JXまさかの敗戦、そしてJAL奇跡の勝利から一夜明け、再びコート上で相対する2チーム。しかしこの試合は予想通り、JXがそのリベンジに燃えるゲームとなりました。試合後のインタビューは以下となります。
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日本航空JALラビッツ:荒順一HC
-今日の試合について
「結果的にウチは50点ちょっとでしたよね。一番心配していたのは、やはりディフェンスでゾーンを使ったとしても、JXさんの70という点数、だいたいそういった点数で勝負しなければいけないなと。「70点のゲームだね」という話は選手達としていました。今日は、最後のシュートが入って73点ですよね。やはり、相手はこれくらい取ってくるだろうと。昨日はウチのオフェンスが77点まで上がったんで勝ちが来たと思うんですけど、やはりオフェンスでウチが70(点台)を取らないと、JXさんとは勝負できないと思います。今日はちょっとシュートが入らなかった分、ゲームにならなかったと思います。」
-シュートが入らなかった要因は?
「昨日の後半から、岩村のところと山田のところのプレッシャーがきつくなっていて、そういった所で(ディフェンスを)振りきってウチのリズムをと考えていたんですけど、2試合目という事でスタミナ面で落ちることはあるでしょうけど、今日も控えの選手も使って戦おうとしました。今日はJXさんに昨日のリベンジをされてしまいましたね。昨日よりJXさんの気合が入っていたと思います。」
-インサイドを支配された事で、シュートタッチにも影響があったのでしょうか?
「ゲームの中の流れとして、前半が30点ですよね。ウチが20点。昨日も(JXの)前半は35点ですから、少なかったと思うんです。ウチの点が10点、12点くらい足りなかったという事で、オフェンスで攻められなかった事に尽きると思います。」
-JXのディフェンスのプレッシャーが強かったのでしょうか?
「そこもあるでしょうね。よくスイッチしたり、カバーしてきたりしました。」
-次のシャンソン戦について
「シャンソンさんにも、富士通さんにも、ファイナル4というステージを見据えた中では、この2チームに負けたらおしまいなので、何としてもこの2チームに勝つつもりで行きたいと思ってます。ただその意味では、シャンソンさん、富士通さんだけではないので、JXさんにしてもトヨタさんにしても、ひとつでも星を拾わないと、セミファイナルは見えてこないと思ってます。今度の試合と次の2週は、そこで勝負をしないと上は見えないと思いますので、そこに全力を掛けていこうと思ってます。」
-前日以上に新潟の人達のJALに対する応援が多い印象がありましたが
「JALの応援席も人がたくさんいてくれましたので、本当にありがたいと思っていました。選手達もそれは言ってまして、「しっかりやろう」と話してました。」
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#11矢代直美選手
-今日の試合について
「オフェンスに関しては、自分達のシュートチャンス、みんながシュートチャンスと思うようなシュートを打たせてあげられませんでした。点が取れなかったというのが大きいので、ディフェンスというよりはオフェンスで課題が残ったと思います。」
-JXのディフェンスのプレッシャーが強かったでしょうか?
「自分達のパスミスだったり、初歩的なミスというか、連携のミスが多かったです。自滅した部分が大きいと思います。自分達のリズムが無かったというのが、今日の大きな課題だと思います。」
-JXのインサイドに対するディフェンスは?
「今シーズンに関してはJXさんのインサイドが強いというのが特徴なので、体を張ってという指示が監督からあったんですけど、試合の出だしに、一番止めなければいけない場所で何本も続けてやられたのが悪かったと思います。」
-新潟でのシリーズで得た物はあるでしょうか?
「昨日の試合に関して、あの1勝というのは、チームの総力戦というか、監督、スタッフ、選手全員がひとつになった、それはチーム競技の良さだと思います。それをコンスタントに出していけるというか、ゲーム1試合通してというのは難しいと思うんですけど、その時間を少しでも増やしていけるような取り組みをしながら、もっとチームを固めていきたいと思います。」
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-今日の試合について
「今日は昨日と違って、JXさんのインサイドが安定して決めてきました。高さで勝てない分、点数を取られてしまったというのもあるし、私達が相手(ディフェンス)を振り切って(ボールを)貰ったときに、シュートを決められなかった、そこをやはり反省しなければいけないと思います。」
-第3Q終了時点で33得点しか出来なかったのは、JXのディフェンスが要因でしょうか?
「そうですね、昨日より全然タイトに当たってきました。でも当たってくるだろうと予測はしてたんですけど、(ディフェンスを)振りきれなかったというのは私達の弱さでもあるし、今日感じたことを、これからのリーグ戦に向けてひとりひとりが修正していく部分もあるし、自分としても修正していく部分があると思います。」
-新潟でのシリーズを1勝1敗で終えましたが、これから4強を目指すために得た物はあるでしょうか?
「大きい相手に対してどこで勝てるかと言ったら、体の当たり合いとか、そういったところが出来たというプラス面もあるし、試合を通じてマイナス面、まだ反省しなければいけないところがあるんで、そこが分かったと思います。」
-結果的に試合には敗れましたが、特に後半の苦しい部分で、最後までラビッツのバスケを展開できたのではないでしょうか?
「はい、点差は開いたんですけど、最後まで私達のバスケットをしたいというのが、荒監督をはじめ選手みんなが思っていたので、負けていたとしても、最後まで自分達のバスケットをしようと思ってやりました。」
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#1高橋礼華選手
-今日の試合について
「今日はいくつか細かい所でミスが目立ってしまって、自分達のペースにもって行けなかったのが悔しいと思います。」
-チームとして、昨日の試合と違った点は?
