東がしっかり決めてくれたこと。これは今までに無いことだと思います。

あとジョージがリバウンドを頑張ってくれて、イッサやジュリアスもリバウンドに絡んでくれたこと、これは今までのウチに無かったというか、プレイオフに向けて、シーズンの最終戦として良かったのではないかと思います。」

―澤岻選手が中心となって避難所の皆さんをゲームに招待しましたが、その皆さんに納得してもらえるゲームだったでしょうか?
「納得出来るというより、僕はファンになってほしいとか、リピートしてほしいということではなくて、ちょっとでもみんなの気晴らし、リフレッシュになってくれればという気持ちで企画してもらったので、楽しんでもらえたと思うので、それは良かったと思います。」

―今後に向けての課題、意気込みは?
「カンファレンスファイナルで浜松と当たりますし、その前に秋田と試合もありますけど、とりあえず今取り入れているオフェンスとディフェンスを機能させていくという部分で、また明日ですね。今日がラッキーな勝ちだったのではなくて、明日もちゃんと実行できればもっといいチームになると思うし、またそれが出来ないかもしれないけれど、それはそれとして修正していかなければいけない事なので、とりあえず明日勝つことですね。個人的な事よりも、勝ってプレイオフに向かう、勢いづけじゃないですけど、小松達も調子がいいので、自信をつけれくれればと思います。

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ゲームレポート

新潟アルビレックスBB vs 浜松東三河フェニックス@新潟市鳥屋野総合体育館(2011.4.23)

新潟-浜松
第1Q 19-21
第2Q 19-20
第3Q 18-19
第4Q 22-15
最終スコア 78-75

【スタート】
新潟:#1タクシ、#15根東、#32池田、#25アシュビー、#3リーチ
浜松:#5友利、#11岡田、#34アーノルド、#21パーマー、#12ラーカイ

【レフリー】
#5デービス、#15平出、#27佐藤

【観客者数】
2,037人

【主な個人スタッツ】
新潟:小松20pts、3pt5/12、3reb、2stl、リーチ14pts、FG6/10、16reb、池田12pts、FG2/8、FT7/7、根東8pts、FT4/4、アシュビー8pts、6reb、タクシ7pts、4ast
浜松:アーノルド34pts、FG9/18、FT12/13、5ast、3stl、5F、ニクソン12pts、5reb、3ast、ラーカイ9pts、7reb、大口6pts、3pt2/5、4reb、パーマー6pts、5reb

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第1Q 新潟19-21浜松

いずれもマンツーマンディフェンスでスタート。新潟の外国人が2人のためミスマッチが生まれるが、根東がアーノルドを守り、アーノルドは池田をマーク。

新潟はリーチ、アシュビーのダブルポストでスタートするが、ボール回りが遅くオフェンスが重たい。まずはリーチをメインに据えるが、ボールが入れば浜松ガードのダブルチームが素早く、インサイドアタックを展開できない。ボールは外角を動くだけで、苦しいシュートになってしまう。

浜松は新潟の拙攻から速攻に走り、またラーカイのポストプレーや、アーノルドがスクリーンからゴール下でボールをもらい得点に絡む(これはこのシリーズを通して何度も見られました)。アーノルドはドライブからもディフェンスを2人、3人と抜き去って得点を重ねる。

新潟のオフェンスが上向いてきたのはQの終盤。リーチがやっとポストから得点を決める。新潟がやりたかったこのプレーが決まるまで、実に8分もかかってしまいました。リーチはその後もミドルショットで続き、更にシュートミスからのオフェンスリバウンドを押し込んで19-21で第1Qを終了。

※浜松はアーノルドの9pts、ラーカイの6ptsと中外にバランスよく得点。ターンオーバーも1しかありません(新潟は5)。

一方の新潟はインサイドを封じられて苦しいアウトサイドが多くなり(3pt1/5)、やっともらったFTも決められないのですが(4/9)、終盤のリーチの6連続得点でなんとかゲームを繋げています。しかし、既にアシュビーが2ファウルなのがこのゲームに大きな影響を与えそうです。

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第2Q 新潟19-20浜松

出だし、浜松のアーノルドが連続でシュートを外す。新潟はコナーレがドライブから難しいバンクショットを決め、これに小松の3ポイントが続いて23-21と逆転し、ここで浜松のタイムアウト(8:49)。

その後も小松の3ポイント、さらに齋藤がアーノルド相手にタイトなディフェンスを見せ、浜松が再びタイムアウト(7:42)。

浜松はここからニクソンの連続3ポイントで一気に追い上げる。特に2本目はインバウンズパスからのターンシュートで、これは止めようがない。浜松の勢いが出たところで、新潟のタイムアウト(5:25)。

新潟は齋藤からアンドリュースへのアリウープパスが通るなど好プレーも出るが、浜松が序盤から切り替えていたゾーンディフェンスを攻めあぐねる。

新潟もゾーンに切り替えて流れを変えようとするが、アーノルドがあっさり3ポイントを決めると、次は得意のターンシュート。そして大口の3ポイントで35-34と浜松が逆転したところで、新潟のタイムアウト(3:06)。

