【プレミアム限定】bjリーグ2011-12プレーオフ 秋田・中村和雄HC 仙台・ロバート・ピアスHC 秋田・菊地選手、水町選手、キアース選手、グリーン選手 インタビュー(5月6日)

5月5日(土) 秋田市立体育館で行われたプレーオフ1stラウンド第2戦・3戦、秋田ノーザンハピネッツ―仙台89ERSの試合後インタビュー。秋田:中村和雄HC、菊地勇樹選手、水町亮介選手、マイカル・キアース選手、ライオネル・グリーン選手。仙台:ロバート・ピアスHC。
(文・写真=宮川 紀元)

仙台89ERS

ロバート・ピアスHC

―今日の試合の総括
まず仙台89ERSは震災以降準備期間も短かったうえ、様々な混乱を乗り越えてここまで来ました。一緒に戦ってきた選手たち、ここまで来れたことを本当に誇りに思っていますし、ここまで一緒に戦ってくれたブースターの皆様、仙台・宮城にお住まいの皆様にも本当に感謝したいと思います。もちろん全部の試合に勝つことは非常に難しいことですが、毎試合一生懸命戦うということはできると思います。今日の試合は彼らは一生懸命力を尽くして戦って、結果は負けてしまいましたけども最後まで本当に頑張った、と言ってあげたいと思います。

秋田ノーザンハピネッツにはおめでとう、と言いたい。そしてこれから少しでも先に進んでほしいと思います。正直なところ、リーグには今後少しスケジューリングを見直していただいて、40分間の3試合目が行われることを強く望みます。

―第2戦の38得点はおそらくチーム最少得点だと思いますが、ここまで抑えられた原因はなんだと思いますか?
ノーコメントでお願いします。

―昨日と違うやりづらさはありましたか?
今日は秋田の会場とチームが一体となっていたので、この会場の雰囲気は少しやりづらかったです。

―第3戦の前はどういうことを選手に話したのでしょうか?
指示というか、2戦目が非常に悪かったのでそういうことがないように、と。自分たちがいつもやってきた、インサイド使ったり、細かくいろいろありますけど、今まで通りやろう、ということは伝えました。今日の40分と10分はなかなか思うようにできませんでしたが、やろうとしてたことに間違いはなかったと思います。

―ズバリ、敗因は何ですか?
得点を決められなかったことですね。試合を見ていただければわかると思いますけども、これ以上お伝えすることはできません。

―試合後、選手には何と声をかけましたか?
このような形でシーズンが終わったのであまり多くを伝えることはしていませんが、たとえば志村のフリースローとか、薦田の放ったスリーが入っていれば、「たら・れば」ですけども試合の流れを大きく変えていたと思います。ああいうところで決められるか決められないかは彼ら自身が一番痛感していると思いますけども、こういう大きい試合での負けは一番大きな成長材料になると思ってます。彼らはまた来シーズン、バスケット選手としてより大きく、より強く戻ってくることは間違いないんだから、自信持ってこれから頑張りなさい、と伝えました。

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秋田ノーザンハピネッツ

中村和雄HC

―今日の試合の総括
正直言うと、こういういいゲームやれるとは思ってなかった。「仲間を信じて」なんて書いたけど、全く信じてなんかいなかった、おれは(笑)。一番大切なところで一番いいゲームができて。
スポーツ、社会もそうかな、大人の世界ではこれくらい怒られる人はいないと思ってるんですよ。だから菊地なんかにも、「世の中で30歳でこれだけ怒られるのは世界にいないぞ」と。するとこれをバネにするよりないだろう、とずっと言ってきたんだ。怒ってることを、おれが認めてるから。怒ってるんだ、実際。

一番の決断はあれかな。カイルが、ずっとダメだったんですよ。非常にプライドが高いんですよ。アメリカ人は彼のことを、「有り余るプライド」っていうんですよ。要するに相当、相当大変なんですよ。で、カイルを引っ込めるかどうかの決断がまず夕べの中で第一。それでマイクにしようというのが決断の1ですね。
で2番目は、昨日までの感じでやっていくとリッキーのマイナス面が出るんですよ。確かに。リッキーを引っ込めるというのは、大変な度胸がいるんですよ。あれでもし負けてれば…。カイルがいなくてリッキーもひっこめて戦うというのはたぶん、若い指導者じゃなかなかできない。できない。僕はあんまり、いいんだ。負けりゃ負けたで来年あると思えばいいんだ、そりゃね。

