【プレミアム限定】秋田・中村和雄HC 富山・下地一明HC 秋田・水町選手、ドレイトン選手インタビュー(1月8日)

1月8日(日) 秋田県立体育館で行われた秋田ノーザンハピネッツ―富山グラウジーズの試合後インタビュー。秋田:中村和雄HC、水町亮介選手、イージェイ・ドレイトン選手。富山:下地一明HC。
(文=宮川 紀元)

富山グラウジーズ

下地一明HC
―今日の試合の総括
あーもう、力負けです。以上です。もう帰らしてください、質問は受け入れません(笑)。見てわかる通りだと思います、力負けです。それだけです。

―後半、インサイドを攻められる場面が多かったですが。
そうですね。昨日は止めていたんで、あそこは正直、デビンとターナーに任せていました。守れるかな、と思って。うちの方がインサイドは強いという自信があったのですが、思ったより守れなかった。そこが誤算かな、と思います。

―全体的にみて、シュートの精度があまり良くなかったですね。
そうですね。いやー、(2ポイントフィールドゴール)50本打って19本しか入ってなかったら…。うち、2点の成功率は高い方なんですけど。東では1位かな?けど今日は全くでしたね。もう力負けですわ。ここで数字に出てます。
選手がようやくそこで気づいてきてくれているので。自分達はまだまだ、と。もしかしたら強いと勘違いしているのかもしれない。でも、まだまだです。秋田が僕たちに這い上がるチャンスをくれた。僕は、いい風に受け入れています。カズさんはそうやってやってくれる人なんで、僕にとっては大きな財産ですね。今後もしかしたら連敗が続くこともあるかもしれませんが、絶対這い上がろう、と。もうワイルドカードからでも、セミファイナルに絶対勝ちあがろう、と。それだけの(秘めた)力がうちにはあると思うので、それを信じて。最下位になろうが、それを信じてやろうと思っています。

―秋田のディフェンスの印象は?
フィジカルですよね。すごい手も出てくるし。体張ってプレッシャーかけてるし。いやー、あれでいいと思いますよ。あれがバスケットだと思うし。ただまあ、明らかにこういうの(手で大きく振り払う動作)はどっちもあると思うんですけど(笑)。僕はフィジカルコンタクトは好きなんで、こういうの(手で大きく振り払う動作)は明らかにファウルだと思いますけど、もうこんなの(小さく振れる動作)は別にファウル吹かなくてもいいかな、と。それでフィニッシュできなかったら、それはフィジカル弱い証拠だし。(フィジカルな展開は)良いんじゃないですか。

―シュートの精度が上がらなかったのは、ディフェンスの影響ですか?
それもありますし、慌ててた、ってのは事実ありますよね。入れなきゃ、入れなきゃ、って。今日は「スマート」って(ホワイトボードに)書いたんですけど、熱くなりすぎて。試合前に、初めて「まず己に勝て」と言いました。まだ勝てない現状があるから。実際(秋田は)昨日の試合、今日の試合と彼らにチャンスを与えてくれたと思いますよ。逆に聞きたいです。(報道陣に)うちのチームどう思いますか?強く感じました?
(―インサイドが強かったと思います。)
ああ、本当ですか?ありがとうございます(笑)。

やっぱりフィニッシュですよね。フィニッシュできなきゃ勝てないです。バスケットは(シュートを)入れる競技だから。今日は出てますよね、ちゃんと数字に。3点も。19分の4。

―最終クォーターで引き離されたのは、メンタル面の弱さでもありますか?
それはもう間違いないですね。あれだけこう着状態から逆転して前半終えて、後半もどっちに転ぶかわからない状況から、4クォーターにやられてしまったってのは、やっぱりそこ(メンタル)のタフさがないってことですよ。そこはやられましたよね、正直。まあ僕自身タフさがないのかもしれないですね(笑)。

僕はいつもメディアさんに言ってますけど、こうして彼らが成長してくれて、バスケットが終わった後に社会人、サラリーマンとして各々の仕事に就いた時に絶対同じ境遇になると思うんで。どう這い上がっていくか。僕は正直、勝ちに越したことはないけど、勝ち負けはすべてじゃないと思ってます。これはプロとして、「なんちゅう発言だ」って言われるかもしれないですけど、そういうことじゃなくて、選手が成長して、勝ちが付いてくる。それが一番理想だし、最高だと思ってるんで。僕がこのチームにいる限りは、そうやって試行錯誤してやっていきたいですね。大変ですけどね。でも彼らの成長してる姿を見ていると、勝つよりそっちの方がうれしいですよね。ぶっちゃけ僕は(笑)。教えたプレーをやってくれたりすると、素直にうれしいです。それで勝ったらさらにうれしいです。だからもう、水戸なんかどんどんどんどん伸びてきてるし。まあこの2試合は全然ダメでしたけど、いい経験になったと思います。

