4月2日(土)富山グラウジーズvs浜松東三河フェニックス 試合後のインタビューとゲームレポート

4月2日(土)富山県総合体育センターで開催された富山グラウジーズvs浜松東三河フェニックス戦、試合後の記者会見およびゲームレポートです。

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浜松東三河フェニックス

中村和雄HC

-今日の試合の総括について
「富山の頑張りが非常にいい状態で、心地よく受けましたね、下地のバスケットを。頑張るスタイルが、非常にいい印象でした。以上です。」

-ハーフタイムの時点での指示は?
「ありません。普通にやってました。たぶんここ(富山)は、セミファイナルで(当たる)可能性が大じゃないですか。だからあまり・・・。

どうですかね、気持ちが・・・東北関東大震災のこともあって、練習もうまく気分が乗らない。早くこれをいい状態に持っていきたいですけど、難しいですね。僕自身が一番難しい。

ゲームは普通にやってました。ゲームを通して。でも富山のほうが頑張ったというのはありますね。」

-前半のビハインドは、気持ち的に入ってなかったということでしょうか?
「なかなか難しいんですね、プレイヤーが一緒になっていく感じが無い。僕のチームは、僕がハッパをかけて尻を叩いていくのに、僕がダメなんで。そのまんまの状態でやってる感じで。でも、なかなか文句も言えないし。心配ですね、(この状態が)どこまで続くか。ずっと続いているんです。なかなか上手く練習も出来ないし。気持ちが入ってこない。だから心配してますね。

(日本に)残っていた(外国人)選手が頑張らないで、34番(アーノルド)は(アメリカに)帰ってたんですよ。練習しないで戻ってきたばっかりなんです。残っているアメリカ人は、「俺たちは帰らないで残ってやってるんだぞ」という感じがある。で、今日は帰ってきた34番が、負い目を感じながらやってた感じがするんです。あれなら、1週間くらいみんな帰ってもよかった。

ちぐはぐなんです、選手達が。残ってやっていたんだぞ、というのがありありと見える。でも、そこはつついていけないんですよね。難しいところですね。」

-OSG時代に共に過ごした下地HCと対戦した印象は?
「今日だけでは何とも言えないですが、ただ、下地だとか、宮崎の遠山だとか、自分と関わった者がHCとなっていくことは、最高に嬉しいですね。非常に嬉しいです。

今回に関しても、震災があった時に、自分達が(試合を)やれないような気持ちがあったとしても、会社がやると決めたら、やりなさい、それに対しては絶対に口答えするなと言ってたんです。現場でやれているうちが華だから。だから、絶対に「やりたくない」とか自分の気持ちは言うなと。絶対にやれと。

だから今回(富山戦)も分からなかったんですよ。日本人だけになっても(富山に)来るぞ、と言ってたんです。だから、(富山が)頑張ってくれているのは嬉しいですよね。彼(下地HC)はとてもバスケのIQが高いから、非常に楽しみですね。」

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富山グラウジーズ

下地一明HC

-今日の試合の総括について
「やるべきことをやっていない。それだけです。やれるのにやらない。それが一番腹が立ちます。何回も何回も同じ指示をして、3回目、4回目で行動に移す。こんなのプロじゃないです。

今も(選手に)言ってきましたけど、正直、プロじゃないです。お金を払って彼らを見ようなんて、僕は思いません、もし僕がファンだったら。そのくらいひどいです。以上です。」

-今日の試合で良かった部分、悪かった部分は?
「やることをやって負けたのなら、次への改善点があるんですが、やらなくて唖然としてやられて・・・これに対して僕はずっと言っているんですけど、(彼らが)どんな神経をしているのかわからないんですよ。これはバスケット以外の事だと思うんですよ。正直、バスケIQは低いです。

観察する、感じて察する事が大事なのに、ただ見ているだけ。見て、状況をわかっているはずなのに、動かない。質問とは違う話ですが、それを腹立たしく思っています。言葉がないです。なので、今日は何も無いです。滋賀戦もここ(の会場)でやって、同じ事の繰り返しで負けて。今日も、同じ事の繰り返し。何の成長もしていない。僕はそうとしか見れないですね。これはHCの僕の責任かな、と思うんですけど、細かく、口うるさく言っても出来ないという事は、やはり、もっともっと追求していかなければいけないのかなと正直思います。」

