Euroleague観戦記その11

Coach Tommy 11月 20th, 2007

試合開始

さて、今日はついに試合です。昼過ぎまで寝てしまいましたが、試合は20時45分からということで、まだまだ時間がたっぷりありますイタリア入りしてから8日目ともなるとさすがに疲れているのが自分でも分かり、観光する余裕は全くありませんでした。インターネットカフェで夕方まで時間を潰し、4時ころにはアリーナに行きました。オフィスの行くといつものように、Leoたちが仕事をしていましたが、試合当日ということもあり、いつもよりも忙しそうでした。ちなみに、オフィスではチケットの販売も行われていて、ちょこちょこチケットを求めるファンがやってきていました。通常であればいつも、売切れてしまうチケットですが、ユーロリーグでの敗退が決まっている消化試合であるためか、いくらかチケットも余っているようでした。

ギリシャの人たちはとてものんびり仕事をします。試合開始1時間ちょっと前にやっと会場作りが始まりました。すでに、プレイヤーに何人かは試合を始めているのに。ところが、問題になったのは、フロアに貼られたシール。おそらく国内リーグ用のもので、日曜日に行われた試合のものがそのまま残ってい他のだと思います。これがまた剥がれにくいんです。かなりの面積に貼られていて、スタッフ10人ほどではがす作業をしましたが、かなりの時間がかかりました。LeoやTheodoreも一緒にお手伝わざるを得ないくらい大変なようで、薬品を使いながら頑張っていました。あまりに大変そうだったので、状況的に私も手伝いを一緒にしました。選手が練習やストレッチを始める脇での作業はとても不思議な気分で、ちょっと楽しかったです。結局30分以上かけてやっと剥がし終わりました。日本人の手先の器用さは少しはこういった場面で役に立つようです。

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選手がシューティングを始める

ギリシャの人の仕事の遅さは有名なのでしょうか。アテネ五輪でも、試合前日までまったく会場準備が行われず、本当に開催できるのか心配させたという話も聞いたことがあります。日本人に比べれば、どの国ものんびりなことに変わりはないかもしれませんが、せめて前日にやっておけばいいのにと思いました。

さて、先に練習に入ってきたのはUnicajaのプレイヤー、SantiaigoとBerni Rodriguezでした。Santiagoはプエルトリコ代表選手で、昨年日本にも来ていた216cmのビッグマン。NBAでのプレイ経験も持っています。ポストプレイも得意でインサイドの要です。Berniはスペイン代表で昨年の世界選手権金メダルメンバーの一人です。代表では、控えとしての渋い活躍でしたが、スペイン国民からの信頼も厚く、スペインではとても人気があるプレイヤーだそうです。SG,SFのポジションをこなせるオールラウンダーで、ディフェンスを頑張る姿勢はチームを盛り上げます。リーダー的な役割をこなせる選手だと昨年日本でも思いました。BerniはUnicajaでもキャプテンだと思います。練習前には10分以上も、記者のインタビューをコートで受けていました。

少しずつArisのプレイヤーも登場しシューティングをしていました。Raufはいつもこういう場面で練習をすることはないようです。いつも30分前から開始のチーム練習で姿を現すのでした。あのレベルまでいくと、試合前はそんなにシューティングしなくても大丈夫ってことなのでしょうか。それか、人の見ていないところで練習しているか。不思議に思いました。

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さて、30分前になり全ての選手が登場し、試合前の練習が始まりました。このときまだ、コートの脇で見学していました。消化試合ということもあり、いつもほどの緊張感はないのかなと思いつつも、ファンの声援は気合が入ってきました。Arisのファンは世界でも最も熱烈であることで知られています。今日は5割程度の集客率でしたが、それでも十分な迫力です。きっと全部が埋まったらスゴイのだと思います。

