4月3日(日)富山グラウジーズvs浜松東三河フェニックス 試合後のインタビューとゲームレポート

4月3日(日)に富山県総合体育センターで開催された富山グラウジーズvs浜松東三河フェニックス戦、試合後の記者会見及びゲームレポートです。

********************

浜松東三河フェニックス

中村和雄HC

-今日の試合の総括について
「何を喋ったらいいですかね・・・。今日はちょっと(話すことが)無いですね。お客さんはたくさん入ってくれたのですが。

ゲームは、これは遠くの震災の影響だと思いますよね。(ワンサイドゲームについて)こんなこともあるのかなと薄々感じていました。本当はこんな風なゲームはやりたくない。ゲームというのはやはり、勝負という勝ち負けがあるから面白いのであって、勝ち負けの無いゲームは、見る人に感動を与えられないと思います。下地コーチは、しょうがなかったと思うんですよね。いざこざも起きてるみたいだし(下地HCのインタビューを参照)。選手が少ないという事は、こういう事も起きるという事ですよね。彼も辛かったでしょうけど、まだ若いから。

僕が言うのもおかしいんだけれど、ファンに対しては、申し訳ないゲームだったと思います。これに懲りないで、また会場に足を運んでもらえればと思います。

僕らも、21番かな(パーマー)。やる気がないんですよ、昨日の最初から。それで今日、相当怒って、拗ねた格好してたんです。スタメンから落としたんですけど、さすがにいい根性してます。「見てろよこの野郎」って感じで得点を取り出して。だから、(彼とは)目を合わせていない。ケンカ状態。俺から見ればケンカしててもいいんです、試合で活躍してくれれば。

ただ、本当に難しいと思います。外国人が多かったり少なかったりするのは。なぜ外国人が3人なのか?というのは、今日も話していたんですよ、ゲーム前に。それはやはりバスケットを面白くするためで、まだ日本人は(外国人に)敵わないと。だからオンザコート3というのがbjのひとつの形になっているんですが、今はそれが崩れているんですよね。でも、これはしょうがないんですよね。

感じ方ですからね、アメリカの選手たちにとっては。向こう(アメリカ)には家族がいるし。だから僕は「帰ってこい」と一生懸命言ってるんですけど、「ダメだ」と保留にしてるんです。まだ粘っている状態です。(ディクソンという)素晴らしいPGが帰ってこない。(ここまで)作ったバスケットの、30%が変えられているんです。まだ帰ってくる可能性もあるから、ガラっと変えられない状態なんですよ。戻ってきたらそのままでいいから。だから、この2~3日が勝負だと思います。向こうには家族がいるから、「帰るな」とはなかなか言えないし。

そういった事が影響したゲームだったと思いますね。逆に言えば、ファンに対しても、下地コーチに対しても、気の毒だったかな、という感じはします。」

-太田敦也選手が第2Qに活躍しましたが、この評価は?
「あのですね、練習は太田敦也の為にあるようなものなんです。メシを喰わなくても、あいつを怒らない日は無いくらい。それで、今日は前半に見事なディフェンスをやっていて、みんなが「ナイスディフェンス!」と言ったとたんに、吹っ飛ぶじゃないですか。(彼は)時々いいプレーをやるんですよ、いいゲームを。するとだいたい5ゲームくらいはダメですね。それからまた這い上がってくるんですよ。

彼は2m6あって動ける訳だから、あの子をなんとかしてあげたい、太田敦也に対する思いというのが、8割くらい占めてますね。毎日外国人とぶつかりあいしてるんですが、これはJBLにも無い経験を彼はしているんです。

そして、素晴らしい時がある。そう思うと、今日の(ように)前半が良くても、後半のような事が起こる。もう、なんとも言えないですね。彼との付き合いが、生きがいのような物ですね。あいつを目一杯怒るのは、僕とあいつのお母さんなんです。(彼は)気持ちがあまりにも優しくて。だから旦那さんにしたら最高ですよ(笑)