で、隠し玉。ずーっと思ってたんですよ。ロニーを隠し玉、隠し玉って隠してたんですよ。記者の人はみんな「秘策って何だ」って聞くけど、言ったら隠し玉にならないから。異常に良くなってきたんですよ、この1週間。ロニーってのはね、通じなかった、話が。ひとりだけおかしかった。誰も相手してなかった。そしたら、突如と1週間くらい前から、普通の会話するようになってきたんですよ、人の目を見て。笑ってみたり。プレーも、使い出したらいい感じ。3ポイント8/12とかね。まったく、カイルよりいいな、ってずっと思ってたんですよ。でロニーをどこで(使うか)ってのはありましたね。
マイクはやっぱり精神的に安定してる感じなんですよ。あの野郎、どさくさにまぎれておれの手首をキュッと握るんですよ。汚ねえ野郎だ(笑)。おれはやるぞ、って。出せって感じなんだ。後は、気が入ったイージェイはいいんですよ。ただ、優しい子だから。非常に優しいから、旦那にするならああいうのがいいんですよね。スポーツやるにはちょっとこう…。だからイージェイ頑張るぞ、ってずっと言い続けてきた。おまえよりいないんだ、吉宗がいないんだからって。イージェイが頑張るよりないんで、今日はずっと頑張り通してくれたかなって感じがしますよね。

長い中で、こういうゲームというのはそんなにないもんですよね。力以上に。これでまた一層怒れるじゃないですか。これはおれ楽だなあ。遠慮なく。みんな言ってた。「さすが名監督!」って。庄司あたりはうめえんだ(笑)。これでまた怒れる。怒るたびに強くなるだろう、と思うんですよね。

だからそういう意味ではこの勝ちは良かったかな、って思うんだけれども…。すぐなんですよ。ちょっとおかしいんだよね、大きいゲームってのは。明日休んで。明日ももちろん大きい体育館借りて練習はするんだけど。アメリカ人は少し休ませておいて、日本人は横浜戦に向けて今日作戦を立てたのを明日体育館で2時間くらい相手してくれるんですよ。こうやって明後日入ってくると、外国人を含めて非常にいい状態になるじゃないですか。日本人は相当束縛されるんだ。休みのない状態で。月曜日休んだことないから。ずーっと休みなくやってくれてるんですよね。明日も今晩、横浜戦を整理してぜひいい状態で入っていきたいと思いますね。

―38得点に抑えるディフェンス力は昨日とまったく違って見えましたが、何が変わったのですか?
ちょっとごまかした。はじめてやった。チェンジングしたりね。今朝しゃべって、始めてやった。
ただ夕べ、カイルはね、ちょっと気分悪かったからカイルのとこだけいかなかった。まず外国人のマンション(アパート)に行った。はじめていった。僕あんまり好きじゃないから、マンション行ったりするのは。それから独身の日本人のところも、ひとりひとりのところを尋ねて行って、こうしてやるぞ、ああしてやるぞ、ってことを。ひとりひとりの家を尋ねた。結果的に全部終わったのは夜中の12時過ぎだったんだけど。菊地はなんか知らんけど、彼女がいるのか知らんけどちょっと違うところに住んでるんだって。おかしいだろ、こっち(他の選手が住んでいる場所)の方が安いのに、どっか違うところ探してるんだからあやしいよな(笑)。まだ突き詰めてないけど(笑)。菊地も20~30分かけてきた。田口、水町。庄司はちょっとあれ(家族もいる)だから、庄司には電話した。それで、こうしてやりたいけど、ってのを夜。
これは僕の手なんだ。前は電話したんですよ。今度は電話じゃダメじゃないですか。次の一手を考えなきゃいけない、今度は行った。行って一人ひとり回って歩いた。もしかしたらそれがうまく言ったかな、と思うんですよね。素晴らしい集中力でゲームやってくれたから。あと次使う手は、難しいな、今度何やったらいいかな。

今回は日本人と食事しました。おまえらで勝ち負け決めたい、って。アメリカ人じゃなくて、おまえらが一番練習あるんだから、お前らで白黒つけたいって。ってのを日本人と食事しながらいい感じで、話してこれたと思いますね。

―ごまかしたっていうのを、話せる範囲で…
(小声で)ごまかした。本当に(爆笑)。やってないことをただ言葉でつないでやったんですよ。ただね、しょっちゅう替えられたから、あいつらその訓練はできてるんだ。異常なくらい、ほかのチームにはないオフェンスもディフェンスも訓練だれてるわけですよ。だからうまくいったと思いますよね。

―昨日、「2戦目勝てば3戦目は有利だ」と言っていましたが…
一応しゃべるんですよ、そうね(笑)。だって3年前もそうだったから。3年前も新潟とやって最後ダンクで逆転されたんですよ。同じケースだから、言った言った。これはおんなじだぞ、って。ダンクで負けたから。昨日もダンクで終わったから、これはきっといいことだぞ、って。勝手に。良いわけねえじゃん(笑)。

