【プレミアム限定】岩手・冨山晋司HC代行 秋田・中村和雄HC  岩手・山本選手、澤口選手 インタビュー(4月22日)

4月22日(日) 花巻市総合体育館で行われた岩手ビッグブルズ―秋田ノーザンハピネッツの試合後インタビュー。岩手:冨山晋司HC代行、山本吉昭選手、澤口誠選手。秋田:中村和雄HC。
(文・写真=宮川 紀元)

秋田ノーザンハピネッツ

中村和雄HC
―今日の試合の総括
これからプレーオフやる上で他のチームになくて(自分たちに)あるものがあって、リッキーでいこう、と。そのためにはイージェイも使わないで、リッキーでいこうと。リッキーだけが一番、勝ちたい意欲がある。これで、カイルたち全員がプレーオフに向けて確認できれば。リッキーでいくんだというのを納得しないと、このままズルズルいくかなって感じはするんですよ。
一応、これからプレーオフをやるにあたって合格点を上げられるのは、いまのところね、リッキー、マイク、庄司の3人だけなんですよ。これはちょっと、相当に大変なことかな。カイルだ菊地だってのはもう、クソくらえだな。どっちも、それなりのプライド持ってるんですよ。これが厄介かなって思います。
リッキーは応えてくれてるんだ。相当の状態で応えてくれてるんだ。だからこれからもリッキーを中心にして、どういう風に展開していくかというのを考えていかなきゃなと思いますよね。

―3ポイントが昨日に続いて不調でしたが、どういったところに要因がありますか?
いやいや、そんなの要因なんてわかれば簡単だろ。
だらしないだけ。カイルだ、菊地だってのが。

―リバウンドがちょっと厳しいように見えますが。
いや、あれはどうでもいいんだ。そのためにリッキーを5番にして、代わりに点数を取るわけですよ。後は(リバウンドで負けている)その分は3ポイントを入れれば。どうせ相手も点数は取るんだから。こっちが点数を取ってくれればなんてことないんだ。プラスマイナスだから。

―では今日のリバウンドに関しては、ブルズの方が良かったというよりも秋田の戦略的な問題ですか?
そうなります。どことやってもそうなんですよ。他とやるともっと差がありますから。20本くらい負けてんだ。それで戦ってるんだ。だからそれに関してはもう最初からしゃあない、と。

―ウッズを中心にする分、3ポイントは少し弱めるんですか?
弱めるわけじゃないよ。ただ入らないだけじゃないですか。今日もいっぱい打ってて。入らないだけ、弱めるわけじゃない。後はあいつら次第かな。

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岩手ビッグブルズ

冨山晋司HC代行

―今日の試合の総括
秋田と言う素晴らしい相手に2連勝できて、選手たちが自分の役割をこなしてくれた結果だと思います。
今日は特にケネディが、オフェンスが目立ちがちなんですけど本当にディフェンスでも頑張ってくれたので。本当に選手の頑張りの勝利です。

―シーズン終盤に来て調子が良くなってきていると思いますが、手ごたえはありますか?
そうですね。本当にうちのチームは、前半の勝率を見てもらってもわかる通り、普通に戦っては勝てないので。相手のやりたいことをやらせないというところに、どの試合もテーマを絞ってやってきているというところと、後はシーズン終盤になって選手同士のケミストリーとか、個人個人が自信を持ってやり始めているところ。やっぱり勝ちはじめて選手も自信を持っていて、最後の最後苦しい場面になっても全く死んでる様子がないので。そういうところは本当にチームが成長してきたところかな、という風に思います。

―プレーオフの可能性がない中で、どういったことをモチベーションにして戦っているのですか?
本当にひとつでも順位、勝率を上げたいというのがありますし。現状、長野がもし負けていれば最大で目指せるのが7位。そこを目指さないといけないというのがまずひとつ。
後はブースターの皆さんが本当に今日の試合も、プレーオフがなくなっているのに今までで一番の声援を見せてくれたというのもあるので。やっぱり集まってくれたブースターにしっかりブルズのバスケットを見せたいというのもあります。
後は先週、私も含めてチームスタッフも、本当にバスケットボールが大好きなので。本当に毎試合毎試合アグレッシブにプレーしたいと思っています。

―「相手のやりたいことをやらせない」と言うことについて、もう少し具体的にお願いできますか?
まあ数字を見てもわかるように、秋田は今日3ポイントが4/29ということで、いつもは40本くらいのアテンプトがあると思うんですけど。そこを打たせないようにしよう、というのは今日結果としてでたんじゃないかな、と思います。
で、リッキー・ウッズ選手が本当に素晴らしい選手だというのはもちろんわかってたんですが、そこはうちの外国人選手が交代交代で、4人で守ると。日本人はそれを信じて3ポイントだけ打たせない、っていう風に。そこをブレずに。どうしても日本人選手は、ウッズ選手にやられてるのでヘルプに行きたい気持ちはあったと思うんですけれど。そこはブレるな、ということで。庄司選手、菊地選手、田口選手、あとはスワンストン選手ですね。あの4人に絶対3ポイントを打たせるなということで、やりました。
ただウッズ選手は本当に素晴らしい選手なので、今日も44点。本当にもう、ウッズ選手の能力には脱帽の一言です。