浜松のオフェンスはポジションに関係なくスクリーンを使いコートを広く使うオフェンスを展開するのが特徴ですが、ここでは太田敦がゴール下でボールをもらいあっさり得点、更にオフェンスリバウンドに跳んで39-36とリードを広げる。

新潟は小松、コナーレらが得点に絡むが、24秒OTになるなど攻めきれない。41-38と浜松がリードを保ってハーフタイムへ。

※浜松は引き続きアーノルド(7pts)、ニクソン(6pts)らのアウトサイドでオフェンスを引っ張るが、新潟も小松の10ptsの活躍で点差が開きません。

新潟はターンオーバーが2とゲームが落ち着いてきました。

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第3Q 新潟18-19浜松

後半、新潟がポストオフェンスを変えてきました。ターゲットをリーチからアシュビーへシフトします。まずアシュビーをアウトサイドへ置き、それからアシュビーをポストに落としてそこにボールを入れる。これでボールが動くようになり、ここからの展開でリーチもボールに絡みやすいようになりました。

浜松はラーカイがゴール下で存在感を発揮し、アーノルドはまたしてもゴール下でパスをもらい得点。

新潟はポストのダブルチームに対する動きもよくなり、ダブルチームされたリーチからゴール下に走り込んだ根東へパスが通り得点。その根東は速攻で積極的に突っ走るも、オフェンスファウルとなってしまう。

しかしその根東に代わった小松が3ポイントを沈め、リーチもねばり強くオフェンスリバウンドに絡んで得点。

浜松はパーマーのバックドアからのシュート、ルーズボールからニクソンのドライブがFTとなり得点。新潟が51-52と1点ダウンとなって新潟のタイムアウト(2:57)。

終盤、新潟はアンドリュースがゴール下で奮闘しFTに続いてダンクを叩き込む。しかし浜松もニクソン、アーノルドがミドルショットを沈めて新潟の逆転を許さない。

新潟は最後にタクシが大口相手に1on1から得点を決め、56-60の4点ダウンで第3Qを終了。

※新潟のFGは7/14と悪くはないものの、ターンオーバーが6、そしてFTが3/5とミスがあります(浜松のFTは7/8)。

浜松はひたすらアーノルド。このQで8pts、ここまで合計で24ptとチームを引っ張っていますが、1on1からの個人技が多いので他のチームプレーが機能していません。

それでも、コート上のだれもアーノルドを止められないのは事実なのですが。

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第4Q 新潟22-15浜松

そのアーノルドがいきなり1on1からFT、かと思えば大口の3ポイントをアシスト。更に自らドライブに切れ込み、バスカンを押し込む。ボーナスFTも沈め、これで67-58の9点差となりました。

新潟はタイムアウト後(7:13)、追い上げを見せます。引っ張るのは日本人。池田が3ショットのFTをもらい(アーノルド4ファウル)、小松が3ポイントで続く。そして速攻からアシュビーがバスカンを押し込み、これで68-69の1点差に。しかし大事なボーナスFTを落としてしまい、同点のチャンスを失う。

逆サイドではアーノルドがジャンプショットを沈め、71-68としたところでオフィシャルタイムアウト(4:54)。

新潟は再びアシュビーのゴール下、更に小松の3ポイントが決まりついに73-73の同点に追いつく。

浜松は?もちろんアーノルド。タクシ相手に1on1からミドルショットを沈め、75-73とする。

新潟も速攻から小松がFT、2本目は落とすもののリーチが値千金のティップインを押し込む。調子の出ないラーカイをベンチに下げていることがここで影響しました。

浜松のタイムアウト後(2:23)、試合を決定づけるプレーが出ます。アーノルドの1on1を守るのは根東、このシュートが外れる。すると根東は速攻に突っ走り、ファウルをもらう。これがアーノルド5個目のファウルとなり退場とななりました。

ここまでの38分3秒をアーノルドは休むことなく全てプレーし、32pts、FG9/18、FT12/13、5astとチームオフェンスのほぼ半分を担ってきたこの選手が退場すると、浜松は残りの1分57秒で得点することはできませんでした。

根東がこのFTを2本ともしっかり決め、78-75で新潟が逃げきりました。

※ここでも8tpsを得点したアーノルド、しかしゲームを通してアーノルド以外のオフェンスは機能しませんでした。

新潟はディフェンスでアーノルドをタイトに守り(特に齋藤のディフェンスが効果的でした)、攻めては池田がフェイクでファウルを度々もらうなど攻守に渡りアーノルドにプレッシャーを掛け続け、残り2分で逆転勝利を収めました。

新潟は小松の3ポイントとリーチのゴール下をベースに、ベンチの選手も含めてチーム全体がよくゲームに絡み、総合力で浜松を上回りました。

一方の浜松は完全にアーノルド頼りのゲームとなり、これに対する試合後の中村HCのコメントに「ん?」と思ったのですが、これについてはレビュー記事で。