本当に穏やかで、コートは争うんだ、戦争なんだと言ってるんですけどね。彼とはずっと続くと思いますけど、上手くさせたいですね。体もあるし走れるし。

ただ、戦えない性格なんですよ。フェニックスのホームに彼のフラッグがあるんですよ、「戦え!太田敦也」って。ファンが作ってくれたんですけど。あれを見て何とも思わないのか?と聞くと「思わない」と。俺は思うぞ、と。申し訳ないから下げてくれと。戦えない、優しい子なんですよね。

太田敦也と僕とはいい関係にありますよ、はい。」

-このシリーズでは富山の日本人選手が積極的にアタックしてきましたが、どのような印象を受けましたか?
「負け元(負けて元々)というのがあるんですよ。勝ちゲームになると、あんな風には(攻めて)行けない。難しいものでね。「負けてもいいや」と思うと行けるんですよね。勝ち負けでくるとなかなか・・・。(富山の)昨日の後半ですね、前半で勝てるかな?と思った後。それが「負けてもいい」と思ってくると、打って入ったり、踏ん切りが良くなるんです。これが「勝ちたい」と思ってくると、1本が大切になってくるんです。なかなか難しくなるんですね。

ただ、(富山の日本人選手は)一人一人が凄く元気がある。みんな、それぞれの良さがありますよね。(試合で)使っていくと上手くなるものなんですよね。本当に、上手くなっていく感じがしますよね。

あれを見て、どう思ったんですかね、太田和利は。カッコつけやがってあのアホが。太田敦也と正反対。友利とも正反対。友利はひたすら真面目。沖縄にしては珍しいですよ。沖縄はもっとちゃらんぽらんというか、温かい所はだいたいそうですから。沖縄から更に舟に乗って、ものすごい田舎なんですね。友利の真面目さが太田和利にあったら素晴らしい選手になる。なかなか直らないですよね、いいもの持ってるんだけどね。」

********************

富山グラウジーズ

下地一明HC

-今日の試合の総括について
「浜松さんは本当にシュートが上手い。それに尽きますね。あと、いつもなんですけど、浜松さんの日本人選手もディフェンスでハッスルしていて。更に外国人もハッスルしていて。

試合の前のミーティングで言ったんです。昨日のようには絶対に行かないから、出だしから昨日以上の集中力を持ってファイトする。そう言ったにも関わらず、受けてしまった。で、ヒントは与えて指示をして、後半に入って、ようやく日本人が「ああでもない、こうでもない」と話してくれて。水戸から「ちょっとスペースが狭いから広くしよう」という言葉が出たんですよね。それを聞いたときが嬉しかったです。

そうやって自分たちで気づいてやることが、僕は一番いい事だと思うんですよ。その意味では、それを第1Qのからやれという事ですね。あとは表現するだけなんで。正直、日本人のみんなは頑張ってくれたし、あとは外国人も含めて、もっとチームで戦っていければいいかなと思います。

ただ、やはりカズさん(中村HC)は凄い、それに尽きます。ちゃんと修正してきて、「こう来るな」と予想してそれが当たっていて、でもそれが表現出来なかったという事は、カズさんが1枚上手なのかなと僕も認めざるを得ないです。でもまたこれをバネにして頑張りたいと思います。」

-安田選手のプレーの評価については?(29min、12pts、FG4/17、4reb、1ast、1TO)
「チームのタイミングじゃないんですよ。チームのタイミングじゃなのに打つなと怒りました。ボールを共有して、シェアしての中でのタイミングだったらいいけど、彼の自分のタイミングで打ってたんですね。でも、彼はそれを反省してますね。最後に、水戸と加藤が「下地さん、あのタイミングはいいんですか?」と言うんで「どう思う?」と聞いてみたら、「違うと思います」と。そういった意味で、違いを感じるようになってきているんですね。彼とも後で話したんですけど、いい傾向だと思います。今までは無かったので。人間はなかなか変われないですけど、これを続けていって欲しいですね。こういったチームの問題を、自分たちで解決していく。それを僕が交通整理してあげればいいので。そこを僕も選手とよく話したいと思います。