―今日の気迫はどこから来ましたか?
なぜ出たか、ってのは分からないんですよ。選手からすれば気の入ってないゲームなんてないんですよ。ないんだけど、それは第3者が決めるんだ。これは難しいんですよ。今日見たいのがどっから来るかっていうのが。もしかしたらそれが、昨日の夜、種蒔いたことがうまくいったのかもしれないですよね。

チームがひとつになった。ロッカールームで完全にこう。試合後みんなで「ロニー、ロニー!ちょっとスピーチやれ」って。ロニーはモノしゃべらない子だから。ロニーがやったらみんな驚いてた。ロニーがしゃべった、って。ロニーがなんかまじめなことしゃべってた。あの…なんか忘れたけど、まじめにしゃべってた。ロニーは5番目の選手だったから。ロニーが頑張ったことで、みんながロニーに対してこう、注目したのは良かったかなって感じがします。

昨日は全く、テレビとか無視した。新聞もね。ろくなこと書いてねえと思ったから(笑)。(報道陣、苦笑)見ない!もう絶対に僕のバスケットがないような番組とか、ビデオ見たりして。今日は見てもいいかな(笑)。(報道陣も再び苦笑い)
でも次です、次。どういうわけかみんなもなんか、「いざ、有明」とかって。おれが行ったわけじゃないですよ、会社が勝手に言ったことだから。(広報スタッフ爆笑) でも次も頑張りたいと思いますね。

―今日の勝利にブースターの大声援は欠かせなかったと思いますが。
おれが一番頑張った、って言いたいけどな(笑)。でもすごかったな。あの、秋田のブースターやっぱり以上ですよ(笑)。僕も、初めて試合後にファンのところを回ったんですよ。終わってから。普通勝っても行かないけど。いや、すごい。だから、今までやった中でもちょっと異常かな。あの騒ぎ方と盛り上げ方というのはね。これは、すごいですよ。そう意味では、今日は3400とか3500だっていうから、良かったです。本当に良かったと思うね。あの人たちまた見に来ますよきっと、バスケットをね。昨日も2700とかいって、今日も行ったら多いんだ。昨日よりはるかに多いんだ。これで負けたらやべえぞこれ、って実際は思ってた。この人たちの前で今日も負けたらどうするか、って思ってた。

昨日のテレビはなんか…。なんだあの(解説者の)山根って(笑)。開幕戦は勝ったけど、どうも山根とはそりが合わねえな(笑)。でもまあ、有明はあいつがやるんだよね?(昨日中継した秋田朝日放送のアナウンサーに)そう言っといてください、おまえはダメだって(笑)。

―レギュラーシーズンで勝てなかった横浜戦への意気込みをお願いします。
そうだな。難しいけど、今日しゃべっちゃったから、みんなの前で。あなた方のこれを背負いながら、心の中に思いながら戦ってくるって。今のところはそれだけですね。是が非でも皆さんの期待に応えられるように頑張りたいと思いますね。
(横浜市)文化体育館てのは、負けがないところなんですよ。前は国際プールなんちゃらとかって、訳わかんないとこでやったんですよ(笑)。今回ね、横浜文体っていって、僕が女子見てる時シャンソンに全く不利な場面で延長戦で勝って優勝して、日本一になったんですよ。次今度、JBLで準決勝で全く不利な状況で東芝とやって勝ってるんですよ。もう、ゲンのいい場所なんですよ、横浜文体ってのは。それを今度担ぎながら、行きたいと思いますね。

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菊地勇樹選手

―1stラウンド突破を決めた率直な気持ちをお聞かせください。
正直、やっぱりうれしいですね。今まで必死に頑張ってきたので、終わってはないですけどまず一つ報われたって感じですね。

―ご自身のプレーはいかがでした?
もっと仕事できるように頑張ります。

―今日はいいところで3ポイントも決めていたと思いましたが。
いや…(苦笑)。まだですね。

―昨日とは違う感じでしたが?
そうですね。ベンチもすごい雰囲気が良かったと思います。

―一体感がありましたね。
カズさんも言ってましたが、もし負けるとこれが最後になっちゃうので。もう悔いが残らないように、集中してやりました。

―今日はかなりの大声援でしたね。
そうですね。いつもは固くなってしまうんですけど、今日は固くならずに集中できたと思います。

―横浜戦への意気込みを聞かせてください。
今回同様一戦一戦大事になるので、一丸となって戦っていきたいです。勢いを持っていきたいです。

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水町亮介選手

―まるで昨日とは別のチームに見えましたが。
そうですね。出だしからラインナップを変えて、チーム全員で戦うということで。出だしからディフェンス、リバウンド集中してできたので、それで勢いついたかな、って思います。