―打たせるな、とは具体的にどういうことですか?
秋田のシューターの選手たちはペネトレイトがそんなに得意ではないと思っていたので、ドリブルをつかせるというような意識で。とにかくクローズアウトして、ハンズアップはしっかりしようということですね。後はトランジションから打たれたくないので、トランジションのピックアップラインを3ポイントラインの2メートル前くらいまで広げて、ピックアップするのは練習からずっと1週間やってきました。

―あのハンズアップはかなり大きかったですね。
やっぱり秋田の選手はスキルもありますので、ジャンプしてもフェイクしてドリブルでかわされるというケースもあるんで。しっかり寄って、手を挙げる。これしかない。後は、スリーのファウルをしないということですね。これしかやれることはないので。後はもう、シュート力が上回るか、って勝負なので。そこは本当に、選手がやりきってくれたかな、ってところですね。

―昨日と、攻め方の戦略は同じでしたか?
まあ正直ですね、マンツーマンしてくると思ってなかったので。ゾーンしか練習してなかったんですけど、マンツーマンに対するオフェンスというのはシーズン通してやってきていることなので。そこは特に選手も違和感なく、昨日も今日もできたかなと思います。
勝負どころで、インサイド陣のオフェンスリバウンドは大きかったです。第4クォーターは特に、オフェンスリバウンドを8本とっているので。ショーン・マロイの活躍は忘れてはいけないと思います。

―ゾーンの場面はなかった?
ゾーンもしてきた時もありました。マッチアップゾーンを。昨日はもうちょっとゾーンが多かったんですけど。マッチアップ系のゾーンだと思うんですけど、僕もちょっと勉強不足で、何をされているのかわからない部分もあります。
ただどのプレーをされても、インサイドをアタックしてターンオーバーを少なくすること。やはりターンオーバーから早い展開で3ポイントを打たれるのが一番嫌だったので。ちょっと今日はターンオーバー多いんですけどね、実際。

―前半にインサイドを果敢に攻めたことが、結果的には核になったように思いますが。
やっぱり秋田はインサイドで劣ってる部分、2線、3線が深く守ってきたので。そこでやっぱり無理に行かずにドライブしても止まって、後ろ側に合わせるようにハーフタイムに指示したんですけど。それで一回山本が澤口にしっかりアシストして良い形で後半の初めに3ポイントを決めたので。そこも選手がしっかり指示通りやってくれたかなと思います。

―昨日もファウルがかさんだことは織り込み済みだったのでしょうか?
まあそうですね。やっぱり東で3位のチームと試合をしていて、僕ら9位ですから。もし勝つシチュエーションがあるとすれば、ひとりふたりファウルアウトして当然という感覚でやっています。それはここ10試合くらい変わらないです。おそらく、ほとんどの試合でファウルアウト一人は出てるんじゃないですかね。今日、これだけファウルアウト、ファウルトラブルが出たのは、ウッズ選手がただ素晴らしいという、それだけだと思います。もうファウルアウトはしてもいいよ、とは選手に言っていました。逆にもう、外国人選手4人でファウル20個使ってもウッズ選手を守るというくらいで。

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山本吉昭選手
―最近の好調の要因は何でしょう?
プレーオフには行けなくなってしまったんですけど、来シーズンに繋げるようにモチベーションを下げずにやっていけているのが、こういう結果につながってるんじゃないかと思います。

―ご自身は、どんなところが調子がいいですか?
やっぱり自分の仕事、相手に対するディフェンスとかもみんなでしっかりやっていることが、いい結果を生んでいるのではないかと思います。

―これで秋田にはリベンジとなりましたが。
うれしいですね。元々自分は、大学は秋田(秋田経済法科大学 現・ノースアジア大学)でしたし。秋田の国体選手としてやったこともあって、いろんな人にお世話になっている中で、恩返しもこういう形でやっていかなければいけないと思ったので。秋田の時にいいプレーができたというのはすごくうれしいですね。

―国体に出たのはいつですか?
大学3年生の時です。秋田の菊地勇樹選手と一緒にプレーしました。

―今日は秋田をどう抑えた印象ですか?
やはり3ポイントを打たせなかったというところですかね。昨日より本数が減っているので。ウッズ選手にはすごくやられましたけど、ウッズ選手一人にやられている分には秋田のリズムにはならないかな、と思ったので。まあそこは外国人選手3人4人でローテーションしてしっかり守ろうと言っていました。結果44点やられましたけれど、ウッズ選手にはやられたけどもチームとしてはやられてないんじゃないかなという印象です。なのでこっちにリズムが来たのかな、と思います、