でも、積極的に打ってくれたのは本当に良かったと思います。ただ、チームのタイミングじゃない。チームのタイミングと自分のタイミングが全然違うぞと。(シュートが)入れば結果オーライなんですよ。でもそれって、バスケットボールじゃないんです。リズムがあって、みんなで共有して、1対1のスペースを作ってあげて、という事を回りが気配りしながら作ってあげるといのが一番の理想なんです。その中で、1対1が出来た、シュートが入ったといのがバスケットの醍醐味であって、面白いところだと思います。もうちょっとそこを詰めていきたいですね。

安田も(富山に)来てまだ2日しか練習してない中で、よくやってくれたというのが正直あります。ただ、橘のレイアップ、あれは頂けないですね。行くんだったらダンクしろと。そこも教えてあげたいですね。

正直どうですかね?日本人は上手くなってると思いますか?僕は毎日見ているので、本当に上手になってると思います。だから、今日は彼らを褒めてあげたいです。いつも怒ってばかりじゃかわいそうなんで。」

-デービス選手が第1Qの中盤以降、プレーしなかったのは?
「聞かれると思ってたので、正直に言います。僕は今日、(ロッカールームの)ホワイトボードで「フィニッシュ」、絶対フィニッシュしろと言ってたんです。ファウルだろうがファウルで無かろうが、入れれば2点は変わりないんだから入れろと。浜松さんはファウルされても入れてきますよね。その差ですね。

で、彼はそこで言い訳していたので、もうそんな奴は使わないと。何回も言いますが、今バスケットをやれる環境の人間がいて、そこで言い訳してというのは、僕は許せないですね。だから使いませんでした。あれで使ってしまうと、他の日本人選手に申し訳ないです。それだったら、僕は責任取って辞めますよ。それが選手との信頼関係だと思うので。あれで使ってしまったら、日本人選手は僕に対して疑問を抱くと思うんですよね。

ただ、これはまた別の話で、プロである以上勝たなければいけない。僕は人間性を取りたいんですよ。自分で言うのもなんですが、プロに向いてないのかな?と思うこともあります。だけど、人間を成長させてチームを作っていくのがバスケットの面白さだと思うんです、個人スポーツじゃないので。

デービスとは最後にちゃんと話しまして。「もう怒ってない。ただ、2度とああいったのは見せるな」と。実際、僕が来てからずっと彼とは問題があったんです。言い訳をするんです。やるからには、言い訳なんて無いんです。みんな同じ条件なので。彼はカッとなって熱くなるので、そこをコントロール出来ないようじゃ、プロじゃないですよね。そこも、彼とは毎回話しています。ちょっと直ってきているので、また言い続けます。それが使わなかった理由です。」

-ポストシーズンで浜松と対戦する可能性が出てきましたが、現時点ではどのように対策を考えていますか
「今日、ちょっと試したかったゾーンディフェンスとオフェンス、どうせ次の日にはバレるんですけど、今日は出さなかったです。カズさんは間違いなくバスケットのIQが高いですから。カズさんも多分同じことを言うと思うんです、男と男の戦いだと。あの人のことは、多分bjでは僕が一番知ってると思うので。

ちょっと雑談ですけど、(OSG時代に)カズさんとよく将棋してたんです。僕がだいたい負けるんです。僕もそこそこ強いんですけど。30回やって1回勝てるかな?という感じなんですけど、その1回にちょっと賭けてみようと思います。大敗するかもしれませんが。

でも、僕は日本人で勝ちたいんです。実際、今日も日本人(のスコア)では勝ってるんで。どうしてもここはトライしていきたいです。今はJJ(スミス)とJD(デービス)しかいない中、(浜松の)ディクソンが帰ってくるか分からないですけど、水戸にはディクソンのようなガードになって欲しいんですよ。タイプも似てると思うので。彼がもし帰ってくるようなら、マッチアップさせたいですね。

