【プレミアム限定】秋田:中村HC、富樫選手、アンダーソン選手、ブラウン選手 岩手:桶谷HC、月野選手、高橋選手のインタビュー(5月5日)

5月5日(日) 岩手県営体育館で行われたプレーオフ1stラウンド第2戦・3戦、岩手ビッグブルズ―秋田ノーザンハピネッツの試合後インタビュー。秋田:中村和雄HC、富樫勇樹選手、マイク・アンダーソン選手、マーシャル・ブラウン選手。岩手:桶谷大HC、月野雅人選手、高橋憲一選手。

(文・写真=宮川 紀元)

秋田ノーザンハピネッツ

中村和雄HC

―今日の試合の総括
ゲーム前から外国人が3人でセンターがいない(アンソニー・ケントが足の骨折で離脱)ので、そのハンディキャップは相当考えました。
昨日も言ったけど、マイクが(2月に加入してから)ずーっとレギュラーシーズンは機能しなかったんですよ。でも外国人は3人しかいないから、マイクを何とかしないといけないということで。で、あいつの性格を見て、とりあえず褒めることばかり考えようと。もうくすぐったくなるくらい褒めまくった。で、マイクがうまく、非常に活躍してくれた。

昨日は負けてから、外国人と初めて食事をした。普段はほとんどやらないんだけど。連休でホテルがなかなかとれなくて、外国人と僕と富樫だけが違うホテルだったんですよ。食事をして、ビデオも外国人は外国人で見て。

ただね、ゲームがどうとかいうよりも、僕は長いバスケット人生でこれだけビハインドを追いついて…。「ダメだ」っていう場面が実際はあった。皆さんも思っていた通りですよ。特に岩手の人は、勝ったと何回も思ったでしょう。それを追いついて、それを追いついて、って、こういう経験は僕は初めて。全くダメな状態から。それも、マーシャルが途中で足をつって、ちょっと出てはやっぱりダメ、ちょっと出てはやっぱりダメの状態。それでもまた出るって言うんだ。うわー、こんなにびっこ引いてるのを出すよりは他の選手を出した方がいいと思ったんだけど、でも出るって言う。あのハートはすごいですよね。本当にすごい。どうしても勝ちたいんだという気持ちになると、ああいうことが起こるんだろう。
こういうことがあるから、スポーツは面白いかな。映画見るよりもどんな景色を見るよりも。スポーツの面白さも今日は…。こっちから見ればね、こんな楽しいことはなかった。これは自分は、バスケットを現役時代も含めて相当長いことやってるけど、こういうゲームっていうのは初めてですよ。非常に、選手を誇りに思いますよね。すごいと思った。

最終的には、富樫、田口、それから加藤、水町って、相当頑張ったんですよ。だからこういう最後のコートに富樫も田口も加藤も立ってたことは、これは財産になるかなっていう感じがありますよね。

もうひとつ。長谷川が引退するんですよ。長谷川は新潟で長くチームに携わった。だからたぶん長谷川の魂が、最後もう一回新潟のコートに立たせてくれるんじゃないかと思う。長谷川にもしゃべった。涙流してた。長谷川の魂が新潟に連れて行ってくれた。こんなもんだと思うんですよね。
だからこういうことを信じながらこれから選手と、また一段と仲良く厳しく付き合っていきたいと思いました。感動しました。本当に誇りに思います。

質問はないでしょ(笑)?ありきたりなことをしゃべるなよな。プレーがどうとかこうとかというのは今日はやめましょう(笑)。

―残り0.1秒で3本のフリースローを手にした時、どんな気持ちでしたか?
マーシャルはおばあさんが亡くなった時、フリースローを2本落として埼玉に負けたんですよ(3月10日の試合)。ほんとに最後の最後に、こういう場面で。
それでその後1週間アメリカに帰って戻ってきたら、今度はフリースローを同じよな場面で入れて、京都戦に勝ったんですよ(3月16日の試合)。