-そんな中で、HCとしてどうやって今後の試合を戦っていくのか?
「正直言って、ウチの選手は能力ありません。浜松さんはIQが高くて、ディフェンスの寄りも早い、すれ違いの1対1もうまい。

その意味では、水戸と加藤は間違いなく良くなっています。彼ら2人を徹底して教えているんですけど、彼らはディフェンスとの間合いとか緩急の使い方とかを覚えてきています。そこは収穫ですね。やはり加藤と水戸が1対1で外国人(ディフェンス)を破っていったというのは、やはり見ていて気持ちがいいものです。日本のリーグですが外国人が多いなか、いかに日本人が活躍できるか。やはり外国人相手でも、アタックしていかなければいけないと思うんです。あの2人は、正直良くやってくれたなと思います。JJ(スミス)も、JD(デービス)も。あの4人に関しては、満足しています。

でも、出場チャンスを与えた人間が、そういった気配りが出来ないというのは、今までの試合で何を見てたの?ということです。僕はずっとベンチの横で(選手達に)説明しているんです。あれは、普通に練習中に言っていることなのに、(試合で)出来ないということは、言葉は悪いですけど、馬鹿としか思えないです。だから、正直ちょっとショックです。

一生懸命は誰でも出来るんです。僕でもハッスル出来るし。一生懸命というのは、プロにとって当たり前のことなんですよ。それ以上に考えて行動して、高いレベルでやるからプロだと思うんです。それが全く出来ていない。

彼らに対して優しさで言うのなら、お前はプロとして向いてないよと言ってあげるべきかな、それくらいに思っています。でも、僕は止めないですけどね。必ず教えて、彼らが気づくまでどんどんアドバイスはしていくつもりです。」

-仙台からレンタル移籍した2人については?
「思い切りやってくれたと思います。橘も、アウトオブバウンズのディフェンスでおあれだけハッスルしてくれて。本当に気持ちよかったですよね。あそこ(橘を投入した第3Qの最後)は勝負だったんですよね。絶対に止めろ、3を打たすなと。結局打たれてしまった。あれも一つのキーポイントだと思ったんで、橘に「ハッスルしてこい」と。彼は、きちんと聞いてやるべきことをやろうとしてくれるから。

(浜松のスローインが)5秒ギリギリでしたよね。あれを止めていたら間違いなくウチの流れが来るかなと思っていて、タイムアウト取ったんです。あれは、(3ポイントを)入れた友利を褒めたいです。」

-安田選手については?
「はい、思い切りシュートを打ってくれて良かったです。彼は多分、bjで初得点ですよね。仙台の時は出てないから。その意味では、彼ら2人はそういった思いがあるので、やはり被災地の為に頑張ろうとか、今バスケの出来る環境に感謝して、そういった結果が彼らに繋がったのかなと思います。

橘も、チャンスがあれば3ポイントを打てと。彼も今、シュートを直してるんです。自分でシュートが入らないのは知っているので、今徹底してスキルアップしてます。

このチームは、バスケIQとスキルのアップをしないとダメですね。時間かかるかもしれないですけど、長い目で見てやってください。」

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ゲームレポート

富山グラウジーズvs浜松東三河フェニックス@富山県総合体育センター(2011.4.2)

富山-浜松
第1Q 30-23
第2Q 20-21
第3Q 13-27
第4Q 27-32
最終スコア 90-103

【スタート】
富山:#8山城、#9水戸、#14加藤、#33高野、#3デービス
浜松:#5友利、#34アーノルド、#21パーマー、#23佐野、#4ニクソン

【レフリー】
#17山本、#37加納、#55久保田

【観客者数】
989名

【主な個人スタッツ】
富山:デービス23pts、2pt6/10、8reb、3ast、2stl、スミス23pts、FG10/14、8reb、水戸14pts、2pt4/9、3ast、加藤14pts、FG4/13
浜松:アーノルド31pts、FG10/21、FT6/6、8ast、ニクソン19pts、FG6/12、6reb、ラーカイ16pts、FG7/8、12reb、3ast、岡田14pts、FG6/7、4eb、4ast、大口13pts、FG4/7、友利8pts、FG3/5