残念だったのは、UnicajaのPepe Sanchezが今日は来ていなかったこと。アルゼンチン代表として有名な彼は、PGとして貴重な戦力です。Unicajaの今シーズンのスタートPGはCabezas(スペイン代表)ですが、Temple大出身のベテランガードは終盤の大事な場面で力を発揮します。きっと、パスやディフェンスで印象を持っている人が多いと思いますが、個人的には彼の勝負強さが好きです。普段はパスを第1に考えている選手ですが、大事な場面では積極的にシュートを打ちます。とても強気な選手です。見られなくて残念です。

さて、Unicajaの紹介を少ししておきます。彼らは昨年のスペインリーグの覇者です。スペインといえばリーグのレベルの高さはNBAを除けば世界トップではないかと思います。Tauやバルセロナ、レアルマドリッドやバダロナは有名でしょう。Unicajaの今年の戦力はここまで、紹介したSantiago、Berni、Cabezas、Pepeのほかに、ディフェンスの要である、Jimenez(スペイン代表)、Florent Pietrus(フランス代表)がいます。彼らは昨年の日本でも大活躍しました。また、NBAでもプレイしたJiri Welschなどもスコアラーとして、得点をつなぐ重要なプレイヤーです。ちなみに、昨年までのUnicajaには現在NBAで活躍するGarbajosa(Raptors)やアルゼンチン代表のWalter Herrmann(Bobcats)なども在籍していました。今年もユーロリーグファイナル4への有力な候補です。

試合開始10分前、選手紹介が始まります。私はLeoに案内され記者席からの観戦になりました。まずは、対戦相手Unicajaから。強烈なブーイングがすぐに始まりました。特に、ギリシャ人のVasiliadisへのブーイングは強烈で、ゲーム中は彼がボールを持つたびに、アリーナが揺れるようなブーイングが浴びせられていました。「なぜ、彼はブーイングされるのか?」とLeoに尋ねると、「彼は元PAOKもプレイヤーだから」という返事が帰ってきました。PAOKは同じテッサロニキに拠点を置くチームで、Arisとは強力なライバル関係にあるそうです。

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Arisの選手紹介

Unicajaの紹介が終わると、アリーナが暗くなり、Arisの紹介のスタートです。プレイヤーの入場口には小さな花火が上げられ、プレイヤーが背番号順に登場してきます。4番キャプテンの司令塔、Castleから入場しRaufは最後の20番のため、最後に出てきました。満員とはいかなかったとはいえ、ファンの声援はすさまじくその勢いはNBAを超えていると思います。
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そして、UnicajaとArisプレイヤーで記念品の交換をし、練習がスタートです。練習が行われるのと同時に、今日でチームとお別れになるRaufのセレモニーがスタートしました。会場アナウンスによる、Raufの紹介が始まり。彼の簡単な経歴や、Arisに多大なる貢献をしてくれたことに感謝し、ArisはRaufを忘れないという内容が、ギリシャ語で会場アナウンスで読み上げられ、突然のセレモニーにRaufも少し驚いているようでした。ベンチ前でRaufに記念品が贈られ、オーナーやスタッフとの記念撮影がありました。ギリシャ語の後に、英語で同じ内容が会場アナウンスされ、アリーナのプレイヤーも含めた全ての人がRaufに温かい拍手を送っていました。Raufもシューティングにもどりながら、会場の拍手に応え、アリーナのファンに手を振っていました。

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ラウーフのセレモニー

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 さて、試合開始です。いつもどおりArisのスターターにRaufはいません。インサイドのWilkinsonとMassey、PGのCastle、SGのScales、アメリカ出身の4人がArisの主力です。コートに紙テープが投げ込まれます。それをコートの選手が片付けて、試合開始です。
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 序盤からAris有利で試合が展開して行きました。Arisの持ち味はバランスです。チームのどこからでも得点できます。この日は全体的に調子がよく、シュートの確立もよかったと思いますが、オフェンスリバウンドを取られすぎてしまい、リードしているものの、なかなか点差をつけられないといった感じでした。UnicajaのビッグマンSantiagoに苦しんでいたように思います。