あれだけ足がつって、出来ない状態。自分も身体は絶対ダメだと思ってたらしい。その状態でまず1本入れて、2本目入れて、あとは3本目っていうのは、真っ白になって見てた。もう入るとか入らないとかじゃなくて、真っ白だった。
すみません、感想はない(笑)。ないくらい、興奮して見てました。

―では、その3本目が決まった直後のお気持ちは?
や、とりあえずファウルするなって。こういうのは冷静なんだ(笑)。とりあえずマイクはちょっととぼけてるから、飛び込んでってファウルってのがありえるから。マイクだけは戻れ、加藤だけはその辺にウロウロっているだけにしろ、って(笑)。ファウルだけはやめろ、って。案外そういうのは冷静なんですよね。年の功なんだ、きっとね。
ただ、嬉しかったですね。ほんとに嬉しかった。

プレーの質問は無しね、無し。つまんないからやめましょう(笑)。

―どんな思いで次を戦いたいですか?
全くないですね。ただ、新潟は富樫の出身でもあるわけですよ。それから長谷川も庄司も新潟で育って、あのチームで頑張ったんですよ。だから、また新潟に戻っていけることが嬉しい。それでいっぱいですね。

あとは、今日で負けたら富樫も田口も明日は早々と練習だぞ、って思ってた。そしたら、「いやいや、勝っても練習行くよ。」って言ってたくらいだから、あの二人は。これからですね。良い気分の時、こういうときは何やってもうまくいくもんなんですよ。頑張ります。もう一回頑張ります。

あとは、リバウンドが大変なんですよ。ほんとにリバウンドが大変。だからこれをどういう風に乗り切るかがポイントだと思います。

―アウェーでしたが、ブースターの声援はいかがでしたか?
すごいんだよね。あのね、ただただ…。日本の中で、こういう状態でバスケットをやれることが最高に幸せ。
だからこういう意味では、岩手には今日はじめてbjを観た人もいると思うんですよ。岩手の人もたぶんこれで、また岩手のゲームを見に来ると思うんですよ。

これで、明日はちょっと買い物いけそうかな。スーパーマーケット行くと、負けると肩身が狭いくらい秋田はすげーんだ。もうみんな、負けた時は白い目で見てくる。行くとこも限られるんですよ。レストランも食堂も、(結果を)知ってるところは絶対いけないの。それくらい大変なところだから。
明日は堂々と、走って行くわ(笑)。花見も行く!千秋公園(秋田市の桜の名所)にもちょっと顔出す(笑)。
すごかったと思います。

―アウェーでしたか、ここは?
いや、ホーム、ホーム!完全にホーム。まあ、予想はしてました。岩手戦はいつもこういう状態だから、予想はしてました。昨日勝てばもっと良かったんでしょうけど。(昨日の試合を生でテレビ中継したテレビ局に向かって)すみませんね(笑)。

ほんとにありがとうございました!あとは、選手をインタビューしてください!

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富樫勇樹選手

―今、気持ちはどうですか?
いやー、もうほんとに気持ちいいです。

―みんな、“持ってる”んですね。
持ってますね(笑)。ほんとに持ってますね。まあでも、持っているという言い方よりは練習量。もう、練習量は絶対一番多いと思うので。そこが、最後に来たんだと思います。

―第2戦に勝利した時、どう思いましたか?
あれも劇的で、マイクが最後に2本決めて。今でもちょっと考えられないというか。なんていうかもう、言葉が出ないです。ほんとに嬉しくて。

―本当にすごい追い上げでしたね。
誰もが気持ちを切らさずプレーできてたからだと思います。

―次は新潟戦です。
正直プレーオフのフォーマットができた瞬間にやっぱり、新潟でやりたいという気持ちがあったので。頑張ります。

―秋田のホームで対戦した時との違いは?
全然違うと思います。新潟が来たときは、正直普通のチームと一緒だったと思ってたので。新潟でやるっていうのは、違うと思います。