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第1Q 富山30-23浜松

富山マンツー、佐野をスタートに起用した浜松は2-3ゾーンでスタートするが、富山が飛び出す。

デービスの3ptで口火を切ると、加藤のスティールから水戸の速攻、ダブルチームを仕掛けては水戸がスティールし加藤のFTと、一気の押せ押せムード。24秒クロックギリギリで放った山城の3ポイントが決まるなど、流れは完全に富山。

立ち上がりから集中力が欠けるように見える浜松は1分ほどで太田、ラーカイをコートに投入し建て直しを図り、ニクソンの連続3ポイントで落ち着くかに見えるが、富山も再び山城の3ポイント、デービスの3ポイントと続き、さすがにここで浜松のタイムアウト(5:30)。富山のアグレッシブなディフェンスと迷いのないシュートリリースで、ここまでは浜松に王者の風格は見られない。

浜松はここからディフェンスをマンツーに戻し、友利の3ポイントやアーノルドの1on1、ラーカイのゴール下などで得点を重ねるが、富山のオフェンスのリズムを止められない。加藤のドライブからFT、ドライブからの水戸のクイックなシュート、デービスのドライブと続き、更に外国人とマッチアップする加藤がラーカイ相手にゴール下からシュートを決めるなど、その勢いは止まらない。富山のタイムアウト(2:08)時点で28-17と富山がリードを保つ。

終盤、デービスがアーノルド相手にタフショットを沈め、ラーカイもゴール下で返して30-23で第1Qを終了。

※富山は序盤の4本の3ポイント(デービス2、山城2)で流れを掴んだだけでなく、その後も果敢なオフェンスを継続し、FTでもポイントを稼ぎました(FT6/6)。リバウンドでも10-6と浜松に勝り、シュートの確実性もあります(FG10/18、55.6%)。

浜松も中盤以降は持ち直し、FGは10/18と全く同じ。点差では富山のFTの部分が大きい(浜松はゼロ)。

浜松のオフェンスが悪くないことを考えると、富山がどこまでこの積極的なオフェンスとその確率を維持できるかが課題になります。

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第2Q 富山20-21浜松

立ち上がり、シュートを決められない富山。浜松はラーカイのポストを起点としてアウトサイドを狙う。大口の3ポイントに始まり、ニクソンの連続3ポイント、更に大口の3ポイントと続く。

富山はアウトサイドが決まらないものの、ドライブで状況を打破する。デービスのアシストでスミスがゴール下を決め、水戸も鋭いドライブからポップするようなバンクショットを沈める。仙台からレンタル移籍の安田も3ポイントで続く。浜松が37-41と点差を詰めてオフィシャルタイムアウト(4:53)。

ニクソンの連続3ポイントで浜松が逆転し、そのまま富山が勢いに飲まれるか?という場面で踏ん張ったのはポストのスミス。チーム唯一のビッグマンということで、苦しいながらもんとか得点に絡む。浜松にとっては厳しい判定もいくつかありました。

浜松もラーカイのパワームーブで返し、終盤はアーノルドの1on1からの得点を稼ぐが、富山も安田のFTやスミスのティップインなどで何とか粘り、富山が50-44とリードしたままハーフタイムへ。

※このQのスコアをタイに戻した浜松、リバウンドは9-9と追いつき、FGも8/16と安定しています。アシストも5-3とボールが回り始めました。

富山は2ptこそ5/10と決めましたが、3ポイントが1本のみとシュート確率が落ちてきました。それでも、ここまでFTを13/14と確実に決めているのでリードを保っています(浜松はここまで0/0)。

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第3Q 富山13-27浜松

予想された事ですが、ここから浜松が攻勢をかけます。トリガーの軽いニクソンのミドルショットに始まり、アーノルドのミドル、友利のスティールからの速攻でラーカイがダンクを叩き込む。更にアーノルドが3を沈め、53-55と一気に追い上げたところで富山のタイムアウト(7:41)。富山は3ポイントを積極的に狙いますが、水戸の1本が決まったのみ。

この後も流れは浜松。アーノルドの1on1からのオフェンスを止められる選手は富山にいない。アーノルドの3ポイントがネットを揺らす度に、会場のブースターからは思わずからため息が漏れます。更に、大口のシュートが続く。派手ではないけれど、1on1からバランスを崩して体が流れながら、角度が浅くアーチのない難しいミドルレンジのバンクショットを決める大口。アーノルドの得点力、シュート力はリーグ随一ですが、こういった目立たないながらも難しいショットを押し込んでくるのが浜松の強さか。

