【琉球ゴールデンキングス】もう一つ上に行くための準備

チャンピオンシップ進出の見えてきた琉球ゴールデンキングス。佐々宜央ヘッドコーチ(以降、佐々HC)はその先を見据えていた…。

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ディフェンスで勝つことを定着させたが、今はその部分にだけ固執しても勝てるわけではない

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3月10日11日に行われた三遠ネオフェニックス戦では10月22日の島根スサノオマジック戦依頼の同一カードに連敗を喫した。
三遠、琉球共にインサイドで得点を重ねるというよりもスペーシング(コートの広さ)を活かしアウトサイドの確率を高くするスタイルは似ている。

佐々HCは三遠について「チームでしっかりとボールを回して中に切り込んでいくというカラーが良く出ている。練習もしているし、組織だってやっている印象」と語り、三遠の藤田弘輝ヘッドコーチも「チームとして強調している部分が似ている」と印象を述べていることからもチームの編成やプレースタイルは近い。

キングスの印象を先ず挙げるとすれば強固な守備力。リーグいちの失点(B1で唯一平均失点が60点台の66.1点)をほこる。

佐々HCも会見では「66点(琉球の1試合の平均失点も66点)は悪い数字ではないので、こういう(競り合った)試合では最後オフェンスでどれくらいイニシアティブを取れるかだと思う」と述べているし、「ディフェンスで勝つことを定着させたが、今はその部分にだけ固執しても勝てるわけではない」と守備から攻撃へ課題が移行していることを強調した。

今は正直『もがいている』時期

11日の会見で島根戦以来の同一カード2連敗となりメンタル的に問題はないか佐々HCに質問した。
「負けて普通思う人はいないので、残念に思う」と前置きした上で「今は正直『もがいている』時期。もともと目標としていたプレーオフはつかめるところには来ているが、もう一つ上に行く(優勝する)にはこのチームでの化学反応が必要」だと返答した。

その『もがいてい部分』とはオフェンスのことであり、「40分間同じ選手がコートに出場し続けるチームではないので、メンバー交代しながらやってていくと流れが変わってしまうことがある。(選手の出場時間を)引っ張ることが解決策になることもあるが、なるべく流れが落ちる時間帯を少なくすることが大事になる。最後に決めきれないシュートがいくつかあった」と選手とチームのステップアップを期待していた。

シーズン終盤戦に入り強豪チームとの対戦が控えていることからも「三河、川崎などと対戦する時は良いディフェンスをしても70、80点取られる可能性もある。そこを乗り越える必要がある」

一番期待したのは彼ら(岸本隆一、古川孝敏選手)のレベルアップ

両日を通してアイラ・ブラウン選手とハッサン・マーティン選手がインサイドから得点をすることで軸となっていた。
ただ、前述した通り琉球はインサイドを制圧して勝つチームではない。高確率のアウトサイドシュートがチームの生命線の一つだ。
佐々HCも「上位チームではアイラやハッサンよりも大きなインサイドの選手がいるので、今日一番期待したのは岸本、古川のレベルアップ」とアウトサイドの二人が核であり「自分たちがこのチームを勝たせていくのだという意味で岸本、古川に関しては大事な場面で打たせている」と会見で語った。

11日も第4クウォーターの残り21秒での選択は岸本選手のシュートだった。
「普段であればショットクロックを使い切ってから打たせるパターンだが、今のうちのフィールドゴールの確率とリバウンドの強みを考えると早めに打って決める」ことを佐々HCは選択した。
「得点を取るために(シュートを)打ちまくれとはいかないが、気持ちとしては(自分たちがシュートを打って勝つ)それくらいの気持ちでプレーするよう」と伝えている。

これからはただ勝つだけでななく内容が求められる。チャンピオンシップというトーナメント戦では負けない戦い方から自分たちのスタイルで勝ち切ることが必要だ。佐々HCも十分意識していて「準備を今しているところ。ブースター含めいろいろな人から怒られそうだが、チャンピオンシップ出場は見えているので、一発勝負での戦い方を模索している。そういう意味でレギュラーシーズンの戦い方が安定しない可能性もある。その状況でも勝ち切る姿を出せるようにしたい」と語った。

琉球ゴールデンキングスは次の段階へと向かっている。
(文=定山 敬)