―今日はマンツーマンをやっていましたね。
そうですね。もうマンツーで、ガチンコ勝負だ、と。うちはディフェンスの失点が多いのは事実。そのなかで、1対1でちょっとずつ粘っこくはなってるんですよね。強い相手にどれだけできるかやってみたかったんで、1対1で守れ、と。その中で、リッキー・ウッズ、カーティス・テリー。まあテリーには昨日やられましたけど、リッキー・ウッズのところをそこそこ抑えられたんじゃないかな、と。インサイドのパワープレイが嫌でしたけど。そこが課題なんで、うちの。ハーパーもハキームも理解してるので、そこをクリアしていかないと上には上がれないです。

―富山さんは得点力がありますが、今節は2試合ともロースコアゲームでした。
そうですね。向こうのペースじゃないですかね。結局ターンオーバーが多いことと、この2試合に限っては、どっちも慌ててましたよね。ちょっとボールが手につかないような状況。そこの勝負所を、ちょっと持っていかれてしまった。やっぱりそこはタフさですよ。ルーズボールにしろ、絶対取って入れてやる、っていう。うちは、「とれるだろう、○○だろう」でやられちゃった。味方がとってくれるだろう、って。「○○だろう」はやっぱり人任せだから、「いや、取る!」っていう風にならなきゃいけないですよ。ということで、やっぱりタフさが足りない、ということになるわけです。つじつまが合うということです。

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秋田ノーザンハピネッツ

中村和雄HC
―今日の試合の総括
いつも苦しい試合を落としていて、ホームで1勝1敗なのは不甲斐ないじゃないですか。せっかくのホームで。メディアの人が、首位になったとか、3位になったとか書くけど、あれはおれにはあまり関係ないんだ。長丁場だから。でも書く方も、それ(順位をを話題にすること)はしゃあないでしょうけど。

今日はだれがいいとかじゃなくて、その場その場でみんなで守ったという感じが強い。
リッキー・ウッズが後半、わがままなプレーからちょっといい感じになってきたかな。これからを考えると嬉しいですね。それからあの身長でね、あれだけ何回もスライディングするってのは相当難しいですよ。僕らがスライディングするのと違って、2階から行くようなものだから。怖いですよ。あのスライディングが何回もあるってことが、これからの一つの芯になる。ああいうバスケットが。

マイケルが肋骨折って、どうしようもなくなって。そこから(新しく)チームを作っていく上で、負けないチームって必要かな、思い始めたんですよ。負けないチームには違った方法があるんじゃないか、ってことで。マイケルの18点、6アシスト、6本から7本のターンオーバー含めて(笑)、それから彼は守らないから。そんなことを考慮して、断腸の思いだったんですよ。マイケルをリリースするのは。非常に人気のある選手をリリースするときには、大変なんだけども、勝つことを要求されている。何が何でも勝ちにいきたいな、と思ったんです。

「スポーツ立県」って秋田は謳ってるんですよ。でも全国大会を見ると、みんな1回戦2回戦(で敗退)じゃないですか。せっかくスポーツ立県ってやってくれているのに、空回りするんじゃ(もったいない)。選手にも言ってるんですよ。おれたちが最後の防波堤になるぞ、って。必ずなるぞ、おれらが頑張るぞ、って。とりあえずお願いだから、運転気をつけろよ、って。そんなに頭いいわけじゃないから、なんか悪いこと考えるなよ、って。正しく生きろよ、って何回も言うんだ。おれたちが、なんとしても頑張りたい。今日のようなバスケットをやってくれれば、子供たちに対しても、ブースターに対しても、僕らが良い影響を与えていけるかな、って感じはしました。

富山の下地コーチは、JBLの時に僕の下にいたんです。僕の下にいたってことは、だいたい選手に文句言うコーチに育つんだ。だから用心はしましたよ、気合が入ってくるだろう、ってことで。彼(がHCに)になってから、富山はやっぱり良くなっていった。

(次節まで)2週間ありますから。こういう気分がいい時は、しごきやすいんだ。目一杯いきやすいんだ。(選手も気分がいいから)聞く耳を持つんですよ。だから目一杯しごいて、もうちょっといいチームにしていきたいと思います。

―マイカル・キアースが出れないアクシデントの中で連勝できたことはうれしかったですか?
そうだな、マイク中心に作ってきたから。ほんと手違いなんだ。実際はマイクがだまされたりもしたんだ。けど、(チームを)辞める時はサインが必要なんですよ。「大丈夫だよ、サインはやってやるよ」って言って、それで(サインしないで秋田に)きたわけですよね。本当は京都戦から出れたのが、この誤算は本当に…。具合悪くなった、本当に。マイクが出れない、うわーやべえ、って。ほんとは(年末の特集コーナーの)テレビでもね、「マイクが入れば、富山戦楽だよ、負けたら外なんか歩けないよ」って大ボラ吹いたんだ、おれは(笑)。(テレビ局のアナウンサーに対して)そうだよね?
(―はい(笑)。)
それでね、あとになって映像流れたんだ、おれの前に。おれの前っておかしいな(笑)、テレビの中から。やべーこれ、負けたらやべえぞ。いや、マスクして帽子かぶれば大丈夫かな、って(笑)。ほんと楽だと思ったら、マイクが出れないと分かった瞬間に真っ暗。本当に大変でしたね。それをよく乗り越えたかな、って感じはしますよね。たぶん、こうやって強くなっていくかな、って思います。これからです、これから頑張ります。

