大阪エヴェッサ 浮上へのカギ(11月18日、19日の三遠ネオフェニックス戦を振り返って)

11月18日(土曜)5連敗中の大阪エヴェッサ(以降、大阪)はアウェーで三遠ネオフェニックス(以降、三遠)と対戦した。
日本代表候補に名を連ねる熊谷尚也選手やNBAでの出場経験を持つグレッグ・スミス選手を擁しながらも調子が上らず西地区の最下位に沈んでいた。

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ターンオーバーからの失点

連敗した京都戦の映像を見て気になったことは、リングへのアタックと守備(5連敗中の平均失点80)。
18日は第1クウォーターこそ接戦となったが、木下(博之)、根来(新之助)選手らベテラン勢の活躍で第2クウォーターからリードを開始。5人が二桁得点をあげ勝利し連敗のストップに成功した。

桶谷大ヘッドコーチ(以降、桶谷HC)は「相手がシュート落としていた部分もあるが、チームで守ることが合格点の80%出せた」と試合を振り返った。

5連敗中の間に立て直すべきはオフェンスかディフェンスなのか。どちらに重点をかけて練習したのかという質問に対しても「ハーフコートのディフェンスが悪いとは思っていなかった。何が悪かったのか言えば、(オフェンスでのミスから)ターンオーバーで相手に速攻を出されてしまうケースが多かった。ハーフコートのオフェンスで自分たちがどう攻めるべきか、どういうバスケットするべきか、どうやって最後までシュートに持っていくのかを重きを置いて練習した」とコメントし、チーム不調の原因であると考えていた。

大阪は5連敗中ターンオーバーからの失点平均は15.6。三遠との2連戦ではターンオーバーからの失点は9になったことをみても、ミスを減らしシュートまで持っていくことが出来ていたことは復調の兆しといえるのでないだろうか。

シュートへの積極性

三遠戦は両日とも果敢にリングにアタックしてことも印象的だ。
「日本人選手が積極的にリングにアタックしていたので、プットバック(リバウンドからの押し込み)や(インサイドに入ったボールから)キックバックでのシュートがあった。非常に良い積極性をみせることが出来たと思う」と桶谷HCは19日の会見で語った。
18日の第4クウォーターでは高い身長の熊谷尚也選手や藤高宗一郎選手がリングに向かっていくことで、オフェンスリバウンドを取る要因を作り出し、3Pシュート3本成功した根来(新之助)選手も「今シーズンはつなぎに徹していたがシュートが入ってよかった」インタビューで応えていた。
19日は負けはしたが、橋本拓哉選手がベンチからの出場で20点をマークし攻撃に厚みを持たせ、1点差まで迫ることが出来た。

誰がゴー・トゥー・ガイ(一番頼りになる選手)なのか

ターンオーバーを減らし、リングへのアタックも多くなっていたが、大阪が2連勝することは無かった。
桶谷HCも「接戦を勝ち切るためにもエクセキューション(決定力)レベルを上げていかないといけない。良いところまでいって5点差以内で負ける試合がこれで5試合目になったのでどう勝ち切るか」と勝負強さの重要性を説き、「誰がゴー・トゥー・ガイ(Go to guy 一番頼りになる選手)なのか。今のままでは厳しいのでその選手を作る必要がある。しっかり(ゴー・トゥー・ガイ)を作って勝てるようにしたい」と課題をあげた。

会見でチームの誰がゴー・トゥー・ガイなのかという質問に対して、「グレッグ(スミス)と熊谷(尚也)。今日は橋本(拓哉選手)が良かったので、彼がゴー・トゥー・ガイになってくることに期待したが、ラストプレーでアウトナンバー・シチュエーション(攻撃人数が守備よりも多い状況)でなぜ(リングに向かって)アタックしなかったのか。そこが悔やまれる部分。チームとしてまだ(橋本選手に託すのは)厳しいのかなと思った。熊谷がその前のプレーでリングに向かってアタックして、ダンクを決めた。(橋本)拓哉がボールを持って、しっかりアタックしないといけない。(シーホース)三河であれば、比江島(慎)選手がリングにアタックしてくるだろうし、スクリーンから金丸(晃輔)選手がシュートを決めてくる。三河のような繊細さを自分たちのチームにも作っていく必要がある」と桶谷HCは答えた。

独特のリズム感から19日の試合では攻撃の起点になっていた橋本(拓哉)選手の出場時間について桶谷HCは
「いちど出場時間が下がり、ロスター(登録枠)からも外しました。その時に何が起きていたかというと、1対1を仕掛けてプレーするが、相手のヘルプが来た時にパスが出せない。そうなると今度は反対にパスしかしなくなり、1対1で攻めようとしなくなった。ターンオーバーも多くなり、それではバスケットにならない。メンタル的に自分を落ち着かせて、自分のバスケに向き合い、戻ったら試合に出すと伝えた。今はしっかり戻ってきてくれてチームの為にプレーしている」と説明してくれた。

続けて、「ドライブの能力もあるが、金丸選手のようにシュートを決める選手になれと話している。今日のような(20得点)パフォーマンスができれば試合に使うし、それが出来る選手だと思っている。彼が貪欲にどういう選手になりたいのか、どういうプレーをしたいのかしっかり目標を設定して欲しい」と語り、
橋本選手も会見で「(金丸選手のような存在になって欲しいと)言われました。練習中から積極的にアウトサイドシュートを打つように言われていますし、もともと3Pシュートは得意としているので、試合でどんどん決めていきたい」と自身の課題を理解していた。

スミス、熊谷、そして橋本選手がゴー・トゥー・ガイになった時にチームとして機能するのではないか。そう思える2連戦だった。
(定山 敬)