新潟アルビレックスBBキャプテン #32池田雄一選手インタビュー

9月13日、新潟市横越総合体育館での新潟アルビレックスBBの練習終了後に行った#32池田雄一選手のインタビューです。(聞き手:荒木ユタカ、文中敬称略)

-よろしくお願いします。池田選手は今シーズンのチームのキャプテンとなりましたが、これは自薦ですか?それとも他薦でしょうか。
「これは選ばれた形ですね。」

-チームでキャプテンを務めるのは高校以来(新潟商業)となりますが、キャプテンとしてプレーするにあたり、自分の心境的に変化はありますか?
「そうですね、新潟でキャプテンというのは、とても重要視された位置付けだったと思いますが、そんなに高いものを求めても出来ないと思うし、まず「自分らしく」というのを一番に置いていきたいです。(今年の)チームは若いですし、自分が一番チームに長くいる選手なので、そういった点で、コート内外でチームを引っ張っていけたらと思います。」

-池田選手にとってキャプテン、つまりチームを引っ張るリーダー像というのは何かありますか?
「理想のリーダー像というのは、正直自分の中ではまだ分からないんですけど、今までいろんなキャプテンを見てきて・・・。例えばワラさんなら(藤原隆充、現bj滋賀)、吠えて、みんなを鼓舞していくし、小菅さんなら(小菅直人、現bj琉球)、あまり発言はしませんけど、練習の姿勢や態度でチームを引っ張ってくれる部分があったと思います。あとはタイロン(タイロン・レヴェット、昨シーズンの新潟の副キャプテン)、彼はチームがどんな状況でも、同じことを言い続けてくれるんです。自分が調子が悪くても、チームのために発言してくれるんです。つまり言うだけ責任もあるんですけど、そんな責任を負いながらも、常に発言を続けていたというのは凄いと思いました。自分は、自分の出来ない事を言うのは好きじゃないので。」

-そんな先輩キャプテン像の中で、池田選手が目指すリーダー像とはどんなものでしょうか?
「どうもキャプテンというと固いイメージがあるんですけど、それが(周りに)どう捉えてもらうかは他の人の判断になるんですが、自分はそんな固く考えてなくて、今年はチームメイトもみんな接しやすいのですが、そういった親しい中にもリーダーシップを発揮して、自然に、自ずと(チームを)引っ張っていけたらと思います。試合に関しては2年目からずっと出させてもらっているので、コート上で引っ張っていこうというのは考えていましたが、今回キャプテンという役割を頂いて、それを自分がどうやっていくかは探りながらになると思うんですけど、自分らしさを見つけていきたいと思ってます。」

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-先日、根東選手、ジュリアス選手をそれぞれ副キャプテンに指名しました。これは池田選手のセレクトという事ですが、この2人を選んだ理由と、彼らに期待する役割を教えてください。
「根東さんは年齢は僕より1つ上で、bjでのプレーは初になりますが、JBLで経験も積んでいるし、そういった経験を積んでいるからこそ、副キャプテンとしてサポートしてくれるにはいいかなと考えました。根東さんの存在は自分の中で凄く大きくて、今年のチームをやりやすくしてくれていると思います。先輩ぽくないというか、気を使わずに接する事ができますね。それでいて言うことは言ってくれるので、その経験を生かしてもらえばと思います。」

-ジュリアス選手については。
「ジュリアスは日本で4年目のシーズンになりますけど、日本での実績も経験もあるし、日本語も上手いし、その意味で外国人の中のリーダーとしてだけでなく、日本人選手とのパイプ役にもなってくれています。いろんな意味でチームを引っ張ってくれると思いますね。ジュリアス本人にも聞いたんですけど、OKだという事で副キャプテンに選びました。」

-ジュリアス選手というと、私を含めて新潟のブースターは過去のチームのイメージがあると思いますが。
「実際、彼の評判はいろいろ聞いていたんで、どんな選手だろう?と思ってたんです。去年はオールスターでちょっと話したんですけど、(言われるほど)そんな事もないな、なんて感じてました。でも実際にやってみると、すごくやりやすい選手だし、日本人の意見も聞いてくれるし、自分の意見も言うし。場を和ませるギャグを言ってくれたりしますからね。とても接しやすいし、いい選手だという印象を受けてます。」