「やることは常に一緒だとチーム全体で決まっていたので、特に変わった部分は無いと思います。」
-今日のJXについては?
「やはり昨日負けたこともあって気迫が凄いと思いました。」
-その気迫はどこで感じましたか?
「インサイド、アウトサイドと最初から勢いがあったので、それに対応出来なかったというのはあります。」
-インサイドで渡嘉敷選手、間宮選手らに繰り返し得点を許す場面がありましたが
「あそこを抑えきれなかったというのが・・・。もうちょっと序盤から抑えていたら、相手を波に乗らせることも無かったと思うので、そこが悔しかったと思ってます。」
-チームトップの14得点でしたが、プレーで意識したことはありますか?
「昨日はあまり点数に絡めなかったので、少しでも(得点に)自分の中では絡もうと意識していました。」
-新潟の印象はありますか?
「すごく会場の皆さんも応援してくれて、とても温かくていい所だと思いました。」
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以下、ゲームレポート
【WJBL】日本航空JALラビッツ vs JXサンフラワーズ@新潟市東総合体育館(2011.1.16)
JAL-JX
第1Q 11-18
第2Q 9-12
第3Q 13-25
第4Q 19-18
最終スコア 52-73
【スタート】
JAL:#1高橋、#5山田、#8岩村、#11矢代、#34出岐
JX:#1大神、#7寺田、#10渡嘉敷、#12吉田、#21間宮
【レフリー】
渡邊整、岩田千奈美、小坂井郁子
【観客者数】
3,110人
※当該試合での観客数、bj開催も同数
【主な個人スタッツ】
JAL:高橋14pts、11reb、矢代12pts、9reb、岩村11pts、FG5/16、春日5pts、出岐5reb
JX:渡嘉敷20pts、FG9/15、8reb、4ast、2blk、間宮14pts、8reb、寺田10pts、大神7pts、3ast、吉田8ast
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前日の試合同様、試合全体のレビューとなります。WJBLによるレポートとスタッツも併せてご覧下さい。
シーズン初黒星を喫したJXがリベンジすべく気合いを入れて試合に挑み、そして前日の試合で(恐らく)シーズン最高のパフォーマンスを発揮したJALがこの試合で苦戦になるであろうことは想定内でした。案の定、試合はJXのインサイドアタックから始まりますが、JX最初の8ptsのうち、6ptsが間宮。JXはその後も攻守に渡りゲームを支配し、14-6となってJALのタイムアウト(4:14)。
JALのディフェンスは前日同様の2-3ゾーンですが、JXはこのインサイドを渡嘉敷・間宮のラインでうまく攻略するだけでなく、スクリーンを多用するJALのオフェンスに対しタイトなディフェンスで守り、JALにオープンショットを与えません。この10分間で、恐らくJALがやりたいオフェンスを組み立てられたのはほんの数回、うち決まったのが中盤に決まった出岐のミドルショットのみ。特に岩村に対するディフェンスは前日以上に厳しく、第1Qに関するならばほとんどボールを持たせてもらえない状態でした。JXはハーフコートだけでなくリバウンドからの早い展開でもJALを圧倒。第1QはJXが18-11とリードし、第2Qも同じペースで試合が進みます。
JXでは山田もインサイドで存在感を発揮。一方のJALでは攻守の要となる矢代が第2Q中盤で3ファウル。この時点で試合の趨勢はほぼ決しました。それでもJALはベンチの春日らの頑張りもあり、またJXのベンチメンバーの拙攻もあって点差はそれほど開かず、JXが30-20とリードして後半へ。
JALの20ptsはともかく、JXの30点というのは決してほめられた数字ではありませんが、フロントラインのメンバーがベンチにいる時間もあり、決してJALのディフェンスが良かった訳ではありません。そして予想通り、後半の出だしから再びJXがラッシュをかけます。今度はインサイドだけでなくガード陣もタイトなディフェンスから速攻に走り、着実に得点を重ねます。JXが40-22とリードを広げたところでJALのタイムアウト(6:20)。
ここからJALが逆転するとしたら、それは前日以上の奇跡が必要となりますが、さすがにそれは実現しませんでした。しかし、試合の残りはガーベッジタイムとなることなく、JALが最後まで踏ん張ります。ポストの矢代を起点に岩村、そして前日は力を発揮できなかった高橋がボールによく絡む。JXのリードは最大で24ptsまで広がりますが、JALは緊張感のあるプレーを持続し、特に第4Qは矢代の内外に渡る活躍もあり、一時は15点差まで追い上げます。
しかし、この日の主役はJX。徐々にそのプレーに疲労を感じさせるJALに対し、特に後半は渡嘉敷がその圧倒的な高さと運動能力でゴール下を支配。躍動感あふれるドライブや派手なブロックショット、そして柔らかいシュートタッチとその実力を遺憾なく発揮しました。試合はJXが73-52で勝利し、前日の敗戦をしっかり修正した内容となりました。
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実際には、この試合がJXとJALの「平均的な試合」なのかもしれません。
JXは諏訪の不在に感じさせる事なくゴール下で力強さを見せ、高さを生かした確実なオフェンスと、タイトなディフェンスからの早い展開でJALを圧倒しました。間宮は前日からのプレーを修正し、ポストから確実な得点だけでなく、ミスも少なくしてチームの期待に応えました。JXはベンチメンバーが全員出場し、攻守に渡ってそのチームの総合力でJALを圧倒しました。
一方のJALは終始苦しい試合運びを強いられ、実際試合はその実力差を反映させたものになりましたが、最後までチームプレーに徹したことは評価に値する内容だったと言えます。