当然、やるからには勝ちたいです。諦めません。僕も何かしらの奇策は持ってるので。玉砕覚悟で行きますが、勝負はやってみないと分からないので、頑張ります。カズさんもそこは恐れていると思うので。今日みたいに熱くなったり。今日はカズさんの本来の姿だったと思うんですよ。僕が言うのもなんですけど、ようやくカズさんらしくなってきたと思いました。こうやってカズさんとやれるのもそうだし、廣瀬さんとやれるのも楽しいし。bjに数々のHCがいる中、あんな風に「闘将」と呼ばれるのは最高ですね。」

-前半が13得点というのは、気持ち的な面に要因があったのでしょうか?
「そこで下を向いているようじゃダメなんですよね。どんな状況の中でも胸をはりなさい、やるしかないんだから。下を向いてネガティブになるより、自分達のやるべきことをやろうと。で、水戸がそれに気づいてくれて、後半はボールがすごく回るようになりました。そういった状況を、自分達で打開できたという事が僕は嬉しいですね。自分達で考えてくれたんですね。ハーフタイムで自分達で集まって言い合ったのって初めてなんですよ。あれを見て嬉しかったですね、成長なのかなと。毎日の練習で見ていても、ああいった事をやらないんですよ。「やりなさい」と言ってもやらない。でも今日はそれがやれたので、本当に嬉しかったです。ただ、負けは負けなんで。」

-次の試合まで3週間ありますが、どのような調整を?
「ガンガン練習します。彼らにも言ってあります。走るぞと。JDもちょっと痩せたんですよ。動けるようになっているので、走りこみをしようと。JDとJJしか(外国人が)いない中、日本人が走るしかないし、外国人と渡り合えるファンダメンタルを身につけないと勝てないと思うので。だから今日は4メン(アウト)しかやってないんですよ。僕はコールしてないんですよね。4メンを築き上げながら、そこにいろんな動きを加えていきたいです。カズさんはいろんなゾーン(ディフェンス)を持っているので、その対策も考えなければいけません。楽しみですね。

ただ、まだ3位(の可能性)があるんで、まだ諦めません。秋田に2連勝すれば行ける可能性もあるんで。やるからには、上を目指して頑張っていきます。チャンスがある限りやります。それだけです。」

********************

#93安田壮史選手

-今日の試合について
「前半の出だしから、気持ちの上でこちらが戦うべきだったんですけど、浜松のほうが戦いう気持ちを持っていた状態で臨んでしまい、点差が離れてしまいました。後半修正して、気持ちで戦えたと思います。ただ前半の差が大きすぎて、それが結果に繋がったと思います。」

-試合のMIPに選ばれた感想は?
「とにかく自分がどうのこうのというよりは、チームで点を取ったりして、その結果、自分が選ばれれば嬉しいですけど、今日の状態だと、下地HCのやりたいバスケットと違うことをやっていた場面があったので、その辺を修正してもう1回選ばれれば、本当の意味で嬉しいかなと思います。

コートの上では常に誰にも負けられないという気持ちでやりたいと思ってますけど、今日は出だしで集中してないところがあって、自分で言ったことすら出来てない状態なので、月末の秋田戦ではそういった事のないように修正して、もっといいプレーが出来るように努力します。」

-被災地ではまだ苦しい状態が続きますが、そのような中でどんな気持ちでプレーしたいですか?
「仙台にいる時は支援活動とか慰問とかしてきて、自分のできることをやってきたつもりなので、こちらに来てバスケットに専念して、秋田戦でもっといいパフォーマンスが出来れば、それが仙台の人たちに伝わるかなと思います。」

-チームのメンバーとはどんな状態ですか?
「一緒にご飯食べたり、生活面でも一緒に過ごす事が多いので、だいぶ仲良くなってきていると思います。」

********************

#9水戸健史選手

-今日の試合について
「試合の入り方、前半がキーだったと思います。相手のプレッシャーにちょっと引いちゃう場面が多くて、そこで攻めの姿勢を出せなかったことが今日の敗因だと思います。後半は落ち着いて自分達のバスケットをやろうとしたことで、いいバスケットが出来たと思うし、それを前半からどんなプレッシャーがあってもやるということが、今後の課題だと思います。」