-今年はチームの新戦力という事でこの根東、ジュリアス両選手の他に、3人の新外国人選手がチームに加わりました。彼らの印象は如何でしょうか。
「まずイッサですが、プレー面で言うなら、彼はキャリアもあるし、すごく器用なプレーヤーですね。3番と4番が出来ます。ハッスルプレーもするので、チームにいい影響を与えてくれると思います。ウィリーに関しては、彼は大学を卒業したばかりなんですが、まだちょっと慣れていないところがありますね。プレーではペネトレイトして(相手ディフェンスを)崩してくれるし、能力高いですね。性格的に我がままではないのが、またチームにフィットしやすい所だと思います。ザックは、彼は陽気というのが先ず来るんですけど、能力が高いというのと、シュートエリアは広くないんですが、リバウンドが凄く力強いので、フィジカルの面でチームに貢献してくれるものが大きいと思います。」

-ザックのプレーは、若い頃のニック・デービスみたいな感じがしませんか?線が細くて、跳べて、顔が小さくて、シュートが下手という。
「ニックより若干アウトサイドに行きたがる選手ですね。」

-これらの選手を加えて今年のチームの編成となっている訳ですが、去年までのチームとの違いはありますか?私の印象では、今年のチームは今までより若く、大きく、そしてアスレティックなチームになった感じはします。
「これは僕の考えなんですけど、ジュリアスが加わった事で、インサイドをゴリゴリできる選手が来たんですね。今までは中も出来たり外も出来たりといった選手を主体に取っていたと思うんですけど、その意味でジュリアスが真ん中にどーんといてくれるのは心強いと、実際にプレーしていて思いますね。」

-やはりアウトサイドのシューターにとって、リバウンドを取ってくれるビッグマンがインサイドにいるというのは精神的に影響が大きいのでしょうか?
「まず、ディフェンスがジュリアスに気を使うことになるので、それだけでも打ちやすいですね。」

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-それでは、ここからは池田選手自身についての質問です。プロとして5年目のシーズンを迎えますが、学生時代はインサイドを中心に、今はアウトサイドを中心にプレーするようになり、そのプレースタイルも変化してきました。そんな自分のプレーの長所と短所は何でしょうか?
「いい点は、躊躇なく(シュートを)打てる所だと思います。ロングシュートは僕の武器であって、これが無かったらここまでやっていなかったと思います。」

-それは池田選手にしか出来ないところでもありますからね。短所については・・・短所というか、より向上させたい部分という感じなんですが。
「いろいろな練習をして、例えばドリブルだったりパスだったり、それら全てを上手くやろうとし過ぎるところがあるんです。去年あたりは、シュートよりも周りを活かすプレーを・・・気づいたら心がけてた、そんな感じだったんですね。オフシーズンの練習を活かそうというのが強く頭にあって、シュートが第二になってしまった。他を上手くやろうとし過ぎるのは、それは俺の仕事じゃないな、と。そんな風に感じていたんです。このオフには廣瀬さんとも話をしましたし。」

-今年のチームを見ていて思うのは、過去のチームより構成がシンプルな印象があるという事です。例えば池田選手がシュートを打ち、ジュリアス選手がリバウンドを取り、ウィリー選手がディフェンスを頑張る。でも、結局勝つのはそんなシンプルなチームだと思うんです。そんな中で、池田選手にとっては「シュートを打つ」というハッキリした役割があるので、チームとしてもやりやすいのでは?と思いますが。
「自分の役割は主に3番をやらせてもらっているんですけど、その意味でシュートを第一に考えてますね。2年目、3年目と同じイメージで、気持ち的に(ゲームに)入ってます。自分としてはやりやすいですね。」

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-まさに今朝(9/13)、トルコで開催されていた世界選手権でアメリカが優勝しました。池田選手はNBAの大ファンだと聞いたのですが、世界レベルで目標とする選手、憧れる選手はいますか?
「理想はマイケル・ジョーダンなんですけど、特にあの選手というのは無くて、そのプレーの部分、部分で凄いと思う選手はたくさんいますね。例えばレイ・アレンのクイックリリースのジャンプシュートとか、マジック・ジョンソンのパスとか。各選手のいいとこ取りですね(笑)。こんな選手になりたい!というのは無いですね。」

-それではずっと敷居を下げて、日本の選手、bjリーグでもJBLでも構いませんが、そんな存在の選手やプレーはありますか?
「bjリーグでも、あいつ凄え!みたいなのはあるんです。けど一方で、「何とかなるだろう」と思うんですよね。なんとか自分が(対戦相手として)やっていけるレベルかな、と思いますね。」

-その世界レベルという意味では、かつて新潟でプレーした竹田謙選手(JBLリンク栃木)が全日本選手として活躍しています。彼は日本代表になりたいという夢を持ち、そしてそれを成就させた選手ですが、池田選手にとって日本代表という存在に対しての意識にありますか?
「僕がbjに入った時点では、全日本といのは無かったじゃないですか。最近になって変わりましたけど。なので当時、全日本に対する意識は全く無かったし、まずは新潟での優勝と、その為にどうやって貢献するかを考えてきたので、そこは変わってないですね。」