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リトアニアのセラピナス

 第1ピリオド3分33秒を残したところで、Raufの出番がやってきました。スローインでボールを受けると、会場から拍手が沸きました。ベテランらしく落ち着いてゲームを組み立てて行きます。チームの事情もあり、なかなかシュートチャンスはありませんが、自分のやるべきことをしっかりこなしている印象でした。第1ピリオド終了ぎりぎりで3Pラインの2メートルくらい離れた距離のロングシュートを放ちましたが、惜しくもリングに嫌われてしまいました。
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アリスのマスコット(ボクはかわいいと思うんですが。。)

 第2ピリオド、Raufの初得点。トップオブザキーからのピックアンドロールで、ディフェンスがスライドしたところを、得意のジャンプシュートで得点しました。ハーフタイムを迎え、Arisが38-23とリード。第3ピリオド終了時点で、58-37とさらの引き離し、一度のリードも許さぬまま、83-65で見事Top16のゲームで初勝利を上げ、1勝5敗でシーズンを終了しました。

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アリスのファンはスゴイ

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ちなみにRaufは第4ピリオドに3Ptsを沈め、トータル5得点。最後の試合ということもあり、いつもより長い17分のプレイで、5Pts 1Reb 3Ast 3Stlというまずますの成績。自分の役割をしっかりこなしていたと思います。試合終了と同時に、Raufに対しての感謝のメッセージがアリーナ中に響き渡っていました。「Mahmoud Abdul-Rauf!! We thank you for everything!!」

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試合後、記者会見場にて選手やヘッドコーチのインタビューを見学しました。そこでも、Leoは一生懸命に英語の通訳をしていました。消化試合だったこともあり、静かな記者会見でした。UnicajaはTop8進出を決め、今後の抱負などをヘッドコーチがコメントしていました。(その後、Unicajaはファイナル4に進出しますが、そこでCSKA Moscowに敗れます)

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UnicajaのコーチにインタビューするLeo

Leoと一緒にコートに戻ると、Raufが私服に着替え、インタビューを受けていました。周りには数人のファンが集まっていました。会場の外へと歩く中インタビューを受け終わると、数人の仲間と挨拶を終え、Raufの友人であるMarcと一緒に車で帰るようでした。車に乗る直前にRaufは私に気付いてくれて、「とても感謝している」と握手をしてくれました。そこで、ずうずうしいのですが、言ったもの勝ちだと思い、「メールアドレスを教えてくれないか?」と尋ねると、快く紙に書いて渡してくれました。ホントに言ってみるもんだなと思いました。信じられません!

さらに、「何かあなたのものをくれませんか?」と尋ねると、Raufは少し考えて「ホテルにあるから、一緒に行こう」と、なんと車に一緒に乗せてくれました。(笑)これぞ奇跡。
ギリシャまではるばる旅をして、ついにRaufと一緒に車に乗ってしまいました。車は小さな4人乗りハッチバック。たぶんレンタカーだと思います。

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ラウーフの車(運転は友人mark)

この時知ったのですが、Raufは単身赴任でテッサロニキに来ていたようです。彼の奥さんと4人の子供はアトランタに住んでいて、Rauf自身はテッサロニキで友人のMarcと一緒にホテルに住んでいるみたいでした。Arisでのプレイもわずか4,5ヶ月ですから、仕方ないのかもしれません。車で少し走ると、「どこのホテルに泊まっているのか?」と聞かれました。どうも、Raufのホテルは少し距離があるようで、帰りのことを心配してくれたみたいです。と同時にRaufはかばんの中に、何か持っていることに気付いたようで、車を止めて、かばんをあさってくれました。出てきたのは、今夜の試合でさっきまで着用していたシューティングシャツ。その場でサインをしてくれて、一緒に写真を撮りお別れしました。わずか数百メートルとはいえ、Raufと一緒に乗った車は一生の思い出になりそうです。

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