2011-12シーズン新参入 千葉ジェッツ代表取締役・梶原健 インタビュー(vol.1)

 bjリーグが発足して6シーズンが経過した。
 わずか6チームでスタートした日本の「プロ」バスケットボールリーグは、2011-12には発足最多の16チームが参戦し、鎬を削った。そして、2011-12シーズンからは20チームに増加する。(※東京アパッチが参戦できないため、19チームとなる) 既存のチームに千葉、横浜、長野、岩手の4つ県からチームが参入するためだ。
 今回は、2011-12シーズンからの参入が決定した、千葉ジェッツの梶原健・代表取締役にインタビューをさせて頂いた。
 チームの経営プラン、参入した動機、そして、日本バスケの未来について。

※本稿は2回に分けての掲載となります。

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千葉ジェッツ代表取締役・梶原建 インタビュー vol.1

―まずは、bjリーグの経営状況について「ぶっちゃけどうなんですか?」というところからお伺いしたいのですが。 
 bjリーグの立ち上げ当初は、正直厳しかったみたいです。でも、各チームの失敗が積み重なったことがノウハウとなり、積み重なってきています。2010-11シーズンから16チームになりましたけど、約半分のチームが黒字です。新規で加入した3チームもほぼ黒字の状態で、経営的には結構うまくいっているところが増えてきていますね。その理由としては、ある程度の年間収入が見込め、それに対して支出をどれだけ抑えれば良いかがわかってきた部分があると思います。上手い経営が出来ている、という報告は出ていますね。ただ、儲かっているかいないかと言われれば、そんなに儲かってはいないと思います。ただ、経営としては利益が出るような形にはなってきていますね。

―では、それを踏まえまして、千葉ジェッツはどうなるのでしょうか? 
 初年度から黒字を目指していきます。収入の柱というのは、大きく分けて3つあります。スポンサーとチケットとファンクラブです。その3つがあるんですけど、昨今はスポンサーという部分で企業が積極的ではなくなってきています。じゃあ、千葉ジェッツはどこを柱にしていくのかというと、まずはファンクラブです。bjリーグ自体もそうですけど、千葉ジェッツという存在自体がまだまだ知られていないのが現状です。まずは、千葉ジェッツに興味を持ってもらう。次に、地域を巻き込んでいき、応援したいチームと思ってもらう。その活動を続けて、ファンクラブに入ってもらう。そして、ファンクラブに入ってもらった人達に試合に来てもらう。試合に来てもらって、会場が賑わえば、盛りあがっているということでスポンサーもつく。そして、会場でのグッズが売れる、という仕組みになっていくのではないかと。現在は、ファンクラブとチケットを重要ポイントとして捉えています。会場となる船橋アリーナが他のチームより大きいことも良いことですね。

―船橋アリーナは4000人くらいでしたっけ? 
 4500人くらいですね。会場を満員にすることができれば、利益のみならず、いろいろなところに還元できるような仕組みが出来ると思います。儲かることだけを目的としていないので、利益が出たら、バスケットボールの普及やチームの強化といった部分に繋げていければなと思ってます。

―でも、日本のスポーツの現状では、お客さんが入りにくいという部分があると思います。集客の手応えは掴めていますか? 
 bjリーグは、20代から30代の若いファミリー層に観に来てもらっています。なぜかというと、小学生でミニバスケットボール(※以下、ミニバス)をやっているお子さんとその親御さんが一緒に観戦するというパターンが多いようです。そういう意味では、千葉はバスケットボールが盛んで、ミニバスの競技人口も日本一多いです。bjリーグの来客のパターンから考えると、ミニバスの競技人口が多いわけですから、集客の可能性も高いと思っています。あと、県のミニバスケットボール協会から全面的な協力を得ることができているのも大きいです。

―そういう意味では、県の下地はしっかりと。 
 あるかなと。あとは、自分達がどれだけとプロモーションできて、まずチームの試合を観てもらえるかですね。試合を観てもらったら、そこでいかに楽しんでもらえるかというのがカギになってくるかなと思います。

―チームは現在、全く選手も決まってないですよね。 
 そうですね。16日にドラフト会議があり、そこで選手が決まります。千葉県出身の選手は獲得したいですね。

―目指すバスケットボールのスタイルはどんなものですか? 
 観ていて一番楽しい、スピード感溢れるバスケットボールを目指していきたいなと思っています。何よりも観ている人が楽しいバスケットというのは追求していきたいなと。そして、勝利ですね。

―ただ、「勝っているから人気が出る」わけではないなとも感じています。 
 もちろん、勝つから人気が出るという部分だけじゃないです。人気が出て、応援があるから勝てるんだと思いますね。

―1年目の目標は? 
 まずはプレーオフ進出ですね。あとは成績もさることながら、集客で一番をとりたいなと思っています。チームを立ち上げたきっかけも、いろんな人に見てもらい、その中でバスケットボールをやっている子供達には夢を持って欲しいからです。子供達にはこのチームに入りたいと思ってもらいたいし、そのような環境を作りたい。多く人たちに千葉ジェッツの試合を見てもらって、それに対して憧れを持ってもらうという想いを込めて、ですね。

 冷静な語り口も、絶え間なく言葉は続いた。その一語一語に、バスケットボールへの愛情が込められていた。

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―チームを作るというのは高校生の時に目指したというのをお伺いしました。
高校を卒業する前、大学進学の時からですね。

―それまではプレーヤーだったのですか?
 そうですね。小学校から高校までプレーしていて、大学に進学する時もバスケットボールをプレーするという選択肢はあったんです。でも、バスケットで飯を食っていきたいと思ったとき・・・・
 
 vol.2は、チームを発足した動機と日本のバスケットボールの未来について。