―昨日の夜にHCが部屋を訪問したらしいですが。
そうです。アウェーの時はみんな一緒の所にいるのでミーティングもしやすいですが、ホームではあまりないので。それだけみんなの想いが、コーチ含め、勝ちたい、何とかしたいと。それが今日実を結んだかな、と思います。

―ディフェンスについてHCはあまり教えてくれなかったんですが、何を変えたんですか?
企業秘密で(笑)。とりあえず、カイルが出てなくて背が小さくなっても、ロニーはじめマイカルが頑張って今日はリバウンド勝ってるので。延長戦も勝ってるので。その辺もやっぱり影響したかな、と思います。

―3戦目に入る前のロッカールームはどんな雰囲気だったんですか?
もうすべてをぶつける、みたいな感じで。しっかりディフェンスのルールとか約束事を確認して。
特別ルール自体は、それを想定してずっと練習してきたので。5分のゲームをずっとやってました。

―今日はかなりブースターが後押ししてくれたと思いますが。
シュートを決める度に、だれが決めてもすごい声援が上がって、すごい力になりましたね。レギュラーシーズンホーム最終戦も勝てずに、たくさん駆け付けてくれたアウェーの岩手戦も勝てずに、ずっとブースターの皆さんに申し訳ない試合ばっかりしてたので。秋田の地では今日が最後だったので、みんなと勝利を、喜びを分かち合えてよかったです。

―勝利した後の会場の雰囲気、いかがでした?
(笑顔で)いやー、もう…。最高ですよね。久しぶりにあんなに笑ったかな、っていうくらい。あれがあるからこそ、つらい、いろんなことに耐えられるかなって。

―横浜戦に向けての意気込みをお願いします。
勢いはあると思うので。レギュラーシーズン全部負けてるので、借りを返すだけですね。

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マイカル・キアース選手

―逆転の3ポイントを決めた時の気持ちはどうでしたか?
決めた瞬間、本当に幸せでした。決めたことによってゲームが決まったと思いたかったですけど、まだ時間があったので興奮しすぎずに、集中を持続させることを考えました。

―自分で決めてやろうという気持ちでしたか?
ハピネッツのオフェンスのシステムに乗っかってプレーしたんですけども、スイッチを向こうがしてきて、相手が大きい選手だったので、自分でいこうと思いました。

―怪我などもありましたが、コンディションはどうですか?
今はいい調子だと思います。特に勝った試合の後は本当に気持ちがいいです。1週間またありますので、その期間、治療を兼ねてしっかり頑張りたいと思います。

―3戦目にはどんな気持ちで臨みましたか?
集中力を持続させようと頑張りました。特にHCにもゲームを楽しめと言われていたので、自分の愛するバスケットボールをチームメイトと一緒に最大限に楽しもうと考えました。最初にフリースローを2本外してしまったので少しナーバスになりましたが、とにかく言われた通りに楽しもうと思いました。

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ライオネル・グリーン選手

―今日あれだけ活躍できた要因はどこにありますか?
この2週間、とてもいい練習ができてコーチにも練習通りやれと言われていたのでその通りに頑張りました。

特に5分間を想定したトレーニングで、3戦目に備えてきました。

―昨日の夜にコーチが部屋を訪問したことで、何か変わりましたか?
とにかくゲームを楽しめ、自分のやれることをいつもどおりにやれと言われました。その通りにやろうと思いました。

―これまでの不振を踏まえて、やってやろうという気持ちだったのですか?
こういったチャンスを与えてくれたので、そのチャンスに感謝しながら、自分のできるプレーをやれたと思います。ですが、今日のパフォーマンスにしてもまだ自分ができる最大限の本当に一部だと思うので、まだまだこれから発揮できるように頑張りたいと思います。

―プレーオフまでの2週間、どんなことを考えていました?
この2週間、一日一日のすべての練習がとてもハードでした。ですがそのすべてが相手を想定して、勝つための練習だったのでこういった結果になって本当に良かったと思います。

―今日はあなたの3ポイントでブースターがものすごく盛り上がっていましたが、どうでした?
とにかく自分のできることをして、それでファンの方が興奮してくださったら本当にありがたいです。それで結果的にチームが勝てたので、最高だという思いでした。

―いつもと盛り上がりは違いました?
今日のファンの皆さんはいつもよりも大きな声援だったし、本当に興奮しているのが自分たちにも伝わってきて、それが自分たちのパフォーマンスを後押ししてくれたと信じています。

―一番、どんなプレーを見せたいと思って試合に臨みましたか?
自分はオールラウンドプレーヤーだと信じていますので、ディフェンス、リバウンド、それからオフェンス、すべてのことをファンの方に見せたいと思いました。