福島ファイヤーボンズ「クリア・マインドから見える世界」

福島ファイヤーボンズ「クリア・マインドから見える世界」

ルブライアン・ナッシュ選手の加入
nash_20151011
10月3日開幕初戦、横浜に96対88での敗戦から福島ファイヤーボンズは3連勝を飾った。
10月10日、11日地元郡山でのホーム開幕戦では強豪富山相手に、初日は第4Q終盤ルブライアン・ナッシュが勝利に貢献。翌日も第4Q残り25秒にナッシュが3Pを決め延長にもつれ込むと狩俣昌也、ステファン・バン・トリースの活躍で昨シーズン1勝3敗と負け越した相手に連勝した。
ここまで4試合(10/16現在)全てに30点得点以上をしているオクラホマ州立大出身のフォワード、ナッシュに注目が集まる。

ナッシュの印象ついてポイントガードの狩俣は「来る前から噂は聞いていましたけど、噂以上です。ひとことで言えば凄い選手。今までプレイした選手たちの中でも飛び抜けた存在。彼から少しでも学びたいと思っています」と語る。
10日の試合第1Qで2つのファールを取られたことで、出場時間に制限を受けたが、藤田ヘッドコーチは「25分間出場でも31点の得点を取れる選手を持っているのがうちの強みです」と言い切る。
今後対戦するチームからも相当マークされることも予想される為、会見後に個別に藤田HCへナッシュの依存度について聞くと、「もっと得点を散らしたい(分散させたい)と思いますが、これだけ短時間で効率よく得点を取れるので、すぐに(戦術を)変えることはないですし、今は彼の強みを発揮できることを続けていきたい」と迷わずに返答した。

確かにナッシュはペネトレイトもアウトサイドのシュートも素晴らしい技術も持っているが、自己中心的な選手というわけでは無く、ディフェンスのマークが激しければオープンになっている見方へしっかりとパスを供給している(10、11日両日ともにナッシュは5アシストを記録している)。
昨シーズンMIP(前年と比較して最も成長した選手に贈られる賞)の狩俣とナッシュの存在は脅威だ。
藤田HCも「その(二人に守備が集中する)時に日本人選手がどれだけオープンシュートを決めきれるのか。うちは日本人も得点を取れますし、バン・トリース、テイラーもインサイドでしっかり得点を取る力もあると思います」と自信を見せる。

-質の高いバスケットを目指す-
masaya20151011
MIPを獲得したことで今シーズン更なる得点力を求められる狩俣だが、開幕初戦以外は一桁得点だった。会見でもシュート精度が下がったことやシュートフォームのを変更しているのか質問されたが、「昨シーズンはあういう(得点を求められる)スタイルでしたけど、今シーズンは別のプレイスタイルに意識的に変えています」とポイントガードとしての役割を強調していた。
「今シーズンはチームの勝ちに結びつける選手になりたいと思っているので、アシストが必要な時間であればアシスト。得点が必要な時は得点。状況に応じた選手になりたいです。まだアジャスト(適応)出来ていない部分もありますが、深くは悩んでいません。結果としてチームが勝つことが出来れば良いと思っています」

ホームゲームを取材して日本人選手たちのプレイにも迷いが無いに思えた。11日の試合11得点3リバウンド3スティールの活躍をみせた友利健哉は「(自分だけの活躍ではなく)個々の持ち味が活かせるようになれば良いと選手みんなで話し合っていて、それが表現出来ている」と語る。
kenya20151011
浜松、沖縄で2度の優勝を経験した彼は会見中に何度か「質を高める」という言葉を使っていたのが印象的だった。
また、藤田HCが使うクリア・マインドについて聞いてみると、「シュートが入らなかったりファールの笛が吹かれない時にイライラしたり、別の事にフォーカスする(レフリーに執拗にアピールする)のではなく、クリア・マインドが出来れば次のプレイにも集中出来ると言われます」
選手たちが常にクリア・マインドしていければ、藤田HCが語るような「出来る限りシンプルで質の高いバスケット」で勝ち続けることが出来るだろう。

入れ替わりで記者会見場に入ろうとしていたナッシュに藤田HCは「LB(Le’Bryan Nash)! クリア・マインド!」とひとこと声をかけた。

********************