それでは俺も、とばかりにアーノルドがまた3ポイントを決め、61-55と点差が広がり始めたところで富山のタイムアウト(5:01)。

ディフェンスを2-3ゾーンに切り替えた富山、ここからの速攻で水戸がスピードを生かしたレイアップを決め、これがバスカンとなる。富山は約5分ぶりの得点。

しかし、浜松は動じない。ラーカイのパワーはゴール下でスミスを圧倒。速攻では岡田がよく走り、アーノルドからのパスでリバースレイアップを決めてこれがバスカン。沸き立つ浜松ベンチ。

富山も安田の2本目の3ポイント、水戸のレフティを生かしたドライブと決めるが、確実性で勝るのは浜松。残り11.9秒からの浜松最後のオフェンス、この時点で63-68と5点差で粘っている富山としては何としても守りたい場面で、友利がオフバランスで3ポイントを決める。浜松が71-63として第3Qを終了。

※27-13という数字の通り、浜松が圧倒したこの10分間。浜松はリバウンドで14-7と圧倒し、アシストも6-1。そして何より3ptが4/10、2ptに至っては6/7とほぼ思い通りのオフェンスを展開しました。

富山はFGが5/19と確率が一気に落ちました。前半同様、積極的にシュートを狙ってはいますが、落ち着いて守る浜松ディフェンスを突破出来ない。ポストのスミスはダブルチームされ、しかしアウトサイドからのオフェンスで1on1シチュエーションを打破できるのが水戸とデービスしかいないのが厳しい。加藤もチャレンジし続けていますが、難しいそのタフショットの確率は低い。

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第4Q 富山27-32浜松

追い上げたい富山は水戸のドライブから加藤の3ポイント、トップからスミスがダンクを決めるなどするが、浜松もアーノルドのミドル、ラーカイの幅を生かしたパワーフック、更にアーノルドのアシストから岡田がゴール下でリバースショットを決めるなど好プレーが続く。岡田はこの後もウィークサイドへのドライブからリバースショットを決めるなど効果的な活躍を見せる。

しばらく足の止まっていた富山、中盤にかけてデービスのミドル、加藤のドライブに速攻でスミスのシュートが続き、75-81まで点差を詰めたところでオフィシャルタイムアウト(4:49)。

残り5分で5点差。まだ富山は十分に逆転可能ではありますが、ここまでの流れを考えるとチャンスを確実に生かさなければいけません。そして、そんな富山を浜松はあっけなく突き放します。

ラーカイからのパスアウトで逆サイドから大口の3ポイントが決まり、続いてアーノルドも3ポイントを沈める。これで87-75の12点差。富山は水戸が果敢にシュートを放つも決められない。

浜松はドライブからニクソンのFT、そしてまたしても岡田が速攻からゴール下でシュートを決め、90-77となって富山のタイムアウト(2:32)。ここでほぼ試合の趨勢は決まりましたが、その後も浜松はラーカイのミドルに岡田の3ポイントとその手を緩めず、残り1分からの富山のファウルゲームに対しては1and1のFTをすべて決め(FT8/8)、浜松が103-90で勝利を飾りました。

※終盤のFTを除いても、このQの数字は浜松が圧倒していました。11ptsのアーノルドだけでなく、この10分間フル出場で9pts、FG4/4、3rebとよくボールに絡んだ岡田の活躍が光りました。チームとしてもリバウンドで10-5と優位に立ち、富山に追い上げを許しませんでした。

第4Qだけを見れば「悪くない」とも言える富山でしたが、後半だけで考えると得点で40-59、リバウンドで12-24、アシストで6-11、FTが5/6-14/15と、完全に立場が逆転。

富山は第1Qこそその果敢なオフェンスで浜松オフェンスを圧倒しましたが、その後は浜松のディフェンスを崩せず、一方の浜松は試合を通じて安定したオフェンスを継続し(FG37/64、57.8%)、第3Q以降は低調だった富山を圧倒しました(試合では32/72、44.4%でしたが、第1Qを除くと22/54、40.7%)。

最終的にはリバウンドも浜松が39-31、アシストで20-13と圧倒し、チームの総合力で浜松が勝る事を証明した試合内容となりました。