やっと新潟でできる、しかもプレーオフの、有明を決める大事な試合で。本当に嬉しく思っています。“約束の有明”ってずっと言ってるので、勝って有明に行くことを目指して今週の練習を頑張ります。

―すごかったです。びっくりしました。
びっくりしましたよね(笑)。ここまでの逆転劇は初めてですね。

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マイク・アンダーソン選手

―おめでとうございます。このチームは、すごい力を持っていますね。
チームとして一丸になってプレーしたことが結果につながったと思います。

―本当に大事なシュートを決めましたね。
ノーマークだと気付いた時に、あとは自分を信じて打つだけだと思ってシュートを打ちました。プレーオフの前は自分の力を出し切れてなかったと自覚しているので、プレーオフでは自分のすべてをかけてプレーしようと思っていました。勝つか家に帰るか、どちらかなので全力でやっていきたいです。

―ここは、アウェーですよね?
No!まったくと言っていいほど、アウェーゲームには思えなかったです。フリースローを打つ時にしてもファンの皆さんの声援が聞こえてきますし、こういったエネルギーがファンの方からもらえると自分たちはうまくプレーできるように思います。これからもサポートをお願いします。

―次は有明につながる試合です。
本当にいい響きですね。ひとつひとつ全力を尽くして戦っていくしかないと思いますし、一週間一週間気を引き締めていきたいと思います。有明の前に、新潟に全精力を集中させて戦いたいです。

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マーシャル・ブラウン選手

―すごい試合でしたね。
どこから話を始めていいかわからないです(笑)。
正直言って、最後までプレーできるとは思わなかったです。ファンのみなさんや神様、チームメイト、スタッフ、みんなが最後までプレーできるように助けてくれました。実際試合中に何度も足をつったんですが、そういった要素が自分を最後までプレーさせてくれたと信じています。

―最後のフリースロー3本の気持ちを教えてください。
こういったシチュエーションは初めてではなかったですから、まず落ち着いてシュートを決めることを考えていました。

―本当にこのチームはすごい力を持っていますね。
チームとしては最高だと思います。空に果てはないですから、自分たちにも果てはないと思っています。チームメイト同士が本当に仲良しですし、みんなが協力し合って、みんなコーチの言うことを聞いて、これからも勝利に向かって頑張っていきたいと思います。

―今日のゲームは、アウェーでしたか?
完全なホームゲームでした。(選手で入り口からどこまでも続く出待ちのファンの人だかりを指さし)見てください、この人数を。秋田のファンの方が多かったように感じます。このようなファンベースを持ったチームに今までいたことがないので、本当に感動しています。

―次の新潟戦、“約束の有明へ”が懸かっています。
とりあえず有明のことは置いておいて、次はNo.1の新潟戦ですので、まずはそこにフォーカスを置いて全力を尽くして戦いたいと思います。

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岩手ビッグブルズ

桶谷大HC

―今日の試合の総括
最後ああいった結果になりましたが、自分たちが勝てるときに細かいミスがありました。ホーム開催だったのに勝ちきれなかったことは、来年の岩手の課題です。でも、今年は「挑戦」というテーマでやってきて、プレイオフをホームで開催できるまでになりました。成長したと思います。負けたのは残念ですが、いいゲームができたと思います。秋田は気持ちが入ってるのがすごく伝わってきました。最後の相手が秋田でよかったです。
プレイオフ開催ができるくらいに成長できたと思いますし、セカンドラウンドまで行ける所まで来たとも思います。ブースターの為にも選手にはもう少し成長しなさいと言いましたし、私自身も成長しなければならないとも思いました。

-優勝するために集まったメンバーですが、そのメンバーが最後まで一緒に戦ってくれました
シーズン中は色々と紆余曲折ありましたが、最後の最後でチーム一丸となってくれましたし、良いゲームが出来たと思います。