―常にリードする展開でしたが。
一度追いつかれた時に自分たちのオフェンス、ディフェンスも含めてちょっとできてなかったので、そこは修正点でもあります。まあ終始自分たちがインサイドで勝つことができたのが大きいのかな、とは思いますね。大事なところでショーンたちがリバウンドを取ってくれたので。

―この2試合にはすごく手ごたえがあったのではないかと思います。
そうですね。正直、今からプレーオフ出たいっていうくらい。なんか、戦えると思うんですよね。まあそれは残念ですけど、こういう機動力のあるバスケットを展開していければ。日本人選手に関していえば、たぶんどこのチームにも負けてないと思うので。そこはやはり自信を持ってやっていきたいなと思っています。
一番最初のつらい時期を乗り越えたことが大きいと思います。

―パス回しも、シーズン序盤に比べると利にかなったものが出せている印象があります。
最初は必ず決めないと、という気持ちが強かったですが、ここで決めなくてもその次のディフェンスで守れるっていうイメージも出てきました。余裕が出てきたのかなと思います。

―いろいろなことがあった最初のシーズンがもうすぐ終わろうとしています。
プレーオフにいけなかったというのは非常に悔しいですし、反省点もあるんですが、こうやってたくさんの皆さんにブーストしていただけたということは本当に来シーズンにつながると思うので。やっぱり最後の2試合もしっかり勝って、終わりたいなと思います。

―ご自身としてはプロ1年目、どんなふうに過ごされてきましたか?
がむしゃらに一生懸命やることが大事かなと思ってたんで、常に練習から、一生懸命やってこういう風にプレーできたというのは、ほんとにいいシーズンだったのかなと思います。後は来シーズン、結果を求めてやっていきたいと思います。

―震災があった中、どんな思いでしたか?
やっぱりまだまだ復興までは時間がかかるし、心を痛めてる人も多いと思います。そういう人たちに、なかなか観に来れないかもしれませんが、新聞だったりメディアを通して勝ってる姿を見せて喜んでもらえたらな、と。それが被災地の皆さんの話になってくれたらきっと、笑顔になってくれるのかなと思うので。やはり負けてる試合より勝ってる試合の方がうれしいと思うので、一生懸命やることが自分たちの仕事かな、と思います。

―あと2試合、どう戦いますか?
2連勝して、来シーズンはブースターの皆さんの期待度も変わってくると思いますので、一つでも順位を上げて終わりたいと思います。

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澤口誠選手
―2日間を振り返って、いかがですか?
昨日外が当たった分、今日は中に行きたいなと思っていました。でも正直、秋田のディフェンスが自分に対してちょっとつき気味だったのであまりボールをもらえなかったんですけど。でもそれで自分に引き付けて、みんなで点数を取れたというのは今日の収穫かな、と思います。5人でバスケできて、5人で点数取ったというのはやっぱり今日の勝因だとは思います。

―10月に対戦した時と、秋田の印象は変わりましたか?
戦ってた外国人が全くいない、4人違う外国人と戦っているので、全く別のチームと戦ってるなという感じはありました。より速いバスケになったのかな、というのは感じました。

―やりづらさや、やりやすさはありましたか?
やりにくいとは思ってますけど、でもやっぱりやりやすい・やりにくいよりはすごく楽しくバスケできたなと言うのが一番の印象です。去年まで一緒にやってたメンバーで、今年は違うチームで戦うというのは楽しかったです。そこで負けたくないという気持ちもどんどん強くなっていたので。

―今日は秋田ブースターもたくさん来ていましたが。
秋田のブースターは去年、ベストブースター賞をもらっているので。リーグにとってやっぱりいいお手本なんじゃないかなと思います。盛り上がり方が尋常じゃないので(笑)。その辺はすごい、秋田を見習うべきかなと思います。

―クラッチシューターの感覚的なものを掴んでいるんじゃないですか?
まあクラッチシューターまではいかないと思いますけど…(笑)。でもやっぱり勝負どころでは自分が勝負を決めたいというのは常に思っているんで。大事な場面で、自分のプレーで勝敗がきまるとか、そういうところまで自分は求めているんで。そういう場面がどこかもだんだんわかってきたので、少しずつでも成長していけたらと思います。

―ドライブでリズムをつかめているのですか?
シュート入らなくてもドライブすれば自分の感覚というのがだんだんわかってくるので。アウトサイドが入る方ではないので、ドライブでブロックされてもどんどん仕掛けていくっていうのが自分のリズムを作っているのはすごく感じます。

―残り2戦もそうやっていきますか?
そうですね、最後まで自分のプレーで。まだ若いうちに。どんどん歳取ったらできなくなるプレーも出てくると思うので。とりあえず今は何年目になっても若いうちはドライブして、どんどん学べていければプラスになると思います。