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-その優勝に関してですが、私は客観的に新潟というチームを見ていて、去年のメンバーは優勝に値するチームだと思わなかったし、セミファイナルで仙台に勝ったことすら驚きでした。実際、有明のファイナルでは実力不足が証明されたと思うのですが、それでは今年のメンバーについて、まだ1試合もやってない状態で判断するのは難しいと思いますが、このチームのタレントはbjリーグで優勝するに足るメンバーだと思いますか?
「そうですね・・・。僕らが変わって、周りが去年のままなら、まだちょっと難しいのかもしれません。実際にはまだやってないので、ある程度やってからじゃないと自分達の位置付けも出来ないと思うんです。その意味では、早く試合をやりたいですね。周りが去年のまま、自分達が変わったとしたら、そこそこ行く自信はありますけど、例えば浜松相手なら・・・というのはありますし。東京も凄いですからね。」

-それでは言い方を変えますが、廣瀬HCのバスケで優勝できると思いますか?
「廣瀬さんの理想の形を、選手がそのまま表現できるのであれば、出来ると思います。ただ、難しい部分もあると思います。ビッグマンが走って、シール(スクリーン)して、ドーン!みたいなのは、それが実際に出来るのならば、強いとは思います。ただ、廣瀬さんが今年で11年目で、結果が出てないという面で考えるのであれば、結果を出してないので、疑問符の残る部分もあるかもしれません。ただ、自分は廣瀬HCの元でプレーしているので、それを証明したいというのはあるし、それで勝てるというのは証明したいですね。結果が出てないうちは、「勝てる」という断言は出来ないと思います。過去に高いレベルで結果が出ているならば、そう言えるとは思います。」

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-先日、根東選手にインタビューした際、「自分のやりたいものがあって、それに加えて、HCの言う事も理解してやる」という言い方をしていたのが印象的でした。彼はbjに来て初めてプロ選手になった訳ですが、既にプロ的な考え方が確立されているというか。恐らく、外国人選手もそういったタイプなのだと思います。学生であれば、ただひたすら監督の言うことを聞いて、というのもあるとは思いますが。そういった意味で、池田選手の考えるプロフェッショナル像というのはどんなものと言えるでしょうか。
「そうですね、自分が貫いてきたものをやり通すというのが、とてもプロらしいと思うんですけど、それが崩れたのが去年だったんです。自分が器用な事をしてもどうしようもないというのもあったんですね。それが2年目、3年目というのは、それが2m離れていようが3m離れていようが打てるところは打っていたし、それが自分のこだわりじゃないですけど、カラーだと思うんですね。それが去年は無かったんです。タフショットも打たなかったし。それが自分らしくないというのはあって、プロらしさを取り戻すというのが今年はありますね。

廣瀬さんはよく言うんですけど、「技・心・体」かな。技が先なんですよ。僕はずっと「心・技・体」だと思っていて、心が最初に来るというのが、自分の中でずっとこだわっているんです。まずは気持ちですね。」

-それでは、憧れるプロ選手のようなものはありますか?
「中田英寿とか、最近だと本田選手ですね。彼らは独特じゃないですか。うわ、凄いこと言うな!というのはあるんで。それはすごく刺激になるし、考えさせられますね。そんな考え方でもいいよな、なんて考えたりしますね。あとはイチロー選手の言葉も独特ですよね。すると、やはり自分を持たないとダメかな、というのは正直思うんですよね。そう思ってきたのが、確信に変わった、というのはあります。もちろん自分はまだまだで、その過程であって、その確信を持てるところまで行きたいという感じですね。」

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-それでは、最後にキャプテンとして、チームの今シーズンの目標を伺いたいと思います。
「結果的には優勝というものを目標にしておかないと、プロとしてはダメだと思うんで、もちろん優勝なんですけど、まずは、ホームで勝ち越したいですね。全然(ホームで)勝ち越しがないので。アウェイで勝ち越せて、なんでホームで勝ち越せないのか?というのはあるんです。強いチームというのは、ホームでは圧倒的な強さであって、勝ち越しも決めていれば順位も上になるだろうし、優勝にも近づいていけると思います。毎年のように優勝、優勝ばっかり言ってるので、ホームで圧倒的に勝って貯金を作る、そしてチームが強くなっていく。そこは目標にしていきたいですね。」

-池田選手個人としての目標は何でしょうか?
「正直、数字にこだわるというのは僕は今まで無かったんですけど、周りからは数字、数字と結構言われるので数字にしますが、やはり(得点)2桁というのは当たり前に取れるようになりたいですし、平均では15点を取りたいですね。」

-今日はありがとうございました。