-今日はリバウンドで相手を上回ったと思いますが、そこが得点に結びつかなかった?
リバウンドよりもアウトサイドやインサイドのパーセンテージ(確率)で、相手に上回れていたのではないかなと思います。特にインサイドに関してはマーシャル(ブラウン)を止めることが出来なかったので、その部分だったと思いますね。リバウンドで勝(まさ)っていても、パーセンテージで負けていてはね。
シュートを落とすとリバウンドが増えますが、シュートが決まればリバウンドも減りますので。

-今、コーチの心に去来するものは
うーん。何でしょうかね。(選手たちを)勝たしてやることが出来なかった悔しさですかね。

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月野雅人選手
-今の気持ちを率直に
そうですね。実感も湧かないですし、次の新潟や横浜というのが頭(の中)にありました。上手くいえませんが、まだ整理しきれていないです。

-宮崎から岩手に来て、(これで岩手でのシーズンが)終わってしまったが
覚悟して(岩手に)来ましたし、本当に多くの事を勉強させてもらった場所でした。今回は負けてしまいましたが、こんな素晴らしい環境でバスケットが出来ましたし、成長させてもらい感謝しています。

-(プレイオフ独特の)雰囲気について
私自身もプレイオフ初めてですし、多くのブースターの方々が足を運んでくれて、素晴らしいブースト(応援)してくれたにも関わらず、勝ちきれなかったのは本当に申し訳なく思っています。シーズン始まる前から有明を目標にしていましたし、終盤ブースターから有明へ行こうと声をかけてくれて、その気持ちがさらに増しました。その期待に応えられなかったのは本当に申し訳無く思います。

-ここまで出場時間の長かったシーズンは無かったと思いますが、自身の成長について
宮崎の時と比べても、出場時間は何倍にも増えました。負けましたが、非常に良いシーズンを送ることが出来たと思います。毎試合毎試合成長していく事を感じ取れましたし、良いチームメイト、コーチ、素晴らしい環境を作ってくれるスポンサーの方々、ブースターも居て、岩手に来て本当に良かったと思えるシーズンでした。。

-チームメイト、スタッフ、コーチにどんな言葉をかけたいですか
感謝することしか出来ないです。ありがとうございますとしか言えないですが、一番の恩返しは有明で優勝することだと思います。それを達成できなかったことが悔しいですし、それに向けて私自身まだまだ成長しなければいけないと思います。

-個人の気持ちは聞いたが、チームとしての総括を
開幕8連勝して素晴らしい出だしをしましたが、怪我が続いたり、(怪我で)外国人選手が3人の期間も長くありました。ただその中でも個人個人が意識を高くして、厳しい状況の中でも成長出来たことは良かったと思います。

-今日の試合を振り返って、勝ちきれなかった要因は
ちょっとしたターンオーバーやフリースローだと思います。個人で言うともう少し冷静にプレイできたら、もっと違った展開や試合運びが出来たのではないかと思います。

-初めてのプレイオフで(精神的に)浮ついてしまった
いいえ。私以外はプレイオフ経験しているメンバーも多いので、安心してプレイできました。それについては特に何も無かったと思います。

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高橋憲一選手

-今の気持ちを
非常に残念な形でシーズンが終わってしまって、今は何も考えられないです。

-残念な形で終わった要因は
最後のシュートにどうしても注目しがちですが、その前の自分たちのプレイや判断、細かい部分が変わっていれば結果も変わっていたかもしれません。

-自身にとってどういったシーズンでしたか?
自分にとっては初めての移籍でした。優勝経験のあるコーチの下で、能力に長けたチームメイトの中でプレイできて、自分自身でも成長を感じ取れるシーズンでした。自分のキャリアの中でも特別なシーズンだったと思います。

-もっとプレイしたかった
そうですね。来週の準備もしていましたし、有明に行ったらとも思ってプレイしていたので残念です。

-2、3戦でも自分たちの形が出来ていたと思いますが、勝ちきれなかった要因は
今、分析するのは難しいです。