-外国人でのビハインドはありましたが、浜松2連戦の感想は?
「正直、浜松は強いチームですし、そこは素直に認めたいと思います。ただ、自分達の強い面も見せることが出来たのではないかと思います。そこを極めていけばもっといいチームになると思います。」

-この2試合はいずれも2桁得点でしたが、自分がチームを引っ張るという気持ちはありますか?
「特に自分の点数は気にしていなくて、チームの為にという思いでプレーしているのですが、やはり外国人選手が抜けて点数を取りに行ける選手がいないという事で、自分が積極的にリングにアタックすることが、チームの為になるのではないかと思います。」

-下地HCの指導を受けてから、自分のプレーが向上しているという実感はありますか?
「今は1on1のスキルを凄く叩き込まれているんですけど、その状況でシュートまで持って行けているというのは実際にあるので、ディフェンスを見るという面では、自分としては成長できているのではないかと思います。下地さんにはまだまだだと言われてますけど。僕だけじゃなく日本人選手、外国人選手とも、みんなスキルアップが出来ていると思います。」

-そのスキルアップが個人だけでなくチーム全体に及べば、ポストシーズンでチームが勝ち進むイメージを持てそうですか?
「プレイオフが決まって、あと1ヶ月あります。下地さんが来て今までの間で成長できたというのが自信になっているので、あと1ヶ月でもっと成長できる部分もあると思います。そこで練習して、プレイオフに繋げたいと思います。」

-デービス選手がプレーしないことで苦労した面はありますか?
「コーチは「言い訳をする選手は使わない」と言ってますし、「日本人でも戦えるところを見せろ」と言ってます。JDがいる、いないではなくて、自分達でも出来るという事を証明したいという気持ちでプレーしていました。」

-前半で13得点でしたが、後半はどのように気持ちを切り替えましたか?
「前半は浜松のプレッシャーに煽られて慌てたような感じになったので、積極的にリングにアタックするという基本にもう1回戻ってプレーをしようとみんなで話をしました。」

-次の秋田戦が公式戦としては最後となりますが、この試合について
「外国人が抜けてから厳しい戦いが続いているんですけど、あと3週間あるので、コーチの言う通り、日本人でも戦えるというところを磨いて、最終戦の秋田で勝てるように一生懸命プレーしたいと思います。」

********************

ゲームレポート

富山グラウジーズvs浜松東三河フェニックス@富山県総合体育センター(2011.4.3)

富山-浜松
第1Q _7-18 
第2Q _6-24
第3Q 13-18
第4Q 27-27
最終スコア 53-87 

【スタート】
富山:#8山城、#9水戸、#14加藤、#33高野、#3デービス
浜松:#5友利、#11岡田、#34アーノルド、#4ニクソン、#12ラーカイ

【レフリー】
#17山本、#37加納、#55久保田

【観客者数】
1,553名

【主な個人スタッツ】
富山:スミス18pts、FG5/13、12reb、3blk、4TO、安田12pts、FG4/17、5reb、水戸40min、10pts、FG3/11、6reb、4ast、加藤40min、5pts、FG1/8、4reb
浜松:アーノルド20pts、FG8/14、ニクソン18pts、FT6/7、6reb、3ast、パーマー16pts、3pt4/8、8reb、3ast、岡田13pts、FG5/10、5reb、4ast、0TO、ラーカイ11pts、FG4/5、7reb

********************

第1Q 富山7-18浜松

前日はスタートダッシュを見せた富山、この日も積極的にシュートを寝合うが、これが決まらない。シュートを打っては外す富山に浜松もしばらくつきあっていたけれど、こちらは徐々にその確率を上げる。いつものように3ポイントが多い浜松、ここでは岡田がまず1本、そして速攻から2本目を沈める。

ラーカイもゴール下でのFTで続き、パーマーの3ポイントが決まり11-2となったところで富山のタイムアウト(3:25)。富山はここまでターンオーバーも少なく、つまり狙ったフィールドゴールを全て外しています(得点はFTの2点のみ)。