―後半、インサイドを攻略できた要因は何でしょう?
あのままでは厳しいと思ったから、2人のセンター同士のクロススクリーンを使ってみた。練習でやってないのに。クロススクリーンやって、相手がちょっとパニクった状態から攻めてみればいいかな、って思ったら、それが当たったんだ。
だからちょっと、体調悪いとひらめくかもしれない(笑)。人間、うまいもの食べて腹いっぱいになってくると、よくあるじゃないですか、満腹感で血が回らない、って。3日間ほとんどおかゆだけ、おかゆもちょっとだから。たぶんね、人間はそうなるとひらめきがくるんだ。あ、こうだな、ってひらめいた。昨日の第4クォーターの2-3の(ゾーン)ディフェンスも、あんなにうまくいくと思わなかった。
第2クォーター、秀生、菊地でこらえたのが大きかった。もうこれはおれにも保証がない。あいつらは人間的にも信用してないから(笑)。でも、あれでこらえたのが良かった。5点差(のビハインド)くらいまでは、庄司とカーティスを休ませながらやって、後半に賭けようと思ったのも良かったですね。
だからプレーオフは、ちょっと腹壊したり熱出したりしていこうかな(笑)。

―センター2人というのは、イージェイとスタンのことですか?
いや、イージェイとリッキー。スタンにも言ったけど、スタンはなかなかうまく機能しなかった。

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水町亮介選手
―久々のホーム2連勝でしたが、今日の試合を振り返っていかがですか?
みんなで守ってみんなで勝ちとった勝利だな、と思います。点数はあまり取れてないですけど、みんなでディフェンス頑張ったんで。リバウンドも、昨日負けてたのが今日はタイなんで。

―終盤に競っての負けが3つ続きましたが、今日はそういう場面をみんなで乗り越えて、メンタル面の成長は感じました?
そうですね。今まで競って負けてたので、2つ勝てたというのは、少しずつ力が付いてきてるな、と。

―自身のプレーについてはいかがですか?
昨日今日と外から全く入ってなくて、でもまあ、それはしょうがないんで。ディフェンスをしっかりやろう、ということで。あとは、リッキーとか、ゴール下にパスくれたので、あのへんで隙間…。まあ、隙間隙間ってあまり使いたくないですけど(笑)、まあそういうところで。後はみんなでディフェンス頑張った、ルーズボールで頑張ったんで。

―リッキーからのパスは、ノーマークを積極的に狙った結果ですか?
そうですね、はい。あそこは絶対2人が集まるので。リッキーはパスくれるから。

―チーム状態としては3連敗で若干落ちたのが、またいい感じで昇ってきていますか?
そうですね。(年明けすぐの)合宿まではもう、マイカル選手も出るつもりでやっていたんですけど、登録の関係で色々あった中で2つ勝ったのは大きいな、と思います。

―オールスターを挟みますが、次に向けては?
アウェーが3つ続くなかで東のチームと当たるし、そこは負けられないんで。しっかり1試合1試合、2連勝するのは大変ですが、そこを勝っていかないと有明にもつながらないと思うので。全力で戦います。

―マイクが出場できるようになればポジションがかぶりますが。
自分がどうチームに貢献できるかをしっかり考えて。京都戦ではカーティスが1番をやって、自分は2番3番でやったので、そのへんもしっかり、生き残る道というか、しっかり考えてやっていきたいです。

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イージェイ・ドレイトン選手
―新年最初のゲーム、連勝でしたね。
去年は3連敗で終わってしまったので、最初の2試合を連勝できたのは大きかったと思います。

―ご自身のディフェンスはどうでしたか?
全体としては良かったと思います。もっとリバウンドは良くなったかと思いますけれど、スティールが良かったので、それがいいディフェンスになったんじゃないかな、と思います。

―アクシデントもあった中での連勝ですが。
今いるメンバーで戦うしかないという状況でしたけれど、連勝できたのは大きかったです。ただ、マイクがプレーできるようになればもっともっと良くなっていくと思います。

―昨日と今日の前半、インサイドで苦しみましたが、後半良くなった要因はなんですか?
後半は作戦通りに大きいプレイヤーがスクリーンを掛け合って、スペースを有効に利用してインサイドをアタックできたことです。

―昨日のプレーに関してHCから厳しい指摘がありましたが、今日はやってやろう、という気持ちはありましたか?
もちろんです。カズさんはバスケットボールをよく知っていますから、自分がうまくできなかったのも丸見えだったわけで、今日は挽回してやろうと思って臨みました。