プロって何だろう…。第1回『プロチームの作り方(千葉ジェッツに聞く)』

-社員は全部で何人いるのでしょうか?
「社員は全部で12人ですね。営業は4人います。インターン(学生が一定の期間、会社などでその職業について学ぶこと)を積極的には受け入れてはいません。インターンですと、どうしてもできる事が限られてしまいます。社員は他のチームと比べても多い方だと思います。営業に割り当てる人数も他のチームより多いですね。スポーツチームの経営=労働環境が悪いというイメージがありますけど、千葉ジェッツ(株式会社ASPE)は会社としてなりたっていると思います。
三期(三年)連続で黒字になりましたし、ISO認証(International Organization for Standardization=国際標準化機構)も取得しました。
残業も禁止にしています。夜7時にはオフィスの電気が消えて、閉めだされてしまいます(笑)
スポーツチームの当たり前にとわれるのではなく、会社としてのあるべき姿を一つずつ実現していくところです。それが(島田)社長の凄さですね」

-収益(入ってくるお金)はどうなっているのでしょうか?
「スポンサーになっていただいた企業の数ですが、初年度は104、2年目が180、3年目は246です。今シーズンはまだ手続きしているところで、決まっていませんが、3年目と変わらないかそれ以上の数字になると思います。
昨シーズンは約二億六千万円の収益がありました。その割合はスポンサーから60%、チケット販売で20%、残り(ブースター会員、スクール事業、グッズ販売など)が20%くらいです。今シーズンはすでにスポンサーについてはある程度の数字は見ているので、チケット販売をどれくらい伸ばせるかがカギになります。
スポンサー営業から早いタイミングでチケットを売ることにシフトして、チケット販売に力を入れていくつもりです。今まではスポンサーを追いかけて、いざ開幕する時にチケットが売れていないということがありました。今シーズンは早い段階でチケットを売ることに舵(かじ)をきりたいと思います」

-プロを目指す小中学生にバスケを教える『スクール事業』でどれくらいの利益を出しているのですか?
「他のチームと比較すると少ないと思います。チームの収益が2億6千万円くらいですが、スクール事業での収益は1千万円くらいになります」

-支出(出て行くお金)はどうなっていますか?
「大きく3つに分かれます。事業運営費(会社全体にかかるお金)、チーム運営費(コーチ、チームスタッフ、選手の給料などチームにかかるお金)、一般管理費(社員の給料などの経費のこと)です。
選手の人件費(サラリーキャップ)もあまり大きく変わってないですね。bjリーグでもNBLでもチームの経営の大きさ(規模)は変わりません。NBLは関東地方にチームが多いので、遠征費も下がりました。bjリーグの時も長距離バスを使っていませんし、遠征する時は新幹線か飛行機移動です」

-ブースター(ファン)をどうやって集めているのでしょうか?
「今まで話してきたスポンサーの集め方と同じですね。草の根しかないです。町のお祭りに徹底的に参加していくなどですね。TVや新聞などのメディアを積極的に使うことはしてないです」

-ブースター会員数はどれくらいいますか?
「初年度は1800人でした。3万円(プラチナ会員)、1万円(ゴールド会員)、3千円(レッド会員)の会員に分けられます。その割合もプラチナが20%、ゴールドが60%、レッドが20%となります。2年目が1400人位まで減りました。3年目が2000人で、4年目も2000人位になると思います。今シーズンの目標人数もそれくらいになると思います」

-チケット売りの作戦はありますか?
「ないですね、気合です(笑)
チケットぴあやNBLチケットなどの一般チケット販売が低いですね。圧倒的に多いのが団体売りや手売りになります。つまり社内の営業が売っているのが一番多いです」

-今シーズンは何か具体的にチケット売りを伸ばす方法を考えていますか?
「はい。観客数を増やす3つが大きな柱を立てています」

-1つ目の柱は?
「千葉ジェッツというチームも多くの方に知られてきていて、知名度も上がっていますが、その知名度から会場へ行く『きっかけ作り』がとても難しく、バスケを知らない人にとっては体育館で静かにプレイしているものだと思っています。初心者向けの初観戦ガイドを今シーズンは作っていて、チケットの買い方、観戦の仕方、ルールなどを載せる予定です」

-2つ目の柱は?
「他のチームスポーツファンを取り込んでいくことです。具体的には千葉ロッテマリーンズのファンをジェッツに呼びこむ仕掛けをしているところです」
※9月9日に行われた千葉ロッテマリーンズの始球式に上江田勇樹選手が参加しています

-3つ目の柱は?
「千葉ジェッツを観戦する人の60%以上が知人や友人の紹介です。ファンがファンを呼ぶということもあって、紹介を広げていくこともその一つですね。今、ジェッツコミュティサービスというものを立ち上げて、あるテーマに基づいてファンが自由に意見出来る場所を作っています。
2週間に1回くらい開催しています。例えば、2番目の柱で話をした千葉ロッテのファンをどうしたら取り込んでいけるのか、そのためにどういうプロモーション活動をすれば良いのかをファンの立場から自由に意見出してもらったりしています。
bjリーグからNBLに移行しても、チーム戦略は全く変わらないですね。今まで以上に千葉県内での関わり方や親密さも増したと感じています。3年間の土台作りが終わって、今シーズンは勝ちに行くことをキーワードにしていきたいと思います」

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長くなりましたが、インタビューはここまでとなります。
難しい用語も多いですが、プロチーム(今回は千葉ジェッツ)の作り方とその運営のやり方、そして発展していくための方法が分かったいただけたでしょうか。
次回もプロチームについて考えてみたいと思います。