やっとゴール下でスミスがボールをリングに押し込むが、その後も浜松ペースは変わらない。パーマーがタイムアウト前と全く同じプレーで3ポイントを沈める。浜松のパーマーとニクソンは似た感じの体型ですが、特徴的なのがそのシュート。ニクソンはリングにフェイスアップしてその跳躍力を生かしたジャンプシュートを放ちますが、パーマーは見事なターンシュートを打ちます。

身長が高く、手も長いパーマーはターンしてそのままシュートを放つのですが、このリリースが早い。リングに向いた時点では既に飛び上がっているし、手を上に伸ばすフォームなのでこれをブロックするのはほぼ不可能。しかもターンしながらもそのボディバランスを全く崩さない。往年のNBAオールスター、アレックス・イングリッシュのシュートを思い起こさせますが、より現代版な動きといった感じでしょうか。更に、富山は外国人がスミス1人なので(下地HCのコメント参照)ビッグマン以外は基本的にミスマッチとなり、浜松の能力溢れる外国人選手を日本人で守るのは実に困難なタスクとなっています。

富山は引き続き浜松のディフェンスを打破できない状態が続きます。各ポジションで日本人選手が外国人選手に挑む展開ですが、その確率は低い。ミスが出ると、浜松はすかさず速攻に走りラーカイが得点。このラーカイ、重たいプレーをする選手ですが、大事な場面ではしっかり速攻に走ってきます。

Qの最後に安田選手が3ポイントを沈めますがそれでも7-18、浜松のアウトサイドが決まればもっと点差が開いていたはずです。

※実は浜松のFGは5/18と決して良くなかったのですが、富山の数字は2/18と試合になっていません。ポストのスミスは全く機能せず、アウトサイドから単発のシュートを放ってはリングに弾かれる展開が延々と続いています。

富山にとって厳しいのは、このわずか2分後には次のQが始まるということです。

********************

第2Q 富山6-24浜松

このQも基本的には同じ展開が続きます。富山はスミスをインサイドで生かせず、アウトサイドも外れる。ディフェンスでは第1Qの最後から3-2ゾーンに切り替えていますが、突破力のある浜松の外国人と、そしてよくボールが回る浜松オフェンスを止められない。

アーノルドは前日の31ptsに引き続き好調で、まさにアンストッパブル。3ポイント、ドライブからのターンシュートにフェイドアウェイ、そしてディフェンス2人を抜き去りバスカンを押し込む決定力。アーノルドの5連続得点が決まり7-22と15点ダウンまで広がった富山はタイムアウトをとるのですが(7:43)、実はもっと問題なのがオフェンスでした。

このQのポストでのマッチアップはスミスと太田敦ですが、ゴール下のディフェンスでは太田敦が完全にスミスを圧倒します。腰を落として押し合いに負けず、フロンティングやロールを駆使して、とにかくスミスが欲しがるポジションを与えない。これはスミスだけでなく彼にエントリーパスを入れる日本人選手にも理由があり、いいパスを入れるアングルを探すことが出来ません。やっとスミスにボールが入っても、浜松のガードがダブルチームに飛んでくるのでシュートにも行けない。スミスはフラストレーションがどんどん溜まり、ついにはテクニカルファウルを取られてしまう。

ここで「スミスに変えてデービスを入れないのか?」と思ったのですが、ベンチの事情はこの時点では分かりませんでした。結局富山は不満だらけの、しかも太田敦とのマッチアップでフィジカル的に相当疲労しているスミスをコートに出し続けるしかありませんでした。

結局、富山は単発のアウトサイドと、時には水戸のドライブなどが決まるのですが、その確率は低いまま。浜松はハーフコートだけでなくトランジションからも効果的に得点。アーノルドが連続で3ポイントを沈めるだけでなく、最後のタイムアウト後(41.9)からのオフェンスでは狙い通りに太田敦のポストプレーをセットアップ。太田敦もフェイクでスミスを跳ばして見事に得点します。浜松は前日も第2Q終了直前のプレーで友利が難しい3ポイントを決めましたが、ここでもしっかりとチームが求めるプレーを決めています。

最後にアーノルドが速攻で突っ走り得点、42-13と浜松のトリプルスコアでハーフタイムとなりました。

※富山がFG率10%台という悲惨なオフェンスを繰り返す一方で、浜松はFG9/19、FT4/4と安定した数字に戻してきました。アーノルドはこのQで実に16ptsというだけでなく、3pt2/2を含むFG6/6、FT2/2という完璧なパフォーマンスを披露。

富山はスミスを生かせず、そしてアウトサイドからは安田のFG0/5に代表されるように、チームオフェンスが全く構築されていません。

********************

第3Q 富山13-18浜松

富山はスタートに橘、安田を入れてこの展開の打破を図ります。しかし浜松は意に介さない。ディフェンスでボールを奪ったのはラーカイ、そのまま速攻の先頭を走って得点。アーノルドは橘のフィジカルなディフェスを受けても、ターンシュートであっさりシュートを決める。

富山もスミスにやっとボールが入るようになり、ゴール下から3連続得点。しかしミスからトランジションで浜松に得点を許してしまう展開が続く。ここでも得点を決めたのはラーカイ、今度はバスカンで得点。49-16の時点で富山のタイムアウト(6:24)。

その後も浜松ペース。ラーカイはローポストから左のフックを押し込み、速攻ではアーノルドが得点。そして、思わず目を見張ったのがニクソンのターンシュート。右のローポストで守っていたのは安田、かなりゴリゴリと押しているだけでなく、ディフェンスも寄ってスペース的にも狭い。ニクソンはここから右にターンするのですが、ターンして跳んだ時点でその体は0度より深くリングに対してマイナスのアングル。ところがこの状態からでもリングを射抜いてきます。思わずため息のでるようなプレーでした。

富山のアウトサイドはなかなか決まらないものの、スミスがボールに絡めるようになっただけベター。しかし、せっかくもらったFTを決められないのが痛い(スミスのFT3/8)。

60-26と更に点差が広がり、第3Qが終わります。

※この試合、初めてQで2桁得点を記録した富山。スミスの7ptsが大きいですが、FG2/5、FT3/8と決定力には欠けています。

浜松は中に外にバランスよく得点。ラーカイはインサイドだけでなくトランジションでも活躍(7pts、FG3/3、FT1/1)。そこにニクソン、アーノルドらの得点が絡み、しかもここまでターンオーバーが3とゲームメイクも安定しています(富山は10)。

********************

第4Q 富山27-27浜松

試合としては前半で決まっているのですが、ここでやっと浜松がその手綱を緩めます。佐野を投入するのですが、開始1分で2ファウルとなってしまう。浜松はタイムアウトを取りますが(9:13)、佐野は結局5分ほどの出場で5ファウル退場することに。

それでも浜松は大口、ニクソンらが3ポイントを決めてペースを保ちますが、中盤以降は富山もやっとシュートが入るようになってきました。

安田、水戸の3ポイントに、スミスのドライブ。オフィシャルタイムアウト(4:59)の時点で43-75と、わずかながらですが点差が詰まっています。

会場に「もしかしたら?」の空気が流れそうになりますが、しかし浜松はあっけなくその雰囲気を変えてしまう。大口の3ポイント、速攻から高い打点のニクソンのシュート、そしてパーマーの3ポイント。83-48で富山のタイムアウト(2:20)、試合もそのままの流れで終了しました。最終スコアは浜松の87-53。

※安田の3本の3ポイント、スミスの9ptsなどで一瞬ながら盛り返した富山でしたが、最後まで浜松のオフェンスを止められませんでした。

浜松はこのQも3ポイントが5/12(41.7%)、2ポイントが4/8、FTが4/5と確率が高く、リバウンドで12-10、アシストで6-3(試合では16-7)と富山を圧倒。試合を通じてもターンオーバーが5と(富山は13)、ほぼ文句のつけようのない内容でした。

富山オフェンスは試合通算でFGが23.4%(15/64)、第3Qまででは16/7%(8/48)と低調を極め、最初から最後まで試合になりませんでした。